« 2020年1月 | トップページ | 2020年3月 »

2020年2月

モザンビークやタンザニアでの

 マラリアワクチンRTS,Sを摂取した子供の免疫系に関する新しい研究結果は、低あるいは中所得者層の国の人々ではワクチンの効き目が小さいのはなぜかという長年の疑問を、わずかながら解き明かしていた[1]。免疫学者たちが集めた血液サンプルは、これらの国で暮らす子供の免疫系は、年齢さらに貧血かどうかによって異なることを示していた。幼児ではワクチンは全く効かず、年齢の上の子供達では30%以上効果的で楽チンにできる。さらに幼児の血液では、ワクチンに応答する免疫細胞の数も少ない。ただしアフリカとオランダの子供達の免疫系を比較すると前者の方がより早く発達しているようだった。これは、アフリカの子供達が、より多くの病原体に晒されているためであるかもしれない。またモザンビークの子供達と比べてタンザニアの子供達は、抗体を生み出すB細胞の数が少なく貧血の可能性も高かった。これは鉄不足による赤血球不足によるものであり、B細胞と鉄のレベルとの相関も明らかにされた。B細胞、微に入り細に入り、調査された。

[1] Chemical & Engineering News 2020 February 10, p. 7.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aaw9522

20.2.29

| | コメント (0)

カナタキサプロペランは

 抗がん剤であるタキソールに類似の骨格を持つが、今回初めてその合成が達成された[1]。その化合物はある種のイチイの低木から得られるがごく微量で、いちいち採取することも難しく、生物化学的な特性の解明もできていない。化合物は24炭素しか持たないものの、その構造のかなりな複雑さから合成も困難である。それはタキソールのコア骨格を有するとともに、化合物を橋かけする三つの炭素–炭素結合を含む。これによって全体の合成戦略もかなり異なる。また化合物には三つの環が一つの炭素–炭素結合を共有するプロペラ構造を含み、連続する12の立体中心、五つの四級炭素も存在する。鍵となる戦略はアルケン–アレーンのオルソ光環化反応で、シクロブタン環と四級炭素中心を繋げる段階である。この反応が成功したことから数グラムスケールで中間体の合成が可能になった。その後は、ラクトールの開環だったが、これを成功させるために一年を要した。最終的に市販の化合物から269段階を経て全体収率0.5%で合成に成功した。カナタキサプロペラン合成、遥か彼方から来た感じです。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 10, p. 7.

DOI: 10.1126/science.aay9173

20.2.28

| | コメント (0)

周期表の

 sブロック、pブロックにある典型元素は、軌道の数と形状から三重結合が最大であり、四重結合やさらに多重な結合は遷移金属に限定されていると想定されていた。それに対して今回研究者らは、四重結合を含む二原子ロジウムボライド(RhB)を報告した[1]。研究者らはこの結合様式に偶然出会った。すなわちRhBの研究を開始した当初、分子の振動数は三重結合を含むRhBH+よりも短くて強いことがわかった。加えてRhBの分子軌道の理論計算は、これら二つの原子は、二つのシグマ結合と二つのπ結合からできていることを示していた。これらのことから、RhBは、ホウ素に対する四重結合を含む最初の二原子分子であることが提唱された。ただしRhBの結合様式に関する先入観を乗り越えることは挑戦であった。すなわちこの成果が論文で認められるには時間もかかり、複数のジャーナルに投稿したが果たせず、昨年BFe(CO)3が四重結合を含むことが報告されて初めて掲載が可能になった。二原子分子、どこにも逃げんし。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 3, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.jpclett.9b03484

[2] DOI: 10.1038/s41467-019-12767-5

20.2.27

| | コメント (0)

重症急性呼吸器症候群

 コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の部分の構造が、低温電子顕微鏡法(cryo-EM)で明らかにされた[1]。この成果は、ウイルスに対するワクチン開発やCOVID-19の治療への大きな一歩である。これまで多くの年月を他のコロナウイルスの研究に費やしてきた研究者らは、コロナウイルスのスパイクタンパク質である糖タンパク質の形を固定するための選択的変異の使い方を熟知していた。その中新しいウイルスのゲノム配列を入手し2週間で、安定化スパイクタンパク質のサンプルを設計し、製造した。3–D構造の再構築に12日間を要したものの2月15日BioRxivに公開し、2月19日にScience誌に掲載された。この迅速さは、分子生物学とcryo-EMとの組合せのすごさを実証している。コロナウイルスはRNAウイルスで、そのグリコタンパク質が細胞表面のタンパク質にバインドすると、バイトはしないけど、人の細胞に入り込む。SARS-CoV-2は、2003年にSARSを引き起こしたウイルスよりも、人の細胞への親和性が高く、アンジオテンシン変換酵素2にバインドする。この親和性の違いが、今回のコロナウイルスが、他のウイルスより、人から人へ広がりやすい要因である。研究者らはすでにワクチンとして安定化スパイクタンパク質の試験を行なっている。また今回の結果が抗ウイルス薬開発を促進することが期待されている。ウイルスがいるっすって診断できる確かな方法も必要である。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 24, p.7.

