« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年9月

アルボマイシン

 1940年代に発見されて以来、あるぼ邁進である。1950年代にはソ連で人の感染に対して使われた。ただしそれ以降広がらなかった。今回、土のバクテリアが誘導する抗菌化合物の最初の化学合成が報告された[1]。アルボマイシンはトロイの木馬化合物で、バクテリアを抑制する弾頭領域には鉄にバインドする部位を含んでいる。アルボマイシンでは、テトラペプチド親鉄剤が疎水性のチオ糖の弾頭と繋がっている。この部位だけでは活性を示さないが、これと親鉄剤の組合せでチオ糖の活性は1万倍以上になる。今回の合成では、そのチオ糖とテトラペプチドが連結されているが、チオ糖の連続する六つのキラル中心の構築が最も困難なステップの一つであった。三種類のアルボマイシンが合成されて、例えばメチシリン耐性株へ効果があるかどうかが試験された。三つのうちアルボマイシンδ2が最も活性が高く、それは既存の抗生物質よりも有効だった。合成自体は商業ベースには向かないものの、構造活性相関を向上できる改良版を導くことを可能にしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 10, p. 6.

DOI: 10.1038/s41467-018-05821-1

18.9.30

| | コメント (0)

農業肥料や

 排水から放出されるアンモニウムを除去する微生物を利用したいと探索が続けられている。ただしその微生物の成長は遅く1〜2週間で二倍になる程度であり、酸素に対しても敏感である。その中今回アンモニアの酸化過程が進行すると考えられている細胞小器官の膜で二つの鍵化合物が発見された[1]。だらんとした構造にも見えるラダランリン脂質として知られているこれらの化合物は、シクロブタンでキャップされた二重の炭化水素のらせん構造を有していた。2016年にラダランホスファチジルコリン(PC)を合成した研究者らの経路を使って、これらの天然物と非天然物が合成されて、生物物理特性が解明された。天然のラダランは、水中室温で小胞を形成した。これはラダランが堅い骨格であること、膜は通常液体であることから予想外の結果である。さらにラダラン脂質あるいは直鎖の脂質を持つ小胞が合成され、ヒドラジンとプロトンを拡散させる膜の能力が比べられた。その結果ラダラン脂質では通常の脂質の小胞と同様の結果であった。ただしプロトンの移動速度は通常の小胞の1/5から1/10程度の速さであった。この、より遅い拡散がエネルギー移動分子であるアデノシン三リン酸をつくるのに必要とするプロトンの原動力を保持しているのかもしれない。脂質のこと、知っつてましたか。

[1] Chemical & Engineering News 2018 September 10 , p. 5.

DOI: 10.1073/pnas.1810706115

18.9.29

| | コメント (0)

二酸化チタンは

 ガラスを自浄できる触媒コーティング剤としても名前が売れている。ただしその評判とは違って、二酸化チタンのいくつかの分子レベルでの特性は謎であった。例えば二酸化チタンに紫外光を照射し、空気と水に晒すと、大気中の有機分子が酸化されて、材料の表面が疎水性になる。暗所では表面が徐々に疎水性に変化し、Ti原子同時がバインドした分子であると思われるいわゆる2 X1の塗布が広がることも説明がつかない。今回研究者らは、二酸化チタンの環境の純度を制御することで、空気中のわずかな量の酢酸やギ酸が二酸化チタンにバインドすること、その後、より多くの大気中にある別の残留物と反発した疎水性の層ができることを明らかにした[1]。ウイーン(オーストリア)やイサカ(米国)にもいたかという酸は、特徴的な表面パターンを形成した。奇妙なことにその層は、疎水性だけども水に対する溶解度も高くて、これによって自浄特性を示すのでないかと類推されている。自浄の事情が少し分かったかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 3, p. 11.

DOI: 10.1126/science.aat6752

18.9.28

| | コメント (0)

グラフェンの

 炭素炭素結合は、天然に見られる最も強い結合に分類される。ただし材料全体としては脆くて、わずかなひびでも入ると、グラッと、簡単に壊れる。今回、鉄筋がコンクリートを弾性力のあるものにするのと同様な方法で、カーボンナノチューブをグラフェンに入れることで、破砕に対して強くなることが報告された[1]2014年銅表面をカーボンナノチューブでコーティングすることで、グラフェンナノチューブハイブリッドが初めて合成された。今回同じ大学の研究者らは材料の応力試験を行い、別の大学の研究者らはシミュレーションによって、材料が裂けた時に何が起こるかの全体像を解明した。その結果、もとのグラフェンはまっすぐに裂ける一方で、鉄筋(ここではカーボンナノチューブ)で強化されたそれは、ナノチューブがグラフェンを保持し、裂けるときはジグザグだった。そのグラフェンの破壊靱性10.7メガパスカルで、もとのグラフェンの二倍以上だった。実際にデバイスにした時の信頼性はさらに検証が必要だけど、炭素ナノ材料から、頑丈で柔軟なエレクトロニクスをつくる場合の、良いニュースである。鉄筋法で、強い材料がでっきるんです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 3, p. 11.

