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2018年10月

羽田空港から

 ANA便でクアラ・ルンプールへ。午前05分。スナックと白ワインでお休みモード。幸いにして三人かけの座席に乗客は自分一人、ゴロリと横に、初めての体験である。なんだか機内が明るくなって来た。起きないといけないのか。時計は現地時刻3:50を示している。朝食らしい。これで調子を整える。オムレツとマフィン、オレンジジュース。アイスコーヒーはないとのこと。免税品の販売を尻目に、目の前のスクリーンでゲームを楽しむ。残り1時間半ほどで国際空港に着陸。併せて検疫局かどこかの指示で機内の消毒をする。衝動的ではない、予定通りの様子。要するに消毒のエアロゾルを噴霧するらしい。口をカバーするためにハンカチなどを用意して下さいとのこと。自分にとってはこれも初体験、その正体なるや。客室乗務員の方々がスプレー缶を持って来られた。乗客は持ち込み禁止のアイテムである。前方の座席の棚の辺りまで手をいっぱいに伸ばして、全てを消費するかのような勢いで、噴霧されている。確かにかすかな臭いがしたけどハナリシスは果たせなかった。飛行機からボーディングブリッジを渡って空港内へ。ここは変わらぬ匂いだった。

18.10.31

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羽田まで陸路

 トランクありだったので新幹線A席を予約、その時点ではC席のみが予約ずみ。翌日乗車。B席にだけ乗客がお見えになった。トランクを荷台にと思ったけど、そこにはスーツを入れる、スーツケースならぬ鞄あり。頑張って足下に置いた。おいたもできないほど狭い。発車してもC席に人は来ず。B席の若者にお願いしようか。なんだか自己紹介を書かれている。前の客人がリクライニングを横にしようとするも、トランクで引っかかっている。このやむなしの状況に、虚しさも感じつつ、品川までかと諦めていた。「列車は時刻通りに小田原駅を通過、新横浜まで14分」で、そこで降りる乗客のふりをして脱出することができた。京浜急行品川駅の夜、2分から3分ごとに列車が入る。駅員さんが、一段高いところから安全、乗降客の様子を見つつアナウンスしながらお願いもする。家路を急ぐ人、空港に向かう人。羽田空港国際線ターミナルに到着。異国情緒満載。20121119日以来の羽田発の深夜便。機内では何にもしんやになるでしょうか。

18.10.30

 

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フレンチドレッシングは

 エマルジョンのイメージキャラクターである。ある流体の液滴が、見えない二番目の流体に広がる。さらに液滴の中に液滴がある二重エマルジョンは、素敵で、化粧品や医薬品のマイクロ包装分野への応用も可能である。そこで研究者らは、溶媒の蒸発を使って複雑なエマルジョンを巧みに操る新しい方法を開発した[1]。まずポリビニルアルコール(PVA)の水溶液の数滴が、ジクロロメタン溶液に溶解した二つのポリマーの混合物に入れられた。ついでそれらの内側の液体と同一のPVA溶液(バス)に二重層の液滴を入れた。ポリマー層の中の溶液が徐々にバスに拡散し蒸発して行き、ポリマー二重層が薄くなって行き、最後には硬い殻に固化していった。バスの中で溶液の濃度の勾配があれば、この振る舞いが非対称的に起こり、それが内側の流体を、ポリマー殻の中で流れ液滴を変形させる。バスの中の浸透圧と溶媒の濃度勾配を調整することで、複雑な液滴の形の変化を制御することができる。この成果は、液滴の曲率がレンズの特性に影響を与える光学素子や、溶液中での分析物勾配のリポータとして応用可能である。エマルジョンから、新材料が生まれるジョン。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 8, p. 6.

DOI: 10.1021/acsami.8b13216

18.10.29

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従業員に

 会社のお金を横領されて、動揺しつつも、同僚とともに資金繰りに奔走する熊吾[1]。期限に返すべきお金がない。妻の房江、へそくりからだと半分を用意した。それで残り半分の返済を待ってもらって、了解してもらったつもりが、貸主の母親が突然現れる。陰湿な言葉を房江に浴びせる母親。別の会社を売却した熊吾、そのお金を渡した房江、その時「事業のためのお金ではなくて、女に貢ぐための金だ」と伝えられて、「驚き、嫉妬、悲しみ、諦め」色々な思いが房江の頭を覆う。旧知が住む城崎、鰻重、松茸ご飯、満月に安らぐ。数週間後再び城崎へ、満腹になるほど鰻重を食べて、旧知の家で、日本酒と睡眠薬を取り出した。意識がなくなって気がついたら病院のベットの上だった。「家には戻って来ないで」と怒りを伝えた熊吾もそこにいた。城崎から豊岡まで救急車で運ばれたらしい。その道が渋滞でなかったこと、満腹で睡眠薬とお酒を入れたこと、看護婦が胃の洗浄の経験があったこと、などか重なって奇跡的に一命を取り留めた。柔和な言葉で状況を伝えた医師。大阪に戻って自らホテルの従業員として働くことを決意した。一方で熊吾、糖尿病に歯槽膿漏、総入れ歯にした方がいいと言われる。その中、知合いたちが始めた事業も助け、関西中古車業連合会もやり繰りする。高校三年生になった伸仁、大学卒業までは支えたい。従業員の青年らの大学進学、教えれんけど、支援したい。

