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2019年8月

町内の会合のお知らせのために

 定型の封筒に名前を印刷する。封筒を入れる向きがわからない。えいやとプリント開始。封筒が詰まった。向きも違う。ムキになってプリンターを乱暴に扱うと、こちらの気持ちが伝わって、動きがさらに悪くなる。インク切れ。次回に持ち越し。今度は封筒の束をほぐして挿入。両面印刷完了。案内の文書、これでよし、と思ったら案内人の名前が昨年のまま。案外気がつかなかった。名前、まあええ、とはいかない。修正の後に印刷。配布の準備が整った。次の日早朝。地図を片手に、別の配達物と一緒に町内を自転車で走る。200件足らずの世帯が入り組んでいる。地区には、築数十年から数年の家屋が混在している。その間を縫って移動。最初はいいど〜う。対象となるお宅がすぐに見つかる。が自分の家から離れると怪しくなって来た。表札のない家、ポストにも名前のない家が多い。地図を見ながら、そのお隣さんと名前が一致したときには、ここに違いないと投函した。等間隔の配達だったらよかったろうにと、一件を除いて作業が完了した。表札ないと、ご挨拶もドキドキだった。

19.8.31

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スカンクの尻尾に

 運悪く出会ってしまったら、感狂うと同時に、どうやってその匂いを抑えるかを調べるかもしれない。通常の民間療法では、重曹と食器用洗剤と過酸化水素とを組合せて使う。がこれは刺激を伴い、それに触れた全てのものが漂白されてしまう。オクラホマ大学の研究者らは今回、土壌菌類によってつくられるペリコシンAと呼ばれる化合物が、この臭いジレンマを解決する可能性を発見した[1]。すなわちペリコシンAと様々なスカンクチオール(E-2-ブテン-1-チオールや3-メチル-1-ブタンチオール)とを反応させると、それらがほとんど臭わない化合物に変換された。一方でスカンクの消臭溶液として市販されている液と、チオールを混合させたものの、チオール臭はほとんど緩和されなかった。最後にペリコシンAと肌や髪の毛につける消臭化粧品に含まれる成分とを混合させた。それを試験管内で、様々な標準物を使って、試験を行い、化合物は肌や目に刺激を引き起こさないことも明らかにされた。消臭成分がペリコシンAに更新される日がくるかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p, 11.

DOI: 10.1021/acs.jnatprod.9b00415

19.8.30

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自由エネルギーを

 DFT計算した場合に、分子の配向に依存してその値が最大5 Kcal/mol変わる可能性があることを研究者らは見つけた。ただし本来この値は配向に依存すべき値ではない。反応の立体選択性や位置選択性を予測するには、自由エネルギーの計算は有用であるものの、5 Kcal/molのエラーは、予測を逆転させうるので、えら〜いことである。幸いこの研究者らはこのエラーを削減させる方法も発見している。DFTアルゴリズムでは、3-D電子密度を、より小さな取り扱いが容易な密度に分割し、系全体のエネルギーを近似している。そのための積分グリッド(integration grid)のデフォルトが75,302で、これでは粗い。少なくとも99,590のような細かなそれを使うことを推奨している。今回の結果は、DFT計算に詳しくない研究者がデフォルトだけに依存して計算結果を得て、それを信じることがあると、間違った結果が正しい結果として公表される可能性を示している。特に柔軟な分子や低周波モードの分子では課題である。計算結果が負の遺産になりませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p. 9.

DOI: 10.26434/ chemrxiv.8864204.v4

19.8.29

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500以上の胎盤のサンプルの

 DNA配列が決定された[1]。これは胎盤の微生物叢を検出できるかどうかを明らかにするためと、検出できた場合には、それと妊娠結果の間の関連が、信認できるかを検証するためである。まず最初の実験では、二種類の技術を使って、80の胎盤からDNAの配列が決定された。もしそれぞれ特徴があれば、どちらの方法でも、それが見られるはずである。ただし大抵のサンプルでそれは見出されず、ほんのわずかなある種のグラム陽性菌のみが、わずかな数のサンプルで見られただけだった。二つ目の実験では、498サンプルを2回ずつ、異なる製造業者が提供するキットで配列決定を行った。それでも常に存在するようなバクテリア種は見られず、わずかな汚染が微生物叢の原因であることが提唱されている。このことから胎盤の微生物叢は、低体重の新生児の誕生との関連はないことが提唱された。胎盤についてさらに対談も行われていて、わずかにしかない微生物叢を同定することも課題である。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p. 10.

