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テトラペタロンは

 2003年、日本の研究者によって初めて単離されて構造が明らかにされた天然物である。また化合物は、ある種の人の酵素と構造や作用が類似で、植物のリポオキシゲナーゼを抑制することが明らかにされてきた。そのため人のぜんそくを治療できる可能性が示唆されている。それはともかく合成が困難な標的として、多くの研究グループがその合成に挑戦してきたが達成されていなかった。化合物は、多くの立体中心とあまり例のないβで連結したロジノース糖鎖を有する四環性システムの中に、ユニークなテトラミン酸メチルに連結したシクロヘキサジエノン骨格を有する。今回研究者らは、反応性が高いと思われる炭素をマスクしたエステルを含むN-アリールテトラミン酸から合成を始めた[1]。これによって初期段階では提供が困難なC-N結合を組込むことができた。18名が担当した合成を経てテトラペタロンAが導かれ、これの酸化でテトラペタロンCが導かれた。それぞれ18ならびに19段階で、全収率は1%未満だった。なお合成途中で、倒錯しないように、糖鎖を連結し、二つのジアステレオマーをクロマト分離、所望のキラリティーを得、最後にN-テトラミン酸基を脱保護している。「これぞ合成の偉業である」とのことである、以上。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 6, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.7b09358

17.11.22

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