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2018年2月

同素体である

 白リン(P4)や黄色ヒ素(As4)は、有用な反応剤である。ただしそれらの際立った不安定性のために実際には使われることはない。例えば白リンは空気に触れると激しく炎が出ることから輸送の制限もある。黄色ヒ素は光に繊細で灰色に変わるので、真っ黒な中で使わなくてはいけない。これらの同素体をどうかそたいと研究者らは工夫をしてきたものの成功例は限定的だった。その中今回、活性炭の中にある孔がこれらを貯蔵するのに働くことが明らかにされた[1]。しかも活性炭から取り出して溶液にすることもできて持続的に反応剤として使える。まずテトラヒドロフラン中のP4As4の溶液をサイズの決まった孔と配列を持つ活性炭に吸着させて材料が調製された。その後遠心分離、ろ過、乾燥を経て得た黒い粉は、実験台の上でも保存できて光や空気に晒されてもほとんど分解しない。ただしヒ素入りは毒性がわからないことから密封した容器に保存することが推奨されている。今回の成果によって不安定な同素体を安定に扱えるとともに、活性炭を使った不安定種の貯蔵材料の可能性が広がった。活性炭におまかっせタン。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 February 5, p. 11.

DOI: 10.1038/s41467-017-02735-2

18.2.28

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タンパク質の

 ホスホリル化は細胞内の多くの過程を制御する一助になる。それが最もよく起こるのはセリン、トレオニン、チロシン残基である。ヒスチジン残基もまたホスホリル化を受けるもののあまりないと考えられていた。今回の新しい結果は、以前考えられていたよりもこれが通常の過程であることを示していた[1]。それを明らかにするために新しいプロテオミクスが開発された。研究者らは、Fe3+を固定化した金属アフィニティクロマトグラフィーを使って、サンプル中のホスホリル化ヒスチジンをペプチドに濃縮した。ついで液体クロマト—タンデム質量分析でペプチドを分析した。これまでより温和な条件でホスホペプチドを濃縮できているために、不安定なヒスチジンホスホリル化の加水分解が抑制できている。大腸菌を使った実験では、従来の10倍程度に相当する2129のホスホリル化される部位が、ぶいぶい見つかった。それらのうち246がヒスチジン部位で、これは大腸菌のホスホプロテオームのおよそ10%で、トレオニンやチロシン残基と同様の割合で起こることがわかった。ヒスチジン、羊んも持っている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 February 5, p. 8.

DOI: 10.1038/nmeth.4580

18.2.27

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硫酸塩、酸化窒素や

 揮発性有機化合物、他の分子が塊になって、直径50 nm以下の超微細エアロゾル粒子(UAPs)になる。これがええやろかどうかがわからない。50 nm以上の大きさのエアロゾル粒子は雲をつくる種になるがUAPsについては過小評価されていた。その中今回、UAPsは地表から2.5-3 km辺りで飛沫をつくる核となることが報告された[1]。水が濃縮されるとそれが熱を放出し雲をより高く押し上げ風のスピードも俄然アップする。アマゾンの雨林では通常非常に低いレベルのUAPsしかない。そこで研究者らは、汚染物質を発生させて、卓越風に載せて原始のままの雨林に飛ばし大気の質を観測した。その結果、沈澱量の代わりとなる鉛直風や反射性は、UAPsが増えるにつれて増加することがわかった。一般に湿度、温度や風の様な、嵐に伴う雲では様々な因子とUAPsの効果を分けることは挑戦的な課題であるが、今回、風のパターンを解析することでUAPsの有り無し以外はほとんど同じ嵐を比較することができた。嵐にも違いがあったらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 February 5, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aan8461

 

