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2019年6月

フィッシャー・トロプシュ(F-T)合成は

 COとH2の混合物を輸送機関の燃料や別の炭化水素に変換する一世紀以上利用されている反応である。この一日数千リットルの燃料生産は、酸化物に担持されたCo, Fe, Ru触媒を利用し、スラリー反応器で行われている。ただしここで利用されているγ-酸化アルミナがこの条件で長持ちしない。γ-アルミナは頑張っても我慢できない時もあって、最も安定なアルミナの層ではないと皆がいう。これに対してα-アルミナは、激しい反応条件にも耐えうるが、無孔体であるため担持体としての性能が良くない。その中このα-アルミナの安定性を利用した貴金属を利用しないコバルトF-T触媒が開発された[1]。触媒調製のために、コバルト金属と炭酸アルミニウムや水酸化アルミニウムの水溶液を混ぜ、空気を泡出たせ、得られた生成物をα-アルミナと反応させた。顕微鏡観察は、担持体が直径5 nmの酸化コバルトでコートされていること示し、これが触媒前駆体になり得る。従来法で得た75 nmのものより小さくてかつ均一であるこの触媒は、従来のコバルト触媒の6倍の活性を示し、期待のC5やそれ以上の炭化水素を製造、γ-アルミナに担持したCo, Ru系と同等の活性も示し、1000時間以上活性を保っていた。どこにでもあるふぁα-アルミナでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 June 10, p. 7.

DOI: 10.1038/s41929-019-0288-5

19.6.30

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中国北西部

 黒竜江省で1935年、悲惨な疾病が広がった[1]。出産適齢期の女性や子供たちがその主な犠牲者だった。疾病はなんの警告もなしに発症し、多くの方々が死亡された。けしゃん病と呼ばれるこの疾病は、1967年夏地質学的さらに地球科学的環境調査が始められた。その地域ではそれは水や土壌に起因すると考えられていた。またそこでは羊が白筋症を発症していたが、それは心臓疾患が主であった。けしゃん病でも同様の病的変化が観測されていた。白筋症は環境中のセレン欠乏が主な要因であることが知られていて、Na2SeO3を処方すると羊では、症状が改善されていた。そこでけしゃん病調査の指針が立てられた。それから10年間の様々な専門分野の研究者の合同チームによる調査。その結果、けしゃん病は中国の北東から南西のベルト地帯に広がっていると、述べることができるようになった。またそれらの地域の土などのサンプルと人の毛髪から、セレンを含む10以上の微量元素や有機化合物の分析が行われて、セレン原子の量が少ないことが明らかにされた。さらに動物試験も経て、疾病が発症する地域ではNa2SeO3タブレットサプリメントが、けしゃん病拡大の抑制の効果的な方法であることが示された。実際セレン欠乏が唯一の要因であるかどうかはわからないものの、少なくともセレン欠乏が人や動物の健康被害と、連結している可能性がある。

[1] Chemical & Engineering News 2019 June 3, p. 26

2003年にTungsheng先生によって記されたエッセイが、国際周期表年にちなんで、再掲されています。

19.6.28

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NMP, DMF

 いずれも古くから利用されている溶媒で、それぞれ年間125千トン、225千トン製造されているらしい[1]。一方で環境影響が精査されていて、欧州では2020年5月以降0.3%以上のNMPを含む製品は制限される予定で、米国でもペンキ剥離剤として使われているNMPを排除しようとしている。NMPやDMFは、窒素を含む両性の非プロトン性溶媒で、化学的さらには熱的な高い安定性を示し、幅広い有機、無機化合物を溶解させることができるため、何か用かいと、しばしば採用されてきた。その中オーストラリアの小さな企業と巨大企業であるMerck KGaAがタイアップして、新たな溶媒のプラントを立ち上げた。その溶媒は、セルロースから誘導される分子であるジヒドロレボグルコセノンであり、シレン(Cyrene)と名付けられている。これを例えば欧州の最も大きなNMPユーザーであるポリアミド-ポリイミド製造や、エレクトロニクス洗浄など広い市場への導入することが見据えられている。研究室の成果から試練を乗り越えて世に出たシレン、今後の展開は計り知れん。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 June 3, p. 14.