[1] 宮本 輝著「長流の畔 流転の海 第八部」(新潮文庫)

18.10.28

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リソソームでの

 過剰な脂質形成は、アテローム性動脈硬化を含む多くの疾病と関連がある。ただし、そのような蓄積の検出は診断としては有効だけれども、容易ではない。その中今回、げっ歯類で起こるこのタイプの脂質の蓄積を感知するナノチューブが開発された[1]。ナノセンサーは、DNAと連結したある特別な単層カーボンナノチューブからなる。それを注入すると、ナノセンサーは肝臓まで到達し、そこである特殊な種類の白血球の中のリソソ—ムに入る。ここには総務係はいないものの、脂質にバインドすると、ナノチューブの蛍光が短波長にシフトする。測定は生きた細胞の中で非侵襲的である。遺伝子的改変によってニーマン・ピック病、アテローム性動脈硬化や非アルコール性脂肪肝(NAFLD)を模倣した疾病になったネズミで、脂質蓄積を検出するためにそのナノセンサーが使われた。これらの疾病は全て異常な脂質貯蔵と関連している。その結果、高脂肪や糖分の多い食事をしたNAFLDに罹患したネズミの白血球リソソームでは、継続的な脂質増加が見られた。それは通常の食事に戻しても継続していた。このことから、健康に悪い食事が肝臓に対して長期間影響を及ぼすことは、人でも同様であると提唱されている。ナノセンサーが、それは何のせいか、を教えている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 8, p. 5.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aar2680

18.10.27

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植物の

 糖鎖のレベルが低いとき、植物は、エネルギーを必要とする脂肪酸合成の活動を低下させる。一方で、バイオ燃料の生産で人は、植物を手なづけてより多くの脂肪酸や脂を製造してほしい。その中今回、植物の脂合成のスイッチを制御する分子が報告された[1]。天然にある植物は、糖鎖レベルの低下で、脂生産のスイッチをオンにするWRINKLeD1と呼ばれる転写因子を崩壊させる。一方で糖鎖レベルが高いとその転写因子は安定で、脂生産を向上させることができて、危なくもない。生化学分析と変異体植物を使って研究者らは、トレハロース6-ホスフェート(T6P)と呼ばれる低分子が、糖鎖のレベルと脂生産のバランスをとるシグナルであることを見つけた。糖鎖レベルが高くて、T6Pレベルも高いと、T6Pは、糖鎖センサータンパク質が、崩壊のために転写因子にタグ付けされるのを防いでいる。この機構をさらに理解していくと、研究者らは、植物の脂生産と糖鎖レベルを切り離すことも可能になり、糖鎖とは独立でバイオ燃料が製造されるようになる。糖鎖、父さんにも伝えてね。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 9.

DOI: 10.1105/tpc.18.00521

18.10.26

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地下鉄東山線

 混雑するホーム、東向きの列車を待つ人は相当に多くて長蛇の列。この場が貴重だと自分の場所を確保。はて今日は向きが逆だった。慌てて人混みの中を掻い潜って移動。こちらは空いた車両、目的駅に到着、「目的の高校は出口を出て右に」とある。15分程度という地図の説明。歩けども高校は見えない。冷や汗か、心地よい汗かわからない中、今日もカバの汗の話もする予定。指定された待ち時間が近い。ようやく運動場が視界に入った。オンタイムで待合の会議室に到着した。二年生対象に40名以上の先生方がいわゆる出前講義をする。確かな腕前の方も多いに違いない。教室に案内された。工学(情報)とある。はて化学のはずである。「色・香・情報を分子がつくる分子模型でも遊んでみよう」というタイトルの中、情報に注目された様子。生徒たちに聞くと、化学じゃなくて情報工学を聞くつもりだったらしい。これまでの常法は使えない、と言えども持ちネタがなくていつものお話。それでも皆さんには熱心に聞いていただいた。最後に見送ってもらった学生さん、カバンを引きながら、カバの話面白かったですと、誰かのミスを、カバーしてくれた。

