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核磁気共鳴スペクトルは

 感度の低さが課題である。動的核偏極法(DNP)が、とりわけ固体NMRではその課題を改善できる。そこでは常磁性剤の不対電子から対象となる分子の核へスピン偏極が移動する。これによって、核が整列しNMRシグナルを増加させる。ただし電子スピンがそのような強い磁場だと、それが核で引き起された磁化と干渉してしまい増加したシグナルは直ちに減衰、スペクトルのシグナルはブロード化する。それに対して今回、電子スピンによって引き起される弱点を低減させてDNPからの感度を保持することを、核スピンと電子スピンをデカップリングすることで達成できた[1]。このデカップリングを実現するために研究者らはジャイロトロンと呼ばれる新しいデバイスを組立てた。これによってマイクロ波周波数を素早くスイッチすることができる。まず電子スピンからの感度をDNPによってNMRスピンにシフトさせてついでマイクロ波の周波数を変化させ、電子スピンを連続的に高速で回転させると電子スピンの効果が平均化される。実際にガラスマトリックスに固定した13Cラベル化した尿素で様子をみたところ、シグナル強度は14%向上し、スペクトル幅は13%縮小した。祝勝会も待ち遠しい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 8, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.7b02714

17.5.30

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