19.6.28

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宇宙船

 ニューホライズンが2015年冥王星に接近して以降、科学者は準惑星である冥王星の高解像度写真の分析を行なっていた。その中あるグループの研究者らは、惑星にある溝の一つが、その周りの表面よりも色がより鮮やかであることに気がついた。より接近して解析したところ、近くの噴火口や溝はその周りよりもよりスムーズに見えた。同じ宇宙船からの赤外吸収スペクトルは、それらの地域が周辺領域よりも、氷水やアンモニアの濃度が高いことを示していた。そこで研究者らはこれらのデータを総合して、氷の火山が溝の中で、噴火していたことを提唱した[1]。溝でのアンモニアの存在から、未曾有のことかもしれないけど、過去10億年の間以内に、噴火が起きたと結論づけた。別の可能性としては、紫外線放射とイオン照射によって化合物が破壊されたかである。今回の発見は「冥王星にはかつて火山や内部海洋があって、これらからこの崩壊が起きた」という以前の提案を支持している。冥王星では、イオウ製造はないのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 June 3, p. 10.

DOI: 10.1126/sciadv.aav5731

19.6.27

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数十メガワットの

 電力を貯蔵することができる硫化ナトリウム電池は世界中の多くの電力系統を安定化させることができる。ただしこれらの電池は、300 °Cで作動するため、これを室温でかつ継続的に充電も繰り返すようにしたい。その中研究者らは、実用化レベルまでその寿命を伸ばすことに成功した[1]。室温硫化ナトリウム電池では、ナトリウムイオンがイオウと反応してポリスルフィドを形成、これがアノードを壊し、時間が経つに連れて貯蔵できるエネルギーが減少する。加えてナトリウムが頰ひげのような樹状突起としてアノード上に出来上がり、これが多孔質のセパレーターに穴を開け、電池がショートして火災になる。その中ここでは優秀なナトリウムイオン導体として知られるセラミック膜(Na3Zr2Si2PO12)からなる固体電解質がつくられ、小さな穴がある超薄い柔軟な高分子フィルムにコートされた。ポリマーのナノ細孔が、ナトリウムポリスルフィドの通過を防ぎ、樹状突起がセラミック電解質に穴をつくることはない。試験の結果、従来の室温電池では20サイクルで性能が低下するのに対して、100サイクル以上同じ性能を維持していた。期待にお答いする固体電解質である。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 June 3, p. 9.

DOI: 10.1016/j.matt.2019.03.008

19.7.26

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カゴのような

 クリプタンド分子が塩素イオンを選択的に捕捉し、これまでにない強さで離さない[1]。これについて話さないといけない。このカゴの塩素イオン閉じ込めの力は、C-H結合からきている。従来それは弱い水素結合ドナーであるとされていた。今回のかごの能力は、塩素をバインドするこれまで知られているどの系よりも優れている。研究者らは塩素フリーの化合物の単離を試み、クロマト精製も行なったが、最後10%の塩素を取り除くことができていない。しかも別のイオンがあってもである。この系が最初に考案されたのは、トリアゾールをベースとするアニオン捕捉のカゴが持つアミド置換基の置き換えであり、それによって堅さが付与された。すなわちここではこの堅さが強さを生み出し、高い選択性の効果が見られている。この系は新たな一面をアニオン認識の時節を得たトピックスとして提供している。塩素イオンをクリップ留めできるクリプタンドが、たんとできますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 June 3, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aaw5145

19.6.25

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2015年に

 閉鎖されるまでに、年間数百万の自動車のバッテリーが処理され、そこから鉛やヒ素が排出されていた。その処理施設の近くでは、どの程度それらに晒されていたかを知りたかった。そこでこのカリフォルニアのその地域のボランティアが、7歳から18歳までの43人の子供達の50の乳歯を入手した[1]。ついで研究者らによって、レーザー切断と誘導結合プラズマ質量分析を利用して、乳歯の中の微量元素が分析された。赤ちゃんの歯は、子宮内で成長する頃から出来始めて、鉱物が象牙質やエナメル層に入り込む。集光レーザービームによって、歯の表面の材料を吹き飛ばして、表面を剥がして内部、すなわち出生前やその後の歯の状態も、分析された。ついで歯の中の鉛濃度と、子供達の家の土壌の鉛濃度を比較したところ、土の鉛レベルが多いところでは、出生前の歯の鉛レベルも多かった。43人の子供のうち15人の歯には、出生前も後もヒ素が含まれていた。乳歯分析、入試にも出題されるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2019 June 3, p. 7.