18.10.25

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二重芳香属性

 1988年には、ホウ素を含む化合物でその性質を有するものが予測され[1]、同じ年、ヘキサヨードベンゼンジカチオンがσ芳香属性を持つことが報告された[2]。ただしその後その分子は本当にジカチオンであるか疑問が投げかけられた。この結果に刺激を受けた日本の研究者らは、ヘキサキス(フェニルセレネニル)ベンゼンジカチオンを合成した[3]。セレン原子がベンゼン環のそれぞれの炭素に結合している。ここではセレン原子の大きなサイズが六原子に由来するσ軌道の重なりを許容し、芳香属性が生まれると説明されている。さらにセレン原子上のフェニル基によって、セレン原子同士がお互いに近づきすぎるのを避け、電荷密度を分子に供与し、酸化を容易にしている。二電子酸化により、内側の六電子は炭素のπ軌道に残り、外には出んし、環外のセレン原子のσ軌道が12から10電子になって4n+2を満たしている。X線構造解析では炭素—炭素結合はほぼ同一で、C-Se結合は二重結合ほど短くないものの0.1 Åの範囲内で分子は高い対称性を示しているが、芳香族性は否定される。13C NMR分析から、ジカチオンの陽電荷は炭素とセレンの軌道環に非局在化し、これがσとπの二重芳香属性を支持している。

セレンをセレクトで洗練された成果が生まれた。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 15, p. 8.

[2] DOI: 10.1021/ja00225a038

[3] DOI:10.1002/chem.201102960

18.10.24

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非無作為化臨床試験で

 研究者らは、嚢胞性線維症の人で一般に見られる慢性感染症の治療にガリウムが使えるかもしれないというヒントを得た[1]。テストは、プラシーボ制御は行っていないけれども、疾病に伴う日和見感染症の患者さん20名に、硝酸ガリウムを静脈から投与した。その結果、ガリウム治療は耐性もあり、安全性に関する懸念もなかった。さらに患者さんの肺の機能は向上し、処置の後ガリウムは100時間以上残っていた。研究者らによれば、ガリウムは原子としては鉄に類似だけれども、酸化・還元反応に参加することはできない。そのためバクテリアの鉄に依存した代謝過程を混乱させ、細胞を効果的に餓死させているように思われる。抗生物質は通常、成長や複製の経路を標的にしているために、感染を抑えるために代謝過程を利用することは幾分例外的である。それでも様々な細菌の耐性菌が増えるとともに、別のバクテリアの過程を標的として探索する必要もある。またガリウムはすでに米国FDAで承認されていることから、無作為プラシーボ制御の臨床試験がすでに始められている。頑張り生むガリウムである。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 9.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aat7520

18.10.23

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静岡大学の

 キャンパスで見られる菌環の中に、かなり高く成長した草があるがそれを促す分子が単離された[1]。環をつくるきのこはコムラサキシメジで、分子は、2-アザハイポキサンチン(AHX)である。研究者はさらにAHXの試験をするとともに合成も行い、それが成長ホルモンであることを提唱している[2]。これらのフェアリー化合物が植物の中でどのように作用するのかを研究するために、共同研究によって、化合物の誘導体化が行われた。すなわちPdCu触媒を使って、AHXにあるC-H結合だけを活性化し、八つのアリール化AHX類縁体が合成された[1]。ついで新しい化合物が入った溶液に発芽した米の種子を一週間浸した。その結果、天然のAHXよりも全てのアリール化類縁体は、より強い成長を促した。例えばフェニル化AHXの中で育ったイネ根はAHXだけで育ったイネ根のおよそ1.5倍で、イイネである。ある企業の試験ではAHXで米や麦を育てたところ10-20%生産量が増加した。そのため研究者は、AHX誘導体では、さらに増加が見込まれ、それは高いポテンシャルがあると考えている。また今回の結果はC-H官能基化が、医薬品だけではなくて農業分野の化成品にもインパクトを与えることを示していた。ちなみにコムラサキシメジは、ジメジメしたところで成長するのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 7. DOI: 10.1002/cbic.201000112

[2] DOI: 10.1080/09168451.2018.1445523

[3] DOI: 10.1021/acs.orglett.8b02407

18.10.22

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電気自動車や

 小型エレクトロニクスのバッテリーのカソードに利用されるリチウムコバルト材料と比べて、リチウム鉄リン酸塩は、より安価で安全、1000回くらいの充電ができる。この寿命はさらに長くなり、数万回も可能である。ただしバッテリーが放電している間、リチウムイオンが電解質からリチウム鉄リン酸塩カソードに移動すると、イオンは材料のホットスポットに集まる傾向があって、リチウムイオンが豊富あるいは少ない場所ができてしまう。これによって材料は時間を経過するごとにバラバラになって、バラ色でなくなる。その中X線回折や顕微鏡によってイオンの動きが明らかにされた[1]。これまでイオンは、素早く、リチウム鉄リン酸塩に、材料と電解質の間の界面の垂直方向に向かって、拡散すると考えられて来た。一方で今回の解析は、イオンはまず、材料の表面に入って動き、リチウムのホットスポットに到達したら、中に入り込むことを示していた。この研究では、稼働している条件での、材料をX線で探索できたことから、他の関連する材料へも拡大できそうである、と書くんだい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 6.

