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2018年6月

先生は

 ゴルフをされるのか。外国人訪問者からの突然の質問。居室を飾るゴルフコースの写真がその質問をさせたらしい。その一枚の写真を指差して、先頭を切ってかどうかはともかく、あのセント・アンドリュースのコースの横でゴルフをやったことがあるとのことである。写真のコースほどのアンジュレーションとラフの深さではなかった。先生はセント・アンドリュース大学の客員教授でもある。それから数日後その大学の要職に就いておられた先生と会った。セント・アンドリュース・リンクス、六つのゴルフ場が市内にあって、全てパブリックである。大学のすぐそばでもある。そのうちの一つオールドコースで数年に一度全英オープンが開催される。そのコースを含めて、ここに住む市民の場合18歳以下はゴルフのプレー代金は要らない。18歳を越えると18ポンド支払うと1年間自由にプレーができる。一方で外国人のプレー代は別体系である。紳士のスポーツ、信じられない公共サービスや。

18.6.30

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トリニトロトルエン(TNT)は

 100年以上、武器弾薬として利用されているが、その毒性のために軍は代替物を探している。融けて不安定になる爆発物は室温では固体である。ただしある種の温度幅では融けて武器弾薬になり得る。教科書ではその場合の融点は70–120 °Cである必要があると記されているが、実際にはより制限があり、軽減されない。たとえ砂漠の貯蔵庫に保管されても融けないものでなくてはならない。でも水蒸気で融かすことができる様に、融点は100 °C以下である。さらに運搬中の爆発を避けるために、分解温度は融点よりかなり高くなくてはならない。例えばTNTは融点85 °C、分解点195 °Cである。その様な背景の中研究者らは、TNT代替物として、ビス(1,2,4-オキサジアゾール)ビス(メチレン)二硝酸エステルを設計した[1]。当初の合成経路では収率4%だったのがその後44%に改善されて25 gを手にすることができた。融点、分解点も妥当であり、計算科学は、TNTと比べてよりよく作用することを示しているが、キログラムスケールでの合成が必要である。融点条件、雨天でも同じである、多分。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 11, p. 6.

DOI:10.1021/acs.oprd.8b00076

18.6.29

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火星探査機キュリオシティは

 火星で泥石を採取した。それを860 °Cまで加熱して発生したガスが、ガスクロと質量分析で解析された。そこにはチオフェン、メチルチオフェン、メタンチールを含む分子がごちゃ混ぜに存在していた。またこれらはおそらく堆積物の中の、より大きな高分子のフラグメントである。これらの析出物は、地球の堆積岩で見られる化石化した有機物である油母の如くである。火星の油母に変換されたもとの有機化合物は、地質学的活動、隕石、あるいは生命体由来である可能性があるが、キュリオシティに答えを教えて欲しいって言っても出てこない。そこで研究者らは、毎年100から300トンの有機分子が星間塵粒子として火星に到達しているためにそれ由来であると類推している。一方で火星のメタンについては、地質学的活動あるいは、メタン生産の有機体によるものではないかとされていて、その量が季節によって変動することから、クラスレートと呼ばれる氷晶に暮らすメタンが火星の夏には、より多く出ている可能性もある。火星の研究で稼いだりはしないはずだけど、いいねえ。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 11, p. 4.

DOI: 10.1126/ science.aas9185

18.6.28

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金髪女性は

 より多くの楽しみがあると言われている。これはある種の化学によるものである。最も熱い髪の毛の色彩は速やかにカシス色になり得る。その中研究者らは、ピリッと辛いベリーの肌から抽出したアントシアニンでつくられた天然毛髪染料を開発した。肌は英国ではよく見かけるカシスの生産における廃棄物、いわばカシスのカスとして出てくる。水をもとにしたプロセスと特別なフィルターを使うことによって、アントシアニンを集めることができた。もしpHがおよそ4の場合、染料は髪の毛を赤に染める。もしpH6だったら、青色になる。アントシアニンと天然の黄色の染料を組合せると一連のブラウンになる。複数回のシャンプーを行っても色は半永久的で落ちない。研究者らは、カシス染料はより安全で環境調和型であり、石油由来の染料の代替物として利用可能である、このカシスをもとにした毛髪染料は、この夏スピンオフ会社であるKeracolから出荷予定であり、Dr. Craftブランドで、按配よく、販売される予定である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.jafc.8b01044