DOI: 10.1021/acs.est.9b00429

19.6.24

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二種類のメラニンが

 動物の肌や毛皮に含まれている。有名なユーメラニンは黒や濃茶色の色相である一方、フェオメラニンは、明るい感じの赤茶色様である。これらの色素が化石化した軟部組織にどの様に分配されているかを知ることは、絶滅した動物がどの様だったかを知る一助になる。ただし化石に残ったそれらを検出することは難しい。以前科学者はユーメラニンの検出には成功していたが、フェオメラニンは捕まえにくい。今回研究者らは、3百万年前のアカネズミ族の化石でフェオメラニンの痕跡を発見した[1]。それは現代の野ネズミの先祖である。フェオメラニンの中のイオウは亜鉛と錯体を形成する。今回の研究ではX線やX線蛍光イメージングが使われて、亜鉛、リン、有機硫黄がマッピングされた。亜鉛と有機硫黄の分布は、フェオメラニンを含む現代の毛や毛皮と同じであり、有史以前のネズミは少なくとも赤茶色の毛皮を着ていたことを提示している。メラニンで、めらめらにん。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 27, p. 7.

DOI:10.1038/s41467-019-10087-2

19.6.23

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CFC-11

 トリクロロフルオロメタンはかつて発泡剤として利用されて、今でも建物、冷蔵庫や他の製品の断熱剤から漏れ出している[1]。CFC-11はモントリオール議定書で規制されて2010年には製造中止になることが示されていた。そのためその容器も時を経るに連れて減るはずであるものの、昨年グローバルなCFC-の排出が2014年と2016年の間で実際には上昇していたことが報告された。これは10年単位でのオゾン層の回復が遅れる可能性を示している。大気モデルは、この化合物の新たな生産と使用は東アジアに起因することを示していた。アジャ〜。この調査を行なったチームはさらに、韓国と日本でモニターしている場所のデータを集め、それらが中国の特に山東省や河北省からで、2008年-12年と2014-17年を比べるとおよそ二倍で、7千トンの増加であることを示していた。これは2013年以降のCFC-11のグローバルな増加の約半分である。おそらくかなりな量がその地域で製造されているはずである。一方で中国政府は、オゾン層を破壊する化合物を使っている会社の取締りは行なっていることのことである。オゾンも生存させなくてはいけません。

1[] Chemical & Engineering News, 2019 May 27, p. 6.

DOI: 10.1038/s41586-019-1193-4

19.6.22

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発酵食品は

 身体にいい。キャベツを乳酸菌で発酵させてつくったザウアークラウトもその例外ではない。一方研究者らはヒドロキシカルボン酸(HCA)を調査していたところ、ザウアークラウト菌によって生産された分子であるD-フェニル乳酸はHCAの受容体であるHCA3に強くバインドすることを発見した[1]。まずはボランティアにザウアークラウトを食うていただいた。その結果その人たちの血液や尿には、免疫細胞を活性化するのに十分な高いレベルのD-フェニル乳酸があることがわかった。この観測は、ザウアークラウトは、生理また栄養に関わっていることを示している。HCA3が人や類人猿でしか見つかっていないため、これは興味のある結果である。バイオインフォマティクスを使って研究者らは、毒性を示すアルコールを分解する一助になるアルコールデヒドロゲナーゼの遺伝子が類人猿のゲノムに入ったと同じ頃、HCA3に対する遺伝子も入ったと類推している。以心伝心で同じ頃になった?

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 27, p. 6,

DOI:10.1371/journal.pgen.1008145

19.6.21

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ガソリンや石炭のような

 化石燃料が燃焼したとき、数百の化合物からなる粒子で一杯のどんよりしたもやが発生する。最も小さなものはPM2.5として知られていて、直径が2.5μm以下の浮遊する粒子を含む。人が胸一杯に汚い空気を吸い込むと、これらの粒子が血流に入り込み、炎症やDNAの損傷で細胞や臓器に大惨事をもたらす。参事官でも同様である。実際に実験室でPM2.5に晒された動物は、脳に炎症を引き起こすことがわかっていたが、子供達への影響はわかっていなかった。そこでバルセロナで7から10歳の子供2221人を集め、1年以上かけて四回、作業記憶や集中力の試験が行われた[1]。計算によれば、これらの子供達は7歳までに年平均で16.8μgのPM2.5に晒されていて、これはWHOが推奨する上限である10μgを超えている。この大気汚染と記憶発達の相関を解明するために、5匹の魚の列、そのうち真ん中の魚は、右あるいは左を向いている、を見せた。ついで子供達が真ん中の魚の向きを答える速さを測定した。その結果、PM2.5が10μg/m3増えるごとに、速さはおよそ18%ずつ低下していた。同様に作業記憶でも16%ほどの低下が見られた。これらのことも含めて、大気汚染と脳の炎症の関わりが指摘されている。大気汚染にも、大挙して応戦しなくては

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 27, p. 4.