DOI: 10.1021/nn501132n

18.9.27

| | コメント (0)

アホエン

 ニンニクに含まれる有機硫黄化合物である。ただしそれを抽出するには、大量のニンニクをプレスするけれど、およそ0.1から0.5%程度しか得られない。しかもその精製も手間がかかる。別法としてアリシンから合成する経路もあるが、高効率合成法があれへんし、である。その中研究者らは短工程の合成法を開発した[1]。まずセレン部位をジブロミド化合物に導入、その部分は最終段階まで保持されて、そこでアルケニル基に置き換えられる。しかもセレン部位の脱離とスルフィドの酸化がここでは進行する。小スケールの実験では、最終段階の収率が27%だったが、スケールアップすると65%まで向上した。ここで使われる過酸化水素を加えるのが容易になったためである。研究者らは169 gのアホエンの製造に成功している。それは独特の刺激的なガーリック臭を呈していた。さらに合成したアホエンと天然のそれの活性を比較した。バクテリア細胞がコミュニケートする菌体密度感知を抑制する能力は同等であった。アホエンは公園にはありません、多分。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 3, p. 9.

DOI: 10.1002/anie.201808605

18.9.26

| | コメント (0)

熱分解では

 酸素のない高温条件で、有機分子を分解し、木を強くする頑丈なリグロセルロースポリマーも分解する。この過程は、ディーゼル燃料に改質できる油と、バイオチャーと呼ばれるチャコールのような副生成物を与える。熱分解は、リグノセルロースバイオマスをバイオ油に変換する最も安いプロセスでおますが、それでも経済的ではない。さらにこの価値を高めるために研究者らは、硬材のおがくずと鉄ミクロ粒子を混ぜ、それを20 mm直系のペレットにプレスしてグラファイトを作成した[1]。ペレットの真ん中に穴を開けて、それらを窒素雰囲気下600 °Cで加熱し、熱分解によってバイオチャーの塊を得た。ついでそれに金属の串を通し、赤外レーザーを照射しながら回転させた。その結果それらを、バッテリー化学者がポテトフレークグラファイトと呼ぶものに変換できた。しかもそれから作成したリチウムイオンバッテリーの電極は、現在石炭からつくられているそれと同等の性能を示した。バイオチャーで二倍のお茶をどうぞ。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 3, p. 8.

DOI: 10.1021/acssuschemeng.8b02799

18.9.25

| | コメント (0)

化学の経験則では

 典型元素はオクテット則に従い、遷移金属へは18電子則が適用される。即判断がし易い。それに対して今回典型元素であるカルシウム、ストロンチウム、バリウムが絶対零度付近ではd軌道を使って、一酸化炭素と18電子錯体を形成することが報告された[1]。これまでの研究でも重たいアルカリ土類金属では結合をつくる際にしばしばd軌道が関わるために、八電子則に従わない可能性が提唱されてきた。今回はCa, Sr, BaCO4 K、固体ネオンマトリックス中で反応させて、赤外吸収スペクトルで例えばBa(CO)8が確かめられた。それぞれのCO錯体でC-O結合に由来するピークは一本で、八つの分子が対称的に配位している。また通常のCOよりも低波長であることは、C-O結合が伸びていることを示している。これは金属の価殻のすぐ下にあるd軌道からの逆供与によるものであると考えられる。これらの元素では、d軌道エネルギーは原子価軌道のそれよりも少しだけ高く、結合形成に関与しうる。量子化学計算の結果もこれを支持していた。アルカリ土類が遷移金属の同類に。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 3, p. 8.