18.2.26

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堺筋線長堀橋で

 で降りる。南向きに移動中若い女性と目線が合った。その方大阪城の写真を指差して何かを伝えようとしている。そこまで移動したい様子。つぶやく言葉はハングル語に聞こえる。環状線の「大阪城公園駅」そこまで幾つ駅があるか勘定せんといかん。そもそも地下鉄からJRへの乗り換えをどう伝えたらいいか。すると一緒に旅する二人の女性が現れた。モバイルが喋る「大阪ビジネスパーク」。とは言え共通言語がない。ともかくマップ、これは通じた。地下鉄の路線図。それぞれの駅がアルファベット+数字表記されている。ここはN16目的地はN21。幸いにしてこれで伝わった。がそれは長堀鶴見緑地線。移動にはしばし歩かなくてはいけない。乗換えの表示を指差してThis wayと伝えた。納得してもらえた様子。三人揃って「ありがとうございました」ハングル語が出ずにHave a nice trip.でお別れした。翌日グーグル検索、どういたしまして:「チョンマネヨ」ただしあまり使われなくてコマプキニョ(ありがとうだなんて)などとお返しするらしい。韓国からの観光客に言ってみたい。

18.2.25

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えっマイクなし

 心配ご無用「マイクなくてもうマクイク」、大きな声でと伝えた。卒業論文プレビュー発表会が始まる。昨年同様持ち時間2分。時間内に収めたいと早口になってしまうので概ね10秒ほどずつ早く終わる。スムーズに進行して午前中は終了。午後はポスター発表。体力勝負である。なにせ1時間45分立ったままで学生さんの発表を聞く。それが二セット。自分は数年前までは全く知らなかった科学用語、おそらく発表者も一年前は全く知らなかったはずのそれらを駆使する。それを苦心して聞かせていただく。順序立てて説明してもらっているか。その結果に至るまでの実験方法は妥当か。先輩たちが得た結果からどこが前に進んだのか、などを軸に話を聞く。千差万別なるも、昨年よりも明らかに、同じ学科だけども分野の違う人に説明するための準備をしている発表もあった。生命系の研究でもどこで役に立つのか悩ましいとのお話。ここでも心配ご無用。まずは学生さんがこの一年格段に成長した糧として役立っている。終了後、サンドイッチ懇親会、見解も三度一致。スイッチ用のご酒は我慢。

18.2.24

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重炭酸塩

 絨毯とも縁があるかもしれないHCOO3-は、様々な抗生物質の作用を向上あるいは減少させる[1]。たとえばテトラサイクリンの場合、細胞に入り込むかどうかはバクテリアの膜のpH勾配に依存している。細胞外のテトラサイクリンをプロトン化し中で脱プロトン化される、と取込みと保持が促進されると考えられている。そこに重炭酸塩があるとpH勾配が減少、プロトン化の程度も小さくなって取込みが低下する。これとは逆に重炭酸塩は多くのアミノグリコシド抗生物質の有効性を向上させた。重炭酸塩によってpH勾配が減少すると細胞はイオンを、膜を通して移動させて電荷分布が広がる。アミノグリコシドはこの電荷の違いによって、バクテリアの細胞膜を効果的に通過し細胞に入りこむことができる。さらに身体の中で天然に見られる抗菌性ペプチドに対する重炭酸塩のインパクトも明らかにされた。それをペプチドであるインドリシジンに加えると、体外で大腸菌の成長を抑制するのに必要なペプチドの量が、100 μg/mLから1μg/mLに下げることができた。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 February 5, p. 7.

DOI: 10.1021/acsinfecdis.7b00194

18.2.23

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カルビンは

 一価で三つの非結合電子を持つ炭素種である。これは単一の原子から三つの新しい結合形成が可能であると期待できるものの、この手に負えない一価分子を、一家でも、手なずけることができていない。その中今回、等価体であるジアゾメチルラジカル種を、光レドックス触媒を使って発生させることによって不安定性が回避できることが報告された[1]。このラジカル種は直接芳香環に組込むことができてジアゾ生成物を与えさらにそれがより複雑なキラル分子に変換できる。研究者らは、12の医療に関連する化合物を含む36以上を、アレーンのC-H結合の後半段階での官能基化を経て合成している。この方法は従来法であるPd触媒クロスカップリング、ジアゾ移動を補填できるインパクトの高い反応である。反応は暗いと進行しないが、ジアゾ化合物をより簡単に分解できる青色ライトを利用し、水、アミド、ハロゲンやスチレンのような単純な反応剤が加えられて官能基化生成物を得ている。またイソブチルベンゼン化合物の二重C-H官能基化でインダン環を与えている。これもいいだんねえ。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 February 5, p. 5.

