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2018年8月

メトホルミンは

 国民の、グルコースを低下させる作用があり、二型糖尿病の一次治療に利用される。そのためその機構に関する多くの報告がある。ただし以前の研究では、実際に治療で投与される量よりもかなり多くの量を使っていた。今回メトホルミンを臨床と関連する量を投与した研究が行われて、メトホルミンは、ある化合物をレドックス依存の方法でグルコースに変換する過程をブロックすることが報告された[1]。これは、肝臓で糖鎖ではない炭素化合物がグルコースに変換される過程で二型糖尿病では異常な糖新生をメトホルミンが抑制するという以前に提唱された機構とは異なっている。ついで研究者らは13Cでラベルした基質を糖尿あるいは非糖尿のげっ歯類で追跡した。その結果、肝臓の細胞の脂肪質ゾルのレドックス状態に依存したグルコースへ変換される一部の基質から始まる糖新生を、メトホルミンは抑制することもわかった。さらにメトホルミンは細胞質ゾルを還元することも示された。そこでこの還元を阻害したところ、メトホルミンは、肝臓での糖新生を抑えることはできなかった。どこかに答申しなくては。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 30, p. 12.

DOI:10.1038/s41591-018-0125-4

18.8.31

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蛍の光の原曲

 オールド・ラング・サインの歌詞で現在広まっているものは、スコットランドの詩人Robert Burnsによるものである。そのため彼のオリジナルな手紙や詩にはオークションで、億でしょんみたいな破格の額が設定される。ただし彼の作品とされているもののいくつかは偽造である。そこで本物であることを証明するために質量分析法が開発された[1]。直接注入質量分析は通常、プロテオミクスで使われ、原稿のインクの科学的な特徴を明らかにする。そこでBurnsは偽物とは違ったインクを使っているため、この手法が詐欺を明らかにできる。研究者らは三つのBurnsの原稿と、1890年代に偽物をつくって投獄されたA. Smithの七つの偽物でその技術の試験を行なった。メタノールと水を2μL含むピペットを使って、原稿の上のインクと溶媒が接するようにし、化合物が抽出された。ついでマイクロ流体系で、ナノリットルのサンプルを質量分析計に噴霧した。機械学習によって二人の原稿のインクのサンプルから94の特徴が引き出された。研究者らはこの成果をさらに他の歴史的なドキュメントにも拡大し、オークションで使われるインクをリンクさせるべく、インクプロファイルのデータベースを築きたいとしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 30, p. 11.

DOI:10.1038/s41598-018-28810-2

18.8.30

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ビニルカチオンは

 高い反応性を示すために、カウンターイオンによって、脱プロトン化を受けるか、求核攻撃を受けることによって、ラップされるが如く、トラップされる傾向がある。その中今回、シリリウム触媒と弱い配位力のカウンターイオンを使ってビニルカチオンを発生させるとそれはC-H挿入反応に参画できることが報告された[1]。コンピューターによる研究では、反応は単一の非古典的カチオン遷移状態を経て進行し、分子の動きに依存して複数の生成物を与える。従来は複数の遷移状態から複数の生成物が生じるが今回はその点で通常ではない。研究者らは、ビニルカチオンが合成化学者にとって、普通の合成道具になる以前にも研究が行われていたが、今回得られた機構に関する洞察は重要であること。カルボカチオンは、生合成から天体化学までに見られる化学種であり、今回の炭素炭素結合形成に関する成果はこれら全ての過程で基本的に重要であることを指摘すると同時に、カルボカチオンがどのように炭素炭素結合を形成するかの単なる別の例でもあるとしている。ビニルカチオンの化学も伸びる。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 30, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aat5440

18.8.29

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大洋の二酸化炭素の

 量が増えると炭酸が増加して、より酸性になる。そのpHの変化は、0.3から0.4 pH程度であるものの、そこにすむシーバス(ウイスキーではなくて魚である)は、より酸性の水の中では、臭いのある物体を検出するためには、その化合物が42%程度蓄積されることが必要であることが報告された[1]。魚は臭いを使って、それが食べ物か、あるいは捕食者であるかを判別する。そのためこの能力が失われると、野生で生き延びることに影響を及ぼす。研究者らは次に、魚の嗅覚ニューロンの臭いに対するシグナルの変化を測定した。現在の大洋の酸性度と、将来予測されるより酸性な水の中とで、10種類の臭いに対する応答性が検証された。より酸性の水の中では、ニューロンからのシグナルの大きさが、10種類のうち6つで低下し、臭いを検出する閾値が4つで上がった。今回の研究は評価される一方で、今回は人工的に突然pHを変化させていること、別の研究はCO2に晒された第二世代はその影響が緩和されることを示していることも指摘されている。オーシャンでのこと、お〜っしゃってる〜ん。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 30, p. 8.