18.6.27

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白トリュフは

 珍味の中で最も高価で、昨シーズンは1 kg当たり7000ドルだったため、偽物を作る標的になった。その中、白トリュフの鍵となる臭い分子であるビス(メチルアミノ)メタンを見分ける新しい方法が提唱された[1]。天然のトリュフから得たビス(メチルアミノ)メタンは炭素-12と炭素-13の比が、キノコが成長する環境のそれを反映している。一方で合成品の比は、石油化学あるいは植物をもとにした化学原料の比が反映されている。そこでイタリアメッシーナ大学の研究者らは同位体比質量分析によって、天然由来と人工のそれの12C13Cの比を決定した。ついでオリーブオイル、パスタやチーズを含むトリュフの香りを取りうる市販の食品の同位体比も試験した。質の低いトリュフやトリュフアロマを含むと記されたサンプルは人工由来の比であり、白トリュフと記されたサンプルは天然のキノコ由来だった。これは揺らいだりはしないだろう。白トリュフ、白鳥(岐阜県)にもあるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.analchem.8b00386

18.6.26

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ピクニックやビーチへの

 旅行は天候に左右される一方で、超分子化学者は天候を気にする必要はなかった。それに対して、有機溶媒中のわずかな水分が自己組織化構造を変化させることが報告された[1]。研究者らは、ビフェニルテトラカルボキシアミドの有機溶媒中での自己組織化によって形成されるヘリカル超分子構造の予測できない変化を観測し、それを引き起こしているのは湿気から失敬した、ほんの僅かな水分であることを同定した。自己組織化によって三種類のヘリックスが形成される。水のないタイプ、湿度が低いタイプでここでは水一つに対して二分子、そしてより高い湿気の場合には二分子の水と一分子の比であった。湿気はまた以前の自己組織化で説明ができなかった現象の説明にも適用できる。有機溶媒の疎水性は水分子がお互い水素結合するのを妨げるために、水は自己組織化を取り持つ。ただし鳥もちのようではなくて、水素結合出来ない分、自己組織化超分子構造に加わることになっている。わずか一分子でさえも水は強い水素結合形成できるためにシステム全体を変化させることができる。見辛かった水の役割が明らかになりつつある。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 7.

DOI: 10.1038/s41586-018-0169-0

18.6.24

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大学院教育プログラムは

 研究責任者(PI)が欲するものではなくて、学生にとって必要なものを中心にすべきであるということが報告された[1]。現在のシステムは研究者向けであり、学生は研究に、毎週、邁進しなくてはならない。ただしこれはある種の雇用主や学生、特に研究者にならない学生には上手く機能していない。以前識者らはこの組替えを提唱したもののほとんど変化がなかった。教育方法協会が、学生を指導し導くことを含めた訓練や研究者以外のキャリアに備えることに特別な期待を寄せていることから、米国科学振興協会の前CEOはこの状況は違ってくるだろうと指摘している。報告では大学院生は科学リテラシーや倫理の点で幅広い教育を受け、大学は学生の成果や多様性について高い透明性を保つことを提唱している。これにはPIは学生を支援していることを示す必要がある。また大学はよりよい指導や導きの成果を昇任やテニュアシステムで考慮すべきである。この報告に対してACS会長も化学系大学院教育のリフォームを支持し、この報告を読むことを勧めている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 7.

National Academies of Science, Engineering & Medicineからの報告であるが、記載元は、一切、記されていなかった。

18.6.24

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サッカースタジアムを

 埋め尽くしたティーンエイジャー。サッカーの試合はない、なんでもええじゃ〜でもない。大学の入学試験会場だった。2日か3日そこで試験に解答。相当な競争率だったけど希望のメキシコ国立自治大学に入学。学部四年、修士課程二年を終えて、はてその後はと考えた。北は米国なるも、その国の人々の自分の国への印象は様々で、一つ飛ばして遥か彼方のカナダ、カルガリーで博士課程に進学することにした。軽々かどうかはともかく学位取得。カナダの別の大学で博士研究員として働き、今の大学に奉職した。それから18年、環状テルル化合物の合成研究や理論研究を展開してきた。博士研究員の頃に身につけた計算化学の力が発揮されてラボでは様々な計算ができるようにシステムが組み立てられている。カルガリー時代に出会ったスリランカ出身でパプア・ニューギニアでも過ごした女性が同じ大学に赴任してきて家族ができた。南に位置する国の大統領についてお聞きした。数年前TVでは、政権に関する面白いドラマがあったけど、それよりも今後ど〜なるどで、リアルな世界の注目度の方が高いとのことだった。