DOI 10.1038/s41586-019-1451-5

19.8.28

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バッテリーを作成するために

 陽電荷を持ったポリウレタンにぶら下がる陰電荷を持った金ナノ粒子を含むコンポジットシートがつくられた[1]。それは、ナノ粒子の割合を変化させてシートの導電性や伸縮性を調製することができる。これまで研究者らは、導電性と伸縮性は二律背反するもので両方を付与させることの困難さに直面してきた。今回のブレイクスルーは、無礼でもなく、研究者らが、ナノ粒子の濃度を変化させたコンポジットのシートを積み重ねようとしていた際に、達成された。すなわちシートと努力の積み重ねが、電気を流している間の伸縮性と柔軟性を可能にしている。その結果、30%の負荷がかかる継続的な状態でも、充電容量72%が維持される耐久性があって伸縮性も有するバッテリーが組み立てられている。研究者らはこの伝導帯の利用性を試験するために、それを水がもとになるリチウムイオンバッテリーの電極に組み込んだ。バッテリーは近い将来、埋め込まれた、尿路移植のような移植デバイスに電気を流すことも可能になるはずである。多層電極で、目的を達成しようとしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p. 8.

DOI: 10.1126/sciadv.aaw1879

19.8.27

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DNAのような高分子は

 熱拡散(Thermophoresis)と呼ばれる熱勾配によって移動しうることが10年以上前に明らかにされていた。さらにこの現象を探求する中、熱拡散によって、火山の岩にある小さなチャンネルの周辺で、前生物的な分子が動くかどうかが今回明らかにされた。すなわち研究者らは、火山の岩と同様な液体で満たしたマイクロチャンネルの気泡が、空気と水の接触面を形成し、そこに生体分子が蓄積しうることを見つけた。この現象は、粒子が輪の端に集まり、液体が蒸発した時に、染みより暗い輪郭ができるコーヒーリングの様である。さらにこの効果を検証するために、脂質、RNAやDNAの様な生体分子を含む水で満たした、加熱したマイクロ流体チャンバーの中で小さな気泡を発生させた。30分以内に生体分子が、気泡の外側に集まり、細胞の様な小気泡ができた。分子を気泡の表面で濃縮すると、RNA複製の様な反応の速度が向上した。気泡は大きい方がいいのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p. 8.

DOI: 10.1038/ s41557-019-0299-5

19.8.26

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2017年10月初め

 いつものような一週間の始まりだったはずのその日、欧州の多くの核モニターサイトの大気サンプルから放射性Ru-106が検出され始めた。これは核事象がどこかで起きたことを示していた。放射性材料は、低濃度のため、人を健康被害に晒すことはなかったものの研究者らは、これはその年の9月25日の夕方から26日の午後の間に、ロシアのウラル山脈のマヤック生産工場で起きた、火災あるいは爆発によるものであると結論づけた[1]。一方でロシアの原子力機構は、ウラルでありうることだっかかを否定するとともに、人工衛星のバッテリーの爆発による可能性を指摘していた。詳細な調査の結果、Ru-103とRu-106の比から、再利用された燃料はわずか1.5から2年経過したもので、世界のどこの設備でも、それほど早い期間で再利用することはないものであるため、人工衛星由来ではないことを示していた。代わってこれらはCe-144のコンパクトな資源になり得ると同時に、その反応は過剰な熱や爆発性ガスを生み出すこともあり得る。現状では仮説の範囲であるものの、放出の化学は施設で起きたことや事故の状況について何かを伝えようとしている。核事象、隠しませんでしょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p. 7.

DOI: 10.1073/pnas.1907571116

19.8.25

 

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雲の中の

 水滴のサイズを、エアロゾルが引き金となって減少させる効果であるTwomey effectは、雲の屈折率を増加させることが知られている。ただし水の中に含まれる汚染粒子の効果についてはあまり知られていない。その中今回、中分解能撮像分光放射計(MODIS)衛星からの15年に渡る近赤外画像を使って研究者らは、2000以上の汚染された雲を時期ごとに同定した[1]。Twomery effectはこれまで、負の放射の力で、エアロゾルが惑星を冷却することを意味している。現在の気候モデルは、雲の水の中のそれの量の増加が、冷却効果をもたらすことになっている。が今回の研究では、雲の水はエアロゾルにわずかにしか反応せず、むしろ正の放射の効果をもたらし、惑星を温暖化させることを示していた。全体として、エアロゾルの冷却効果は、以前に考えられていたよりも25%程度小さい。ちなみにこれまで雲とエアロゾルの相互作用に関する不確かさを解決することが長年試みられてきたが、雲をつかむような話で、成功には至っていなかった。それに対して今回は観測を基にした制約の上の結果が提供されている。次のステップはこれらのデータを気候予測に活用するためにさらにデータを蓄積することである。Twomery effect、透明なのか、遠めにしか見えないのかなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 5, p. 5.