DOI: 10.1126/science.abb2507

20.2.26

| | コメント (0)

二つのアルキル基の

 ラセミ体混合物を、どちらの立体化学も制御して連結することはほとんど不可能である。その中今回研究者らは、キラルニッケル触媒を使ってそれを達成した。親電子剤と求核剤とを82%収率、95%立体選択性でカップリングさせている[1]。さらにこの類稀なる系は19の官能基を許容する。一般に置換反応によるC-C結合形成反応は難しく生成物はラセミ体混合物を与える一方で、そのような骨格を持つ医薬品は片方のみが生理活性を示すことが多い。立体選択性を付与するには光学活性な配位子が必要であるが、ここでは二座配位のイソキノリンオキサゾリン配位子を使い、アミド酸素がNiに配位、ついで親電子剤がカップリングし、四つの可能性のある生成物のうち一つが得られている。研究者らの仮説では、反応はラジカル機構で進行し、中間体は立体化学を失い、それらが収束するために立体化学の制御を達成しているとしている。またラジカル反応であるため、チオフェン、アルデヒド、臭化アリールのような官能基も許容できている。立体選択的アルキル–アルキル連結、やりきることができました。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 3, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aaz3855

20.2.25

| | コメント (0)

ミツバチは

 世界の農産物生産で極めて重要な役を果たしている。米国だけでも年あたり200億ドル近い貢献である。そのミツバチが苦しんでいる。原因の一つがバロアダニやそれが持つ変形したウイルスで、これらの脅威からハチを保護するために研究者らは、ハチの腸内にあるバクテリアを修飾し二本鎖のRNAの特殊な配列を生産した[1]。ついで働きバチにこの改変したバクテリアを含む砂糖水を吹きかけた。それを飲み込んだハチの腸内では、バクテリアはRNAを放出し、それがハチのRNA干渉をもとにした防御系を活性化するか、ダニに到達してそれらを死滅させた。今回の成果は概念を実証している点素晴らしい一方で、対象となったハチは抗生物質で処置されているため、すでにコロニーを形成しているハチでは、違った展開にもなり得る。その場合にはすでに腸内にいる野生型ウイルスと対峙し、退治する必要がある。本研究はテキサス大学オースチン校で実施されているが、その屋根にはハチが住んでいるんやね〜。

[1] Chemical & Engineering News 2020 February 3, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aax9039

20.2.24

| | コメント (0)

ヘビに噛まれて

 年間およそ10万人の方が命を落としている。そこでヘビ毒に対抗できる医薬品を開発するためにも多くの毒成分が必要である。その中今回、ネズミや人の幹細胞から小さな臓器を成長させることができる科学者らが、ミニ版の毒牙をつくる方法を明らかにした[1]。ちなみに毒牙だけど独学ではない。小さな臓器をつくるには幹細胞を必要とするもののヘビのそれは知られていない。そこで研究者らはある種のヘビ(Cape coral snake)の卵を入手し、そこから胚芽にある毒牙を切り出し、哺乳類の臓器を成長させるために用いる薬品の混合物の中に入れた。ただしそれを孵化させる温度を37 °Cから28–32 °Cに変更した。ヘビは変温動物だけど、一般に哺乳類よりも体温は低く、高くなると細胞が死ぬ。驚くべきことに直ちに成長が始まり、人で知られている臓器の構造と同様のそれが出来て、天然と同様の濃度の毒も得られた。これのスケールアップにはかなり労力も必要とするために、すぐに抗毒素を生産することは叶わないが、分泌のような基本的な細胞プロセスの理解の一助にはなる。研究チームではさらに10種類のヘビやトカゲから毒を生産する臓器を成長させている。幹細胞、関西でなくてもあります。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 3, p. 7.

DOI: 10.1016/j.cell.2019.11.038

20.2.23

| | コメント (0)

ベンゼンのような

 芳香族分子は、炭素原子の上下に広がるドーナツ型の軌道にあるπ電子を含む。その部分がどう〜なっているのかも知りたい。すなわちこの電子の非局在化が4n+2π電子の場合、芳香族性が生まれて分子の安定化に寄与する。芳香族性を定義する特徴の一つは、磁場がこれらの非局在化電子を循環させて環電流となり、それ自身の磁場がベンゼン環内に発生する。これらはNMRスペクトルで反映される。これまでに合成されている最も大きな環は62π電子を含んでいた。ただし環が大きくなるとツイストして非局在化が妨げられる。その中今回、亜鉛ポリフィリンとアルキンを連結させて自転車の車輪の輪止めのような分子が合成された[1]。外周は16 nmで12のポルフィリンユニットと6つの輪止めのペアで構成されている。中性条件では、それぞれのポルフィリンがそれぞれ環電流を保持しているが、酸化状態を変化させるとグローバルな環電流が生じる。+6酸化状態では、162π電子の芳香属性を示した。特異的な量子効果を期待してさらに大きな芳香環合成も展開されている。また別のグループは三つのチオフェン環を含む系を報告している[2]。芳香属性、後続の研究者もご奉公している。

[1] Chemical & Engineering News, February 3, p. 6.