18.6.23

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熱硬化性樹脂は

 コーティングや自動車部品をつくるのに利用されている。ただしそれらはリサイクルすることができない。それに対して今回、展性のある熱硬化性樹脂が開発されて、リサイクルした後も、もとの部品と同様の強さで利用できる[]。研究者らは、ホウ素と酸素が交互に六員環内に位置するボロキシンを含むポリマーを使った。ジボロン酸モノマーの溶液を12時間加熱し、堅くて強いボロキシンがもとになった有機溶媒に溶けない熱硬化性樹脂を合成した。それに圧力と熱をかけると形を別の様にすることができた。ポリマーネットワークの別の部分を開裂させて別のボロン酸基と再結合できるボロキシン環の天性に、展性は由来している。研究者らは、熱硬化樹脂を繰り返しカットし、鋳型の中で熱しながら圧力をかけて新しいサンプルを、力学統制を失わずに作成することにも成功している。加えて沸騰水の中にプラスチックを溶かし、冷やすと出発のモノマーが回収できた。ボロキシンは、軋んでももとに戻るらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.8b03257

18.6.22

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冥王星に向けて

 2015年に飛び立った宇宙船が撮影した写真と集めたデータは、小さな惑星の広大な氷の平原、そびえ立つ山、希薄な大気を示していた。研究者らは、メタンの氷の粒の砂丘が、Sputnik Planitiaと呼ばれるハートの形をした窒素の氷の平原の北西に数千キロ平方メートルに渡って広がっていることを指摘している。宇宙船が冥王星の上空12500 kmで砂丘を撮影することは比較的簡単である一方でどのようにしてそれが出来上がったのかを明らかにすることは難しい。スペクトルデータは砂丘がメタンであること、大気圧は地球のわずか0.001%であること、10 m/secの強風が吹くこと、これによって巨大な木の枝も揺れ動くことを、示唆している。コンピューターによる解析によって、この風がメタン氷の粒を空に舞い上げ、それが活力を失うと粒子は大地に広がる可能性、あるいは山のような氷河で太陽の光の下、いっそのこと、窒素氷が昇華してそれに伴い粒が舞い上がる可能性も提唱されている。でも研究者らは舞い上がっていないと思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aao2975

18.6.21

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アヘン農業は

 危険なビジネスであり違法ドラッグ販売や穀物の不作によって鍵となる材料を失う可能性もあるために、鎮静剤をアヘンに依存しない確かな合成方法を開発するために酵母を遺伝子改変することが望まれている。これらの鎮静剤の一つがテバインであり、それはコデインやモルヒネを導く中間体であり、鎮痛剤であるオキシコドンやゲーム中毒症治療薬であるナルトレキソンの出発化合物でもある。三年前に研究者らはアヘンによりテバイン合成の全ての経路を明らかにし、最終段階は(7S)-サルタリジノール7-O-アセテートのアリル転位であると決定した。ただしこの転位が起こるためにはpH 8-9でなくてはならない。その中今回この反応を触媒するアヘンの中の酵素が同定されて、テバイン合成酵素と名付けられた[1]。ついで酵母が遺伝子改変された。条件最適化は行われていないものの、改変された微生物は24倍のテバインを導くことができた。さらに生合成経路で関わる遺伝子が明らかにされると、もっと効率が上がることが期待されている。なんて言えばいいんでしょう、テバイン合成経路。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 5.

DOI:10.1038/s41589-018-0059-7

18.6.20

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欧州委員会は

 ヨーロッパの海岸や海でしばしば見られる10種類の使い捨てプラスチック製品を禁止あるいは制限する新しい法律をまとめた[1]。ここで対象となる製品には、綿棒のシャフト、刃物、お皿、飲み物のかき混ぜ棒、風船の棒が挙げられている。これらはより持続可能な材料でつくられる必要がある。使い捨ての飲料容器は、キャップがついた状態では許可される。他の例えばスナック菓子のバッグやおしぼりのような製品は自覚を促し清掃に努めるとされている。釣り具とともに制限される製品70%は海洋のゴミになるものである。この法律のもと、製造業者は、廃棄物の管理や清掃のコストをカバーし、ゴミについての自覚促進をしなくてはいけない。一方で汚染が軽減される代替物の開発にはインセンティブが与えられる予定である。一方で製造業者は使い捨てプラスチックよりも、ゴミになった時の取り扱いのインフラがフラフラしている点が課題であって、今回の禁止は問題の解決にはならないとしている。とは言え欧州環境局はこれを歓迎している。「使い捨て辛いっす」って言うキャンペーンどうでしょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 4, p. 4.