DOI: 10.1038/nature25185

18.2.22

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エボラ出血熱の

 死者もでるほどの大流行と戦うために医療従事者は、疾病に対する免疫反応があるかどうかを決める単純で携帯できる形態である試験法を必要としている。今回紙の色の変化で血清の中のウィルスに対する抗体を検出できる試験紙が開発された[1]。市販で利用できる細長い紙の片側に、エボラウィルスの異なるサブタイプによってつくられた三つの抗原を含む線が印刷された。この紙素子を使うために、紙の反対側に、血清をたらし、これを標的のエボラ抗体を金ナノ粒子でラベルした抗体の溶液に浸した。液体が毛管現象で流れるにつれて、血清の中のエボラ抗体が金ナノ粒子にバインドし、最後に抗原にもバインドする。その結果15分以内に紙は赤紫色に変化する。ついでその強度をスマホのアプリで測定してほしいという要請に従って、陽性か陰性かがわかる。従来のアッセイに比べて、エボラで生き延びた個人を100%の確率で特定できたが、感染していないサンプルで一つだけ擬陽性を示した。試験紙開発も真剣やし、である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 11.

DOI: 10.1021/acsnano.7b07021

18.2.21

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地球の大洋や大気で

 40億年前の頃と、より最近に起こった化学的な非平衡が、これまでとは異なる化学で、再考されて再構築された[1]。ただし最高かどうかは記されていないものの、これらの非平衡が存在する証拠としてメタンと二酸化炭素の存在が挙げられた。地球上でメタンと二酸化炭素が共存しているのは植物や微生物のような生命体による活発な活動によるものであり、その活動がなければこれら二つが大気に存在する可能性はかなり低い。同様に遠く離れた太陽系に地球外生物が存在するかどうかを探索するときの鍵もこの化学的な非平衡である。これまで酸素を拠り所に生命体探索が行われてきたが、生化学過程を経て酸素がつくられるのは複雑である。またたとえ酸素をつくる生命体がいたとしても、酸素の反応性は高く、惑星の大気中に一定量蓄積するにはかなりな時間もかかる。一方でメタンは生化学的には合成が容易である。幸いなことに来年打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙顕微鏡は、酸素よりも二酸化炭素やメタンの観測が、よりよくできる装置を備えている。宇宙に夢中である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 10.

DOI: 10.1126/sciadv.aao5747

18.2.20

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ナノサイズの

 孔やチャンネルを持つ触媒材料は工業化学で中心的な役割を果たす。たとえばナノポーラスアルミノシリケートは、石油化学でのリフォーミングに使われて燃料や化成品を生み出す。研究者らは、反応剤分子をナノサイズのゼオライトや別の多孔性材料に閉じ込めると触媒反応の効率が向上することを知っている。ただしこれらの材料の複雑さのために、反応速度論と物質移動現象を区別することが難しくシステム全体の基本的な理解は限定的だった。その中これらを回避するモデル触媒に詣でることになった[1]。材料は直径100 nmの固体シリカからなり、直径5 nmの白金粒子で修飾されている。殻となる部分は直径80120 nmの多孔性シリカで覆われている。この触媒と蛍光顕微鏡を使って数千の分子の散乱と個別の反応が追跡された。試した反応では、蛍光発光しない分子が白金粒子上で酸化されて強い蛍光を示す生成物を与える。多孔性触媒とそうでない触媒とを比較したところ、ナノサイズの閉じ込めが、分子の移動、吸着、脱着の速度をわずかに低下させるものの、7乗のオーダーで反応速度を向上させ、大台に達していた。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 10.