DOI:10.1126/science.aau0839

18.9.24

| | コメント (0)

電子タバコの使用が

 飛躍的に伸びると同時に、その化学研究も拡大している。手持ちのデバイスからは、ニコチンを含む液体から蒸気が発生する。大抵の研究はその変換に注目されていて、電子タバコの使用者の口内では、こうなるという研究はあまりなかった。その中質量分析によって、アルコールにさらされた後は口内では、反応性の高いカルボニル化合物が生成していることが明らかにされた。電子タバコの中にある液体に含まれるグリセロールあるいはプロピレングリコールも同様の化合物になる。研究では、5人の被験者のタバコを吸う前と吸った後の唾液を集めて分析された。喫煙後は、アクロレインとメチルグリオキサールのレベルが最大50倍に増えた。これらの化合物のDNAに対する影響も調査したところ、DNAへのアクロレイン付加物であるγ-ヒドロキシ-1,N2-プロパノデオキシグアノシンの量が増加していた。この研究は電子タバコがガンを引き起こすことを示すためではなく、電子タバコを吸うとどんな化合物にさらされるかを明らかにすることを目的としている。次は通常のタバコについても調査したいとしている。電子タバコから研究成果がでるし、でした。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 27, p. 9.

18.9.23

| | コメント (0)

蚊が媒介する

 マラリアや、ジカ、西ナイルを防ぐためには、蚊を制御する必要があって、WHOなどもその新しいツールを求めている[1]。その中、虫よけロウソクのように作用する新世代の蚊の忌避剤が報告された。シトロネラ油を含むろうそくは、放出された化合物によって近くに蚊は寄っては来ない。ただし油の中の分子は、お〜いるなあの期間は短く、素早く消えてしまい効果は短い。そこで研究者らは、植物油化合物のうちおよそ300の誘導体をつくり、分子量を増加させて、揮発性を抑え、浮遊できるようにした。モノテルペン、セスキテルペンから始め、イソ吉草酸のようなカルボン酸をアルコールに加えた。それらのうちもっともよかったのは、研究室の実験で、シトロネラと同様の効果があると同時にシトロネラでは2時間だったのが、それは5時間持続した。さらに化合物を研究し、野外での試験、毒性試験さらには、それらが蚊のアンテナにある受容体を活性化するかどうかも試験する必要がある。蚊取り線香が先行しているかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 27 p. 9.

18.9.22

| | コメント (0)

この夏

 汚染されたレタスによって引き起こされた大腸菌の大発生で5人の方が米国で犠牲になった。農家は灌漑用の水の検査を、認められた機関に一定の期間ごとでお願いすることが決められているが、その検査方法には1日以上を必要とする。これでは気が利かん。その中今回水の中の大腸菌株を半日以内に検出する高い感度のバクテリオファージを基にした技術が開発された[1]。バクテリオファージウイルスは、人にとっては害ではないけどバクテリアを破滅させる。ウイルスはファージ自身のDNAを発現するバクテリア内の過程をハイジャックする。検出のためにNanoLucと呼ばれるレポーター酵素が遺伝子に挿入された。これは大腸菌細胞によって発現すると発光する。さらにその酵素は、セルロースにバインドする部位と結合している。そこで研究者らは得られたバクテリオファージをセルロースペレットと大腸菌で汚染された水に加えた。その結果、バクテリアが発光酵素を発現した後、細胞は分解し、酵素が解放されてセルロースペレットに集まった。上澄み液を除去することでサンプルを濃縮、研究室の集計機あるいはカメラで解析したところ、三時間以内に100 mL当たりコロニーを形成する大腸菌の、10未満のユニットが検出された。自慢の感度である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 27, p. 8.

18.9.21

| | コメント (0)

量子力学の複雑さのために

 小さな分子でしか正確な特性を現在のコンピューターは計算することができない。そのため化学者は、力場法や、密度汎関数理論や、結合クラスター法singles, doublestriples技術CCSD(T)を開発し、分子のエネルギーや力場のような値を近似してきた。ただし例えばCCSDT)は正確だけど力場法に比べて時間がかかる。そこで機械学習を利用することが検討されている。CCSD(T)の正確さで力場法と同じ程度の時間を達成したことがACS学会で発表された[1]。研究者はそれをAccurate NeurAl networK engINe for Molecular Energies (ANAKIN-ME)と呼んでいる。このアナキンめの三代目であるAN1-1ccxでは、原子の位置と数だけで分子のエネルギーと力場を予測できる。それは医薬品候補のある部分の分子内回転エネルギーを予測しようとした時に、CCSD(T)から得られる結果と0.5 kca/mol以内の違いだった。それを2μ秒で完了させている。現状では、水素、炭素、窒素、酸素を含む分子のみが対象であるが、今後の展開ではDFTより有用になり得る。それでも開郭系や遷移状態については困難を伴うかもしれないとしている。アナキン、次はルークか、軽〜くはわからない。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 27, p. 7.