DOI: 10.1038/s41586-019-1423-9

19.8.24

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インドリン骨格は

 窒素原子を含む五員環とベンゼン環が縮環している分子で、多くの生理活性化合物に見られる。一方でその合成法は限定的で、合成が難しい出発化合物を用いる必要があること、単純な骨格のそれを導くことしかできなかった。それに対して今回、容易に入手できるN-アリール-N-ヒドロキシカルバメートから構造的に複雑なインドリンを導くことができる方法が開発された[1]。変換反応は、改良型Heck反応であり、Pd触媒が、同じ分子の中の二つの成分を連結する。すなわちアルケンと先のカルバメートである。これはクラスメートにも紹介できる、一段階の環化反応で、他の方法では合成が困難な、複雑なインドリンが導かれている。また出発のN-アリール-N-ヒドロキシカルバメートはニトロアルケンから簡単に調製できる。インドリン合成の新たな方法に加えて本反応は、窒素原子を親電子剤とする、Heck様の反応の発展型でもある。インドリン合成のドリームんでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2019 July 29, p. 9.

10.1002/anie.201907758

19.8.23

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テロワール

 フランス語で、ワインの香りに影響する土壌、気候、地理のような環境のことである。それに関するオーストラリアのブドウ園での研究は、土壌の中の微生物が、テロワールに大きく影響し、そこで育ったブドウからできるワインの香りも左右することを示していた[1]。オーストラリアのビクトリアワイン地域は涼しい気候で、シラーズという名で、知らず知らずに知られている、独特のピリッとしたワインができる。このスパイシーな香りは、ロツンドンという名のセスキテルペン分子によるものである。ただしロツンドンの量がブドウによって異なる。そこで土壌の微生物を検証したところ、ロツンドンの濃度が高いブドウは、バクテリアの密度が高くて菌類が多くはなかった。バクテリアが実際にロツンドンのレベルや香りにどう影響しているかはわからないが、スパイシーで赤いワイン製造には、ブドウの木だけではなくて、土壌の微生物についてもケアするといいことが提唱されている。ロツンドン、ロンドンにもあるでしょうねえ。

[1] Chemical & Engineering News 2019 July 29, p. 9.

DOI: 10.3389/fmicb.2019.01607

19.8.22

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光活性化触媒は

 還元–酸化反応で、ラジカルを発生させ、それが選択的に複雑な分子を変換できる。ただし大抵のレドックス触媒はイリジウムやルビジウムのような希少金属を使い、過激な条件には脆いため、おもろいとは言い難い。その中今回、シアナミドから調製されるトリアジンがもとになった芳香環のネットワークであるメソポーラスグラファイト窒化炭素と呼ばれる固体半導体材料が開発された[1]。青色光が触媒表面で電荷を分離し、還元反応に関与できる電子や、酸化反応を司るホールが発生する。これを使うと、医薬品やホルモンや生理活性化合物のような様々な芳香族化合物にある、複数の炭素-水素結合のうち、特定の部位を切断して、新たな炭素–炭素結合を形成させることができる。pHがかなり高い場合や、強い光があたっても、固体触媒は壊れず、またろ過や遠心分離で、簡単に回収できて、少なくとも4回は再利用できる。固体触媒、直ちに交代させる必要はない。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 29, p. 8.

DOI: 10.1126/ science.aaw3254

19.8.21

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大気汚染は

 喘息のような、肺疾患を加速する可能性がある。今回研究者らは、汚染被曝が、子供の疾病の発症と関連があること、汚染物質の中でも二酸化窒素をより厳しく抑制することが、子供の喘息の発症を抑制しうるという新たなデータを加えた。研究者らは南カリフォルニアでの過去20年間のデータを入手し、1993年から2014年までの間に、NO2排出の低減と、子供の喘息の発症が20%減少している相関を見つけた[1]。研究者らは政策を決定する人たちに、さらなる排出の制御に関する行動を起こし得る情報の提供を目的としていた。そこでNO2排出がさらに減ると何が起こるかを予測するモデリングを使った。米国環境保護局は、年間のNO2レベルを53 ppbに制限している。それは自動車の排ガスや工場施設から放出されている。実際に研究では、40 ppb以上のそれに晒された子供はいなかった。それでもおよそ22%の子供が喘息に罹患していた。そこで測定値よりもさらに20%削減されると、喘息になる割合は、17%にまで下がることが予測されている。喘息対策、迅速でありますように

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 29, p. 8.