18.6.19

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電気化学セルで

 アンモニアを製造する場合には、窒素原子が水にほとんど解けないことと、水溶液電解液の中のプロトンが簡単に水素に還元されてしまうために効率がかなり低い。その中研究者らは水性電解液をイオン液体に置き換えた実験を行っていた。以前プロトンを供与しないフッ素化イオン液体を使ったところ、水素発生が抑えられて窒素の溶解性も向上した。ただしイオン液体の高い粘度が全体の反応速度を低下させた。それに対してここでは非プロトン性フッ素化溶媒とイオン液体をブレンドさせたところ、これらが連動して、電解液の粘度は低下し特性は保持されていた[1]。さらにナノ構造を使って、酸化鉄ベースの触媒の表面積を拡大させた。これによって反応速度は10倍になった。新しいシステムでは、電子が32%効率でアンモニアへの変換を達成していて、水性電解液では10%という以前の値よりもかなり改善されていた。これによってエネルギー負荷の大きいHaber-Bosch法に置き換わるプロセスが誕生するかもしれない。負荷の軽減、不可思議ではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 28, p. 9.

DOI: 10.1021/acsenergylett.8b00487

18.6.18

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消化管の疾病を

 果敢に医師が診断する場合には侵襲的方法に頼る必要がある。この課題を回避するために、スナップ写真を撮影したり、温度やpHあるいはガスを追跡できる電子錠剤が開発されてきた。その中学際的な分野の研究者らが集いバイオセンシングカプセルを開発した[1]。これは一般的な測定やマッピングよりも優れており特定の分子を検出することができる。すなわち開発された摂取可能なマイクロバイオ電子デバイス(IMBeD)では、改変された生物発光バクテリアが使われ、ヘム分子が存在すると発光する。これによって胃腸の中での出血を診断することを可能にする。小さなボタン電池で起動し、発光チップは放出された光を検出し、マイクロプロセッサーが光を電気信号に変換する。安定なアンテナが信号をスマホやラップトップにデータを送信する。実際に錠剤をブタに飲ませて、胃腸内に出血している場合と、していない場合の信号を比較したところ、正しく血液を検出できていた。次の段階はこのカプセルの縮小化で、成功すれば祝勝会もあり得る。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 28, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aas9315

18.6.17

 

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単一のアルカン

 鏡像異性体を導く不斉水素化反応は、医薬品、香料、ファインケミカル合成の一助になる。ただしこの変換反応には、湿気に対して敏感で高価な触媒が必要である。より簡便で、より安価で環境調和型の反応が探索されている中、コバルト触媒が巧みにつくられた。プリンストン大学とメルクの研究者らは、一電子過程に縁のある亜鉛を使い、地球上に豊富なCo(II)Co(I)に還元、この化学種は光学活性ホスフィンの配位に好ましく、得られた錯体はエナミドを不斉水素化できる。反応は環境調和型溶媒であるメタノール中で進行し、そこでは水素も極性基を有する医薬品中間体も溶解している。研究者らはこの変換反応を使って、てんかん治療薬であるレベチラセタム(ケプラ)をエナミド前駆体から合成している。0.08 mol%の触媒充填量で200 gスケールで反応が行われた結果、期待の異性体を97%収率、98.2%鏡像体過剰率で得ている。コバルトで頑張ると。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 28, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aar6117

18.6.16

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ポリマー太陽電池は

 透明、軽量、柔軟で安いもののその効率が低かった。その中今回太陽エネルギーの14.2%を電流に変換できるポリマーが報告された[1]。これは現在の最高効率の11.5%を上回るため、出回るかもしれないが安定性は十分ではない。このタイプの太陽電池は二種類の整合性のある分子を必要とする。一つは光を吸収して励起電子をつくり、正に帯電したホールと呼ばれる層になる分子である。もう一つは低分子で電子を一つ目の分子から引き出して電流発生を助ける。ただしドナーの光吸収を改善することは、その電子特性がアクセプターとはうまくペアにならないことを意味するか、二つの分子が相互作用できるのに十分接近できないことになる。今年始め研究者らはIT-4Fと呼ばれるフッ素原子を組み込んだ受容体分子を調製して電流を増加させていた[2]。ただし通常のポリマーとのペアがイマイチだった。そこで研究者らはフッ素原子をドナーポリマーにも組込みさらに10炭素のアルキル鎖も連結してIT-14Fとの物理的な相互作用を向上させた。これで好調が持続しますように