18.9.20

| | コメント (0)

軍の研究者らは

 廃棄されたPETや他の廃棄プラスチックを3-Dプリンターのための原料成分に変換する方法について研究を行ってきた。その成果がACS学会で発表された[1]。多くの兵士が、自分のリュックやベルトにフィットして、水筒をひっかけるのに適したクリップを印刷したいと話しているという。それらをつくるためには、直径1.75 mmのフィラメントを加熱、溶けたプラスチックの層ごとに、期待のパターンに加工する。ただしそのフィラメントを、使用済みPETからつくるのは簡単ではない。ポリマーは脆くなり、湿気に対して敏感で、加水分解を受ける。そこでPETを化学的に修飾することも考えられるが、これでは僻地にいる兵士に、平気で供給することは難しい。ここでのポイントはPETの洗浄と乾燥であり、最良の方法は、細かく刻み、融解させて、洗練された押出し機で、フィラメントにすることである。そこで装置一式が設計されて、例えば10個の水のボトルから得たプラスチックから、ラジオを自動車に引っ掛ける道具が3-Dプリンターで作成された。それは市販で手に入るものと同様の耐久性もあった。使えるフィラメントを貯めんといかんです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 27, p. 6.

DOI:10.1016/j.addma.2018.03.007

18.9.19

| | コメント (0)

宇宙に

 複雑な有機分子の原料を探すため研究者らは、氷の炭化水素に注目していた[1]。それらは、星間宇宙や太陽系、例えば土星の衛星であるタイタンにいたりんする。実験研究者らは、イオン放射によって発生する高エネルギー電子が、これらの氷で、複雑な有機分子の形成を引き起こしうることを示していた。ただしそれらが氷の中か、表面かあるいは近くの気体の中であるかが確かでなく、効率的でなかった。その中チューニングできるレーザーが使われて、星間条件を模した実験室で、低分子炭化水素分子が、メタンの氷の中で、見えたんことが、ACSの学会で発表された。超真空5.5 Kに氷メタンを保持し、室温まで昇温した。氷から昇華してくる異性体を選択的にレーザーでイオン化し、FTIRやリフレクトロンTOFマスで分析したところ、メチルアセチレン、プロペン、1,3-ブタジエンとビニルアセチレンが同定された。これらは多環芳香族化合物前駆体であり、生体分子の構造モチーフでもある。星間宇宙の反応の正解に向けて進んでいる。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 27, p. 5.

18.9.18

| | コメント (0)

二重結合を形成する反応は通常

 異性体混合物を与える。これを不斉還元すると分離できない異性体が得られてしまう。不斉還元で、これを防いで見たいと研究者らは、生物と工業的に利用される触媒を組み合せた戦略的なペアリングを考案し、高収率・高選択的な反応を達成した[1]。すなわちエンリダクターゼと呼ばれる酵素と光触媒の組合せであり、これらを単独で用いるよりも効果的である。それらは水中で安定な触媒中間体も発生させることができることから生体適合性もある。ここで光触媒は、二つのアルケンを相互変換し、待ちの体制の酵素は片方の異性体を選択的に還元し、キラル生成物が導かれる。さらにこの組合せプロセスは、酵素と反応しない片方のアルケン異性体を還元することもできる。研究者らはこの系の仮の特許権を申請した。なお現状では、芳香環を有する基質が必要であり、また基質濃度は、工業プロセスで必要とされるそれよりも低くなくてはいけない。ただし低濃度でも性能は高い。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 20, p. 12.

DOI: 10.1038/ s41586-018-0413-7

18.9.17

| | コメント (0)

サソリの毒は

 相当な痛みを引き起こす。さらにそれは多くの新規な生理活性化合物を含んでいる。大抵はポリペプチドであるが、今回初めて、サソリの化合物カクテルからアルカロイドが同定された[1]。メキシコ産と明記されたサソリの毒を集めて、研究者らは分析を行った。その結果、C16H19N3O4の化学式を持つアルカロイドであった。またそれはヒスタミンとバニリン前駆体から収率73%で合成された。これまで同定されているサソリの毒成分1000くらいのほとんどがペプチドあるいはタンパク質であるために、今回のそれは珍しいタイプであるが、その役割は明らかではない。実験室にいるコオロギでアルカロイドを試したところ、認められる変化はなく、それは人に対しても無毒だった。また新しいアルカロイドは、血圧を下げる効果のある植物からの抽出物であるフェルロイルヒスタミンと化学的には類似であることから、さらに研究する価値もある。ここのヒスタミンは痛みんを伴わない。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 20, p. 12.