DOI:10.1001/jama.2019.5357

19.8.20

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視野の中の

 飛蚊症や黒い斑点は、視界を混乱させてしまう可能性がある。治療方法としては、眼球の中の硝子体液を生理食塩水で置き換えるか、レーザーで濁りをイレーズし、破壊するかである。ただしこれによって治癒されるのは38%程度の人である。その中、より非侵襲的で効果的な方法として、濁りの原因であるコラーゲンの塊を標的とした、金ナノ粒子を使った方法が開発された[1]。低エネルギーレーザー光が照射されると粒子は加熱されて、斑点を吹き飛ばすことができる。研究者らは、ナノ粒子をヒアルロン酸でコートし、コラーゲンの塊の上にクラスターを形成させた。ついでこれらの粒子を、目に濁りを持つ人から採取した硝子体液に加えて、低エネルギーのパルスを与えた。その結果、濁りが小さくなっていき、破壊された。この方法は従来法の0.1%程度のエネルギーで使えるために、より安全であることが期待される。次は実際の人の目での実験が必要である。目の濁り、消えると、にっこりできます。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 29, p. 8.

DOI: 10.1021/ acsnano.9b04050

19.8.19

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階段を降りて

 重たい扉を開けるのが通常である。ところがこの日は様子が違う。見ると小さなファンが入り口付近で稼働している。どうかしているのかと中に入ると、同じタイプのファンがさらに二台働いている。ファンのファンという訳ではないらしい。冷風機も設置されていた。聞けばエアコンが7月末に故障したとのこと、その時からこの状態が続く。修理を依頼して可能性のある原因部分の部品を早急に交換してもらったものの、そこではなかったらしい。次に本命の交換部品が今度は、なかったらしい。送風モードの運転で、カウンターバー全体に涼を届けようとするものの、それも難しい。暑さでビール販売促進でもない。この状況を受入れるべく、フルトベングラー指揮、ベートーベンの運命が流れていた。幸いそれでもほろ酔いで暑さを忘れて、楽しいひと時を過ごさせていただいた。普段ならその間、入れ替わり立ち替わり複数の客人が、カクテルやウイスキーを手にするけれど、この日は、どなたもお越しにならなかった。クーラー故障で、暗い気分になりませんように。

19.8.18

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グラフェンの

 電子さらに光学特性を利用するための大量生産には、大きな高品質のフィルムを迅速に製造しなければならない。その中フッ素がその一翼を担いうることが報告された[1]。研究者らはこれまでグラフェン製造には、化学蒸着(CVD)を利用していたが、それはメタン蒸気を、加熱した真空チャンバーに挿入する。そこではガスが分解し、銅ホイルの上にグラフェンが析出する。そこに酸素や水素を加えると成長速度がある程度増加する。それに対してフッ素は最も反応性が高いものの、CVDに直接導入すると、容器が腐食して、不足すると共に、有毒なフッ化水素も発生する。その中今回、銅ホイルの上に超薄いフッ化バリウムのフィルムが置かれた。加熱すると少量のフッ素が発生するとともに、それらはフッ化バリウムフィルムと銅ホイルの間にとどまり、グラフェン成長反応を支援していた。フッ素はメタンと反応してフッ化メタンが生成、この分解が発熱であり、グラフェン成長の炭素原子の放出を加速していた。1分以内にフッ素に晒されたホイル側には1 mm幅のグラフェンの円状のシートが成長し、フッ素に晒されていない側では、20μm幅のグラフェン薄片が成長していた。さらにこの手法が2-D電子材料である二硫化タングステンや立方晶系の窒化ボロン(h-BN)の成長も加速していた。フッ素ガスの代わりに、フッ化バリウムが使われて、頑張りを生んでいる。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 29, p. 7.

DOI: 10.1038/s41557-019-0290-1

19.8.17

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汚い空気を吸うと

 期待しなくても、心臓や肺に被害を及ぼす。この負の効果は他の臓器にも波及する。過去数十年間科学者は、道路汚染の被曝を不妊や流産とも関連づけてきた。今回これらの汚染により多く晒されている女性の体外受精(IVF)は失敗する可能性が高くなることが示された[1]。科学者はボストンの不妊の女性345人を、不妊治療の間からそれが上手くいかなった、あるいは成功した時点まで、追跡調査を行った。それぞれの女性の、喫煙や社会経済的地位を含むライフスタイルの因子も記録された。また治療期間は、ホルモン刺激、卵子の生産から、取り出し、移植から最初の妊娠、赤ちゃんの誕生まで広げられていた。と同時に日々の黒色炭素、酸化窒素やPM2.5のような微粒子の濃度が、それぞれの女性の家で測定された。その結果、最も高い濃度の汚染に晒された25%の女性は、その逆の女性よりもIVFが失敗する経験が多かった。とりわけ排卵刺激や卵子回復の間に二酸化窒素に晒されると失敗の危険が大きかった。また胚移植の際に、高い濃度の黒色炭素やPM2.5に晒されると失敗の危険が増大していた。何れにしてもこれらのデータは、IVFの失敗のリスクが大気汚染と相関があることを示しており、さらに世界的な規模で研究を続ける必要がある。それによって強うなったデータベースが構築される。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 29, p. 5.

