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反芳香族性の壁を持つ

 過去にはない、ナノサイズのカゴが報告された[1]。分子は特異的な磁気特性を有していた。ヒュッケル則によれば環状共役系化合物が4nπ電子の場合には反芳香属性である。これらの分子は一般的に不安定で高い反応性を示す。加えて環には常磁性の環電流があってNMRで高磁場シフトが観測される。今回このナノケージ合成のために比較的安定な反芳香属性Ni(II)ノルコロールが使われて、テトラへドラル状の分子内にゲストを保持できる分子として自己集合できるまで置換基と鉄イオンが加えられた。この分子はおそらく、反芳香族ユニットでカゴが構築された最初の分子建築である。またこのホスト分子は二つ以上のゲストや異なるゲストを同時に取り込むことができる。さらに興味あることに取り込まれた分子のNMRは低磁場シフトしていて、これは通常の場合とは対照的である。今回の研究、好奇心が駆動した研究で、成果はさらに好奇心を掻き立てる。その大切さをアピールできる絶好機である。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 October 28, p. 7.

DOI: 10.1038/s41586-019-1661-x

19.11.17

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