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遷移金属で考えられていた

 結合様式がBa, Ca, Srでも形成できること、すなわちこれらの元素が4ケルビンで八つの一酸化炭素と18電子錯体を形成することが昨年報告された[1]。ただしこの予想外の結果に懐疑論が持ち上がり、会議も開催されたかもしれない。例えば八つのカルボニルが配位した錯体の形成は間違いないけど、金属とCO のこれまでの科学を無視していると指摘を受けた[2]。すなわち先の分析は、金属とオクタカルボニルが中性成分であるとして結合様式の分析が行われている。懐疑的なグループは、それらの部位が電荷を帯びていて、錯体の電荷密度分布が反映されており、遷移金属に特徴的な結合様式は観測されなかったとしている。これに対して最初の著者らは、Caと(CO)8が中性であるという想定は、結合をつくる前の状態に適応していて、遷移金属に見られるような結合、d軌道が関与したそれらが観測されていることを改めて確認したとしている[3]。いずれにしてもこれらのエキゾチックな分子は境界領域に属するもので、軌道や結合様式についてより幅広い問題を議論する機会にもなる。結合様式の常識が変更されるかもしれません。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 August 12, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aau0839

[2] DOI:10.1126/science.aay2355

[3] DOI: 10.1126/science.aay5021

19.9.9

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