DOI: 10.1038/nbt.4222

18.9.16

| | コメント (0)

フェニールケトン症(PKU)の人は

アミノ酸であるフェニルアラニンを分解するための酵素が不足している。フェニルアラニンが脳の中で合成されると、それはかなりな神経損傷を引き起こすために、PKUの人は、肉、魚、ミルクや卵の中に見られる多くのアミノ酸を消費できない。現状の治療方法は、食事制限を伴うが、副作用も大きい。その中SYNB1618と呼ばれる遺伝子工学的に修飾されたバクテリアを使ったPKU治療法が提案された[1]。現在それはフェーズI臨床試験中である。SYNB1618、審美的かな、は、胃腸の中でコロニーを作らない大腸菌Nissleのバクテリア株からつくられる。それは二つの経路でフェニルアラニンを分解する。一つは、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)がフェニルアラニンをトランスシンナメートに変換する。もう一つはL-アミノ酸デアミナーゼ(LAAD)がフェニルピルビン酸を生産する。研究者らは、フェニルアラニン代謝酵素のないネズミにフェニルアラニンを投与し、ついでSYNB1618を与えた。その結果、処置をしない場合に比べて38%フェニルアラニンが少なかった。猿でも同様の効果が見られ、重水素化フェニルアラニンが分解した。去る者は追わず。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 13/20, p. 12.

DOI: 10.1038/nbt.4222

18.9.15

| | コメント (0)

数トンもある象は

 60-70年の寿命があり、ほとんどガンに罹患しない生き物である。これは寿命の長い動物では一般にガンのリスクが上がる状況とは違っている。象の謎うである。そのため研究者らは、象の秘密を明らかにして、人のガン治療のヒントも得たいとしてきた。その中今回象がガンに対して抵抗する方法の一つは、腫瘍の抑圧遺伝子を獲得していることであることがわかった[1]。白血病抑圧因子6(LIF6)と呼ばれるこれらの遺伝子の一つが、象のゲノムと他のかなり類似の種のそれを比較することで明らかにされた。培養した象の細胞の中のDNAが損傷すると、以前に同定されていた抑圧遺伝子であるTP53LIF6をオンにし、細胞のミトコンドリアの膜で、タンパク質に孔ができて、細胞死を引き起こす。すなわち象は、リスクが蓄積されるDNAダメージを修繕する代わりに、わずかな損傷が検出されるとただちに遺伝回路がガンになる徴候のある細胞を殺すために、ガンになるリスクが抑えされていると結論づけられた。抑圧遺伝子ってよくある遺伝子でしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 13/20, p. 10.

DOI: 10.1016/j.celrep.2018.07.042

18.9.14

| | コメント (0)

リチウムイオウバッテリーは

 リチウムイオンバッテリーと比較して重さ当り5倍のエネルギーを原理的には供給することができる。ただし実際には、電極と電解液の間の起きて欲しくない反応が進行し、電極が変化し、エネルギー貯蔵が減少、バッテリーの寿命も短くなってしまう。多くの研究者らは電極を改良することによって、この難局を乗り切ろうとしてきたがここでは、先の破壊的な反応とバッテリーの崩壊を抑えることができるカスタマイズした電解液が設計された[1]Li-Sバッテリーの化学ではリチウムポリスルフィドが悪者になる。これが電解液に溶けて、カソードとアノードの間を行き来し、電気化学的に活性なカソード材料が失われて、アノードも腐食する。そこで研究者らは、ポリスルフィドをほとんど溶かさない、ジグライムとリチウム塩を含む電解液を設計した。得られた電解液は、100回以上の安定的な充電を可能にした。またこの電解液は、アノードへのスムーズなリチウムの析出を促進し、リチウムデンドライトがでんようにも作用した。この電解液、でっかい液の容器で出荷される日が来るかも。

[1] Chemical & Engineering News 2018 August 13/20, p. 7.

DOI: 10.1038/s41560-018-0214-0

18. 9.13

| | コメント (0)

原子や分子の

 構造や電子特性が、も〜出るかと、モデル化したい時に化学者はしばしば密度汎関数法(DFT)を採用する。DFTが失敗した時には、coupled cluster (CC)Moller-Plesset perturbation (MP2)によるアプローチを行う。これらはより信頼性の高い値を示してくれるが、DFTに比べて数千倍の時間を小さな分子でも必要とする。それに対して今回研究者らは、機械学習が精度の点ではCCMP2に匹敵し、コストの点ではDFTなみであることを報告した[1]。まずは一連の小さな分子の局在化分子軌道のアルゴリズムを教え込んだ。分子軌道は結合や原子で実在するかどうかがわからないため、新しいアルゴリズムはわずかなデータのセットで多くの異なる分子の特性を予測しうると、研究者は述べている。例えば水の分子軌道についてのアルゴリズムを教え込むと、アンモニア、メタン、フッ化水素の相関エネルギーも予測できる。メタンではアルゴリズム値は、CCによって作成したそれと比較するとその違いは0.24%であり、三つの中では最も不正確であった。さらに六つの水分子のクラスターのアルゴリズム計算は、CCでは28 時間だったのが、機械学習を利用すると2分だった。これらの系を誰もが使えるようにするには長い道のりであるものの、素晴らしいアイデアでこの先有望であるとコメントされている。新しいアイデアもおいでや、である。

[1] Chemical & Engineering News 2018 August 13/20, p. 7.

