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660百万年前

 小惑星が地球に衝突した。当時は掌握されていなかったこの衝撃による海洋生物の死滅は、大洋が酸性化したためであると考えられていたものの物理的な証拠はなかった。その中今回ホウ素の同位体を使った小さなプランクトンの殻の研究で、当時の大洋のpHが見積もられた[1]。衝撃から1000年以内に大洋表面のpHは0.25ユニットごとに低下していた。さらにこの間に海洋有機体による光合成が半分程度に低下していることもわかった。4万年ほど経過した頃pHは衝撃の前のレベルまで戻っていたものの、生態系が戻るにはさらに多くの年が必要だった。炭素同位体をもとにした調査も行われて二つの仮説が提唱されている。一つは海洋生物すべてが死滅した、もう一つは石灰化したプランクトンだけが死滅した、である。pHのデータとモデルを考慮した結果、大洋の光合成できる生命体が半分死滅し、その後ゆっくりと植物性プランクトンが回復してきたのではないかと、類推されている。この結果は、今の人為的な大洋の酸性化を考察できる成果でもある。正解かどうかは今後です。

[1] Chemical & Engineering News 2019 October 28, p. 4.

DOI: 10.1073/pnas.1905989116

19.11.15

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