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 28, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.8b02695

[2] DOI:10.1002/adma.201707170

18.6.15

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北グリーンランドの

 氷床コアから得られた423メートルの長さの氷床コアの詳細が、高分解能誘導結合プラズマ質量分析装置を使って調べられた[1]。紀元前1100年から西暦800年までのほとんど毎年の氷床の中に析出している鉛が、たんまりあるかあんまりないかである。鉛汚染は、銀の製造と関連し、当時の人たちの経済的な強さとも関わっている。その結果、鉛レベルはローマ帝国の最後の年あたりに急激に低下していて、これは偶然にも戦争の時期と合致している。その結果、鉛-銀の精錬の量が低下している。逆にローマ王が強かった時には鉛の量は4倍だった。この結論に対して、鉛は氷の裂けた部分から浸透していくことも可能であるために同意できないという研究者もいる。それでも今回の著者は、自分たちの結果と1990年代の論文の記載が同様であることから強気でもあり、さらに古代の社会での火山噴火のような気候と社会の関連にも注目したいと述べている。氷床からの成果で、いずれは表彰かな。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 28, p. 6.

DOI: 10.1073/pnas.1721818115

18.6.14

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三つの異なる原子が

 単結合で連結したトリオが反対向きに位置している。その中心原子が曲がって結合角が反転することで、立体異性体のカテゴリーに新しいものが50年来初めて加えられた[1]。もし三つのトリオが独立した分子の場合、二つの異性体は、結合の単純な回転でもとの配座に戻り単離することはできない。一方で大きな分子の真ん中に位置すると状況が違っている。ポリフィリンの中で、ホウ素-酸素-ホウ素が華僑していて佳境である。とりわけこの立体異性を命名しなくてはいけない。そこで研究者らはギリシャ語の「堅くて曲がらない」という意味である言葉を使ってakamptisomerと名づけた。化合物の予測できる八つのakamptisomerenantiomerのうち四つが合成された。DFT計算の結果は他の四つの安定性は低いことを示していた。今回発見された分子の性状はすでに知られていたけれども、カテゴライズすることで、化合物が重要な新しい特性を持つかどうかを解明する道筋もできる。Akamptisomerに感服です。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 28, p. 6.

DOI:10.1038/s41557-018-0043-6

18.6.13

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電子タバコの需要が拡大する中

 11種類の電子タバコを分析し、ニコチンとプロトン化ニコチンの量が測定された[1]。これまでの方法では、溶媒を加える必要があったけれど、これでは二種類のニコチンの平衡が移動してしまっていた。それに対して核磁気共鳴装置を使った方法が適用された。その結果、ある会社の電子タバコには、プロトン化ニコチンが、多分二個以上で最も多くて、逆にフリーベース形は最も少なかった。後者は刺激が強すぎて、喉の奥を引っ掻くような感覚を与える。それに対してプロトン化されたニコチンではそれがなくて、若者のような未経験者にも受け入れられ易い。これで世界中で10億人とも言われるスモーカーが、タバコ依存から抜け出る一助となり、同時に若者がタバコを習慣にしないようにと、ある企業はメッセージをC&E Newsに送ったが、すでに多くのティーンエイジャーがタバコを習慣としている。例えばある病院で治療を施した3人の若者は、ニコチン離脱を示し、その人たちの頭は、ニコチンを欲している。ニコチンにコチンとなれますように。