DOI:10.1021/acs.jctc.8b00636

18.9.12

| | コメント (0)

古代エジプトでは

 死体をミイラにして、あの世の未来ために準備していた。ただしこの儀式の起源は未だに謎である。その中研究者らは、有史以前の損傷を受けていないミイラから防腐処理のための化合物を取り出して分析を行った[1]BC3500-3700年頃であると推定されていて、防腐処理された最も古い体であり、ファラオがこの地域を統一して国民国家を樹立するよりはるか昔のことである。エジプトでミイラにするためには、まず死体から内臓を取り出し、塩の混合物で体を乾燥させて、植物の抽出物の香油やオイルさらには樹脂で浸した衣服で覆う必要がある。これまではその時代のミイラは砂漠の砂に埋めて保存されていたと考えられていたが、今回の分析は、ゴマ油、フェノール酸、ポリサッカリド、デヒドロアビエチン酸や他の針葉樹の樹脂から得られるジテルペンを含んでいることを示していた。これらはエジプト3000年の歴史で発見される成分とほぼ同等である。また針葉樹の樹脂を調達できる最も近い地域は、現在のイスラエルやパレスチナであり、BC3500年頃までには、それらの地域の交易が確立されていた可能性も示されている。ミイラに魅入られましたか。

[1] Chemical & Engineering News 2018 August 13/20, p. 6.

DOI: 10.1016/j.jas.2018.07.011

18.9.11

| | コメント (0)

酸化鉄ナノ粒子の

 口内洗浄液で口内を洗浄すると歯医者さんに通う回数を減らすことができるかもしれない。ぜひこうないりたい。さらに今回のネズミで行れた実験では、その口内洗浄液は、新しい虫歯ができるのを抑え、歯で成長するバクテリアの破壊的なバイオフィルムを阻害しうることも示された[1]。研究者らは、カルボキシメチルデキストランでコートされた酸化鉄ナノ粒子からなるフェルモキシトールとして知られている製剤を使った。これは鉄不足を処置するためにFDAで承認されている製剤であるが、それが過酸化水素を分解し、ヒドロキシルラジカルを発生させることができるために、バイオフィルム阻害の可能性が考えられた。三週間の間に二回その溶液と過酸化水素を使い、子供の虫歯と類似の歯に穴があるネズミの口を洗浄した。これによって口内にある損傷の進展や健康な歯に対するダメージも抑えられた。今後は、健康なバイオフィルムに対する薬剤の影響も明らかにされたいとしている。無視はできない虫歯対策の大作になればいいです。

[1] Chemical & Engineering News 2018 August 6, p. 11.

DOI: 10.1038/s41467- 018-05342-x

18.9.10

| | コメント (0)

アレン骨格では

 二つの二重結合が三つの炭素原子でつくられていて、官能基の中では風変わりである。そのアレンを環内に押し込むとそれは、わかんないくらい異常になる。それに対して研究者らは、アザ環状アレンが有用な合成ユニットであることを示すことにより、このアレンの評判が変わることを期待した[1]。まず温和な条件でCsFを加えるとアザ環状アレンが容易に発生するシリルトリフラート前駆体が合成された。従来の方法ではかなり過酷な条件で、収率も低かったのとは対照的である。このアザ環状アレンはジエンとDiels-Alder反応を引き起こす。コンピューター科学による研究では、この反応の遷移状態は、置換基がどの二重結合が反応するかを制御していることを示していた。また得られるピペリジンは医薬品分子で見られる骨格であり、それが三つの立体中心を持ち、ジアステレオ選択性も高い。さらに研究者らは、[3+2][2+2]の環化反応も行なっている。アレンの可憐な反応です。

[1] Chemical & Engineering News 2018 August 6, p. 10.