DOI:10.1289/EHP4601

19.8.16

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曲げたり

 伸縮できる電子デバイスは、スポーツ、医薬、ロボティクスの分野で新たな応用が期待できる。ただし従来の電気回路は曲げると故障する。また薄い素材、紙、肌のような柔軟なエレクトロニクスで使われている最近の材料は、電気回路を組立てる高温には適合しない。これらの課題を回避するために研究者らは、ナノメートルの厚さの酸化物肌をカプセル化した液体–金属液滴に注目した[1]。素敵である。62 °Cで融解するビスマス–インジウム–スズからなる液滴は酸化物肌が傷つけられない限り室温で液体だった。わずかな応力や酸へ晒すと、金属が流れ出し、別の液滴と混ざって固化、密度の高い連続の金属構造を形成した。研究者らは、市販の台所用品で、溶けた金属を高速で混ぜて溶融金属を作成し、溶液をゆっくりと大気中で冷ました。さらに液滴をヒドロキシメチルセルロースに広げて、液体–金属インクを作成してパターンを書いた。例えばペンプロッターでは、インクが出てきた後、空っぽのペンが液滴を叩いて破裂させて金属が出てきた。また紙に印刷された金属パターンは堅牢で、10000回曲げても、壊れたり剥がれたりはしなかった。さらに紙の上に、柔軟なプログラムできる発光ダイオードディスプレイやタッチパッドキーボードを作成し、ロボットハンドを制御するために使われる抵抗がもとになったセンサーシステムも作成した。さらにゼリーの型、葉っぱ、生きているバラの花弁を含む材料へも複雑なパターンを印刷する様子も観察できた。花弁にも簡便に印刷です。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 29, p. 4.

DOI:10.1002/adfm.201903687

19.8.15

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増加する

 グローバル人口の食料を確保することは、単にカロリーだけの課題ではない。ペロリ〜と食べても栄養バランスも重要である。WHOによれば、世界の三分の一の人が、微量栄養素欠乏症あるいは隠れた飢餓の経験を持つ。これらの人々の多くが開発途上国に住んでいる。解決方法の一つは、複数のミネラルのサプリメントを、小麦のような主要生産物の葉っぱに、それらの成長過程で噴霧することである。亜鉛あるいはヨウ素を含む噴霧が以前試験されていた。今回、亜鉛、ヨウ素、セレン、鉄を含むカクテルが、27の地域で育つパン用の小麦で試験された[1]。それぞれの場所で、穀物を収穫、乾燥の後、粉に粉砕された。その結果、微量栄養素カクテルが、亜鉛、セレン、ヨウ素の濃度を著しく向上させるとともに、全体の収率を害することはなかった。鉄の濃度だけが上昇がわずかだったことから、鉄については他の方法が必要である。小麦、米、豆の株を、より多くの鉄成分を含むように繁殖させて、ミネラル多成分スプレーを使うと、栄養価がさらに上昇することが期待される。栄養価を高めるこの方法、えいようか。

[1] Chemical & Engineering News 2019 July 22, p. 11.

DOI: 10.1021/acs.jafc.9b01829

19.8.14

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五年ほど前に

 

 修士課程を修了、今は化粧品関連の企業で働く。お会いしたいという中、わずか1時間ばかりでも柳ヶ瀬まで足を運んでもらった。自社製品をプレゼントにいただく。いずれレジェントになる商品もあるかもしれない。化粧水一つにしても数十種類の成分を含む。それぞれが水の中でどんなネットワークをつくっているのかを説明するのは簡単ではない。その中、成分表示を見ながら、個別にどんな役割なのかを紐解いてくれる。親水性、疎水性、酸、塩基、かつて学んだ言葉が躍動感を持って飛び出す。加えて販売戦略。購入していただきたい年齢層、飽きが来ないこと、価格設定、「これを使っているからこそ」という特別感。考え抜いた結果、製品から商品になる。別の商品、今かなりの売れ筋、隣の研究室を出た先輩が取り組んで仕上がったとのこと。先輩を尊敬するその語り、海外進出の流れも受け止めたい自分、などなど。風貌は学生時代と同じなるも、豊かになっている。と言いたかった。