DOI: 10.1038/s41558-018-0224-8

18.8.28

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通常のMOFsを

 イオン液体で修飾すると、多孔性材料のガス摂取特性が向上することが報告された[1]。かなり大きな表面積と多孔性、さらには化学的な修飾を施すことができるMOFsは、ガス分離、貯蔵や別の場面で広く応用できる可能性がある。材料の構造や特性を調整するために研究者らは、構成部品を置き換えて数千のMOFsを合成してきた。豪勢である。それに対してMOFの応用する場面にフォーカスして、合成した後の修飾によって材料をカスタマイズする研究者もいた。その中あるチームが、イミダゾレート骨格のZIF-8CO2摂取を改良するために、疎水性のそれをCO2がよく溶ける親水性のイミダゾリウムイオン液体で処理し、MOFの外側に、化学的に選択的な殻を形成させた[1]。この新しい材料のCO2摂取量は、処理する前のZIF-85.7倍で、CO2とメタンの選択性は45 倍まで向上した。これによって炭素補足、天然ガスの精製に魅力的な材料になった。イオン液体へ期待して成果が出た。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 11.

DOI: 10.1021/jacs.8b05802

18.8.27

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京風お肉を

 提供するお店、地下でワインをお見せになる。ビール、日本酒でいよいよワインを選ぶことになった。地下の様子は廊下がガラス張りになっているので一階からも確かめることができる。と同時に下から廊下を歩く人を見上げることになる。決してカメラを向けないようにと、外国からのゲストにお願いをした。それが意味することを察知して喜ぶゲスト。食事が終わってホテルに戻った。ロビーにはグランドピアノ。お手を触れないで下さいとの注意書き。触ろうとする彼にそのことを伝えたが、グランドピアノの前に座り、鍵盤の上にあるカバーを丁寧にたたんで脇においた。すると10本の指が鍵盤の上で踊り出して、ショパンの雨だれのフレーズが流れ始めた。怪訝そうにみるホテルマン、えらい上手なのでもう少しとしばし拝聴して、事なきを得た。幼少の頃に習ったという。先日化学と音楽のコラボの授業を初めてやったとのこと。ロンド形式、主部がABA、中間部がCDで再び主部に戻る。これは高分子合成と同様である。ピアニストとケミストでは、ピアニストの方がはるかにシビアで化学の道を選んだ。二次会では、初めて会った女性の肩を揉んでいたとのこと、大変なもんである。今年の始めにはScience誌に合成反応の論文を掲載している。お主やるぬのう、の枠を超えている。

18.8.26

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アスピリンは

 最も広く使われている医薬品の一つである。鎮痛作用に加えてそれは、結腸がんや心臓発作のリスクを軽減することが示されている。またアルツハイマー病に対しても効果があるのではないかと指摘されている。ただしアスピリンを使っている人と使っていない人を比較しただけのデータで出た話で、臨床試験が行われていなかった。その中今回その二つの関連性を示す可能性のある研究が行われた[1]。コンピューターモデリングと生化学実験によって研究者らは、アスピリンが、脂肪酸の代謝に含まれるペルオキシゾーム増幅剤応答性受容体α(PPARα)と呼ばれる受容体にバインドすることがわかった。PPARαがアスピリンによって活性化されると、記憶を形成する鍵となる領域である海馬にある神経細胞の間のコネクションが増加する。遺伝子工学的に改変されたアルツハイマーの兆候があるネズミで、わずかな量のアスピリンを投与すると、PPARαを通した動物の空間学習が改良された。次は臨床試験で同様な効果が見られるかを検証したいとしている。懸賞はないですが。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 11.

DOI: 10.1073/pnas.1802021115

18.8.25

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照明販売で

 LEDは、それまでにあった伝統的な機器を上回る広がりを見せている。LEDランプは白熱灯と比べると使用するエネルギーが少なくて、冷たいままで、長持ちして頑丈である。ただし勘定の時には少々高い。それでもそれが出す光の色を調整するために製造業者はしばしば、LEDを窒化物がもとになるリン光発光体で修飾してきた。にも関わらずLEDは、栽培用照明に使われるような赤を十分に提供することができていなかった。今回研究者らは、この課題解決策を思いついた[1]。まず一連のCe3+でドープしたニトリドリソシリケートが調製された。それらは前例のない深い赤の発光を示す。Ceでドープした発光体がLED照明で広く利用されていて、青からオレンジや黄色の領域の光を供給していることから研究者らは、希土類トリフルオリド、フッ化カルシウム、窒化ケイ素、窒化リチウム、イットリウム、ランタナムさらにはセリウムの酸化物を反応させて、固相のメタセシス化学で、化合物を調製した。LEDRED

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.chemmater.8b02604.