DOI: 10.1038/s41563-018-0168-4

18.10.21

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珪藻類である

 微細藻類が花を咲かせる場合に、時にはかなりの神経毒を示すドーモイ酸を生産することがある。ど〜もいかんです。ただし全ての珪藻類が毒を生産するわけではなく、どの花が毒を作るのかを予測することは難しい。その中今回、ドーモイ酸を生産する酵素が、ある種の珪藻類で同定された[1]。研究者らは、ドーモイ酸生産を刺激することで知られている条件下、より高い活性を持つ遺伝子を同定した。すなわち最も可能性のある候補として、四つの遺伝子が挙げられた。これらのうちの一つは、ゲラニルピロホスフェートによるL-グルタミン酸のN—プレニル化を触媒する酵素をエンコードする。別の二つはグルタミン酸誘導体を酸化し環化させる酵素をエンコードしている。ただし研究者らは最後の神経毒への異性化を触媒する酵素はまだ同定していない。今回の研究成果は、遺伝子を活性化したり制御したりするトリガーを明らかにする研究を可能にし、それによって花の中の毒の生産を予測することもできるであろうと、コメントされている。四つ目の遺伝子も決めんと、の段階である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aau0382

18.10.20

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フラストレイテッドルイスペア(FLPs)が

 脚光を浴びるようになったのはほんの10年ほど前である。この典型元素分子は、例えば遷移金属でしか達成できなかった水素化反応を触媒することができる。ただしFLPsはリサイクルし難いこと、空気、湿気に対して敏感であるため利用が制限されている。その中今回研究者らは安定なFPLsを開発した。MOFの中にそれを入れ込み、水素化やイミンの還元反応に成功した[1]。単純な濾過、廊下でもできそう、で触媒をリサイクルできて、少なくとも活性の低下なしに7回は利用できた。MOF-FLPペアを構築するために、MOFのオープン金属サイトでアミンであるルイス塩基を連結させて、ついでルイス酸であるホウ素を取り付けた。不均一系であるMOF-FPLの触媒能を均一系触媒のそれと比較したところ、MOF-FLPではイミンの還元で興味ある立体ならびにサイズ選択性が観測された。MOF環境が立体環境を制限し、あるサイズ以上の基質は反応には関与しない。MOFは調節可能であるため、将来はキラリティーや超疎水性を付与させて、FLP触媒の反応適用範囲や耐久性向上が期待されている。FLPが毛布で包まれた。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 3.

DOI: 10.1016/j.chempr.2018.08.018

18.10.19

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数百匹の働きバチを

 より安全で環境調和であるとされている除草剤であるグリホサートに晒した[1]。その濃度は農場の近くでハチたちが遭遇する程度である。巣箱に戻った後、素早く消化管のバクテリアが分析された。三日後、八つの主な種のうちのいくつかが減少していたことから、グリホサートに、働きバチが晒されると、そうでない場合に比べて脆弱になり、死に至る確率が増すことを暗示していた。このことは易感染性の腸内微生物を持つミツバチは、栄養失調になり感染しやすいという以前の報告と符合している。ハチ群崩壊症候群と呼ばれているおよそ10年前から起きた現象は今も継続し死亡率も高い。農薬がそれに関わるかどうかはチェックされているが、グリポサートはその対象ではなかった。除草剤としてグリホサートはEPSP合成酵素と呼ばれる酵素をブロックし、微生物を殺すことはないものの、フェニルアラニンやトリプトファンのような芳香族アミノ酸合成を阻害する。ハチの消化管にいるバクテリアは、酵素のための遺伝子を有している。さらに詳細な調査が継続中である。除草剤の関わり解明の序章かな。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 1, p. 3.

DOI: 10.1073/pnas.1803880115

18.10.18

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毛虫や他の

 草食動物が葉っぱをかじると、植物は最も遠い葉状体の、症状に合わせて危険なシグナルを送り、植物の防衛システムを駆動させる[1]。例えば有害な化合物を出して、害虫を追い払う、また損傷を受けた組織を治療する系を稼働させる。今回このシグナルが、哺乳類の神経伝達物質であるグルタミン酸塩を含む神経様の過程を経て起こることが明らかにされた[1]。研究者らは毛虫に、カルシウムイオンにバインドすると蛍光発光するタンパク質センサーが発現するシロイヌナズナをむしゃむしゃ食べてもらった。植物の防御機構が、カルシウムイオンの増加で駆動した。蛍光顕微鏡観察によって、カルシウムイオンの上昇が、損傷した部分と2分後には離れた葉っぱでも観測された。このタイミングは、イオンが植物の中を拡散することから考えると速すぎた。そこで研究者らは、損傷がグルタミン酸塩の放出を引き起こし、これがイオンチャネルを活性化しカルシウムの流れ出しを引き起こしていると推定している。蛍光グルタミン酸塩センサーによって、そのレベルが植物の損傷した部分で増加していることもわかった。グルタミン酸塩は、何かが来るたんびに働いている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 24, p. 13.

