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2017年12月

ミジンコ属:頼りがいのある淡水プランクトンI

 ミジンコは、コンピューターのキーボードの一文字ほどの大きさの小さな甲殻類である[1]。池や湖に棲み、その色、サイズ、豊富さが、水の質や環境衛生を示す。博物学者は1600年代から、ミジンコとして知られる生き物の研究を始めていた。ミジンコが食べる藻、バクテリア、原生動物と、ミジンコを餌とする魚との間のリンクを明らかにすることが必要であることが、早くにわかっていた。人が医薬品、殺虫剤、石油化学製品や軍需物質を大量に使い始めていた1900年代初め頃、ミジンコは毒物学のスクリーニングの重要な道具になっていた。ミジンコの化合物に対する限界の研究が食品医薬品法を立案する政治家に一助にもなっていた。とりわけミジンコのより魅力的な特徴は二種類の卵を生むことであり、そのうちの一つは、堆積物の中に数世紀に渡って残る点である。科学者は、眠った卵の孵化の方法を学び、卵が生まれた頃にはなかった化合物の影響を、よみがえったミジンコで人工的に研究している。

[1] 20171227日からのシリーズ「Meet the sentinel」の第五回

17.12.31

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新しい技術は

 センチネル種をモニターする方法を変化させる[1]。たとえば研究者らは、ミツバチの背中にマイクロセンサーを取り付けてそれらの受粉能力を分析できる。あるいはクジラの潮吹き口からドローンを使ってサンプル採取し、その健康状態を評価している。

 センチネル科学の次に大きなことは、発生や生態機能ゲノミクスの分野である。生体医療研究ではミバエや回虫の遺伝子の特徴がよく知られていたために、これらに研究者らは長い間依存していた。それに対して遺伝子工学の迅速な進歩に伴い、生態学者、発生生物学者や毒物学者、環境化学者は、その研究を拡大することができる。たとえばバクテリア、ウイルス、菌類が植物や人を含む動物とどのように共生するか、人の活動がこれらの関係にどう影響するかを研究することもできる。これはゲノミクス(◯◯ノミクスではない)がどのように環境に応答するかを理解する必要性から引き出されている。どれほどベストなゲノミクスであっても、実験室では決して発現できないために、遺伝子の1/3ほどの機能しか知らない。そのためより多くの研究者らは、ゲノムに入り、これら未知の遺伝子を制御する環境条件を理解するために、発生モデルのツールの開発や、伝統的モデルの生態学をよりよく研究すべきである。とりわけセンチネル種と環境のモニタリングは多くのことを示してくれるはずである。次回以降、鍵となるセンチネルやその役割の例を紹介する。

[1] 20171227日からのシリーズ「Meet the sentinel」第四回

17.12.30

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DDTに加えて

 研究者らは、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)、多環芳香族炭化水素(PAHs)、臭素化難燃剤やフルオロアルキル基質のような難分解性の有機汚染物の研究にもセンチネルを利用している[1]。また鉛、カドミウムや水銀のような毒性金属の場合もそうである。残留物の傾向を追跡するだけではなくて、これらの研究では、窒素やリン肥料の自然あるいは人間が引き起す循環の変化や、気候変動や侵入生物種によってもたらされる食物のシフトについても、観測されている。センチネル種は、別のタイプのサンプリングや実験室での研究とは異なる。たとえば、研究者らは10年スパンで、化学的にかつスペクトル的に大気や水中、土壌、堆積物、氷床コアの汚染を評価している。それでも氷解はしないけど、これらの試験は、どの種の汚染があるのか、その程度は、またどこから来て、どの程度広がっているかを診断する一助になる。さらにまた禁止された化合物の濃度がどの程度の速さで減少するのか、もしいつまでも残る場合には、どこに流れ着くのかも明らかにできる。センチネル種は、同じタイプの結果をもたらすが、汚染物がどのように生態系を損傷させているのかの物的証拠を示すことで先に進むこともできる。

[1] 20171227日からのシリーズ「Meet the sentinel」第三回

17.12.29

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環境センチネルとして

 数十の動物や植物が挙げられる[1]。その中で象徴的な情報提供者には、北極グマ、ハゲワシ、イルカも含まれる。ただしこれらの動物はカリスマ的な巨型動物と呼ばれていて、環境保護団体の主張のために利用されるために、包括的なモニタリングが難しく、リンクもさせ難い。

 一方で優れもののセンチネルとして考えられるのは、どこにでもいて、取扱い易くて、環境変化に対して一定で定期的な測定ができる応答がある種である。これらの条件に見合う種は、岩や木に棲む地衣類や、群れをなす北アメリカに棲むカリブーである。淡水中では、甲殻類であるミジンコ、イワナ属のマスのような魚である。海岸地域ではイガイが突出したセンチネルで、大洋では、セグロカモメやアシカのような海洋ほ乳類である。