18.8.24

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超分子中にある

 リチウムのカウンターイオンであるPF6-を隔離すると、カチオンの導電性が向上し、それが発生する電流量も増加することが報告された[1]。これによってより良いリチウムイオンバッテリーを導くことが可能になる。研究者らのうちの一人がMITに博士研究員として採用された最初の週に、彼のシアノスターに関する博士課程の間の研究について話をした。シアノスターは、シスターとは縁がないけど、超分子錯体とPF6-2:1の比で錯体を作る大環状化合物である。ここでLiPF6LiバッテリーでLi+を供給するもっともよくある塩の一つである。化学者は、その塩のアニオンがシアノスターにバインドするかどうかを確認し、それがLiPF6の特性に劇的に影響することを明らかにした。カウンターイオンを捕捉すると塩を刺激し、フリーなイオンを形成し、大きな超分子錯体は、Li+と比較してゆっくりと拡散していくはずである。実験はこの仮説を実証していた。ただしバッテリーでシアノスターを使うのはまだ先であるが、今回の実験で得られた機構についての見方は、実際の系の設計のガイドにもなり得る。この系お買い得かもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 10.

DOI: 10.1021/jacs.8b05915

18.8.23

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ポテトチップスは

 後ろめたい喜びである。単に栄養面からだけではなくて、ほかの食べ物や薬と同様に、揚げたポテトを保存するパッケージのリサイクルは挑戦的な課題である。それは様々なポリマーが繋がって多層の柔軟な層を含み、見ね〜とわからないものの、アルミホイルでラミネートされている。今回研究者らは疎水性を転換できる溶媒を使ってこれらの層を分離し、リサイクルが基本的には簡単にできるような系を開発した[1]。ポテトチップや他の類似のラッピングをN,N-ジメチルシクロヘキシルアミンの中で、超音波を照射して細かく切り、パッケージの層を分けた。回収されたポリ—マーフィルムは溶液の上に浮いていた。溶液を遠心分離してアルミニウムを回収しCO2N,N-ジメチルシクロヘキサン溶液に加えると極性が変化し、接着剤やインク、コーティングが溶媒に溶けて回収できた。加熱条件下一晩かけてCO2を除去し、水を蒸発させて、溶媒を再生させることが出来る。この方法をさらに他のポリマーや接着剤へも適用したいと研究者らは考えている。パッケージ、刑事さんもびっくり。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 10.

DOI: 10.1039/c8gc01062e

18.8.22

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コンピューターチップの中で

 電子が動き回ると熱が発生する。これが課題で、例えばあるデータセンターでは、プロセッサーチップを冷却するためにそのセンターの電力の半分が使われている。一つの解決方法は、より簡単に熱を伝導できる材料を使うことである。その中今回三つのグループが独立で、半導体であるボロンアルセニド(ヒ化ホウ素、BAs)が他のよく使われている材料よりもはるかに大きな熱伝導性を示すことを報告した[1]BAsの熱伝導性は少なくとも室温で1000Wm-1K-1である。この値はシリコン半導体のおよそ10倍で、銅のそれが400とは対照的である。唯一2000を示すダイアモンドと比べると問答無用であるものの、それは半導体としては働かない。測定の鍵は必要な純度の大きな結晶をいかにして成長させるかである。また熱伝導性は、材料の結晶格子における振動であるフォノンに依存している。もし格子欠陥があると熱伝導性は低下する。実用化には、およそ300 mmのウェファースケールまで結晶を成長させる必要があるが、現状では数ミリメートルである。高熱伝導の伝統を築きたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aat5522, 10.1126/science.aat7932, and 10.1126/science.aat8982).

18.8.21

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気候変動で

 大洋が暖かくなるにつれて、バクテリアは、不活性な大気窒素を取り込み、生物学的に有用な化合物に変換することが、より高い効率でできるようになっていることがわかった[1]。暖かい水中では、ある種のシアノバクテリアは、ごく少量の鉄を使って、より効果的に窒素固定を行うことができる。このシアノバクテリアは、大洋で窒素固定できる主な主(ぬし)である。シアノバクテリアを含む有機体による窒素固定の量は、海洋生物が利用できる食べ物の量に関連している。一方でシアノバクテリアが利用できる鉄の量が、窒素固定の効率を制限していた。研究者らは対象となるシアノバクテリアを培養したが、その温度が22から32 °Cでは、鉄が不足した培地の方が窒素固定の効率がよかった。一方でより暖かい温度では、細胞中への鉄の取り込みが少なかった。これは、細胞中の鉄がより高い効率で働いていることを意味している。さらにシミュレーションでは、2100年までには、太平洋のような鉄が不足している大洋でも、より多くの生物生産が進行することが予測された。温度上昇だけではない気候変動、変やど〜もっと聞こう。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 7.