DOI: 10.1126/science.aat7744

18.10.17

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頭皮からの脱毛の

 治療薬に匂いがあるとしたら、それは白檀(sandalwood)のようであるかもしれない。研究者らは、白檀の香り分子に応答して活性化される毛包にある受容体を発見した[1]。嗅覚器官の受容体は、香り分子を捕まえて、結果として匂いの感覚が生み出される。鼻で最初に同定されたそれらは身体の他の部分でも見つかった。予備的実験では、嗅覚受容体であるOR2AT4が研究されていた。それは皮膚細胞の増殖と共に増加する一方で、爆弾とは縁のない、白檀の香り成分であるサンダロール[2]がバインドすると、創傷治療を観測した。創傷治療と髪の毛の成長は繋がっていることから、毛包でOR2AT4を探索することが始められた。その結果、髪の毛が成長するときは、OR2AT4の発現も増加し、毛包が成長するのも長続きした。そこでサンダロールの効果の臨床試験を行うために脱毛異常のボランティアの方の協力を得て、来年初めには結果が出ることが期待されている。サンダロール、サンタクロースにもお願いしたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 24, p. 13.

DOI: 10.1038/ s41467-018-05973-0

[2] 3-Methyl-5-(2,2,3-trimethylcyclopent-3-en-1-yl)pentan-2-ol

18.10.16

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5億8千万年前に

 タイプトリップしたら、殺伐とした風景、動物や植物のない世界が眼前に広がっているはずである。それからおよそ4千万年後、沢山の動物たちの先祖が世に出た。ただしその途中の57千万年から54千万年前の間、地質学上ではエディアカラン紀が終わろうとしている頃、謎めいた生き物が地球の海底で繁殖していたと、書いていある。古生物学者らは、これらが動物か、地衣類か、単細胞アメーバのような有機体か、別のタイプのものか数十年に渡って議論をしていた。その中、軟組織を持つ化石化したエディアカラン紀の有機体の中のステロールが分析された[1]。そこには、化石のコレステロールであるコレスタンが、動物で見られるくらいのかなりの量が観測された。さらに粘土や砂岩から有機物質を抽出し、ステロールの97%27炭素原子化合物で、ほとんど全ての動物がコレステロールとして持っているコレステロイドであることが明らかにされた。化石が奇跡を導いたのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 24, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aat7228

18.10.15

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ゴースト分子

 電荷密度が、通常ではない二原子分子のそれと類似な単一原子である。どこにも逃げんしだけど、ゴーストは三葉虫分子とも類似である。三葉虫は、電子がかなり高いエネルギー状態にあって、二番目の分子がリードベルグ原子のエネルギー準位を混合させて、化石になった三葉虫のような、異様な電荷密度パターンをつくる。2015年研究者らはセシウム原子から三葉虫分子を合成していた。今回別の研究チームは、励起した水素原子とエネルギーレベルに摂動を与える電場と磁場のパルス配列を使って、同じ効果を導くことを予測した[1]。ここには二番目の基底状態原子がないために、この効果をゴースト結合あるいはゴースト分子と呼んでいる。計算結果は、三葉虫様の電荷密度は10 Kで数ミリ秒続き、ゴーストではない三葉虫になるにつれて、電荷密度は2500 Å 1000デバイのオーダーの永久双極子モーメントを持つ。幽霊分子、夢分子、有名に?

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 24, p. 9.

DOI: 10.1103/physrevlett.121.113203

18.10.14

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大洋での光合成は

 どれくらいの量の窒素がアンモニウムあるいは硝酸塩として溶けているかに依存している。酸素が少ない環境では、バクテリアや古細菌のような微生物は、代謝の中で、酸化剤として、既知の二つのプロセスによって窒素源が取り出される。一方でこの過程は、植物性プランクトンが利用できる窒素を減少させて、それらの成長を制限してしまう、せ〜へんと言っても。その中研究者らは、これまで知られている過程よりも40%以上も多い、アンモニウムの嫌気性酸化過程を、海岸沿いの堆積物で検出した。ある種の土壌微生物は、酸化剤として、堆積物に蓄積されている有機物を使う。そこで堆積物のサンプルを模倣した海水環境に入れて、15Nラベルのアンモニウムを使ってその化学が解明された。より多くの有機物を加えると、アンモニウム酸化の速度が三倍になったことから、有機物は微生物にとって、大洋中では限られた資源であることを示している、と同時にそれに代わって植物性プランクトンが必要とする窒素が使われて、大気中のCO2の除去とも関わる大洋での窒素サイクルの理解を修正する必要もある。光合成って神々しいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 17, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.estlett.8b00330