[1] Chemical & Engineering News 2018 May 28, p. 4

DOI: 10.1021/acs. chemrestox.8b00097

18.6.12

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1886年以来

 アルミニウムは、溶融した氷晶石(ヘキサフルオロアルミナート)の中の酸化アルミニウムを還元する電解技術によって製造されている[1]。このプロセスでは、炭素リッチなアノードを使うために、それが酸素と反応して二酸化炭素が出るという短所があった。そのためこのプロセスが世に出た頃から、反応しないアノードの探索が行われていた。それでもこれまでにアノードに求められる物理的な安定性、電気伝導性、フッ素や酸素による攻撃に対する抵抗性を満足する材料はなかった。その中アルミニウムメーカーのAlcoaが、2009年以降不活性アノードの試験を行っており、ニッケルフェライトセラミック-金属について発表していた。この成果をもとに複数の会社とカナダ政府機関が、より良いアルミニウム製造法の商業化に145百万ドル投資することになった。世界で第3位のカナダのアルミニウム工業を新しい技術に変換できると、自動車180万台に相当する温室効果ガスが削減できる。アルミニウム製造では、電気分解に必要な電気が課題であった。ただし実際には、今回のプロセスの方がより多くのエネルギーを必要とする。それでも長期的には、エネルギー増加を埋め合わすことができて、しかもCF4C2F6のような温室効果ガス候補も発生しない。新型アノードで、可能度も向上。

[1] Chemical & Engineering News 2018 May 21, p. 13.

18.6.11

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多剤耐性菌の中で

 最も頑丈なのはバイオフィルムを作る。これらのフィルムはバクテリアを保護し、火傷や床擦れのような外傷にへばりつく。現在ある医薬品では、耐性菌に対抗することができないために、実証はされていないものの昔の治療法である精油に活路を見出すことが提唱されている。ただし脂っこい脂を水が基本のバクテリア環境に注入しなくてはならない。その中研究者らは、精油であるカルバクロールを組込んだ交差連結したポリ(オキサノルボルネンイミド)ナノコンポジットを開発した[1]。ちなみにカルバクロールは、オレガノから、俺がのうも抽出できる。このナノコンポジットを使えば、ネズミの細胞の表面に成長したバイオフィルムに、こっそりとオイルを注入できる。数時間後、オイルを満たしたナノコンポジットは、病院で見られる、多剤耐性菌を含む四種類の病原性のグラム陰性、グラム陽性菌を退治することができた。なおナノコンポジットは、バクテリアのエネミーラインに抗菌剤を運搬した後は、グルタチオンやエステラーゼ酵素のような生体分子で分解する。ナノコンポジット、ナノレベルでの梱包だった。

[1] Chemical & Engineering News 2018 May 21, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.8b03575

18.6.10

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再生可能エネルギーが

 温室効果ガスであるCO2をエチレンに変換できる効果的で安定な工業プロセスの開発が行われている。これによってポリエチレンの化学原料として石油に頼る必要もなくなり、CO2放出を工業的に削減することで、苦言もいただくこともなく、汚染の抑制と有用な生成物製造を同時に達成できる。そこで研究者らはこの概念を実現すべく、初期の系として、ガス分散電極で銅触媒を使い、ヒドロキシド水溶液中で気体状のCO2還元を行っていた[1]。ついでこの溶液の濃度を濃くしたところ、選択性が60から70%に向上した。また電極設計の際に、CO2還元条件でも安定なポリテトラフルオロエチレン担持層と、触媒を保護して電流を流すことができるカーボンナノ粒子、グラフェンとの間に銅触媒が組込まれた。その結果、連続稼働を、従来型と比べると15の因数で行うことができて、反応速度も向上、より低い電気化学電圧でも稼働し、エネルギー効率も格段によくなった。改善の余地はあるものの、向上した系で、工業化に一歩近づいた。

[1] Chemical & Engineering News 2018 May 21, p. 8.

DOI:10.1126/science.aas9100

18.6.9

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人の活動で

数世紀でテルル汚染が拡大していると書くだい[1]。金属精錬、石炭燃焼を含む工業からのテルルが、その工業地域だけでなくて、遠いエリアも汚染している。この拡大は、テルルがある場合には毒性を示し、それに対する関心も増大させている。太陽電池のパネルような工業的に利用されるテルルは、銅の精錬の副生成物として得られているがこの効率は十分ではなくて、90%程度のそれは廃棄物として、また大気に放出もされている。カナダの環境と気候変動に関するディビジョンの研究者らはカナダの湖の22箇所の堆積物コアを分析した。テルルの析出は、工場の近くでは、例えば1930年に開業したマニトバの銅亜鉛精錬所では100倍に増加していた。また工場より離れたオンタリオ湖のテルル汚染は、工場ができる前のレベルよりも10倍増加していた。テルルの析出は今後も増え続ける可能性がある。実際世界では、2000年と2010年で5倍になっていた。これやばいかな。

[1] Chemical & Engineering News 2018 May 21, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.est.7b06242