DOI: 10.1038/s41558-018-0216-8

18.8.20

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絶対零度以上では

 全ての材料が熱エネルギーを放出している。暗視ゴーグルや他の熱カメラは、このIR熱放射を検出することで作用している。飛行中にIR放射を調節する材料をつくる以前の試みでは、柔軟性に欠けるデバイス、すなわち熱の色の変化がほとんどない、あるいは狭いIR波長領域でしか働かないものができていた。その中多くのグラフェンを積み上げるとIR光と相互作用し、その特性がグラフェン表面の電荷に依存していることを研究者らが発見した。そこでこの電荷の累積の制御によるIR放射の制御を、陽電荷あるいは陰電荷のイオンを含むイオン液体で行うことが計画された[1]。まず金電極、イオン液体を運ぶ透明なポリエチレンとグラフェンシートで、薄い柔軟性のある素子が組織された。電圧が高くなると、より多くのイオンが炭素の層に入り、グラフェンはあまりIR光を放出しなくなった。そのデバイスを手に装着すると、指からの熱が、IRカメラを通して、視覚化された。ただし3 Vの電圧をかけると、デバイスでカバーされた手の一部が見えなくなった。即ちデバイスでは、電圧がIR放出をあまりでんやつに変化させている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 23, p. 6.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.8b01746

18.8.19

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新しい結合を

 形成するためにはまず結合切断をする必要がある。ただし結合切断の難易度は結合次第である。宿題としては、相対的に不活性な炭素–炭素単結合の切断である。その中今回含窒素環状化合物の中のC-C結合の新しい切断方法が開発された[1]。過剰の銀塩とよくあるフッ素化剤を組合せると環が開き、末端には分子の特性を調節できる官能基であるフッ素原子が組込まれた、直鎖のアルキル鎖が導かれる。いくつかの場合にはこの方法で、ホルミル基を反対側の窒素原子上に導入することも可能である。反応は酸化によって進行し、ついでラジカル環開環反応が進行する。四員環とそれより大きな環を開けることはできるが、五員環は大抵の場合酸化で止まる。開環には参加しない。さらに二つのペプチドの開環フッ素化も行われているが、この戦略は、創薬や生物学的な利用に直ちに展開できる手法になり得る。加えて0.25 当量の銀塩を使った場合には、環のジェミナルジフッ素化も達成できる。これも見習う必要あります。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aat6365

18.8.18

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信じられないかもしれないけど

 汗は無臭である。焦らなくても構わない。脇の下にいるバクテリアが無臭化合物を食べてこれが消化副生成物を放出して体の臭いになる。以前の研究では、体臭の主な分子は痛烈なチオアルコールであると同定されていた。ただしその前駆体がバクテリアによってどのように消費されるかはほとんど知られていなかった。今回研究者らは、体臭前駆体であるペプチドをバクテリアの細胞に輸送するタンパク質の構造が同定された[1]。輸送体の結晶構造の詳細は、チオアルコール基にバインドするおよそ10Åの長いポケットをブロックすることで、体臭前駆体の取り込みを抑制できることを示していた。そこから研究者は、このポケットは、体臭生産を抑制するための特異的な阻害剤を設計するのに利用できる可能性を指摘している。そこで例えば、ギャップを埋める、すなわちポケットを塞ぐ分子を設計すると、輸送体がペプチドにバインドするのを停止させることもできるはずである。この研究の基金の一部を供給した消費財メーカーであるユニリーバは現在、この結果を吟味している。今もバクテリアは化合物を食ってリア、である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 9.

DOI: 10.7554/eLife.34995

18.8.17

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バイオテクノロジー

 工業は、製造プロセスで金属の容器を使い捨てのプラスチックバッグに置換え始めている。ただしバッグの内側のフィルムから化合物が滲み出てくるかどうかがわからない。そのような化合物はバイオ製造や精製の段階で細胞に対して悪い影響を及ぼし、タンパク質製剤で、患者に対して潜在的なリスクを負わせてしまうことになる。そこで研究者らは5つの会社が供給する34種類の使い捨てバッグから出る化合物を分析した[1]。抽出物を、同程度に、同定するために、フィルムバッグから四種類の溶媒を使って抽出が行われた。一方で漏出物を得るために、細胞培養液が使われた。得られた物の統計的な分析では、バッグのデータが製造日毎に分けられた、これはバッグ製造に異なるタイプのポリエチレンが使われていることに由来していることを示していた。最も古いものが2006年、最も新しいものが2016年である。他のデータでは、バッグが五種類のグループに分けられて、それらは抽出溶媒で得られた内側の層のポリマーに依存していた。不揮発性化合物として、113種類の抽出物、14種類の漏出物でそのうち6種類は抽出物には含まれていなかった。このことは、抽出と漏出の両方をチェックする必要があることを示していた。バッグが抜群とはいかないようです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.analchem.8b01208