DOI: 10.1289/EHP3169

19.6.20

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生物系で

 グルコースの代謝の解明には、陽電子断層撮影(PET)や蛍光イメージングが利用される。ただしPETは高価で、短寿命の放射性化合物を必要とする。また蛍光法は、大きなバックグラウンドと低い細胞浸透性が課題でしかも近赤外活性な蛍光部位を有するグルコースは、その輸送体と適切に相互作用しない。その中、カゴ型ルシフェリントリフェニルホスフィンとアジド修飾したグルコースの二つの化合物が開発されて、グルコースの動きを追跡できる生物発光として利用できることが報告された[1]。細胞内で二つの反応剤が充分に近づくと、ルシフェリンが保護されていたカゴから解き放たれる。自由になったルシフェリンは、酵素であるルシフェラーゼの作用を受けて、光を発する。その強度は吸収したアジドグルコースの量に比例する。これを使って、ルシフェラーゼを生産できるように遺伝子改変された、健康なあるいはガンを持ったネズミで、グルコース輸送体抑制剤の効果が評価された。このプローブには定量性があり、PETに匹敵する結果だった。グルコース代謝、ゴルフコースでも起きています。

[1] Chemical & Engineering News 2019 May 20, p. 9.

DOI: 10.1038/s41592-019-0421-z

19.6.19

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ある人は 

 ビートを、土のような心地よい臭いであると、ビッビッと感じる一方で、別の人は強烈であると感じる。その土臭い臭いは、2-エチルフェンコールであるが、人によって感じ方が異なる点、研究者らは疑問に感じていた。その中、この知覚の違いは、人の鼻にある数百の臭い受容体のいくつかの活性のわずかな遺伝的な変化と関連しているのではないかと考えられた[1]。そこで300人以上のボランティアに68の基質を嗅いでもらい、心地よさや強度のようなパラメーターで評価してもらった。ついでボランティアの血液を採取し、既知の400の臭い受容体に対する遺伝子の配列を決定した。その結果、ある一つの受容体のわずかな変異が、受容体の働き方に影響し、それらの変化と、受容体が標的とする臭いに対する影響が一致した。例えばビートの臭いと相互作用する受容体であるOR11A1の変異が、ビートの臭いの強さと心地よさと一致していた。ただし臭いは、いくつかの受容体と相互作用するために、心地よさや不快さをもたらすのは、それぞれの受容体の働きであり、臭いのセンスは、自分たちが考えるよりユニークである。さらに前進の必要ありである。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 20, p. 8.

DOI: 10.1073/pnas.1804106115

19.6.18

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X線よりもむしろ

 電子線回折を利用して、低分子の立体化学を決定することが、有機化学者の中で一般的になり始めている。これによって高品質な結晶が出なくても、ナノスケールの結晶から構造に関する情報を得ることができる。ただしこの方法では、分子の絶対配置についての情報が得られなかった。それに対して研究者らは、C型肝炎の治療薬であるソホスブビルとL-プロリンの共結晶で、分子の絶対配置を決定する方法を報告した[1]。以前科学者は、電子線回折を使って無機化合物の絶対配置を決定したことがあるが、同様のことを、医薬品分子のように軽い原子だけで構成された化合物で類似のことを行うと、電子ビームがナノ結晶を破壊してしまう。今回、四つのナノ結晶上の異なるスポットから電子線回折のパターンが評価された。ついで複数の散乱効果を評価する、動的回折効果として知られる方法で絶対配置を確立した。この技術は、低分子医薬品分子の絶対配置を決める手法になり得る。FDAからの承認があると、商人が参画できる。

[1] Chemical & Engineering News 2019 May 20, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aaw2560

19.6.17

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界面活性剤が

 同じ水溶液中で、化学触媒と生体触媒の利用を可能にしている[1]。研究者らは、以前していた方法で、ビタミンEがもとになる界面活性剤を使い、水中で、疎水性内部を有するミセルを形成させた。ついで水中で、アセトアリル出発化合物のPd触媒による薗頭カップリングが行われた。反応はミセルの内部で起こり、得られたケトンは、アルコール脱水素酵素によって還元された。ここでは酵素を加える前の、温度、濃度、pHが調整され、別のクロスカップリング反応も行われている。ミセルがこのワンポット変換反応を媒介するのに加えて研究者らは、ミセルは様々な反応の反応速度を向上させていることも明らかにした。研究者らは、水に不要な出発化合物と生成物が、酵素のバインディングポケットへの入り口を塞ぎ、ミセルがフィルターのように働き、これらの分子の濃度が抑えられている可能性を指摘している。ミセルに魅せられても、ミセル内部を見せることは難しいですか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 20, p. 8.