18.10.13

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アルケニル基を

 末端に持ち、三つのビピリジル基を真ん中に持つ、長い分子部品六つから分子ヒモがつくられた[1]。これらの配位子は、六つの鉄イオンに対してビピリジル窒素原子が配位してヘリカルツイストの形をした錯体を形成する。通常のRu錯体触媒が作用する閉環メタセシス反応でアルケンを連結し、鉄を取り除くとヒモ状のループが放出される。ここでひもじい思いはしなくていい。これによってヒモと三つのツイストしたインターロックした環を含むカテナンの1:1混合物が得られる。この方法で配位子を連結することは、分子ヒモをつくる確立された方法になってきている。研究者らは同じ戦略を使って、六つの交差点がある分子の縦結びも合成している[2]。ヒモはキラルであるために、経験と分子モデリングに基づく注意深い配位子設計が重要である。これらの分子をつくることは、ヒモ合成への挑戦ではあるものの、応用へも展開したいとしている。例えばある種の分子ヒモは、中心のキャビティがハロゲン化イオンに、カインドにバインドするためにある種の反応を触媒することができる。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 17, p. 8.

DOI: 10.1038/ s41557-018-0124-6

[2] DOI: 10.1002/anie.201807135

18.10.12

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2018年ノーベル物理学賞は

 レーザー物理の分野で画期的な発明をしたA. Ashkin先生、D. T. Strickland先生、G. A. Mourou先生に授与された。Ashkin先生がおよそ100万ドルの半分を、残りを二人がシェアする。Ashkin先生は1970年代から1980年代にベル研究所で光ピンセットを発明した。レーザー光で、原子ほどの粒子を動かすことができるようにした。光ピンセットは、端材物理、化学、生物の分野でも利用されている。さらにバクテリアやウイルスも捕まえることができる。Strickland先生とMourou先生は、レーザー光の超短波の高強度パルスを生み出すチャープパルス増幅(CPA)を開発した。1980年代にMourouグループの学生だったStrickland先生は、この発明のポイントは、光の短いパルスを長いパルスに引き延ばすことであり、それで強度も低下、安全に高エネルギーに増幅させることができる。一旦増幅させると、光は超短波パルスに圧縮される。CPAによってつくられる高強度パルス、公共でも使われるかもしれないけど、実際には目のレーザー治療にも使われて、近視の矯正を可能にしている。さらにCPAはフェムト秒の分子システムの研究にも使われる。今回の受賞内容は、レーザーが驚くほど多くの課題に取り組むことができることを示している。光をしっかり使っている。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 8, p. 6.

18.10.11

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2018年ノーベル化学賞は

 酵素の指向進化に関する研究のF. H. Arnold先生、ペプチドと抗体のファージ提示法に関する研究のG. P. Smith先生、G. P. Winter先生に授与された[1]。およそ100万ドルの賞金の半分がArnold先生に、他を二人がシェアする。今回の賞は、タンパク質の進化を利用すると、分子科学の様々な課題を解決できる、威力を認識させていて、化学、分子生物学、タンパク質科学が統合された学際的領域である。実際に指向進化、ファージ提示法のいずれもが広く利用されている方法である。例えばArnold先生と二人の共同研究者で立ち上げた会社では、指向進化によって開発された酵素を使い、ペストコントロールできる、ベストに近い昆虫フェロモンを製造している。またファージ提示法を使うと、医薬品として使われる、高いバインディング親和性を持つ抗体を同定することができる。今回の魅力的な賞は、実験室でのわずか数十年の間の進化が、自然界では考えられない特性を調整する能力を、いかに革命的に変化させたかを示すものである。タンパク質進化、が真価を生み出した。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 8, p. 4.

18.10.10

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2018年ノーベル医学生理学賞は

 本庶佑先生ならびにJ. P. Allison先生に、免疫チェックポイント阻害の開発に対して、授与された[1]。二人はおよそ100万ドルを分け合うことになる。研究から生まれた一連の抗がん剤は、免疫細胞が身体を攻撃することを避け、腫瘍を追いかけることを可能にする。少なくとも米国では、六つの抗がん剤が承認されてチェックポイント阻害を利用して様々な腫瘍の治療に使われている。1990年代に始まった本庶先生らの研究では、T細胞にPD-1というタンパク質があることを発見し、それが別の細胞にある別のPD-L1にバインドすることで免疫系の活性化のブレーキとして働く。このバインディングでT細胞は攻撃から撤退することになる。多くのガン細胞は免疫系を騙し、表面でPD-L1を発現することによる攻撃を駆動させないようにしている。免疫系は現役でなくてはならない。本庶先生らは、PD-1を抗体でブロックすると、腫瘍が小さくなることを発見した。Allison先生らもまた1990年代に研究を始め、別のT細胞タンパク質であるCTLA-4を見出した。それもまた体内の外敵に応答するT細胞の活性のブレーキとして作用する。CTLCA-4をブロックすると免疫系はフリーになり自由に腫瘍を攻撃できる。ネズミで行った実験でも、CTLA-4の抗体は腫瘍を小さくしていた。ブレーキが歴史的な発見になりました。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 8, p. 5.