 鳥がセンチネルである例の一つはDDTである。殺虫剤がかなり使われたとき、ハゲワシや他の多くの鳥の数が減少したが、米国でDDTが禁止された1972年以降、数は回復した。同様の話は他でも多くある。もしわれわれが現在さらには将来の環境問題に対して解を出そうとすれば、その環境に至った源、経路、分布、動力学、化合物による汚染の行く末が重大な因子である。院試で問われてもよい。

[1] 20171227日からのシリーズ「Meet the sentinel」第二回

17.12.28

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映画'Arrival'では

 地球外生物が地球に飛来する[1]。科学者のチームはエイリアンの宇宙船に乗り込む際、カナリアをカゴに入れて連れて行く。ただしこの映画ではカナリアの目的は明らかにされない。それでもこのカナリア法はかなりな昔から、石炭炭坑で使われた方法で、いわゆる歩哨(センチネル)。人への健康被害や環境悪化の前兆を知らせる動物や植物の代表例である。もし臭いのない一酸化炭素が炭坑で十分な濃度になった時には、カナリアが犠牲になって坑夫に脱出を促す。宇宙船の中の環境条件が悪化した時には敏感に反応するはずである。

 1950年代水俣で暮らす人たちは、その地域の猫の動きが奇妙であることに気がついていた。真っすぐに歩けず、抑えきれずに飛び上がる。それからしばらく経って同様のことが人でも起こり始めた。寝転ぶ猫が、踊る猫になった原因は、その地域の化学工業の排水に含まれるメチル水銀の放出と関連づけられた。市の入り江で蓄積されたそれが魚や貝に生物濃縮されていた。数千人の方が水俣病に罹患されたが、先の奇妙な猫の動きからの警告に気がついていなければ、さらにひどい状況に至っていたかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 20, p. 27.

年末から年始は、20171120日号に特集された「Meet the sentinel」の内容を紹介します。

今回は「Meet the sentinel」第一回です。

ちなみに映画'Arrival'の日本での題名は「メッセージ」

17.12.27

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メタセコイヤの

 「右側はどうなってます?」「???」何度も見ているはずの木の名前を知らなかった。こりゃいかんと工学部近くを歩いていた時、再びその木に出会った。しかも工学部棟6階以上の高さ。メタセコイヤが「むっちゃ凄い」になっている。キャンパス内には様々な樹木があることを改めて実感した。本部から工学部までの間に植わった木々には名札がある一方工学部棟から東で育つ木はまだ「札付き」ではない。一念発起して「秋の樹木図鑑」を買った。「プラタナス」に「ケヤキ」「ヒサカキ」「イロハモミジ」「ニガイチゴ」(多分)と、ここにもたくさんの種類があった。木の種類は、葉の形や色の変化、樹皮で特徴づけられるらしい。全学共通の講義、樟脳の基本骨格をつくってもらう。「クスノキ見たことありますか」と聞くも誰も手を挙げない。この建物出てすぐの大きな木だよ、と知った風に話す。実は自分もつい最近まで気にしていなかった。葉っぱを持ち帰っては図鑑の写真と見比べて名前を特定する。簡単な種もあれば、いったいどっちかなあ、というのもある。「落葉拾い」をする立場になった。今年の新年始まりには全く知らんねん、だったことに出会った。

 皆様よいお年を

17.12.26

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力強いカルシウム反応剤を

 使って、これまでは不可能だろうと考えられていた、ちょっとした分子トリックが達成された[1]。すなわちベンゼンの初めての求核的アルキル化である。フリーデルクラフトアルキル化は、古くから知られている親電子芳香族置換反応である。AlCl3のようなルイス酸が、ハロゲン化アルキルのハロゲンにバインドし、アルキル基に、よう出んかった、陽電荷が発生する。この電子不足な化学種である親電子剤が、ベンゼンの芳香環のような電子豊富な求核剤に引きつけられる。ついでアルキル基がベンゼン水素と置き換わりアルキルベンゼンを与える。電子豊富な化学種は、電子求引基が環上にあって環を活性化しない限り、通常ベンゼンとは反応しない。その中研究者らは、電子的反発があるにも関わらず求核剤がベンゼンと反応することを発見した。すなわちアルケンと反応する水素化カルシウムを開発し、極性のあるCa-C結合によって求核的なアルキル種を持つアルキルカルシウム種を創製した。これが簡単にベンゼンをアルキル化する。これまではカルシウム不足だったか。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 11.