DOI: 10.1038/s41467-019-09751-4

19.6.16

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氷は

 温度や圧力に依存した18の結晶配置の可能性がある。理論研究は、特に奇妙な構造は非常に高い温度と圧力で形成されることを、予測していた。この超イオン氷では、酸素原子は、決まった位置に緊密に配置されて固定されていた。一方でプロトンは、金属における原子や電子と同様に、格子を通して移動することができる。今回この予測が実験的に観測された[1]。この困難な実験を、こんなんですと達成するために研究者らは、水の薄い層に15 ns ごとに六つのレーザービームを照射し、サンプルを保持しているダイアモンドプレートの間で反響する衝撃波を発生させた。2000から3000 Kの温度と160から420 GPaの圧力下、XRDは、超イオン氷の面心立方晶系結晶を示していた。研究者らはそれを氷XVIIIと呼んでいる。今回の極限の実験条件は、冥王星や天王星のような氷惑星の内部の状況と同じであり、超イオン氷が天然に存在する可能性もある。今回の実験条件は、超イオン層を持つことが予測される混合物へも展開可能である。極限条件の実験、曲芸のようでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 20, p. 6.

DOI: 10.1038/s41586-019-1114-6

19.6.15

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シロイズナズナと呼ばれる

 小さな花を咲かせる植物は、トリテルペンの一種を生産していることが明らかにされた[1]。微生物のおよそ半分はこの植物の根に引き寄せられる。そこで植物がそのような化合物を利用して、どのようにして微生物を惹きつけるのかが理解できると、植物の生産増や、肥料や殺虫剤なしに植物を良好な状態に保つ方法を考案できると考えられた。まず初めに植物の根で発現される一連の遺伝子が同定されて、それらが三つの異なる代謝経路をコードしていることがわかった。一つ目の経路はトリテルペンを合成し、三つ目は三種類のトリテルペン脂肪酸エステルを発生させる。これらの分子の機能を調査するために、シロイズナズナとトリテルペン合成を中断させるように遺伝子改変された植物が植えられた。ついでDNA塩基配列決定法を使い、これら二つの異なる植物に囲まれた土のどちらに微生物が引き寄せられていたかが解明された。その結果、これらの化合物をつくる能力をブロックされると、全く違う微生物が根の周りに集まることが示された。最後に合成したトリテルペンの微生物への効果を実験室で検証し、いくつかのトリテルペンはある種の微生物の成長を抑制し、別のそれらは成長を促していた。シロイズナズナで、面白いなぞなぞができるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 20, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aau6389

19.6.14

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太陽光吸収の

 金属有機ペロブスカイト材料は近年、太陽光発電(PV)の分野にかなり参入している。それはアンモニウム鉛トリハライドや他のペロブスカイトが、結晶シリコンや標準のPV材料よりもかなり安く製造や加工ができてしかも同様の性能を示すためである。最も性能の高いそれの電力変換効率はおよそ23%である。ただしペロブスカイト電池の耐久性は課題で、数日以内に光活性層が分解し始める。この弱点がその商業化を妨げており、たまげる人もお見えになる。分解はペロブスカイトの薄い結晶層にあるイオン空孔から始まる。これらの欠陥を通して、材料中のハライドアニオンや有機カチオンが、フィルムの表面に拡散し、脱着、蒸発や別の反応を引き起こし、ペロブスカイト層を崩壊させて、湿気や熱、強い光が、これらの反応を加速させる。これに対して研究者らは、ペロブスカイトを様々なハロゲン化アルカリで処理をし、高温で、処理前と後が比較された[1]。その中歯磨き粉の成分であるフッ化ナトリウムで処理したところ、およそ21.5%電力変換効率が1000時間以上保持された。これはフッ素原子の高い電気陰性度によって、イオンが強い水素結合を形成することに起因するためであると考えられている。フッ化物イオンを、ふっ被るといいみたいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 20, p. 5.

DOI: 10.1038/s41560-019-0382-6

19.6.13

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酸化窒素は

 二酸化炭素の三倍の温室効果ガスであるとされている。ただしどの程度のN2Oが生産されて、農業のような人の活動で吸い上げられているのかがわからない。窒素をたくさん含む肥料や他の栄養素を含む農業排水が、湖や小川に流れ込み、N2Oを生産する微生物の成長を促すと考えられている。今回研究者らは、この図式が、少なくとも農地にある貯め池では、さらに複雑であることを明らかにした[1]。カナダ、サスカチュワンにある101の小さな、ダッグアウトと呼ばれる池の測定が行われた。その結果、そこでのN2Oの生産は、7から33倍も過大評価されていることがわかった。世界中におよそ16百万の同様な貯め池があり、それらは調査されていない。以前科学者は、N2O生産を、より大きな池のデータから出〜た結果から推定し、貯め池からの排出は地球全体の排出の4から45%であるとしていた。それに対して今回調査されたような池では、池底に近いところでは、酸素不足な水の層があり、そこでは微生物は、肥料をN2Oよりもむしろ、無機窒素に変換している可能性が高い、としている。酸化窒素も、かっちりと把握したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 13, p. 11.