19.8.13

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酷暑の中

 オープンキャンパスの開催、昨年オーぶンキャンパスと呼ばれた。受付の手続きの後、冷たいペットボトルのお茶や水を配布。新しい箱を開けては机に並べる。中々追いつかない。そんな中、「お聞きしたいんですが」と30代半ばの女性。自分が小学校の時に同級生だった人と同姓同名の人が、工学部の学生であるらしい。探したい。とは言え、その方のお名前、所属専攻も教えていただけず「なんとかなりませんか、自宅は知ってるんですけど」「ご自宅を訪ねられたらいかがですか」それこそ今の時代、変な人だと思われてしまうのでそれはできない。いや「私との会話自体、ちょっと変ですけど」は心の叫び。昼頃別の方に「先生、お久しぶりです。先生のお顔を拝見したので、お声をかけなくてはと」、しばし考えた後、20年余り前、研究室に所属していた卒業生だったという記憶が蘇って旧姓が飛び出した。息子さんが機械系に興味があるとのこと。次代を担う若者である。さてこの日は、工学部案内、研究室見学、模擬授業、なんでも相談室、リケジョのコーナーなど、硬軟ないまぜの学部紹介イベントだった。お弁当を供することはできなかったものの、担当の方々の数ヶ月に渡る準備と、この日対応していただいた事務スタッフ、先生方のお陰で3000名を超える参加者にもなんとか対応できた様子。参加された皆様、何かを感じていただけたでしょうか。

19.8.12

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ヤンゴン

 八百万人が住むという。英国領だった1942年頃、日本軍の侵攻があって街が破壊され相当な被害を被った。一部その当時のままの建物がある。その後、涅槃像を拝む。寝てはん像だけど、ここの仏様は目がパッチリと開いている。ついでシュエダゴン・パゴダ(寺院)を訪れた。お釈迦様のご遺体の一部も納められているらしい。半端じゃない数の仏像、お釈迦様に加えて、菩薩や如来に相当する仏様が祀られているのか。ガイドさんにお聞きしようにも、英語の語彙がない。お経はサンスクリット語、日本へはそれが翻訳されて入ってきた。ミャンマーの仏教では、生まれた曜日と動物との間に関わりがある。ただし一週間が7日ではなくて8日で、水曜日だけは午前と午後で分かれる。「生まれた曜日を調べます」というガイドさん。あなたは「土曜日、ドラゴンです」とのこと。寺院の真ん中の塔の周りには、その八曜日に相当するエリアがあって、そこで水をかけてお祈りをする。自分も土曜日のコーナーでその儀式を行った。戻って調べると、自分の誕生日は月曜日であることをwebは示していた。月曜だと「虎」である。どちらにしても現状ではあまり強くはない。

19.8.11

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先生、私のこと

 覚えていますか。先生に有機化学教えてもらいました。流暢な日本語しかも洒脱な語り口。名刺をいただいた。今はマレーシアの大学で教鞭を執っている。名前が、二十数年前の記憶をかすかに刺激した。当時も今も一学年に一名ほどの留学生が在籍する。日本語を学び、テストの解答も仮名、漢字混じりで記載する。有機化学の講義を始めた頃、寡黙である。この科目わかってもらえるだろうか、という心配をよそに、無事突破された。四年生では無機化学、大学院では分析化学を専攻した。その頃、東京に住む彼と出会って、彼が伴侶になったとのこと。日本で暮らしていたために英語があまりできなかったと感じた彼女は、四年間オーストラリアに留学し、そこで博士の学位を取得。今は16歳を筆頭に3人のお子様を持つ。今回は家族でヤンゴンに来たとのこと。改めて日本に、岐阜に行きたいけれど、旅費が自分の一ヶ月のサラリーの半分くらいするので、さらりと行くことは難しいとのこと。子供の受験が終わった後ですねえ。

19.8.10

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講演会場の午後

 自分自身の発表に備えるために、会場でスタンバイしている。自分の二人前の講演が完了した。座長は、次講演者を招待するが、名前を呼ばれても講演予定者が登壇しない。当然普段なら、しばし休憩時間である。がここでは、スキップして順番が回ってきた。急ぎコネクターを繋いで演台に向かった。40分も時間をいただけるとは思っていなかったという挨拶から始めた。右手にマイク、左手はレーザーポインター、講演途中、左手に蚊がとまった。彼の虫は快適に食事を楽しんでいる様子。しばらくして満足して飛び立った。後に残るは、かゆみのみ、弓も使わないけど、それと戦いながら講演終了。座長曰く「その後は休憩時間なので、質問はたっぷりと」「手がかゆいんで」「かゆいところに手が届いて欲しい」と思いつ、質疑応答した。終了後も質問をいくつかもらった中、UKMに所属の先生が来られた。およそ九ヶ月ぶりの再開である。UKMと工学研究科とはこの四月、ジョイント・ディグリープログラムを始めた。共同研究の雰囲気も漂う中、期待の生理活性と分子設計にも話が及んだ。他の応用研究の提案も盛りだくさん。数年前とは隔世の感あり。「後生畏る可し」、当方は衰えるべしか。