DOI:10.1126/science.aao5923

17.12.25

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ホタテは

 玉虫色の甲殻類やキラキラ光る魚の鱗と、どこが共通なのか。それはグアニン結晶である[1]。反射する結晶の形は、ホタテの中に見られる天然の鏡の重要な部分であることがわかった。帆を立てることはしないものの、ホタテはレンズではなくて鏡を使って光を網膜にうまく集めている。科学者はこれまで、きらきら光る表面をつくるために、甲殻類や魚が利用しているように、ホタテの鏡はグアニンと細胞質の交互な層で出来ていると考えていた。しかしホタテの目の鏡がかなり繊細であるためにナノスケールでの研究が行われた。研究者らは、細胞内の水が素早く凍る極低温走査型電子顕微鏡を使って、ほとんど生きた状態の可視化が出来るようにした。その結果β—グアニンでつくられたタイル状の平面プレートが20から30の層をつくり、それぞれの層は垂直に積み重ねられた完璧に配列した強固に組織された鏡構造だった。鏡は青緑色を最も反射するが、これはホタテの海底の生息域に到達する波長と同じである。ホタテに関する新しい見立てでした。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 11.

DOI:10.1126/science.aam9506

17.12.24

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60年前の今日

 大気のある場所に顔出したらしい。その記憶はない。覚えがあるのは引越した後の家である。電車が走る音が聞こえる。特急、急行、普通電車が通過する音を聞き分けていた。大きくなったら「電車の運転手」になる、と信じていた。社員旅行で西は鹿児島までも旅した父の話に感化されていた。かんかんになって日本地図つきの時刻表を見ていた小学生。その思いは中学生になった頃からフェードアウトしていった。先生や両親から「将来の夢は」「やりたいことは」ということを聞かれたという記憶はない。今時の生徒さん「かわいそうだなあ」とつくづく思う。とはいえ高校三年生では志望学科を決めなくてはいけない。「ブーフーウー」以来ほとんど見ることのなかった教育テレビ(今のEテレね)の番組を見たりして、どこにしようかと悩める18歳。その頃すでに「環境」という名前を冠する学科があった。「これだよ多分」と思って受験した。合格発表当日、受験した学科の枠に自分の名前はない。がっかりした。「自分には環境あかんきょう」だった。でも入学希望学科は第五志望まで記載だったので次の学科に移動した。ここにもない、次もない。諦めかけたときに自分の番号があった。

17.12.23

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フリンクス(Flinks)と呼ばれる

 不倫とは縁のない、生きているインクは3-Dプリントに有用な化学的な特性を持つバクテリアを含む。さらに今回機能的なバクテリアがヒドロゲルに組込まれて、様々な形をつくる3-Dプリントを可能にしている[1]。ヒドロゲルは、ヒアルロン酸、κ—カラギーナン、燻蒸したシリカの1:1:1の比からなる。この比を保持しながら成分の重さを増加させると、ヒドロゲルの粘度と弾性を調整することができる。プリントした後でヒアルロン酸をヒアルロン酸グリシジルメタクリレートに化学的に置換して紫外光を使いヒドロゲルを交差連結させると自立した構造になる。ショードモナス・プチダと言うグラム陰性桿菌を組込んだフリンクを使うと、フェノールを分解できるデバイスになり環境修復技術へも展開可能である。さらにセルロースを生産するバクテリアを組込むと生体医療へも応用できる。たとえば皮膚修復や臓器移植の際の組織性外膜に使う材料としてバクテリアセルロースが開発されている。ここではデモとして、ミニチュアT-シャツの形をつくり、人形の顔をフィルムに印刷している。どちらもバクテリアがセルロースバイオフィルムを生産し、さらにそのフィルムは青色蛍光ラベルされた、高いレベルの作品である。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 11.

DOI:10.1126/sciadv.aao6804

17.12.22

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ホウ素を含む

 天然物は存在する。これらをつくる生命体は環境中のボリン酸と直ちに反応する小さな分子を利用している。そこには酵素は含まれていない。しかも炭素—ホウ素結合や有機ホウ素化合物をつくる天然の生命体は今のところ知られていない。その中研究者らは、わずかな遺伝子組替えで、有機ホウ素化合物をつくるバクテリアを創造できると考えた[1]。地熱バクテリアから得た野生型(やせ形ではない)のチトクロームcで遺伝子操作した大腸菌を使い、それらをN-複素環カルベンボランとジアゾエステルと培養した。その結果、キラルな有機ホウ素化合物が中程度の収率で比較的よい鏡像体過剰率(ee)で得られた。酵素のヘムユニット周りのアミノ酸を遺伝子工学的に調整すると、収率、eeさらには触媒回転数も向上した。さらにバクテリア触媒を別のホウ素反応剤とジアゾエステルに適用することで,一連の有機ホウ素化合物を導いている。トリフルオロメチル置換のジアゾメチルベンゼンからα-トリフルオロメチル有機ホウ素化合物も導くことが出来る。ボリル化の化学が生物学に加えられた。酵素が働くボリル化、人はさぼり得るかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 10.