DOI: 10.1073/pnas.1820389116

19.6.12

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エアロゲルは

 軽量で霞のような材料、その容量は空気でほとんど占められている。これらのふわふわした材料は、セルロース、シリカや別の材料からつくられていて、熱絶縁体、触媒担持やフィルターに利用されている。ただしエアロゲルは、応力に対して弱い。その中研究者らは、扱いが厄介な、ケブラーと呼ばれるアラミドをもとにした材料から製造する単純な方法を開発した[1]。まずDMSO中、数グラムのバルクの材料を入れて混ぜ、ケブラーナノファイバーの懸濁を調製した。ついで、ポンプで制御したシリンジを使って、凝固バスにその懸濁を注ぐと、ゲルファイバーがつくられた。最後に製品をアルコールで処理し、凍結乾燥し、溶媒が除去された。材料が凍るにつれて、スポンジのようなマトリクスが形成されて、ケブラー繊維は、エアロゲルに変換された。これまでのエアロゲルと同様の表面積や熱伝導性を持つとともに、応力に対する強さが向上していた。耐熱性、難燃性も有し、染色もできて疎水性も有している。ケブラー使って、手ぶら〜で帰ることはなかった。

[1] chemical & Engineering News, 2019 May 13, p. 11.

DOI: 10.1021/ acsnano.9b01094

19.6.11

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全ての発表が

 終わった。最後はBraga先生。含窒素複素環にSePh基を、光化学的、電気化学的などの手法を駆使して組み込んでいる。三年前に駆け出しだった若手の先生方のうち、今回特にインドや中国の先生の躍進が際立っていた。いわゆるIFの高い論文誌への掲載論文数も多い。学生さんらと共に得た成果を、惜しみなく矢継ぎ早に繰り出す。しかも洗練されたパワーポイント。ICCST-13では、これから生き延びるだろうかと思いつつ、招待講演、口頭発表をしていただいた方々「後生畏るべし」である。三年後のICCST-15Florianopolisで開催される。20223月を予定しているとのこと。そこはブラジルにある島で、サンタ・カタリナ州の州都。プロモーションビデオは「足りないものはなし」みたいな勢いである。語り草になるほどの会議になることが期待される。日本からは二日かければたどり着く。最後に今回の主催者であるLippolis先生に、スタンディングオベーションで感謝の意を評して、会議は閉幕。リタイヤされている先生方も、イタリヤを離れられた。

19.6.10

 

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Gala Dinner

 出席するガラでぃねえなあ。気にせずに参加。ジンベースのカクテルにおつまみ。ソーセージにエビのハム巻き、立食で話に興じていると席に着けばいいとのこと。メニュー表がそこに、隣の学生さん「間違っていますねえ」と言う。ICCST-14ICCTS-14に。程なく、民族衣装を纏った10名ほどのダンサーが、段差を乗り越えてプールサイドに登場、アコーディオンやギターの奏でる音楽に合わせて場を盛り上げる。聴衆からダンスに参加する人、それをカメラで切り取る人。「静粛に」の一言で、ポスター賞、短時間口頭発表賞の発表に移った。ポーランドからの発表者の受賞。彼女はICCST-13にも参加されていた。ついで日本の学生さんも受賞された。洗練された発表の準備、その後の的を得た議論が評価されたかと。副賞は今年販売される有機セレン化合物に関する書籍。三人の著者が歩み寄ってきて、サインをするので、とのこと。珠玉の一冊になった。メインディッシュとして、ポテトクリーム、ネギ、サフランで味付けされたタイ料理と野菜のシュトルーデルが出る。その後エスプレッソに、レモン味のスピリッツ。ピリッと味わって部屋に戻った。