18.6.8

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整形外科手術を行った後の

 様子をリアルタイムでモニターできるシステムがあれば、リハビリでのガイドとしても活用できる。その中今回研究者らはセンサーを開発した[1]。それはひずみと圧とを別々に検出することができる。これは例えば腱修復手術の後の治療の経過観察には重要である。これまでのセンサーでは、それら二つは干渉してしまい、あかんでしょうだった。それを避けるセンサー開発で鍵だったのは材料選択である。研究者らは、既知の生分解性エラストマーから始めて、それらをひねり交差連結させて、センサー応答と生体適合性を最適化させた。デバイスは、ポリ(セバシン酸グリセロール)を圧センサーの誘電層として、また伸縮できる粘着しない層としてつくられて、これによって電極がお互い相対的にスライドしうる。伸縮のセンサーやデバイスは、ポリ(マレイン酸オクタメチレンクエン酸無水物が使われている。生分解性ポリ乳酸の上にマグネシウムを蒸発させて電極がつくられている。研究者らはさらに無線のシステムで、体内からのセンサーデータを取り出すことができるものをつくりたいと考えている。圧センサーも斡旋している。

[1] Chemical & Engineering News 2018 May 21, p. 7.

DOI: 10.1038/s41928-018-0071-7

18.6.7

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ライノウイルスは

 通常の風邪を引き起こし、喘息、慢性閉塞性肺疾患や嚢胞性線維症の兆候を悪化させる。このウイルスに対する認証された処方は今はないが、構わないことはない。その中IMP-1088という低分子が開発された[1]。これはN-ミリストイル転写酵素と呼ばれる人の酵素を抑制し、ライノウイルスの再生産を妨げることができることがわかった。この研究の初期段階では、二つの抑制剤が特定されて、それらが人の酵素の異なる部位を攻撃していた。さらにフラグメントをもとにした医薬品設計を利用して、二つの抑制剤を組合せた構造設計が行われた結果、IMP-1088に辿り着いている。感染した人の細胞ではIMP-1088は、ミリストイル化、ウイルス複製、感染力を、細胞には影響せずに、ブロックできている。しかも化合物は、ライノウイルス株に対してナノモル抗ウイルス活性を示した。高活性を獲得するには、感染から数時間以内に細胞にIMP-1088を注入しなければいけない。この時間が動物や人に適応できるかどうかはわからないものの、人の酵素を標的にする医薬品に対する耐性をウイルスがつくることは難しいだろうと述べられている。細胞内ウイルスを留守にする作戦、ウィル・スミスさんにもお伝えを。

[1] Chemical & Engineering news, 2018 May 21, p. 8.

DOI: 10.1038/s41557-018-0039-2

18.6.6

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トリクロロフルオロメタン

 (CFC-11)は、歴史上最も効果的な環境に関する条約であると賞賛されているモントリオール議定書で、オゾン層を破壊する化合物として、規制がかけられているハロ炭素の一つである。成層圏でこの化合物は、オゾンを切断し、害のある紫外線放射を防ぐ活性な大気シールドを希薄にする。CFC-111980年後半に放出のピークを迎え、2006年以来放出はほとんど0であると報告されてきた。ただしCFC-11の大気中での平均寿命が57年であるため今も232 pptほどの濃度で存在している。さらに研究者らは地球上の12カ所から大気サンプルを集めCFC-11の濃度を測定してきた[1]。その結果CFC-11の濃度は、2002年から2012年の間は2 pptずつ低下していたが、2014年から2016年では1 pptずつの減少に留まっていて、戸惑った。これは現在でもどこかで放出されている可能性を示唆していた。2013年にヒドロクロロフルオロ炭素(HCFCs)の削減が始まったと同時にCFC-11の生産が始まったかもしれない。朝鮮半島でも同様の数値であることから、一つの可能性として中国からの放出ではないかと類推されている。ハロ炭素、経費を払ろたらんと規制も難しいか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 21, p. 6.

DOI:10.1038/s41586-018-0106-2

18.6.5

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フッ化物イオンは

 魅力的な求核剤であるものの、CsFKFは有機溶媒への溶解性が低くて使いにくいものである。その中今回、水素結合ドナー触媒を使って、溶液中で使い勝手の良い求核剤に変身した[1]。研究者らは、最適な水素結合ドナーを探索すべく、計算と実験化学を組合せた手法を用いてキラルビスウレア触媒を特定した。この憂いのない触媒は、溶解していない塩からフッ化物イオンを溶液中にとり出して、βブロモ出発化合物から得られる対象なエピスルホニウムイオン中間体に攻撃させることができる。その結果、ラセミ体混合物であるβ-ブロモスルフィドを、β-フルオロスルフィドの単一鏡像異性体に変換することができた。報告された反応は現状では、β-ブロモスルフィドしか使っていないけれども、この基質拡大も行われている。今回の成果の中で「水素結合相間移動触媒」というコンセプトがおそらく最も重要であると指摘されている。相間移動に同感ですか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 14, p. 8.