18.8.16

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移植した電極で

 脳の深い領域を刺激して、脳の疾病を治療する方法が採用されている。これも失敗は許されないが、それに対して記憶を作る鍵となる海馬として知られている脳の深い領域にあるニューロンをオフにするために手術しない方法が試された[1]。ネズミで行なった研究ではまず血液脳関門が開かれた。これによって害のある基質が入らないようにすることと、医薬品が送達できるかどうかが確かめられた。ついでマイクロバブルがネズミの血流に挿入されて、超音波でマイクロバブルの振動を引き起こし、一次的に脳のある特定の領域を開けた。ついで研究者らは害のないウイルス粒子を入れ込み、標的とするニューロンに特別なレセプターを付与するために、遺伝的な指令を施した。一旦レセプタータンパク質が、対象となるニューロンに据えられると研究者らは、クロザピン-N-オキシド(CNO)と呼ばれる合成医薬品を投入し、選択的に修飾したニューロンの活性を抑制できた。これによって以前はわずかな電気ショックを受けた環境では恐れを示していたネズミは、それを示さなくなった、この結果は恐れの記憶が形成されるのを阻害していることを示していた。海馬に関する実験、一回ばかりではありません。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 7.

DOI: 10.1038/s41551-018-0258-2

18.8.15

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長期間の宇宙飛行では

 水素のような燃料を必要に応じて製造する、いいぞう、という方法が必要になる。光電気化学電池(PECs)は、太陽光のエネルギーを使って水素製造を行うことができるものの、重力が低下した宇宙で利用できるようにすることは挑戦的な課題である。今回研究者らはナノ構造した触媒表面が、課題の一つを解決できる可能性を報告した[1]。研究者らのPECは、光吸収半導体であるp型インジウムホスフィドから出来ていて、Rhの触媒層でコートされている。これが光に晒されると、電極は酸性水溶液からの水素カチオンを還元して水素ガスが発生する。宇宙の微小重力空間条件をシミュレートするためにデバイス120 mを大気に射出し、特別なタワーにそれを落とした。試験の間、水素バブルが電極表面に累積してしまい、効率的なガス製造が阻害されていた。電極からバブルが離れるようにするにはバブルと触媒表面が接触する面を減少させることが必要ではないかと、Rh層を小さな山と谷の形にした。この平板でない光電極が先のタワーで効果的に作用し、通常の重力条件と同様な効率を得ることが出来た。いい結果が、できたわ〜である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 7.

DOI: 10.1038/s41467-018-04844-y

18.8.14

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2時間43分を

 を使って枝野代表が演説された[1]。現政権が行ってきた数多の不信任に値する事例を7つに分けて、なぜそれが値するのかを語っている。詳細な原稿を作らず、レジュメをもとに長時間話を進めた。超人的である。さらにそこで聞く国会議員の方々にもわかって欲しい、もう一度原点を振り返って欲しいという思いで、民主主義とは何か、立憲とは何かについても、含めている。「持統天皇の時代(中略)以来、我が国は1000年を超える期間、賭博は違法であるという法制度のもとで歴史と伝統を積み重ねてきました」「保守の本質は何か。それは、人間とは不完全な存在であるという謙虚な人間観である」などなど盛りだくさんである。その演説が期せずして書籍になって、私たちも触れる機会を得た。「野党は反対ばかりやっとう」という話はデマであると断言。国会に提出される法案、政府提出法案も含めて、そのうちの8割に立憲民主党は賛成している。と説明されている。最後には「憲政史上最悪の国会になってしまった」と述べ、そこで聞く皆さんへの呼びかけで、演説は閉じられている。枝野さんの演説の緊急出版、英断です。

[1] 枝野幸男、魂の3時間大演説(扶桑社)2018.8.10初版第1刷発行

18.8.13

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相当に大きな

 多孔性と表面積を持ち、化学的に修飾しうる共有結合性有機構造体(COFs)は、ガスの貯蔵や分離を含む色々な応用が期待されるために、魅力的な材料である。ただしこれらの金属を含まない材料を大きな単結晶として得ることができないために、その開発が阻止されていた。6月に研究者らは、大きな2-D COFをつくる方法を報告していたが[1]、今回別の研究者らはイミンをもとにした3-D COF結晶で、単結晶X線回折でこれまではわからなかった構造の詳細も引き出すことができるものを成長させる方法を報告した。改良された方法では、イミンCOF調製の間に大過剰のアニリンを使用している[2]。これによって、成長するCOF結晶の表面にベンゼン–イミン部位が出来上がる。この特徴がエラー修正機構を稼働させて、0.5μm以下の小さな結晶が直ちに沈殿することを防ぎ、代わって100μmの長さまで結晶が成長することを可能にしている。この結晶の質と大きさのお陰で、構造の歪みや水ゲスト分子の配列を含むCOFの特徴を初めて明らかにすることができている。COF幸福です。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 25, p. 10.