19.6.9

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南に地中海が広がる

 庭にはスイミング・プール。そのサイドで毎度、日光浴をする宿泊客。昼間はそれなりの強さの日差し。「ユーロを手に入れたい」「20分に一本あるバスで町まで行って欲しい」「ATMは」「この近辺にはない」学会開催には理想のリゾートホテル。どの時間帯も聴衆が多い。この日の午後、エキスカーション。島には紀元前よりたくさんの民族が出入りした。スペインが統治した中世の頃、外敵からのペインを避けるべく、海岸沿いに多くの塔が立てられた。十(とう)以上はある。異変を発見したら火を焚いて別の塔へ連絡をしたとのこと。そこからは地中海が一望できる。西はスペイン、東はイタリア半島、南はチェニジアに通じる。はるか昔紀元前、ローマ時代に栄えた宮殿跡であるノーラ遺跡。人々は野良仕事にも従事し充実していた。生活必需品の水は、海外沿いとは言え、井戸を掘って獲得していたらしい。細かくて繊細な模様が3畳ほどの大きさの石に彫り込まれている。神へのメッセージか。その場に今はカモメが棲む。揉め事などなかったような穏やかな時が流れていた。

19.6.8

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オープニング・セレモニー

 

 Gunther博士の挨拶。これまでの会議の紹介と主催者への労いと感謝。継続が難しくなった1987年のこと、それを受けた日本のこと、ここでも話された。続く委員長の挨拶。24カ国から合わせて134名の参加者。開催国イタリアから24名、参加者が足りんやんと召集されたわけではない。ブラジルと日本から14名、ドイツ、インドから12名、中国からも9名が参加。委員長の苦労が窺われる。短期滞在でもビザが必要な国の人、しかもその手続きが大学ごとによって違う。招待状や自分の身分などの必要書類を申請すべき本人に送るのか、所属する機関に送るのか、あるいは他のオフィスに送るかである。時には口頭発表でなくては、研究費で旅費を賄えない。一方で口頭発表の枠は少ない。相当困惑する主催者。基調、招待、一般講演の時間を短く設定、さらにSOC(短時間口頭発表)も設けられた。一方でたくさん話をしたい登壇者。ここでの断捨離は難しかった。

19.6.7

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お迎えのバス

 18時に出発の予定、15分過ぎてもドライバーがいない。ドライな感じで登場して、遅れをものともせずに、およそ1時間後40人ほどの参加者を乗せて、サージニア島南部Santa Margherita di Pulaにあるホテルに到着。チェックインは後でよいので、パーティーにと促された。あかんかなと思いつ、贖って先にチェックイン。基本は石造りの建物に、豊かな広さの部屋をいただいた。welcome partyの会場に急いだ。3年、6年ぶり、さらには27年ぶりに再開する方々。大阪で開催されたICCST-6。当時は気鋭の研究者だった。71歳を超えた今も現役で5年継続のグラントを獲得できたとのこと。当時ご活躍だった先生方のお名前を出されては近況を尋ねていただいた。その中、小さなスクーターに乗って移動する先生。この会議を発案・企画し、牽引してきたGünther博士である。一昨年奥様に先立たれた。これまでのICCSTには常にご夫婦で出席されていた。2016年の会議では、その時が最後の参加であると話されていたけど、今回も参加を果たされた。それらを足して14回目である。

19.6.7

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電車の切符を買いたい

 でも自動販売機の使い方がわからない。英国の旗をタッチしてもドイツ語のまま。「空港までの、切符を買いたいのですが」と尋ねた。その方質問を聞くや、気っ風よく、続けてボタンに触れて「1.5ユーロよ、私の電車が来たわ」とその場を離れられた。二枚必要である。でもどこを押したのかがわからない。次の人に聞く。自販機をあまり使ったことがないらしく、慎重にマシーンにタッチして、同じ額が表示された。次の日、ミュンヘン市街まで電車で行きたい。ホームにある販売機の前に立ちつくす。ここでもお聞きした。値段が表示されて「これって高すぎるわ」と知人と話をしている。二人で往復、ということでグループチケットが探索された。「これで一日乗車券になったと思うわ」とのこと。市街にそびえる新庁舎11時と12時には時報とともに、慎重に、塔の上部からこちらを見下ろす人形が踊りだす。そこにはたくさんの見物客。教会の時計台のトップまで登った。市街が一望できる。複数の時計台と協会、曖昧な境界、今日限りの街を離れた。

19.6.5

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単純な熱処理によって

 金属有機構造体(MOF)が、エチレンの二量化のための活性な触媒に変換された[1]。通常の大スケール製造プロセスは、固体触媒が主流である。有機金属化合物を含む溶液層触媒と比べると固体触媒は、溶媒、共触媒、活性化剤を必要とせず、また生成物から触媒を分離するのも容易で安価で、再利用も可能である。ただし液体層の触媒と違って固体触媒は、均一な活性部位に欠けて、欲しくない副生成物を与えることもある。その中MOFsは、これら二つの良い点を併せ持つ、分子配列のある多孔性固体である。それでも触媒活性な部位の調製が挑戦的な課題であった。その中HKUST-1として知られるRuがもとになるMOFを試験していたところ、それを窒素と水素雰囲気下で穏やかに加熱した結果、触媒的に活性な均一なRu-H部位が得られた。共触媒や溶媒がない条件下、活性化されたMOFは、エチレンを1-ブテンに99%以上の選択性で変換し、120時間以上安定に存在していた。HKUST-1、貸すこともできるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 13, p. 11.