19.8.9

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ヤンゴン国際空港

 ホテルからのお迎えの人、村井君の名前を書いた紙を掲げている。トヨタ・クラウンで送迎とのことだったので、オプションで予約。「ここで待っていて欲しい、車を移動させて来るので」とのこと。ただし送迎場のあまりの混雑に車が来るまでしばらく待った。その甲斐あって、実際にクラウンで来るんや、だった。ホテルまではおよそ30分、交通事情によってはさらにかかるとのこと。車内は、エアコン、オーディオなどカタカナ表示、地図ディスクには「データが読めません。地図ディスクが正しいか、ご確認下さい」の表示。で実際には使わない。トヨタ車が行き来する主要道路、クラウン・プレミアムは静かに走る。ここち良さにお昼寝モード。どうも渋滞の中にいる様子。一時間以上経ってホテルに到着。フロントの担当者、無論優れものである。様々なサービスを矢継ぎ早に説明。屋外のプールも使えるらしい。けど暑くもなく、かつ予報では雨。部屋に案内された。寒っ!エアコンが15 °C設定でフル稼動。かどうかはともかく、電源を切った。

19.8.8

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中部国際空港

 深夜便、機内では何にもしんや、と思いつつ、国際線受付カウンターへ。登場予定の人で溢れる羽田空港とは一線を画す。午前0時を過ぎたフライト予定は一便だけ。いちびる人もなく、チェックインをする。保安検査場、パスポートチェックをしてもらって中へ入る。普段は多くの人が集うデリ・カフェ、客人はいない。ドリンク、おつまみ、お寿司の詰合せのみの販売。静かな店内で過ごして搭乗口へ。優先登場から始まって、自分の順番までは通常、長い時間待つ。ここでは程なく、すべてのお客様の・・・、というアナウンス。確かに手続きの際、三割程度の搭乗客とのことで、三列シートの横二つが空くかもしれない場所に変更してもらった。バンコクに向けて飛び立ってしばらくして、横になった。着陸一時間半ほど前に起床。機内サービスも速い。スワンナプーム国際空港に降りた。スワンナと言っても椅子がないわけではない。長い通路に立ち並ぶDuty Free Shop。水を買った。タイ・バーツはない。日本円でお願いしたい。コインを出したけど、バ〜ツが悪い。紙幣のみでお釣りはタイ・バーツ。数百円の支払いをクレジットカードで済ました。それでもクレイジーではない。

19.8.7

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米国は60年以上前

 マーシャル諸島で核兵器の実験を67回行なった。もちろんそのコマーシャルはなかった。今回コロンビア大学のK=1プロジェクトは、複数の北側の島々の汚染が、多くの国々によって決められた安全基準や、米国とマーシャル諸島共和国との間で交わされた覚書で同意されている放射の最大レベルを超えていることを示していた[1]。複数の島で、土の放射能は、より最近に起きた被災地、例えばチェルノブイリ、ウクライナや福島のそれらを超え、場所によっては1000倍ほど高いことがわかった。マーシャルに住む人はしばしば、人が住まない島に食べ物の採取に出かけるため、以前の居住地に焦点を当てた調査では、それ以外の場所の被曝については低く見積もられていた。さらに研究ではヤシガニに放射能が発見された。これは食物連鎖の結果、汚染が蓄積された結果である。この放射の健康上のリスクについては不明だけど、次の段階は、地域の動物相と放射能の変化の相関を明らかにし、地域住民への影響を見ることである。汚染を、そのままには置きはせん、心意気で調査を

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 22, p. 11.

DOI: 10.1073/pnas.1903421116 and DOI: 10.1073/pnas.1903481116

19.8.6

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現存する麻酔剤は

 副作用を示し、特に脆弱な人にとっては危険である。副作用には血圧低下やステロイド生合成の抑制が含まれ、麻酔剤としてはまずい。そこで副作用のない化合物を探索するモデル研究の中、γ-アミノブタン酸(GABA)タイプA受容体にバインドする分子であるN-アリールピロールが注目された。分子のデータベースからこれまでは麻酔剤として考えられていなかった11の市販のジフェニルN-アリールピロールが取り上げられた。化合物はカエルやネズミに対して麻酔作用を示した。ネズミでの試験では、最も可能性の高い化合物は、ネズミをノックアウトさせるのに必要な量の五倍量でも血圧低下を引き起こさなかった。麻酔専門医によれば、これまで新しい麻酔剤が世に出かけても、現在利用されている麻酔剤であるプロポフォールと競合することができなかった例は多いため、ジフェニルピロールのさらなる研究が期待されている。ピロールで新たなロールモデルはできるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 22, p. 7.