18.10.9

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異質な結合であると

 考えられてきたガリウムやホウ素同士の三重結合を含む化合物の合成に、化学者は成功してきた。周期表13属で、ホウ素とガリウムの間に位置するアルミニウムのそれはこれまで合成例が、ないミウムだった。その中今回Al間の三重結合に関する提案を、学生時代に行なっていた研究者と別の研究者らが、独立して、ナトリウムイオンを含む気相中のクラスター中に、その結合が、実験的さらには計算化学で確かめた[1]。二つの同一の元素間での理想的な三重結合は、10電子を含む。そのうちの六つが、二つの原子の間の、πならびにσ結合に使われて、四つが孤立電子対である。窒素のような原子価電子が五つの元素では、この状況にフィットしているが、アルミニウムでは二電子不足する。そこでナトリウムイオンが使われ、アルミニウムペアに四電子が供給された。計算の結果は、Na4Al2クラスターは安定であることを示し、パルスアーククラスターイオン化によってNa3Al2-クラスターが発生した。ここでナトリウムイオンは、三重結合から電荷密度を引っ張るために、窒素分子のような三重結合ほどは、完璧なそれではないもの、コンセプトが実証されている。四電子について、読んでへんし、という方もいるかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 17, p. 12.

DOI: 10.1002/anie.201806917

18.10.8

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乾癬治療薬は

 およそ115億ドルのマーケットである。そこで静脈注射できる医薬品への注目度が増している。一方でファイザーの研究者らは、この炎症性疾患に対して、飲みやすい経口薬を探索している。その結果、ある種のT細胞内で、炎症性サイトカインであるIL-17の生産を刺激する核ホルモン受容体であるRORC2を標的とする低分子を報告した[1]RORC2をブロックする分子を設計することは、かなり高い脂溶性であるリガンド結合領域によって、頑として、阻止されてきた。この困難さを克服するために、研究者らは二つのメチル基を基本となる化合物に付加させた。これによって有効性が向上した。メチル基一つはアミドの配座制約を引き起こし、よりよくRORC2にバインドする。この制約が非常に長い解離定数をもたらしている。研究者らは、乾癬様の症状のネズミで化合物の試験を行った。IL-17のレベルが低下すると共に腫れも小さくなっていた。なお化合物が今どの開発段階であるのかについてファイザーは明らかにしていない。いかんせん、乾癬である。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 17, p. 12.

DOI:10.1021/acs.jmedchem.8b00392

18.10.7

 

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低温蒸留と比べて

 透過性の膜は、工業ガスを分離するコストを削減することが可能である。ZIFsとして知られているゼオライトタイプの化合物である多くの金属有機構造体は、遷移金属がイミダゾレートリンカーで連結しており、ガス分離に有望であることが示されている。ただし溶液を使ったそれらの合成法は、スケールアップの際の再現性に課題がある。その中研究者らは、原子層成長法(ALD)をもとにした、単純な気相ZIP調製法が、上手く起きそうであると考えた[1]。これによって得たZIF膜は、プロパンとプロピレンを効果的に分離した。まず二つのタイプのアルミナをサンドイッチすることによって基盤がつくられた。それは、ガスは透過するが分離はできない。次いでALDによってアルミナ上に酸化亜鉛を沈殿させて2-5 nmの穴を空けて不浸透性にした。最後に膜を2-メチルイミダゾールで処理し、酸化亜鉛を部分的に結晶化したZIFに変換した。これによってプロピレン選択的な透過性の膜が得られた。幕開けである。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 10, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aat4123

18.10.6

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地球の大気中で

 CO2が上昇すると、ある種の穀物の栄養素が減少することを、ハーバード大学の研究者らは、コンピューターモデルを使って、明らかにした[1]。そのメカニズムは不明であるが、もし現在のCO2の放出が2050年まで続けば、175百万人が亜鉛欠乏に、1億22百万人がタンパク質不足になると研究者らは述べている。さらにこのシナリオでは次の様になり得るとも述べている。すなわち、5歳以下の子供140億人と出産適齢期の女性が、高い鉄欠乏症リスクの中で生活することになる。亜鉛、タンパク質、鉄の不足は、発育や免疫で問題を引き起こし、貧血や、幼児や母親の死に至る可能性も高める。さらにこれらの三つの栄養素のリスクを足し合わせたところ、小麦や米のような穀物に依存している国で、より高くなっていることもわかった。これらの結果から、CO2の上昇が、どのように健康障害を引き起こしうるかについて、それぞれの国が関心を高めてもらい、食生活の多様性と質の向上に取り組んで欲しいと要請している。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 10, p. 8.