DOI: 10.1038/nature24996

17.12.21

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酸素不足で

 引き起される細胞組織の損傷である低酸素症は、検出するのが難しい。その中光音響イメージングを使って、検出の感度を向上させるHyP-1と呼ばれる低分子プローブが開発された[1]。光音響イメージングでは、近赤外光が、温度と圧力の変化を細胞内で引き起こし、その結果、超音波が発生する。音は光ほど細胞内では散乱しないので、音波が細胞組織深くからのイメージをつくるのに利用できる。HyP-1は、N-オキシドトリガーを含み、それが還元されて、酸素のない条件で、アニリン(red-HyP-1)に変換される。この還元が、様々な酵素の中で、酸素のヘム鉄への競争的な配位に依存している。Red-HyP-1は、HyP-1よりも長い波長の光を吸収するために、そのより長い波長で励起されて生じた光音響シグナルは、概ねred-HyP-1に相当し、これが低酸素症であることを示す。研究者らは、培養細胞、ネズミの腫瘍、後ろ足の局所貧血での、低酸素症の検出にHyP-1を使っている。低酸素症検出、経産省でも如何でしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 10.

DOI: 10.1038/s41467-017-01951-0

17.12.20

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長寿命の発光を示す

 ナノ粒子は、見えない指紋の鋭いイメージを提供できることから、犯罪の科学捜査におけるこれまでの指紋検出よりも、よりよい解像度が達成できる[1]。研究者らは、1.0%のガリウムと0.5%のマンガンを含むZn2GeO4ナノロッドを調製した。これは生体医療イメージングに使われる永続的に発光するナノ粒子と同様の成分である。ついでナノ粒子表面を活性化したエステルで修飾することにより、指紋の表面に残ったアミノ酸と結合できる。光るナノ粒子で明確になった指紋は、従来の黒い指紋の粉と比較して、より鋭く表面が浮き出てくる。粒子はまた、指紋が残されて60日たった後でも、指紋を明らかにすることができる。このことは従来法では、見えない指紋をつくるタンパク質、油や汗が、ゆっくりと分解するために、時間が経って、それを検出することは、難しかったこととは対照的である。北京の犯罪捜査研究所がこの系に興味を寄せている。指紋、知らんもんではなくなってきた。口頭試問でも答えてね。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.analchem.7b03003

17.12.19

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喘息に悩まされる人の数は

 男性よりも女性がおよそ二倍である。ただし思春期前ではこの傾向は逆転する。この性が基となる変化は不可解で、理由はどこにも書いていない。ただしこのシフトは性ホルモンと関連しているのではないかと言われていた。その中今回、可能性のある分子レベル機構が提唱された[1]。研究者らはある種の、喘息と関連づけられている肺細胞(ILC2と呼ばれている)の中の性ホルモンの効果を検証した。細胞は、炎症を引き起すタンパク質を作り、喘息の人を息苦しくさせる粘液もつくる。ついで喘息の方とそうでない方の男女の血液サンプルを調べた。その結果、喘息の人は、より多くのICL2細胞を持ち、中でも女性の方のそれは男性よりも多かった。ネズミによるテストでは、男性ホルモンであるテストステロンがILC2細胞の増殖と活動を押さえる一方で、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンにはこの効果はなかった。喘息の治療では、今のところ性ホルモンを対象にした方法がなく、今回の成果はそのタイプのアプローチの有効性を示すものである。ホルモンの詳細については、原著を訪問してみてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 9.

DOI: 10.1016/j.celrep.2017.10.110

17.12.18

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単一の鎖で

 26個の輪っかが連結したこれまでで最長のポリカテナンが合成された[1]。現状だれも勝てんなである。これまで枝分かれしたポリカテナンでは、130の輪がインターロックされた分子が合成されていたが、これらの構造は独自の特性を有し柔軟な動きが分子レベルで観測される。ノーベル化学賞受賞者であるJ.-P. Sauvage先生が、1983年二つの輪でできた基本的なカテナンを世に出して以来、研究者らはより長いカテナン合成に魅せられてきた。ただし、ポリカテナン合成では、ある段階で輪をつくる必要があって、そのための両端が出会えるように、かなり希薄な反応条件が必要である。今回の成果は、亜鉛が配位できる部位が二カ所あってアルケンを持つC-型の分子を、こちらも亜鉛配位部位を持つ大環状化合物と結合させた。その結果、C-型の糸が大環状化合物を通り、様々な長さの大きなメタロスプラモレキュラーアセンブリが出来上がった。さらにこれらを薄めて、閉環メタセシスを行うとC型の部位は環を形成し、最後に亜鉛が除去された。輪っかについて、わかったでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 7.

