« アンチマルコフニコフ選択性を | トップページ | 1924年考古学者が »

フサコケムシ

 小さな海洋生物である。そのムシ12700 kg、およそスクールバスの重さに匹敵する量が採集された。1980年代後半のことである。そこからわずか18 gのブリオスタチン1 が単離された。この量では、食卓塩の容器も一杯にならない。それでもそのほとんどがガンの化学療法のための試験に使われたが、成功はしなかった。その後化学合成によって供給されて、臨床試験が継続、アルツハイマーやHIV治療の可能性も示しているが、ほとんど供給できないという課題があった。これではいかんだい、である。その中今回、従来法のおよそ半分のステップに相当する29段階合成法が開発された[1]。合成は、収束型、段階型、最終生成物を結晶として得ることなどいくつもの独自の特徴を示す。合成を達成したWender先生は、「ここには合成の特別なブレークスルーはない。clever chemistry and hard work. マラソンの如く、どのように始めて、レースの途中はどう過ごすか、ゴールラインをどう跨ぐか である」とコメントしている。フサコケムシの貢献、無視はできない。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 October 16, p. 5.

DOI: 10.1126/science.aan7969

17.11.4

|

« アンチマルコフニコフ選択性を | トップページ | 1924年考古学者が »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。