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青いバラは

 天然には存在しない。数世紀に渡るバラの繁殖の中でも、議論の余地のない青はまだつくられていない[1]。青色はアントシアニン染料であるデルフィニジン由来であるが、これをつくる酵素がバラにはない。2007年に遺伝子工学的にデルフィニジンを合成できることが報告された[2]が、それによってできたバラはふじ色であると指摘され、バラ色にならなかった。この赤みがった青色の色相はおそらく、別の色素の混ざりか、細胞の酸性環境によるものである。それに対して今回、バクテリアで見つかったより青いインジゴイジンが着目された。遺伝子工学を利用して、二つのバクテリアの遺伝子が白いバラの花びらに注入された。これらの酵素は、バラの花びらに豊富なL-グルタミンをインジゴイジンに変換する。インジゴイジンは、花びらの中の酸性あるいは別の色素の影響を受けにくく、より本物の青にできることが提案されている。ただし遺伝子を安定的に植物のゲノムに入れ込むことができないために、花から繁殖させることは、はなからできない。加えてその色は一日以内に消えていくために、現段階では、50億円とも言われているバラの市場に供給することはできない。インジゴイジンって、すごいじん。

[1] Chemical & Engineering News, 2018 October 8, p. 9.

DOI: 10.1021/acssynbio.8b00187

[2] DOI:10.1093/pcp/pcm131

18.11.3

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