DOI:10.1126/science.aap7675

17.12.17

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アジドをオレフィンに

 直接付加させて、1,2-ジアミンをつくるグラムスケールの反応が開発された[1]。ジョージアの研究者らは2015年末に、トリメチルシリルアジド、ベンズヨードキソール酸化剤、三座配位子を持つ鉄触媒を使って、官能基を持たない直鎖あるいは環状のオレフィンを室温でジアミンに変換する反応を報告した[2]。この成果に、あるイタリアの企業が興味を示し、大西洋をまたぐパートナーシップとなって大スケールへの展開になった。企業側では、反応剤、ジアジド中間体、生成物であるジアミニウム塩の安全性の評価を行い、ジアジド中間体が、適度に安定であるものの衝撃に対して少々敏感である一方、ジアミニウム塩はより安定であることがわかった。この結果をもとに、ジアジドを精製することなく、ジアミニウム塩を導く方法が開発された。1,2-ビシナルジアミンは、多くの低分子で見られる骨格だけれども、工業的にオレフィンのアジド化は利用されない。対照的にここでは鉄触媒のオレフィンアジド化が、迅速、安全、スケールアップできる有用な方法に仕上げられている。ジアミン合成のアジトにアジドです。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 6.

DOI:10.1021/acs.oprd.7b00312

[2] DOI: 10.1002/anie.201507550

17.12.16

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二種類の金属を

 含むナノ粒子触媒は、石油から得られる化合物のリフォーミング、水素化や他の工業プロセスで重要である。金属を組合せることで、単一金属触媒よりも触媒活性は向上する。さらにこのことを分子レベルで実証することができると、よりよい触媒を導くことも可能で、省エネタイプで、より少ない副生成物である系も達成しうる。ただしナノ粒子には均一性がないことと、ナノメートルスケールの反応を追跡することの難しさから、詳細は隠されたままで拡散していなかった。今回その一部が明らかにされた[1]。まず球状の金をつけたパラジウムナノロッドが調製されて、モデルの光触媒反応、すなわち非蛍光発光性のレサズリンの蛍光発光性レソルフィンへの還元反応が行われた。電子顕微鏡と一分子解像度の蛍光顕微鏡を使って、数千の反応が調べられた。その結果、50以上の粒子で反応が起こっているナノメートルの解像度を得た。データは、二つの金属のナノスケールの接触面が、触媒的にホットな位置であり、そこは単一金属よりも50%活性が高かった。また単一金属の最も活性の高い面が二金属接触面を形成するベストな部位であった。結局、接触面が大事とのことです。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 27, p. 9.

DOI: 10.1021/acscentsci.7b00377

17.12.15

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カメハムシは

 必要な酵素を有し、これによって葉っぱを消化できる[1]。ただしカメハムシ自身は、植物の細胞壁にある頑丈な複合多糖質であるペクチンを分解する酵素をつくることができない。運がいいことに、ここにアシスタントがこれを担当する。すなわちカメハムシの胃腸の中の袋状の器の中にいるCandidatus Stammera capletaと名付けられたバクテリアで、これが必要な酵素であるポリガラクツロナーゼやある種のリアーゼを生産する。昆虫とバクテリアの共生関係は一般的であるものの、バクテリアは通常動物の細胞の中に暮らす。そこでバクテリアは通常の代謝機能に必要とされる多くの遺伝子を共有することができる。それに対して今回は、バクテリアがホストの細胞外にいるにも関わらず、ゲノムを持っている。なお今回発見されたバクテリアは、わずか27万個の塩基対を含む必要最小限のゲノムだけを有していて、この数は大腸菌の6%であり、ホストの細胞外に暮らす共生有機体では最も小さなゲノムである。ちなみにそれは細胞外でも妨害はしない。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 27, p. 9.

DOI:10.1016/j.cell.2017.10.029

17.12.14

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アルキル化合物は

 しばしばかなり反応性の低い多くのC-H結合を有している。化学者は、それら数あるC-H結合のうち、ある特定のそれを切断し、炭素上に直接官能基を選択的に導入したいが、多くのC-H結合活性化の方法が開発されているものの、未だに容易ではなく、新手法を用意する必要もある。昨年研究者らは、トリアリールシクロプロピルカルボン酸配位子を有するジロジウム触媒を開発し、その立体的、電子的特徴を生かして、アルカンあるいは末端置換されたアルキル基の二級C-H結合の官能基化に成功している。この触媒は、最も接近しやすい二級のC-H結合以外の、二級、三級C-H結合を配位子がブロックするために、基質に配向基は無用である。さらに今回研究者らは、テトラクロロフタルイミドアダマンチル酢酸配位子を持つジロジウム錯体を合成し、三級C-H結合が標的とされてC-C結合形成が行われた。最高収率93%、鏡像体過剰率92%である。さらにこの反応はステロイド、ビタミンE誘導体にも適用されて、複雑な分子合成の後半段階での官能基化に利用できる。三級C-H結合も感謝(サンキュウ)している。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 20, p. 7.