DOI: 10.1038/ s41467-019-10013-6

19.6.4

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多望の春

 岐山、曲阜と名付けられた日本酒を手に乾杯、岐阜大学創立70周年記念祝賀会。この機に多額の寄附をしていただいた企業や個人、多くの来賓の方々も一緒に、大いに盛り上がった。随分と長い間、お会いしていなかった先輩諸氏。覚えていただいてもらっていること、有難い限り。激励のお言葉、綺麗にまとめられる。こちらからもお願い。様々な会話が飛び交う。先日の工学部後援会に参加していただいた保護者の方とも情報交換。娘さんが物質化学コースの四年生であるとのお話。「どちらの研究室ですか」「娘は教えてくれなくて」とは言え、十分に情報は伝わっていた。「素晴らしい研究室なので、大学院進学までサポートを」とお伝え。中締めの時刻、会場を出るも外はまだ明るい。ホテルのラウンジへ。ここでは白ワインを酌み交わしつつ、同様な貴重な時間を授かった。三年前、このラウンジから満月をめでた。その時のICCST-13がイタリアのICCST-14にパスされた。その後、その都度のタイムリーなお知らせ。居眠り〜する前の確認、なんとかして来たかな。

19.6.3

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180以上の国々が

 5月3日パーフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩や、さらに関連する化合物の使用を禁止することに同意した[1]。ストックホルムでの会議では、消火剤の泡を含むいくつかは例外を認めたものの、それは多くの地域で地下水を汚染し、応戦も難しい。これらの泡のいくつかには、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の様な他のフッ素化合物も含まれて、これまでもその使用がかなり厳格に制限されているが今回の会議では、使用禁止にはならなかった。一方でPFOAやPFOSを訓練用に使用することや、それらの製造、輸入、輸出が禁止された。これによってある化学会社は、より環境調和なフッ素化化合物の提供を促進できる。また例外として医薬品製造も含まれる。ヨウ化パーフルオロオクチルは、PFOAに分解しうる。PFOAは臭化物製造にも利用されて、それがいくつかの医薬品を市場に出すことを可能にしている。ただし例外も2036年までである。また半導体工業、労働者保護繊維、医療素子、フィルムの写真コーティングには5年間の猶予が与えられている。一方で航空機の油圧油や他の特殊な応用は例外にはならなかった。それでも農薬殺虫剤で、分解するとPFOSに変換されるスルフラミドは、使用禁止までの期間が設けられていない。殺虫剤はブラジルで製造されて、ラテンアメリカやカリブで使われてPFOS汚染を引き起こしているにも関わらず、である。これについて人の健康や環境よりも、企業保護であるとコメントされている。新たな消火用の泡、紹介してください、慌てなくていいので。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 13, p. 5.

19.6.2

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キセノン-124の

 半減期と比べると、宇宙全体の歴史はほんの一瞬である。1.8 X 10の22乗年、直接測定された最も長い半減期であり、宇宙の年齢のおよそ1兆倍である[1]。超やばいか?この成果はイタリアにあるXENON1T検出器によってもたらされた。検出器には、3.2トンの液体キセノンが入れ込まれ、暗黒物質の兆候を捕まえる試みが行われていた。その物質は、宇宙の見えない物質を説明できるとされている粒子である。キセノン原子1000個のうち一つは124Xe同位体で、それはニュートリノ二重電子捕捉と呼ばれるかなり珍しい過程で、Te124に崩壊することが予測されている。核にある二つのプロトンが同時に原子にある電子二つを捕捉するとともにX線と電子が発生し、それがXENON1Tによって取り出された。一年間に126回これが繰り返されて、同位体の半減期が計算された。実験では暗黒物質は発見されなかったが、より感度の高い8.4トンのキセノンを入れることができる後継の装置が建築されていて、さらに珍しい126Xeの崩壊の予測が期待されている。ほうかいな。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 May 6, p. 9.

DOI: 10.1038/s41586-019-1124-4

19.6.1

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