DOI: 10.1038/s41929-017-0021-1

18.2.19

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合成に使われる触媒は

 均一系と不均一系に分類される。この両者の長所だけを併せ持った触媒はほとんどない。たとえば電気化学で利用される不均一系触媒は、効果的に基質にバインドし電子移動によって触媒反応を媒介する。ただし徘徊はしないものの、バインディングや活性部位の詳細を特定することが難しくそれらの構造はしばしば変化する。一方金属有機分子は、均一系触媒としてその詳細が研究されていて、触媒性能を合成によって調製できるが、電解触媒として使うと電極から触媒を通って反応剤分子に電子を段階的に移動させることは、熱力学的に不利である。この課題を回避するために、研究者らはO-フェニレンジアミン誘導体にグラファイト材料で使われるO-キノリン部位を縮合させた。強い共役ピラジンによってグラファイトで電極に触媒分子が連結された。このグラファイト連結触媒は、燃料電池の反応を媒介しCO2COに変換、不均一系触媒と同様な電子移動特性を示した。また均一系触媒のような調整できる柔軟性も保持している。近日公開された不均一・均一触媒である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 10.

DOI: 10.1021/jacs.7b10723

18.2.18

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貴金属は

 触媒やエレクトロニクスを含む多くの分野で利用されている一方で、溶解性を示す貴金属塩の作成には厳しい条件や基金も必要である。たとえば塩化物をつくる場合には、金属を濃硝酸と塩酸との混合物である王水と反応させる。それに対して今回より安全な方法が開発された[1]。混合した金属粉末、ペレット、あるいはワイヤをオキソンとして知られているカリウムパーオキシモノスルフェートと塩化カリウムや塩化アンモニウムなどと混ぜる。ついで混合物を1 cm幅のジルコニアボールの入ったジルコニア瓶に入れてそれに室温で90分間かなり激しい機械的な振動を与える。あ〜しんどうの後、金属ハロゲン化物がほぼ定量的に得られる。それらを水に溶かして再結晶し、たとえばK2PdCl4を単離する。さらに乾燥した混合物に配位子を入れてさらに30分かき回すと、様々なAuPd錯体も得られて、鈴木—宮浦カップリング反応に使われた。しかも廃Pd触媒を出発化合物としても利用できる。機械的振動、機構は現状奇怪なり。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 8.

DOI: 10.1002/anie.201712602

18.2.17

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ジメチルカルシウム

 単純な化合物の響きだけども、60年前に報告されて以降、誰も際限なく再現できていない。その中今回、メチルリチウムとビス(トリメチルシリル)アミドとのメタセシス反応を経由した合成が報告された[1]。メチルカルシウム化合物はC-C結合形成の新しい触媒を導きうる。CaMe2をつくる最も難しい点は、適切な出発化合物を選択する点である。ジメチル水銀がよいが毒性の高さが課題である。代わってメチルリチウムに注目。ただし市販品のそれは塩化リチウムが混じっていて、これを分けることができない。そこで塩化物イオンを分離するために、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドをMeLi溶液に加えて塩化カリウムを沈澱させた。得られたジメチルカルシウムは様々な誘導体化に利用されている。たとえば、それをヨウ化カルシウムと反応させてGrignard反応剤の重たいバージョンを、また嵩高い配位子との反応で錯体も合成されている。CaMe2の合成法がわかるしうむだった。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.7b12984

18.2.16

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世界中の珊瑚礁が

 乱獲、栄養物の流出、気候変動、水質の酸性化のような顕在化している脅威にさらされている。それに加えて、今回廃プラスチックがリストに加えられた[1]。研究者らは、毎年、48百から127百万トンのプラスチックが大洋に流出していることに警鐘をならしている。サンゴの疾病とプラスチックの関連性は驚くべきことで、珊瑚に壊死細胞があるかどうかを含むサインが調べられた。また珊瑚は、直径50 mmあるいはそれより大きなプラスチックと接触しているかも調べられた。その結果、多くの珊瑚が、釣り糸やレジ袋で覆われていた。ただ疾病との関連についての機構は確立できてはいないものの、プラスチックは病原体を運びうる。またプラスチックに包まれた珊瑚にはストレスがかかり、感染に対する抵抗力も低下する。海洋プラスチック微生物やそのエコシステムへの効果に関するさらなる研究の扉が開かれている。珊瑚はプラスチックと暮らすのは難である。珊瑚、今後も調査が行われる、参考までに。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 29, p. 7.