DOI:10.1126/science.aar7941

18.6.4

 

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ラセミ体混合物を

 磁場で分けることができる可能性が報告された[1]。これは電子が鏡像体間で同じ振る舞いをするまい、によるものである。電子は上向きあるいは下向きスピンを持つ。あるスピン状態にある電子は別の状態のそれよりも容易に動くはずであり、この現象をキラル誘導スピン選択性(CISS)と研究者らは名付けた。キラル分子が磁化された表面に近づくと、CISS効果によってあるスピン状態が優先し表面と相互作用する。表面が磁気を帯びているために、物質の電子のスピン状態が磁場に対して平行に配列する。ただし類似のスピン状態の電子は反発する。その結果、表面に近づくキラル分子は引きつけられるか反発するかで、一方の異性体のみが表面にとどまることが予想される。実際ポリアラニンオリゴマーの鏡像体で修飾した二酸化ケイ素と磁気を帯びた金でコートした表面でこの効果が示された。走査型電子顕微鏡で観察したところL-アラニンオリゴマーの方が、D-アラニンオリゴマーよりも8倍吸着した。また磁場の向きを変えると後者が4倍多く吸着していた。別のキラル分子でもこの優先吸着が観測されているが、まだ決着はしていない。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 14, p. 7.

DOI: 10.1126/science.aar4265

18.6.3

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熱硬化性樹脂を

 製造するために現状では、オートクレーブ中で、事前に形づくったモノマー樹脂を圧力下で加熱して硬化させている。この公開されている手法では、オートクレーブの大きさが成分の大きさを決定するためにかなり大きなそれが必要である。また過程は遅くてかなりエネルギーも必要とする。例えばボーイング787の強化繊維コンポジット胴体の小さな部位を硬化させるのにも96000Kw/hの電気エネルギーが必要であるとされていて、これは一般家庭9戸が一年間に利用するエネルギーに匹敵する。これを格段に改善するプロセスとして、モノマーであるジシクロペンタジエン(DCPD)あるいはDCPD繊維混合物の事前に調整した溶液あるいはゲルが使われた[1]。熱源を使って重合を開始すると、モノマーが十分な内部エネルギーを有するために、それ自身で熱硬化製品に重合していった。ここではオートクレーブも発電所も不要である。この特異的な前線開環メタセシス重合(FROMP)では、Ru触媒と亜リン酸アルキルが使われて、後者は抑制剤として、DCPDモノマーの加工過程を30分から30時間に拡大している。この反応速度の抑制がFROMPによるDCPD由来のポリマーはコンポジット構造形成を可能にしている。抑制で、反応も良くせい、である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 14, p. 6.

DOI: 10.1038/s41586-018-0054-x

18.6.2

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承認されている多くの医薬品は

 ベンジル位窒素置換基を含む。これがベンジル位で何を演じるかはともかく、かなり生物活性に影響しうる。その中今回、新しいベンジル基のC-H結合をC-N結合に変換する、より選択的な触媒反応が開発された。研究者らは過塩素酸Mn(III)フタロシアニンを用いて、複数のベンジルサイトがある基質の特定のC-H結合切断を達成した[1]。窒素源としては、イオウ置換基で保護されたアミノ化合物で、脱保護によってフリーなアミンを導くことができる。複数のベンジル位のうち立体的に最も空いた最も電子豊富な位置で反応する。酸の存在下で、すでに塩基性窒素の組み込まれた基質でも反応は進行する。C-Hアミノ化の従来法では、そのような基質では反応しないか窒素原子に隣接する炭素上での反応が優先していた。この方法を使って、抗うつ剤であるシタロプラムやエストロゲンなどの医薬品や医薬品類似化合物のアミノ化も行われている。大学はこの触媒の使用権をMilliporeSigmaに認めている。証券もあるかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 May 7, p. 11.

DOI: 10.1038/s41557-018-0020-0

18.6.1

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