DOI: 10.1038/s41558-018-0253-3

18.10.5

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岡山駅から

 瀬戸大橋を渡って予讃線を東へ走る。ようさん線があるわけではない。JR高松駅に到着。JRのほとんどの駅は、上り、下りで左右に向かう。それでもここ高松駅は、東海道新幹線の東京駅と同様、終着駅である。祝着至極である、と昔お殿様が言ったかもしれない。ここから東への線路はない。下車して東に歩くと高松港、瀬戸内海が広がる。この穏やかな開放感と青さ、そよ風が見にしみる。かつてはこの港から、岡山県玉野市宇野へ連絡船が就航していたけれど1988年に廃止された。速いしこれが四国と本州を結ぶ貴重な便だった。19809月、大学院の入学試験を受験し終えて先輩と車で訪ねた。先輩の友人のガイドで、こんぴらさん、栗林公園、屋島などを体験できた。今回は駅すぐ前のホテル、全国から来られた先生方と「どことも大変だわなあ〜」でも「生きのびるんだよねえ〜」の会議に同席、本省の本気でしょう、という講演も拝聴、大臣変われども、工学の未来、こう描きたいというヒントを得た。得体は知れないけどね。

18.10.4

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1800年代の美術家は

 色素であるインディアンイエローを、発光する金色の色相を出すために使っていた。これは20世紀初頭に合成色素が登場するまで続いた。それでもインディアンイエローは今も魅力的であると言えるやろ〜である。1883年に記された書物は、それはインドのモンギール地方で小さなコミュニティが製品化していたことを、示していた。すなわち色素は、マンゴーの葉っぱと水しか食さない牛の尿を乾燥させてつくられていた。その数年後学者たちはこれが疑わしいとし、色素は純粋に植物ベースであることを提唱した。これに対して今回、この牛の尿の伝説が信頼に値することのヒントを得た[1]。熱分解クロマトグラフィー/質量分析、液体クロマトグラフィー/質量分析を使って、インドの複数の場所にあるインディアンイエローの精製していない色素を分析したところ、そこには牛の尿の成分である馬尿酸が含まれることが明らかになった。このことは、色素は尿からつくられていることが、妙ではなくて、支持されていることを示していた。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 10, p. 8.

DOI: 10.1016/j.dyepig.2018.08.014

18.10.3

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パーフルオロオクタン酸(PFOA)は

 米国の多くの場所で飲料水を汚染している。PFOAやパーフルオロメタンスルホン酸はかつて、テフロンのように使われていたが、pptレベルでの慢性暴露で人の健康を害する可能性がある。それらを除去するために、粒状の活性炭が利用されるが分子が吸着するとその効力を失う。それに対して今回、UV照射による励起で光触媒として化合物を分解できる半導体粒子が開発された[1]。研究者らは光触媒としてリン酸ビスマスの試験をしていた。触媒粒子をつくる反応のpHを変化させて性能向上を図っていたが、不覚にもビスマスオキシヒドロキシホスフェート(BOHP)が出来てしまった。ここですますつもりが、これが新しい触媒としてPFOAの分解に最も効果がある光触媒であることがわかった。紫外線照射下の研究室でのテストではBOHPは一時間以内に130μM溶液のPFOA全てを分解していた。従来のもののおよそ15倍の速さである。5回の繰り返し使用でも性能は落ちず、再利用可能である。実際の系を模倣したより希薄な溶液でも作用し、PFOAをフッ化物イオンとCO2のような化合物に変換させていた。PFOA分解のパフォーマンスがいいBOHPOHPでも示してみたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 10, p. 7.

DOI: 10.1021/acs. estlett.8b00395

18.10.2

 

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テラヘルツ

 一兆ヘルツ分光法が材料を研究する有用な道具になってきた。テラヘルツのエネルギーとタイムスケールが電子遷移、分子振動や他の分子励起のそれとマッチするためである。ただし照射する長い波長のため、これを単分子に応用することが難しかった。その中今回研究者らは、アンテナを使って、単一の6炭素のバッキーボールの振動を観測することに成功した。テラヘルツの波長はおよそ100 μmで、10万から100万ほど通常の分子よりも大きい。バッキーボールでもせいぜい1 nmである。この大きさの矛盾を克服するために研究者らは、二つの三角形の金の電極のチップでバッキーボールを捕まえた。ここでチップがアンテナとして作用し、照射をフォーカスできる。研究者らは電極に電圧をかけて、テラヘルツ照射を吸収する際の電流の変化を測定した。それによって、幾つものバッキーボールの振動を観測することができた。感動です。この技術は、電極間に分子をトラップする困難さはあるものの、DNAのような生体分子の構造や機能を明らかにすることも可能であると述べられている。テラヘルツで振動を見てられるのです。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 September 10, p. 6.

DOI: 10.1038/s41566-018-0241-1

18.10.1

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