[2] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 6.

DOI:10.1126/science.aat7679

18.8.12

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多孔性の

 広い表面構造を持つMOFsは化学センサー、ガス分離や触媒として利用されている。ただしそれらは脆くて弱い場合もある。金属と配位子の組合せが、強くない格子を形成し、ちょっとしたことで壊れてしまう。その中研究者らは、官能基をMOFに付与することでより頑強なMOFsが出来ること明らかにした[1]。ここではゼオライトイミダゾレート骨格(ZIFs)に研究者らは注目している。200種類の可能性のあるZIFsのコンピューターモデルをつくり、実験ならびにモデル化されたデータをもとにそれぞれの応力に対する頑強さが計算された。その結果、官能基を付与することで、ZIFsの構造が補強されたり、不安定化することがわかった。一次ネットワークは金属原子と配位子の間の結合で繋がった基本的なMOF構造である。官能基はファンデルワールス力で二次的なネットワークを形成している。その配列次第で、一次構造の安定化あるいは不安定化に、器用にも、寄与している。研究者らはさらにMOFsを設計するための、配位子と官能基の組合せを、自分たちのモデルを使って計算し、合成したいとしている。MOFsも普段からチェックしておきましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 6.

DOI: 10.1021/acscentsci.8b00157

18.8.11

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現在使われている強誘電体には

 チタン酸バリウム(BaTiO3もしくはBTO)やチタン酸鉛や別のペロブスカイト構造を持つセラミックスが含まれ、その組成は基本的にABX3である。ただし広く使われているこれらは製造コストも高く、鉛や他の毒性の重金属が利用されている。そこで金属を含まないペロブスカイトが買いということで、その開発が行われてきたが性能の低さが課題だった。その中今回、研究者らは金属を含まない23のペロブスカイトを作成した[1]。通常のペロブスカイトは、大小の金属カチオンで出来ていて、このイオンサイズの違いが、材料の電気的な振る舞いに重要である。他にもファンデルワールス力や分子間相互作用も考慮する必要がある。そこで金属フリーのペロプスカイトとしてA(NH4)X3Aは二価の有機カチオン、Xはハロゲンをデザインした。合成ののち、MDAB-CO-NH4I3と名付けられたそれはジアゾビシクロ基を含み特に有望であった。瞬間的に大きな分極を引き起こし1 cm2当たり22μクーロンの値を示しこれはBTO26に匹敵していた。さらに争点になる相転移温度448 Kまで安定であった。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 16, p. 5.

DOI: 10.1126/science.aas9330

18.8.10

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発電所や他から

 他の工業プロセスではしばしば、塵ろ過システムを導入し、ごく微小の粒子の捕捉を行なっている、ただしそれらは可燃性の塵が積もると、火に対して脆弱である。ちりませんというわけには行かない。これまで捕捉には織物が使われていたが近年ナノファイバーのろ過効率の高さ、とりわけ2.5μm以下の塵に対する効果が注目されてきた。その中今回、ナノファイバーろ過材料が開発されて、しかもそれは難燃剤としても作用していた[1]。ナノファイバーは、難燃剤として広く使われているリン酸トリフェニル(TPP)をコア部位に持ち、6-ナイロンで全体を覆った構造である。火に晒された時には、ファイバーの6-ナイロン部位が溶解し、TPPが出てきて、火を消し止める。研究者らは、電場を使ってポリマー溶液から糸を束ね、敷き詰めたナノファイバーをつくり、担持のためのメッシュに取り付けた。実際に煙を使った実験では、2.5μm以下の粒子の99%を捕捉できていた。今後は大きなスケールでの実験で、湿気や連続使用や別のファクターの影響も明らかにする必要がある。こっちのTPPは、あ、かんたいへい・・と違って優れもんです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 June 9, p. 7.