DOI: 10.1038/ s41557-018-0080-1

18.9.9

| | コメント (0)

珪藻類と呼ばれている

 光合成でできる藻は、深海の体積中の水銀をトラップできることが報告された[1]。これらの珪藻類が豊富な分泌物は、過去150年の間の人的活動によって大気に放出された毒性金属の20%を貯蔵している可能性がある。揮発性の金属として水銀は、簡単に大気に、期待されていなくても、噴火した火山や石炭燃焼から、放出される。それらのある程度の量の水銀が大洋に溶ける。ついで大洋に入った水銀のかなりの量を、珪藻類が吸着し、微生物が死んだ時には海底にそれらを放出する。研究者らは、南極近くの南太平洋の海底から得た堆積物の中の珪藻類の分泌物をサンプリングし、海洋環境で最も多くの水銀を堆積している場所を見つけることができた。それによれば人的活動による汚染が始まった1850年から22000から84000トンの水銀を珪藻類が堆積していたことが類推された。もしそうだとしたら、人類が大気に放出したとされる水銀の量は、低く見積もり過ぎている可能性もある。珪藻類、なんかいけそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 6, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aat2735

18.9.8

| | コメント (0)

アンチセンス薬の多くは

 チオリン酸で連結されたヌクレオシドからなっている。このリン原子上の立体化学を制御できると、不活性な異性体の数を減らすことができる。そのためにこれまでは主にP(III)反応剤が使われていた。それに対してここでは、P(V)を使って高いジアステレオ選択性を示す反応剤が開発された[1]P(V)反応剤はP(III)反応剤よりも反応性は低いけれども、手間のかかる保護、脱保護は無用である。保護を反故にできる。研究者らはリモネンオキシドから一段階でP(V)反応剤を合成した。それがキラル場として利用可能である。これによって様々なジヌクレオシド、オリゴヌクレオチドや環状ジヌクレオチドも合成し、それらは抗がん剤としての可能性もある。しかも従来のP(III)反応剤では四つのジアステレオマーを与えていたが、今回のP(V)反応剤は高い立体選択性を示した。今回開発されたP(V)反応剤はまもなくMilliporeSigmaから販売される予定である。P(V)・リンゴ反応剤ができた。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 6, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aau3369

18.9.7

| | コメント (0)

多く化学が

 C-H結合を駆り立て、ある種の反応に抵抗する脂肪族のそれも反応させる系が開発されてきた。そのエントリーとして今回、二重触媒反応が、扱いにくいC-H結合を持つ脂肪族化合物を活性化できて臭化アリールを組み込むことができることが報告された[1]。この反応は、医薬品化学者が、化合物にひねりを加えて、特性を向上させたり、一連の類似化合物を提供し、構造修飾と活性の相関を解明することも可能にする。反応では、光が誘導するポリオキソメタレートが促進する水素原子移動反応とニッケル触媒が組み合わさっている。デカタングステン触媒が炭素中心ラジカルを中性のC-H結合から発生させて、これらが求核剤として、Niが媒介する臭化アリールとのクロスカップリング反応を達成し、C(sp3)-C(sp2)結合を連結している。どの部分のC-H結合が開裂するかの都合は、95%の精度で予測可能である。安定なラジカルが発生しこれがニッケルに結合している。ニッケルで行ける反応です。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 6, p. 7.

DOI: 10.1038/s41586-018-0366-x

18.9.6

| | コメント (0)

午後4時前

 電気が切れた。用事はなくて台風接近で自宅にいた。しばらくすると復帰するだろうと思いつつ、何をして良いやら途方にくれる。日も暮れてきた。すでに1時間余り。断水にガスもストップするかもしれないと、湯を沸かして水を鍋などに入れた。そのうちの一つで調理して夕食をいただく。とはいえすでに暗闇状態。家に四つある懐中電灯のうち二つは点灯した。転倒しないように足下を照らしながら移動。そう言えば昔々、誕生日のお祝いにケーキを買って、もらったロウソクがあったはずとそれらを取り出した。但しケーキに差し込む方式である。ここでローソン行ってケーキ購入とはいかない。平たい器にロウソクのロウを垂らす。それが固まる前にロウソクを立てた。周辺がほのかに明るくなる。数分は灯りを授けてくれる。数本つけても全体が明るくなるわけではない、数カ所に立てて食事、なんだか怪しげ。その中の一本を見ながら、マイケル・ファラデー著「ロウソクの科学」を読んだ時のことが蘇ってきた。一通りの日常の用事を済ませても電気は復帰せず朝を迎えた。電気がないと何も出来ん、ことも実感した。

18.9.5

| | コメント (0)