DOI:10.1126/science.aar3320

18.2.15

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副作用を

 最小限に抑えて治療効果を最適化するために、細胞組織に直接医薬品を到達させる、標的ドラッグデリバリー開発が必要であった。その中最新のシステムが従来の系に比べて最も論理的であるかもしれない。すなわち高分子ヒドロゲルに貯蔵された医薬品はブーリアン型の論理的化学ゲートが開いた時に限って放出される[1]。ゲートは、細胞組織内で選択的に存在する特別な酵素や還元剤のような、それを活性化するための設計された環境信号の正確な組合せと遭遇した時に限って開かれる。システムはモジュール式で刺激に対して繊細な異なるゲートをヒドロゲルに組込むことができて体内の異なる部位に医薬品を届けることが出来る。ブーリアン型ゲートを持つヒドロゲルは、高腫瘍抗生物質であるドキソルビシンを、マトリックスメタロプロテアーゼと還元剤の両方が存在する培養液中でのみ、がん細胞へ送達できた。他の培養液では、やばいようで、送達されない。ゲートの芸当である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 9.

DOI: 10.1038/nchem.2917

18.2.14

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ワサビノキの種からの

 抽出タンパク質と砂を組合せて、飲料水をろ過する単純な方法が設計された[1]。ワサビノキは赤道地域ではよくある木で、歩く気があると見つかる。ワサビノキの種は、陽電荷を有する水溶性のタンパク質を含み、粒子を引きつけたり、バクテリアを殺したりすることがわかった。ペンシルバニア大学の研究者らはすりつぶした種を水の中にぶら下げて、液体抽出物と砂とを組合せた。砂を直径1 cm高さ5~10 cmのろ過カラムに入れて、カラムの性能の最適化を行った。その結果、ろ過によって、通常の排水よりも10万倍も濃い濃度の大腸菌を含む水から、それを完全に取り除くことができた。研究者らは、家庭や開発途上国のコミュニティで、簡単に利用できて安価な持続的に利用できる、飲料水のためのきれいな水を供給できる系を提供することを目指している。ちなみにワサビノキはワサビが呑気になったわけではない。前者はワサビノキ科、後者はアブラナ科である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.estlett.7b00490

18.2.13

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イングランド南西にあった

 ウラン鉱山が閉鎖されてほぼ90年が経過している。坑夫や処理業者はもはやそこを訪ねることはない。ただし害のある放射性核種を含む鉱物を隠すことはできない。見捨てられた鉱物の中に蓄えられたままか、川や地下水に流れ出したか、研究者らは少しずつではあるものの明らかにしようとしてきた。今回予期していなかった環境ヘルパーが明らかにされた。ヒ素である。シンクロトロンを使ったX線で、鉱山で集められた土のサンプルが分析された。その結果、ウランがヒ素と結合し、水へはほとんど溶解しないmetazeunerite (Cu(UO2)2(AsO4)2•8H2O)を形成していることがわかった。ウランを含む鉱物の存在がこれまで観測されていなかったことは、ヒ素が環境へウランが流出するのを制御していたことを示している。研究はさらにmetatorbenite (Cu(UOs2)2(PO4)2(H2O)にも注目し、これらが固溶体を形成していることを提唱している。この発見は、新しい環境モデルも出るように利用されて、ウラン混入を防ぐ戦略を改善することも可能かもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 9.

DOI: 10.1038/s41529-017-0019-9

18.2.12

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充電可能な

 リチウムイオンバッテリーは高い信頼性で広く用いられている。それでも可燃性の有機電解液を使ってイオンを循環させているために、重大な火災の可能性も否定できない。そこで研究者らは固体の電解質を探索してきた。中にはほとんど商業ベースになりそうな成果もあるものの、基本的な点、たとえば電解質の晶子の間のインターフェースである粒界の電流を制御するリチウムイオンの伝導性への影響についての解がでんどうであった。その中分子動力学シミュレーションが行われて、リチウムイオンが多晶子であるLi3OClの中の粒界をどの程度容易にホップするかが研究された[1]。研究者らは粒界がイオン伝導を向上させたり妨げたりするが効果を推測することはできないとしている。ただし結晶接触面ではイオン伝導性が10倍のオーダーで低下している。さらにこの結果を使い、伝導性に関する粒界の効果を、結晶サイズの関数として定量化し、微細構造を作り上げることが、様々な固体電解質材料の性能を最適化できることを提唱している。固体の最適化にお答いします、である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.7b10593

18.2.10

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立春の日

 搾りたてのお酒をいただく機会に恵まれた。月の桂、酒呑童子、富久錦、春鹿、旭日の御酒五種類。二十数名、初顔の方も多い。料理を持ち寄って小さなグラスに注いで、それぞれのまろやかさ、端麗さ、コクの深さを堪能しては会話に浸る。若いわという方もお見えになる。「一番は、春鹿にラベル貼るしかない」などは説明を要する。用意していただいた搾りたてを皆さんで完飲してしまって新たに追加された。それも飲み干した夕方頃にお開きに。大変お世話になりました。とちょっぴり二次会にも参加。京都駅から名古屋経由で戻ることにした。目が覚めると名古屋駅、少々奇妙。車内販売の方に聞く。今閉まったばかりです。しまった次は新横浜。車掌さんに事情を説明。乗り過ごしたということを切符に書いてもらった。「名古屋行き最終があります。ただし新横浜で乗り過ごさなければ」とのこと。ついでに岐阜までの時刻も調べていただいた。0:17着とのこと。後はタクシーに身を託した。

18.2.10

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セルロースは

 β-1,4位でグルコースが連結した線でつくられた生体ポリマーである。いわばグルコースのフルコースである。それはバクテリアによってつくられる植物やバイオフィルムに機械的な強さを付与している。それに関して今回バクテリアによってつくられたセルロースは化学的に修飾されたバージョンであることが報告された[1]。固体NMRスペクトルによってセルロース材料が分析されて、それがホスホエタノールアミン基を、繰返しのユニットのグルコース環のC6位に有していることがわかった。HClによる加水分解では、この修飾部位が分解するために、グルコース、グルコース6-ホスフェートとエタノールアミンしか与えていなかった。研究者らはさらに修飾の遺伝子も同定し、BcsGとして知られているタンパク質が酵素として作用、ホスホエタノールアミンを作り、同じクラスター内では別の二つのタンパク質が役割を担っていることを提唱している。これを行うことができない突然変異バクテリアを使った結果、修飾されたセルロースには大腸菌バクテリアが必要で、それによって正しい骨格のバイオフィルムが形成される。バイオフィルムの販売もあるかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aao4096

18.2.9

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デジタル化された

 化学技術を使えば化学者でなくても必要な分子を合成できる、そんな概念が提唱されている[1]。この考えを実証するために3-Dプリンターでつくられた複数のコンパートメントをとりつけたポリプロピレン反応容器が設計されて筋弛緩薬であるバクロフェンが合成された。この特別な反応容器は、三種類の反応、液・液抽出、濃縮、ろ過をすることができて、白色固体としてバクロフェン塩酸塩を与える。全体の過程は、プラットフォームに独自のコードで表現されて、だれでも反応容器をプリントできて、反応を繰返すことができる。開発者のCroninは苦労人ながら、複雑な反応系でも高い再現性を確保したいと考えた。彼によれば「有機化学者は創造性豊かな個々人であるのになぜ同じ分子を何度も何度もつくる、とりこになるのか。違った時間の使い方もあるはずである」らしい。さらに彼は大スケール製造を目指さずに、小スケールのカスタムメイドな応用を目指しており、再現性ある化学合成、検証や品質制御をクラウドソースする人に提供したいとしている。デジタルから出たる技術である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aao3466