DOI: 10.1021/ acscentsci.8b00285

18.8.9

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蚊を退治することは

 大事で、感染症を軽減する一助になる。新しい研究結果は、ノミやダニから犬を守るために使われている二つの化合物が、人の経口薬として、治療中の人が刺された時に疾病を拡散する蚊を殺すために使える可能性を示していた[1]。特にこれらはマラリアやジカの発生を劇的に減らすために有効である。イソオキサゾリンとして知られる二つの化合物は、昆虫に特異的なイオンチャネルを攻撃することで蚊を撃退できる。犬と人の細胞は同様の過程で、これらのイソオキサゾリを一掃できて、犬の血液中と同様に、人の血流に長い間残る可能性がある。この情報と、他の因子、例えばどの程度の蚊がその地域に生息しているかをもとにした研究では、感染のリスクのある30%の人にそれらを投与すると、そのうちマラリアでは70%、ジカでは97%の臨床を削減できる印象があることが提唱されている。研究者らは1~2年後の臨床試験を計画的している。ただしいかんせん感染症である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 9, p. 7.

DOI: 10.1073/pnas.1801338115

18.8.8

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国際化学オリンピックは

 サマータイムを導入しているスロバキアで719日に始まり29日にチェコで終了した[1]。今年は、35の金メダル、65の銀メダルと95の銅メダルが、76カ国を代表する300人の高校生に授与された。そのうち中国と米国は、金メダルが4人、チェコと韓国、英国が、金メダル4人と銀メダルが1人、インド、ロシア、シンガポールが金と銀メダルがそれぞれ2人ずつだった。実験の一つは、青い髪の毛を持つ科学者のコンテストのロゴを象徴するキラッと光る青い光を生み出す時計反応だった。理論の試験は八つの課題があって、有機化学、物理化学、分析化学や生化学に関するものやそれらを組合せた内容だった。そのうちの一つはβ-カリオフィレンの合成を含み、別の課題は、チェコやスロバキア料理で出されるキノコにある天然物であるコプリンの合成を含んでいた。またボベミアンガーネットの結晶構造、吸収ならびに発光特性が問われていた。生徒たちはエキスカーションとして、スロバキアの鉱物博物館を訪ねたりもしていた。

チェコでの大会も成功裏に終わった。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 6, p. 4.

18.8.7

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カメレオンの優れた能力

 すなわち体色変化が得意であることに触発されて、退職するまでには研究者らは小さなレーザーを作成したかった。今回伸ばしたり、もとに戻したりすることで色が変わるレーザーが出来上がった[1]。それは従来のものよりも10倍ほど感度が高く、10分の1の伸縮で、波長に、わずかながら顕著な変化が見られる。チューニングできる系は柔軟なディスプレイ、装着できるセンサー、研究用のチップとして利用可能である。研究者らは、筒状の250-nm広さの金ナノ粒子を、ポリジメチルシロキサンシートに堆積させた。得られたナノ粒子を、光を増幅してレーザーが獲得できる染料溶液で取り囲んだ。これを光源で刺激すると、ナノレーザーは870 nm付近の近赤外光を放出した。放出された波長が増加し、デバイスを伸ばすと赤外領域へシフトしたが、もとに戻すと光ももとに戻った。ある種の染料やナノ粒子の隙間を急にひねると、幅広い種類のレーザー光も得られた。ナノレーザー作成の人、名乗れます。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 9, p. 7.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.8b01774

18.8.6

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鈴木-宮浦反応を

 さらにより良い条件で達成しようとする試みが続いている。均一系触媒反応では、Pd触媒を生成物から分離する際に課題がある。固体担持の触媒では、融けて流れ出る可能性もある。また固体担持した不均一系Pdナノ粒子触媒は、反応の触媒効率が高くはない。それに対して今回別の方法として、単原子が出現し、これが触媒になることが提唱された[1]。これまでこの研究チームは10以上の反応を、固体に担持した原子が触媒することを報告している。研究者らは、金属を安定化する窒素原子を豊富に含む部位を持つ剥離した黒鉛窒化炭素にPd原子を固定した。触媒は鈴木反応を13時間フロー系で促進し、金属が洗い流されることもほとんどなかった。計算結果は、Pd触媒は、反応が進んでも、窒化炭素の同じ部位に止まり、それぞれの段階のエネルギーを最小化していることを示していた。研究者らは別の反応、別の金属も試験しつつ、触媒を販売する会社も立ち上げることも計画している。ベンチャーでアドベンチャーです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 9, p. 6.