ジオキサンは

 工業的に塩素化溶媒を安定化させるために利用される。またある種の界面活性剤を製造する過程では副生成物として得られる。通常の処理方法でジオキサンは処理できないために別の方法を採用しているが、それには数十億ドルの経費がかかる。その中新しい生物学的な処理方法が探索されてきた。ただしそこでの課題はジオキサンが1,1-ジクロロエチレン(1,1-DCE)を含んでいることであるが、1,2-DCEはバクテリアの活動を抑えてしまう。さらに微生物はプロパンを主な食べ物とするために、汚染物質だけを標的とさせるためにはその濃度が高い必要があるが、ジオキサンはppbレベルで、ラベルもできない。その中今回単離されたDD4バクテリアは、汚染地下水の中の1,2-DCEとジオキサンの両方を繰り返し分解し、米国で決められた改善値を満たす低いレベルまで分解が繰り返される[1]。さらにそのバクテリアは、二鉄モノオキシゲナーゼ(SDIMO)として分類されている酵素をエンコードしている遺伝子を隠し持っていた。それは、汚染物の酸化過程の最初の段階と関連している可能性がある。「これがジオキサン処理の常識さん」になるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 August 6, p. 6.

DOI: 10.1021/acs.estlett.8b00312

18.9.4

| | コメント (0)

C-H活性化

 と呼ばれている炭素水素結合を別の官能基で置き換える反応が、この数年で相当増えていて、化学空間の隅々まで拡大している感がある。ただし軽い炭化水素を活性化する一般的な方法には未だにたどり着いていない。それはメタンやエタンのような気体状分子は大抵の溶媒には溶けないこと、悪名高い不活性なC-H結合を含んでいるためであり、高圧高温で化合物を遷移金属錯体と反応させてきた。今回研究者らは光触媒を活用して大気中で、待機することもなく、軽量アルカンのC-H官能基化を促進することに成功した[1]。ただしメタンの場合には、幾分高い圧力を必要とする。触媒は安いセリウム触媒を使い、青色LEDで駆動する水素原子移動触媒を使い、軽量アルカンからシクロヘキサンまでのC-Hアミノ化、アルキル化、アリール化が行われている。この系は経済的な方法であり、化学原料であるアルカンを製品にアップグレードできている。さらに研究者らはShellと共同で、価値のある変換を開発中であり、10マイクロメートルの連続フローを開発し、スケールアップしうることも示している。軽量アルカンの活性化法、昔はあるんか だった。敬老の日も近い。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 30, p. 13.

DOI: 10.1126/science.aat9750

18.9.3

| | コメント (0)

火星の

 南極近くのレーダーのイメージは、氷のおよそ1.5 km下に液体水があることを示していた[1]。イタリアの天体物理学の研究所に所属する研究者らは、マーズエクスプレス火星探査機に搭載されているレーダー装置を使って、火星の南の氷冠の下で、随分と反射する10 kmの広さの領域を観測した。地球で観測される同様の現象は液体水である。まず研究者らは、30年以上前に火星の氷冠の下では、湖が生み出されたのではないかと考えた。以前の類推では氷冠の下の温度は-68 °C以下だった。ついで研究者らは、火星の土壌には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムの過塩素酸塩があって、これが湖を塩水として、液体として保持されていると提唱している。水あるいは氷は生命の生息領域である可能性もある。また類似の湖は火星の他の地域にも存在しうる。今回の発見は、惑星化学分野やそれを超えた分野にとって、有望で重要な火星に関する成果である。正解でありますように

[1] Chemical & Engineering News, 2018 July 30, p. 12.

DOI: 10.1126/science.aar7268

18.9.2

| | コメント (0)

東京湾ディナークルーズ

 豪華客船が埠頭を離れた。委員長の挨拶の後、かつての委員長先生だった方の乾杯でパーティーも始まった。ここで次回ISOCS-29の開催地が発表された。カナダ・オンタリオ州、ゲルフ、委員長はAdrian L. Schwan先生、ドリアンをサーブされるかどうかは知らない。デトロイト・タイガースファンである。紹介が終わった後バイキングに集まる参加者、コンファレンス会場に集っていた人の数よりも多くの方々がお見えになるらしい。暫くして沖合に出る。気合いを入れて船室から最上階ノオープンデッキに上がった。お台場にも見どころはだいぶある。輸出入を請け負うEvergreenの倉庫や船着場が見える。湿気を涼風がわずかに打ち消す。先にはレインボーブリッジが見えてきた。その下をくぐるらしい。カメラで切り取ろうとするも、シャッタースピードが自動調整で、露光時間が長くなる。脇をしめてもう一度、再び港のライトが線状になる。船上では至難の技だった。船がブリッジの下を通る。頑丈な建造物を実感しつつ、レインボーの下で何かが起きたという陰謀もなく、しばらくして船は日の出埠頭に戻った。次の日4人の講演も無事完了して、ISOCS-28は成功裏に閉会した。委員長はじめスタッフの方々には大変お世話になりました。

18.9.1

| | コメント (0)

« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »