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化学は

 単調な作業や、いやな臭いと隣り合わせであることはともかく、元素が美しくて予想外の配列で組合わさった場合の合成作品には、芸術性や鑑賞できる高い価値がある。最近の例が三環性のトリオールである[1]。これは多環式キラル化合物で、三回対称軸を示す最も小さな分子である。分子の対称性を制御することは、医薬品開発や自己集合する高分子材料の開発では重要である。ただし対称性をデザインすることは簡単ではない。三回対称軸については、三置換ベンゼンやトリアジンの様な分子に限られる一方で、構造的に多様な分子で三回対称軸を有する分子の合成法の最適化は、未だに発展途上で、新しい方法の登場が待たれていた。今回報告された方法では、二環性アルコキシ置換のノルボルナジエンを官能基化する。これによって前例のないC3対称のノルトリシクレン-3,5,7-トリオールのラセミ体混合物が導かれた。さらに鏡像体を分離してグラムスケールで純粋な鏡像体を得ている。これを用いて、集積回路での液晶のドーパントをつくる研究も進行中である。待たずとも、海路の日和ありかな。

[1] Chemical & Engineering News 2017 November 20, p. 9.

DOI: 10.1002/anie.201709279

17.12.9

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