DOI:10.1038/s41565-018-0167-2

18.8.5

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指紋センサーが

 ノックしてモバイルを解除することを可能にする。ただしその不透明さが、縁なしのスクリーンを持ったデバイスを開発する上で課題である。これを解決するために研究者らは、銀ナノ構造を使って、透明な指紋センサーをつくった[1]。これによってモバイルのどの部分でも、指紋を検出することができる。指紋を検出する一つの方法は、頂上部と谷の間の空隙によってできる電気容量の違いを感知する方法である。ただし従来の透明な電極材であるインジウムすず酸化物(ITO)は、抵抗値が高すぎて、これには利用することが難しい。それに対してここでは電子スピニング法を採用し、直径およそ350 nmを測定できる銀ナノファイバーでできたかなり透明なメッシュ(網)を形成させた。ついで超薄い銀ナノワイヤ(直径20 nm)を堆積させてメッシュ表面の抵抗を減少させた。これが決めてっしゅ、である。得られたセンサーは、高い透明度と低い抵抗が組み合わさり、ITOを基にしたセンサーと比較して様々な変化に対して17倍感度が高かった。さらに温度と圧力センサーを組込み、より安全に人の指紋を検出できるセンサーを製作している。センサーは、他人の指紋は知らないもん、と反応する。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July, 9, p. 6.

DOI:10.1038/s41467-018-04906-1

18.8.4

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水については

 全て明らかになっていると考えるかもしれない。が実際はそうではない。新しい研究成果は、水が溶質の周りに配列した時に、水分子はこれまで考えられていたより相当に動きが遅いことを示していた[1]。何年にも渡る短パルスレーザーを使ったスペクトル実験から、水はサブピコ秒で応答する、最も速い動きを示す溶媒の一つであると考えられてきた。これらの研究は一般に、水に溶解した、多くの場合励起した染料分子の電子的な特性を実証することで行われてきた。ただし洋室でも和室でも、溶質の観点から見た水の溶媒和を研究するよりも今回は、高速テラヘルツ(THz)振動スペクトル法によって、水の視点から実験を行う方法が採用された[1]THzあるいは遠赤外光は、特異的に、水クラスターダンスのような水分子の集合的な動きを効果的に実証できる。この方法を使って研究者らは、水は励起した染料分子と10ピコ秒のゆっくりとした速度で溶媒和することがわかった。さらに研究者らは、凝固点よりも低い温度に冷却された液体水の関連する実験を行うことを計画している。溶媒和について、用ないわって、言わないで。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 9, p. 5.

DOI:10.1063/1.5034225

18.8.3

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有機光起電装置

 (OPV)は、薄くて軽量で透明であるために、通常の窓を、惑うことなく、電力製造パネルに置き換える場合の有力な候補である。一方で夏の不要な太陽熱を軽減し、服の熱の消失を最小限にできる熱制御窓フィルムも開発されている。そこで熱制御をOPVに組み入れることができるとエネルギー節約の最高の組合せになり得る。ただしそのような多機能性素子の開発は挑戦的課題であり、二つの目的を達成する場合の課題はトレードオフの関係である。その中今回研究者らは、多層な半透明な素子を作成した[1]。これによって6.5%の発電効率を達成した。これまでのOPVの最高効率はおよそ11.5%であるものの、今回の素子は熱の要因である赤外光の80%以上を遮断しており、これは市販の窓フィルムに匹敵し、しかも可視光の25%は、遠からず、透過する。素子は近赤外光を効果的に集める有機材料を含んでいて、これが発電ならびに熱透過抑制の一助になっている。まあどんな窓でしょうと、マドンナさんも知りたいかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 9, p. 5.

DOI:10.1016/j.joule.2018.06.006

18.8.2

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母親が

 元気な赤ちゃんを出産しても、母体は危険な状態から脱しているわけではない。分娩後に大量の血液を失うことで、世界中で年間およそ70000人の方が命を失っている。その99%は開発途上国である。医師は医薬品であり子宮収縮ホルモンであるオキシトキシンを投与して出血を抑制することができるが、オキシトキシンは長時間熱に晒されると分解し、気候を定常的に制御できない病院や冷蔵での供給が難しい国では、信頼性がない。その中WHOは、オキシトキシン類縁体で熱的に安定なカルベトシンが課題解決に効果的であることを発表している[1]。カルベトシンは、都心でなくても、3年間30 °Cで安定であることが最近報告されて、熱に繊細なオキシトシンの保存は2-8 °Cが推奨されているのとは異なっていること、オキシトシンが持つ熱に敏感なジスルフィドや一級アミノ基がなく、広いpHの範囲で、他のタイプの分解過程も最小化されている。2013年から10の国々でおよそ30000人の女性で二重盲検による効果が検証されている。カルベトキシンとオキシトキシンは500 mLの血液損失を防ぐために優位性は見られないこと、どちらも副作用がほとんど起きないことから、両方が医薬品として推奨されているが、オキシトキシンは冷蔵による供給次第である。どちらにしても助産師さんらがこれらを手にすることが重要である。参照して下さい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 9, p. 5.

DOI:10.1056/NEJMoa1805489

[2] DOI: 10.1002/psc.3082

18.8.1

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