18.2.8

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DNAロボットアームが

 開発された[1]。自己集合し事前に決められた形になったDNAの二重らせんからなるDNA折り紙構造がポイントである。55 nm幅のDNA折り紙プラットフォームと頑丈な25 nmの長さのDNAヘリックスの束でアームがつくられている。アームの片方の端は一重らせんDNAの柔軟なヒンジによってプラットフォームに連結している。プラットフォームはまた複数の一重らせんDNAかんぬきがあり、スイングするのに合わせてアームの別の端をつかんだり保持したりできる。研究者らはこのロボットアームを金ナノロッドに搭載した。DNAは電荷を有する分子であるために、素子のまわりにある四つの電極の間の電圧を変化させてアームの操作ができる。これによって、ナノスケールの動きで巨視的な制御もできて、アームのかんぬきを外したり、動かしたり、違った場所でかんぬきをかけることもできた。しかもこれまでのDNAを基にしたカーゴと比較してその動きは速くミリ秒でスイッチできる。かんぬき操作で息抜きもできるかな。

[1] Chemical & Engineering News, 20178 January 22, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aao4284

18.2.7

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弾道ミサイルの脅威が

 ハワイに来た、直ちに避難所を探せ、これは訓練ではない。というけたたましいモバイルからの通告に、ハワイ大学の大学院生は、ルームメイトと話し合った結果、大学に向かうことにした[1]。そこには放射能隔離シェルターがあったはずである。車で移動中、赤信号を無視して走る車、アラートに気づかず普段の様に芝生で運動する人、芝刈りをする人。大学のシェルターの前には、50人ほどがいたが鍵がかかったままだった。そのシェルターは冷戦時代に造られたもので完成しておらず、土間のままで、昨年取り壊しが決まっていた。別の学生さんは、ミサイルが飛んでくる時に、ガールフレンドとワッフルを食べていた。家にはシェルターなし、危機はしれた〜る訳ではなし。としばらくしてアラートが継続しないため、間違いではないかと疑い初めて一件落着。ただ実際に発射されたとしたら12分ほどで着弾。どこかに移動するには短すぎる時間である。何れにしても今回の大失敗は核被害やミサイル着弾に対して、何の準備もしていないことを示していた。それでも、ミサイルに見入る日が来ませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 22, p. 5.

18.2.6

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単一の白金原子を

 銅の表面にちりばめるとエネルギー効率や耐久性の高い二元金属触媒が出来て、これがC-H結合活性化を含む反応を、毎回、媒介できる[1]C-H結合の開裂はメタンや別のアルカンのような反応性の低い化合物を、より価値の高い燃料や化成品に変換する最初のステップである。工業的には同様のプロセスは稼働しているがエネルギー大量消費型である。それに対して白金を使うとC-H活性化の温度を低下させる劇的な効果はあるが高価である。またこのプラチナや安価なニッケルでは、炭素のフィルムが発生し、これが触媒表面を汚染(コーキング)し、触媒部位を塞いでしまう。銅ではこの過程は起こりにくいものの触媒としての活性も弱い。それに対して今回つくられた二元金属触媒は、コーキングを防ぎ、反応次第では100 °C以下でC-H結合を活性化できる。出来うる限り広く銅表面に白金をちりばめることで、コスト抑制も見越すことができる。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 15, p. 8.

DOI: 10.1038/nchem.2915

18.2.5

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特徴的な色である

 ブルーデニムを示す染料であるインジゴ、環境調和の点で二つの課題がある。一つは、その合成にはアニリン、ホルムアルデヒド、強塩基を含む有害な化合物が使われる。第二にインジゴは水には溶けない。そのため染料として使う場合には、還元剤と処理する必要がある。その中研究者らは、微生物発酵法を用いて、インジゴを使うのに、より持続可能なプロセスを開発した[1]。大腸菌のバクテリアが遺伝子工学的に操作されて、それがトリプトファンからインジゴ前駆体であるインドキシルを製造するようにした。さらにバクテリアを操作し、酵素であるグリコシルトランスフェラーゼを製造できるようにした。その酵素はグルコースを保護基としてインドキシルに付加させて、それを安定化させることができる。グリコシル化されたインジカンは、長時間保存が可能だった。染料が必要な時には、グルコース部位がβ-グリコシダーゼで除去されて、インドキシルが再び発生し、これが素早く二量化し還元型インジゴを与えて、それは綿の繊維の上に直接結晶化できる。さらに研究者らは、綿織物にβ-グリコシダーゼ溶液に浸したインジカン溶液をスプレーし、ついで染料を空気中で酸化して織物を染めていた。以後のインジゴ染めの方法です、隣人も、事後承諾を。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 15, p. 9.