DOI: 10.1038/nature24641

17.12.13

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世界の大洋には

 40億トンのウランが含まれ、それは数世紀に渡って原子力発電を可動させることができる量である。ではどうやって広大で深い青い海から3.3 ppbに薄められたウランを取り出し、売るようにするかが課題である。化学者は高分子材料を開発し、ウランでは、高分子の中の窒素と酸素官能基が、ウランイオンに選択的にバインドするポリ(アルドキシム)からつくられる収着剤に焦点が当てられていた。ただし新しい研究は、この化学の微妙な点を明らかにしている[1]。ポリ(アルドキシム)は実際には、ウランイオンよりもバナジウムイオンによりよくバインドする。この結果はウランを海水から取り出す、より優れた材料開発が必要であること、さらにバッテリーで利用されているバナジウムやリチウムのような金属を、環境を破壊する陸から採鉱するよりも、海から採鉱する一助にもなることを示していた。研究では、滴定とX線スペクトル、コンピューターシミュレーションの結果から、ポリ(アルドキシム)の環状イミド-ジオキシムユニットは、UO22+よりもV5+にバインドすること、また直鎖のアルドキシムユニットは、V5+にはバインドせず、UO22+にバインドすることも分かった。収着剤に執着、祝着至極。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 27, p. 6.

DOI:10.1038/s41467-017-01443-1

17.12.12

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大岡山駅を降りて

 左手、大学に入る。赤茶色に色づいたメタセコイヤが出迎えてくれた。ウッドデッキの側は枯れ木だけど、春には桜満開になる予感が伝わる。東工大、広大なキャンパス。その右手の銀杏、高く広く樹齢を重ねている。ちょっとした朝の冷え込みに緊張感をもらって討論会会場に入った。先週木金土の三日間、主に学生さんたちの熱い講演、質疑応答、ポスター発表に浸かった。熟練者の前に挙手ができるヤング。しかも端的な質問内容、端的な受け答え。5分の質問時間で7, 8個の質問に応対できるつわものもいた。60件の口頭発表のうち40件足らずが講演賞の対象である。大激戦、僅差。熱意が伝わるパワーポイント、クールで深みのある応対。かつての学生さんたちは巣立ち、多くは新しいメンバーだけど、切磋琢磨されていてたくましい。ポスター会場では、個別の内容に聞き入る参加者。1日が終わって近くの居酒屋に入った。一品の注文。カキフライ、一皿いくつ入っている?・・・じゃあフタ皿。枝豆もお願い。一皿何個入っている?!・・・

 前向きな発表、前向きな討論の場を提供していただいた先生方、学生さん、スタッフの皆様、ありがとうございした。来年は新潟市、朱鷺(トキ)メッセ、で「ときめきでっせ」なり。

17.12.11

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エチレングリコールを

 純度の高いテレフタル酸と反応させるとポリエチレンテレフタレート(PET)ができる。飲料企業は、この飲料容器プラスチックを、バイオ由来にしたいとその系が探索されている。実際コカコーラは2009年よりバイオ由来のエチレングリコール(EG)を使っている。現在のバイオマスからの製造方法は、糖の発酵によりエタノールをつくり、これをエチレンに変換して、通常の石油化学工業の手法でEGが導かれている。それに対してある触媒会社が、新しい方法を喧伝している。糖鎖を熱分解で混合酸素化物に変換する。ついでそれを水素化してEGと共生成物であるプロピレングリコールが導かれる。このEG実演プラントは2019年に稼働し、2023年までには、商業プラントとして利用することが期待されている。従来の5段階過程が2段階過程になり、エタノール経由の長いルートよりも安価であることも実証されるはずである。なおグリコール製造、江崎グリコ(株)ではありません。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 20, p. 10.

17.12.10

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化学は

 単調な作業や、いやな臭いと隣り合わせであることはともかく、元素が美しくて予想外の配列で組合わさった場合の合成作品には、芸術性や鑑賞できる高い価値がある。最近の例が三環性のトリオールである[1]。これは多環式キラル化合物で、三回対称軸を示す最も小さな分子である。分子の対称性を制御することは、医薬品開発や自己集合する高分子材料の開発では重要である。ただし対称性をデザインすることは簡単ではない。三回対称軸については、三置換ベンゼンやトリアジンの様な分子に限られる一方で、構造的に多様な分子で三回対称軸を有する分子の合成法の最適化は、未だに発展途上で、新しい方法の登場が待たれていた。今回報告された方法では、二環性アルコキシ置換のノルボルナジエンを官能基化する。これによって前例のないC3対称のノルトリシクレン-3,5,7-トリオールのラセミ体混合物が導かれた。さらに鏡像体を分離してグラムスケールで純粋な鏡像体を得ている。これを用いて、集積回路での液晶のドーパントをつくる研究も進行中である。待たずとも、海路の日和ありかな。

[1] Chemical & Engineering News 2017 November 20, p. 9.