DOI: 10.1073/ pnas.1822076116

19.8.5

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原油の天然成分の

 一つであるベンゼンは、芳香環の安定性のために、別の化合物に変換する方法は、かなり限定的であった。それに対してベンゼンのC-C結合活性化の新しい方法が報告された[1]。昨年、ベンゼンのC-H結合を活性化できるアルミニウム錯体を報告した[2]オックスフォード大学の研究者らは、その研究を継続していた中、驚いたことにベンゼンのC-C結合に挿入できる錯体を合成した。反応は可逆で、不活性ガス雰囲気下室温で進行する。これまで報告されている数少ないベンゼン環を開く反応は全て、制御が難しく、短寿命の化学種を含んでいた。それに対して今回の新しいアルミニウム化合物は、不活性ガス下で保存する限りは、長期保存することができる。今回の容易で可逆なベンゼンのC-C結合開裂は、優れた成果である。これによって将来原油由来のフィードストックから得られる多くの複雑な分子の活用の幅も拡大することも可能になるかもしれない。ベンゼンを完全に変換するって難しいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 22, p. 6.

DOI: 10.1021/ jacs.9b05925

[2] DOI: 10.1038/ s41586-018-0037-y

19.8.4

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ペプチドのような

 基本的な生体分子をつくるには酵素を必要とする。それに対して生命のない状況で最初の複雑な生体分子がどのように出来たのかが謎である。そこで研究者らは、地球に生命体がない時にもおそらく存在したと思われる分子だけを使った実験を行った[1]。アミノ酸ではなくて、その前駆体であるアミノニトリルである。ニトリル結合のエネルギーを利用すると、そこからアミノ酸が直接合成できると考えられた。ここではアシル基の付加が鍵で、アミドニトリルを与える。これが副反応からアミンを保護している。ついでこの反応がタンパク質で発見された20のアミノ酸全ての前駆体からペプチドを導くことができることが示された。さらにこの反応が、原始地球のような条件でも進行し、水中でも高収率で生成物を与えた。ただし新しい方法では。硫化水素の連続付加も必要で、アミドチオ酸の合成と、それとアミノニトリルの酸化剤存在下での反応がペプチドの起源を導いている。なおこれらの連続付加が必要であるものの、今回の条件は、地球上の生命の始まりで起きた化学を理解するのにもっとも近い条件であるということができると述べられている。アミノニトリルで、実りある成果を得ました。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 22, p. 6.

DOI:10.1038/s41586-019-1371-4

19.8.3

 

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従来のカテナンや分子ノットは

 窒素原子のようなヘテロ原子を含んでいた。これらのヘテロ原子は、金属やテンプレートになる分子との相互作用によって、与えられる複雑なトポロジーをつなぎ合わせるために必要である。それに対して今回のカテナンはベンゼン環のみである[1]。「わかってんな、つくるぞ」の意気込み(おそらく)で、日本の研究者らは、ケイ素テンプレートを使ってナノリング部品を隣接させることを思いついた。部品を一旦環化させた後に、ケイ素を取り外し、かみ合った分子を完成させた。三つ葉模様ノットは特に難易度の高い挑戦的な化合物だった。最後の三段階の全収率は0.3%。計算や結晶学的データから三つ葉模様ノットは堅いと予想されたが、NMRスペクトルは、織り合わさった分子鎖は-95 °C以下でも、溶液中で素早く動くことを示していた。今回の成果は、これまでのフラーレン、カーボンナノチューブやグラフェンの他にも、機械的に結合した分子による炭素ナノ科学の位相世界が存在することも示している。新しいノットについて、ブログに乗っとったよ、とお伝え下さい。今回のカテナン、誰も勝てんなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 22, p. 5.

DOI: 10.1126/science.aav5021

19.8.2

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メタンが主成分である

 天然ガスを燃料とする乗り物は、ガソリンやディーゼルエンジンよりも二酸化炭素の排出量が少ない、ただし十分な走行距離を確保するためには、高価な高圧タンクとそのためのスペースも必要で、実用的な面からの制限がある。そこで研究者らは、大量のメタンを可逆的に中圧で貯蔵できる固体を探索している。原理的には、適切な吸着剤があれば、それを乗り物用に設計できる。例えばMOFsは、1g当たりの材料で0,5 gのメタンを、1L当たりの材料で263 Lのメタンを貯蔵できる。さらに今回の新しい材料は、0 °C付近で100 バールで、0.625 g/g、294L/Lのメタンを貯蔵し、5 バールまで下げるとガスを放出できた[1]。ベンゼンと1,2-ジクロロエタンから調製されたCOP-150と呼ばれる、コップではないポリマーは柔軟な構造で、メタン吸着で膨張し、放出で縮小する。ここでの芳香環のコアと柔軟なエチレン鎖の組み合わせが、多孔性の吸着剤を与え、それがメタン呼吸を可能にしている。高級な呼吸ポリマーでも、安価であるらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 July 22, p. 4.

DOI: 10.1038/s41560-019-0427-x

19.8.1

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