DOI:10.1038/nchembio.2552

18.2.4

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節分

 「鬼はそと、福はうち」と言いながら豆まきをする日だと教わった。小学生の頃、すでに恥ずかしさを感じながらまいた覚えがある。「参ったなあ」と思った記憶はないものの、豆まきの後「年の数+ひとつ」しか豆を食べることができないので大人を少し羨ましく思ったはずである。いつの年だったか、節分のしばらく前の日かにお寿司屋さんの表に「節分の日にはお寿司を」みたいなポスターが掲示されていた。豆まきや豆を食べることにも何も言わない寡黙な父が「あれは寿司屋の宣伝や、昔はなかった」と言った。生粋の大阪人である父。それから40年ほど経った今日、広い地域の行事になっている。恵方巻、ええ方角を向いて巻寿司を無言で食べる。スーパーやコンビニでもたくさんの恵方巻が並ぶ。お寿司だけかと思ったら、牛肉カルビ巻も、でも重みもある。三本セットや大きめサイズの販売もお決めになっている。中には数千円の品。で今年の恵方、なななんとう南南東とのこと。すすしい顔して食すべし。

18.2.3

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純粋な水を

 -5 °C以下に過冷すると二種類の異なる段階を経て凍る[1]。華麗な世界である。およそ-20 °Cで氷結晶の薄いネットワークが形成する。この層変化によって放出されるエネルギーが残った液体が凍るのを-30 °C程度まで抑える。これらの段階は、hypercooling(超冷却)とよばれる過程で、液体が十分に冷たいと、最初の段階で出た過剰のエネルギーが凍った固体によって吸収される。超冷却な水に関する研究は、1997年の書籍に「水の超冷却温度は-160 °Cである」と記載されていたために、ほとんど行われていなかった。その温度は、水が瞬時に核をつくり凍る温度よりもかなり低く、計算結果を試験することはできなかった。今回研究者らは、水の熱容量や凍結のエンタルピーに関する、より正確なデータを使って超冷却点が再計算された。その結果-64 °Cだった。すでに複数の研究者らは、水をこの温度より低い温度まで過冷却できることを明らかにしていて、超冷却温度も実験的に到達できそうな値である。超冷却、朝礼でも紹介を。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 15, p. 7.

DOI: 10.1021/acs.jpclett.7b03068

18.2.2

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多色の

 イメージやテキストが数ヶ月保持される書換え可能な紙が報告された[1]。これまで報告されている技術では、無色の染料を含む含浸紙を使い、インクジェットプリンターで水をスプレーし、プレーを活性化する方式や、紫外線照射で絵が表れる方式だった。ただしこれらのシステムでは、多彩な色のイメージを出すのが難しく、印刷されたテキストは二、三日しかもたなかった。今回水をもとにしたインクと安価な材料を使ってこの課題が解決されて少なくとも6ヶ月の間、安定なまま金属配位子錯体が保持されている。配位子はターピリジン分子で三つの窒素原子を含み、鉄、亜鉛、コバルトのような金属に配位する。ターピリジンは、フルオレンとトリフェニルアミン基も有し光学特性がチューニングされる。ポリ(エチレングリコール)共重合体とターピリジン分子との薄膜が紙にコートされている。異なる金属イオンの水溶液を使って、フリーハンドで描くか、インクジェットプリンターを使って描くと、長い間持続する多彩な色の錯体ができて、紙に絵が浮き上がる。さらに亜鉛をベースにしたインクを使った、通常は見えないけれども紫外光照射下では見えるバーコードパターンもつくられた。ただし絵を消す時にはフッ化物イオンの溶液を使うために、実用化の過程での課題も含まれている。書換え可能紙の開発、活気がええかのう。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 January 15, p. 7.

DOI: 10.1038/s41467-017-02452-w

18.2.1

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