DOI: 10.1002/anie.201709279

17.12.9

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液体漂白剤である

 NaOClは工業的な酸化反応では、魅力的な環境調和型の反応剤である。安価で爆発しない、しかも共生成物は、お宅にもある食卓塩である。ただし大きなスケールでの反応の効率の悪さが大きな課題だった。その中今回、結晶化した漂白剤であるナトリウムハイポクロライト・五水和物が、有機化合物を、家庭にある希薄な漂白剤よりも、効果的かつ高収率な酸化剤であることが報告された[1]。数年前、ある日本の企業が安定な結晶であるNaOCl•5H2Oを製造する方法を明らかにした。今回の新しい成果は、日本の企業と大学のコラボで、工業的に行われる様々な酸化反応が試された。その中とりわけ嵩高い二級アルコールのケトンへの触媒的な酸化反応は特筆すべき例である。たとえばテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩とTEMPOとが触媒する2-オクタノールの酸化は1時間で、97%収率でケトンを与える。液体漂白剤では、22時間後11%であるのとは対照的である。さらに液体漂白剤では全く進行しないトランスジオールの酸化的開裂によるジケトンへの変換反応も媒介できる。固体漂白剤が、期待にお答えしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 20, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.oprd.7b00288

17.12.8

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酵素を使った反応を

 構想し、拡大するために、TropB, AzaH, SorbCと呼ばれる三つの酵素の反応性が調べられた[1]。酸化的脱芳香族化反応で、触媒は平面環系の芳香族性を壊し、酸素が組込まれて、付加価値の高いキラルな生成物を形成する。この反応で最も高い効率を示す酵素を特定、反応のエナンチオ選択性、サイト選択性を最高レベルとして、環の周りの特定の位置への酸素の組込みと、特定の配座を達成している。これまで知られている酸化的脱芳香族化反応は、選択性の低さが課題で、超原子価ヨウ素反応剤や金属錯体のような、キラル酸化剤が必要だった。それに対して酵素が駆動する反応では、より原子効率の高い反応剤である「酸素」が利用されている。また酸化条件での副反応も課題であったけど、今回の酵素条件ではその心配もない。凍結乾燥した細胞を使うことで酵素の活性は6ヶ月間保持されること、実用的なスケールでの反応も、必要に応じて可能である。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 20, p. 6.

DOI:10.1038/nchem.2879

17.12.7

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高塩食を

 公園でなくて、実験室でネズミに与えた。また別のグループのネズミには通常食を与えた。三週間後、ネズミの糞便の中のリボソームDNAの数を調べ、その結果を機械学習アルゴリズムと組合せて、胃腸のなかにいる微生物を同定した。14日間の検証の後、高塩食を食べていたネズミでは、ネズミに特異的なバクテリアのレベルが、より低いことがわかった。この微生物がネズミの健康にどう関わっているかを明らかにするために、特異的なバクテリアとして乳酸桿菌を、高血圧のネズミと、自己免疫性脳脊髄炎(EAE)と呼ばれる脳の炎症を持つネズミに与えた。これらの実験室で再現された疾患は、実際には免疫細胞TH17の機能不全と関連しており、動物や人では、より多くの塩分摂取でより顕著になる。実験結果は、乳酸桿菌を与えられた高血圧ネズミは、血圧が低下し、EAEの炎症も改善された。この結果をもとに健常な人に14日間、NaCl6 g食べてもらった。ネズミと同様に、様々な乳酸菌が胃腸の中で減少していた。さらなる検証も必要だけれども、高塩食で、微生物叢の調子が悪くなることが示された。遠足でも低塩食を

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 20, p. 6.

DOI:10.1038/nature24628

17.12.6

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2008年から2016年の間

 東レハイブリッドコード(株)は、規格外の工業繊維を、タイヤ、カー部品、製紙で使われるフェルトを生産する13の顧客に出荷していた[1]。東レによれば、品質仕様に満たなかった材料はそれほど多くはないものの、これを明らかにした際に、会社はこの過失についてかなり詫びていた。この改ざんは2016年の夏の内部監査で発覚した。それ以来、影響する顧客にはこのことを知らせ、子会社では再発防止のために品質を制御する手順を見直してきた。ただし今回公表したのは、改ざんのニュースがインターネットの掲示板で伝えられて、別の顧客からの問合せが来るようになったため、とのことである。東レと同様のことが、別の日本の有名企業からもすでに公表されている。先月三菱マテリアルは、二つの小会社が、自動車や航空産業に供給しているゴムや金属部品の生産データを改ざんしていたことを明らかにした、10月には神戸製鋼所が、トヨタやボーイングを含む顧客に供給していた材料に関する偽りの記録を認めた。2015年には、旭化成の住宅子会社が、日本で建設された複数の土台の深さを誤って報告していたことを認めた。ただしこれらデータ改ざんを認めた企業の中で、おそらく東レが最も知名度の高い企業である。ボーイングやエアバスに炭素繊維を供給している主たる企業である。またこの改ざんは、現在経団連の会長である榊原定征氏が、東レの社長だった頃に起きている。榊原氏は10月には、相次ぐデータ改ざんについて失意を表し、これら一連の事件は日本の製造業の信用に悪影響を及ぼす重大なことであると、言及していた。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 December 4, p. 13.

17.12.5

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二重の水素結合に

 特徴づけられる非共有結合性触媒は、出発化合物を直接活性化することによって、様々なエナンチオ選択的な反応で使われている。ただしそれらは、かなり反応性の高い親電子剤を利用しなくてはいけない。この課題を解決するために今回、間接的に二重水素結合を使った系が開発された[1]。二か所で水素結合できるスクアラミドとシリルトリフラート(R3SiOTf)のアニオン部位とが組み合わさった。ここにはブーイングはなく、これによって活性化されたR3SiOTfがシロシキクロトンアルデヒド由来のアセタールからオキソカルベニウムイオンの形成を低温で可能にする。これが向山アルドール反応や[4+3]環化付加反応で使われている。これまですでに水素結合ドナーによる基質の活性化は行われて来た。今後は、水素結合とアニオン認識による新しい触媒化学種の発生で、他の方法ではなし得ない反応様式が生み出されるであろうと記されている。水素結合がさらに都合よくなった。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 13, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aao5894

17.12.4

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人への感染の

 半数以上はバクテリアによって引き起される。それが表面について、抗生物質で処置するのが難しいバイオフィルムを形成する。研究者らは、繊維をもとにした電気包帯を開発し、それが化学的にではなくて、物理的に感染と対峙し、バクテリアの抵抗性を向上させる力をそぐ方法を開発していた。今回まずは豚でのバイオフィルム感染の手当てをした時の包帯の効果が報告された[1]。包帯は、銀と亜鉛で水玉模様にパターン化されていて、体液と触れたときに、現場には、弱い電場ができる。この電場が、バクテリア同士の間でバイオフィルムを形成するために送る電子信号の邪魔をする。火傷した後に、人のバクテリア株に感染した豚の傷に、二時間だけ包帯をした場合、あるいは1週間包帯をした場合について、走査電子顕微鏡で検証が行われた。その結果、電気的な包帯は、バイオフィルム形成を阻止あるいは妨害することができて、プラシーボの包帯よりも回復が速くなっていることがわかった。化学的包帯が、物理的包帯に、交代かな。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 13, p. 9.

DOI: 10.1097/sla.0000000000002504

17.12.3

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師走とは

 し忘れたことをする月である、とほとんど毎年書いている。ある本のある章の執筆を依頼されている。締切が近いというのでリマインダーをもらう。「これがまいるんだ〜」と思いながら、自分が編者の本については、それぞれの章を担当されている著者の方々にリマインダーを出す。編者として変じゃないかと思いつつ「すみませんねえ」とキーボードをたたく。部屋に書類が溜まる。ペーパーレスとは言え、なぜだか増える。さすがに論文を印刷する機会はかなり減った。ファイル保存しているものの、パソコンの中で捜し出すのに時間がかかることもある。EndoNoteで管理されている人も多い。自分も一念発起、しばし待て、とwebページで情報を見る。現在使用中のパソコンのOSはサポートされていないので、ぼ〜っとせずに、しかと踏みとどまった、でも懸案である。方や書類の山、おそらく見ないであろう数十年まえの論文のコピー、こちらは、まあええや「えいや」で古紙に回すことにしたい。いつまでも固執して個室に保管は避けたい。

17.12.2

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バルクの氷が

 形成するのは、水分子が六角形構造を保持し成長するのではなくて、六角形と立方体が「層になった乱れた構造」から始まり、六角形構造になることが報告された[1]。すなわち「層になった乱れた氷の種」が、エントロピー的には六角形よりも有利であることがわかった。立方体の氷は六角形の氷よりも不安定だけれども、これらが混ざるときには、立方体の氷が好まれる。以前に「層になった乱れた氷の種」を実験的に観察していた研究者らは、これらは速度論効果で形成し、熱力学的には安定ではないとしていた。これに対して、も〜出ると期待が集まっていた新しいモデルは、熱力学の結果であることを示していた。また以前言われていたモデルよりも、今回の乱れたモデルのほうが、核形成が3倍速い。この効果は種の大きさと温度に依存しており、これまでのモデルにもこれらの因子を組込み、実験室での実験結果を外そうすれば、雲の中で氷ができる速さのモデルが、より正確に提案されるはずである。神社に詣でるのも忘れずに。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 November 13, p. 7.

DOI: 10.1038/nature24279

17.12.1

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