DOI: 10.1038/s41557-019-0398-3

[2] DOI: 10.1038/s41557-019-0399-2

20.2.22

| | コメント (0)

核廃棄物を

 地下貯蔵庫に永久に保存することが多くの国で考えられている。まずは核廃棄物をガラスやセラミックスと混ぜて、それらをステンレス製の小型の缶に入れて包み込む。これらそれぞれについては、寒さや湿気の条件への抵抗性が試験されてきた。これも必見である。ただしこの評価系は、お互いの物質は個別であり相互にコンタクトすることは考慮されていない。その中、核廃棄ガラスあるいはセラミックスから放射性元素を取り除き、ステンレススチール板に押し当てて、それらを塩化ナトリウムに30日間浸す実験が行われた[1]。実験が終わりに近づいたとき、ガラスやセラミックスと接触しているエッジに沿って、スチールに穴があいた。セラミックスは7日で腐食し始めていて、30日後のガラスよりもかなり悪い状態だった。ガラス、セラミックスは、様々な金属酸化物で構成され、スチールは主成分が鉄、ニッケルやクロムもわずかに含む。これらの相乗的な化学相互作用で、想像以上の腐食が引き起こされている。すなわち金属イオンやプロトンの放出が影響しあってフィードバックループになっている。今回の結果は、現在のモデルが腐食を過小評価していることを示唆している。視察も必要である。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 3, p. 5.

DOI: 10.1038/s41563-019-0579-x

20.2.21

| | コメント (0)

グラフェンを製造する

 様々な方法が知られているもののそれらの方法では、大量の高品質なグラフェン製造はできない。危険な原料が必要、エネルギー負荷が大きいなどの課題がある。それに対して今回、フラッシュジュール焼結法で、石炭、食品廃棄物やプラスチックを、高品質なグラフェン数グラムに1秒以内に変換できることが報告された[1]。このプロセスでは、二つの電極の間に、石英とセラミック管があって、そこで炭素をもとにした材料を軽く加圧する。この小道具にコンデンサーバンクからの高電圧電気放電が施される。これによって炭素を含む材料は、3000 K以上の温度に1秒以内に到達し、アモルファス炭素がグラフェンに変換されて、他の化学物質は揮発性材料として放出される。その結果、グラフェンが素早く生成し、個別のグラフェンシートが簡単に抽出できる。論文では、最も大きなグラフェン合成の例として、フラッシュ一回で1 g合成が示されている。その後さらにフラッシュ一回で5 g合成も達成されている。フラッシュに人が集まりすぎるとラッシュになって、クラッシュするかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 3, p. 4.

DOI: 10.1038/s41586-020-1938-0

20.2.20

| | コメント (0)

午後11時

 御茶ノ水駅近くの、水ならぬ居酒屋さんから出て、タクシー乗り場へ移動。えっ、今日は日曜日かと思ってしまった。この曜日のこの時間帯、たくさんの人が行き交い、乗客を待つタクシーも数台いて、それを利用される方もいた雰囲気だったはずである。とりあえずタクシー乗車。聞けば今週になってムードが変わったらしい。「ともかく人が出ていない。このままじゃあ夜走ってもなあ」というお話も聞いた。ほどなくホテル付近に到着。思わず「お釣りはいいですよ」「ほんとですか、有難うございます」でお別れ。お別れしたものの、この大都会のために、という言い訳を糧にコンビニへ入った。いつもの情景、外国の方が務められるお店。不景気みたいなこの街のためにということで、多めのビールを手にしてレジで精算。おもわずWhere did you come from?と聞く。 I am from Uzbekistan。こちらはスタンスもわからず、Have a nice dayになってしまった。でもそれって、あり得ナイスデイかもしれないです。

20.2.19

| | コメント (0)

III族とV族の

 元素を一つずつ組込んだ半導体は、発光ダイオードや熱イメージングなどで広く利用されている。これらの二元系材料は、ガリウムやインジウムアンチモニドを含み、さらに多くの応用が期待できる。今回そのための、分子あるいはイオンをトラップできる、カゴ型のキャビティを持つ結晶であるチューナブルなクラスレートとして、無孔材料が調製できることが報告された。高温で両論量のIII族とV族の元素とルビジウムあるいはセシウムを反応させて、三つの種類の珍しいIII-VクラスレートであるCs8In27Sb19、Cs8Ga27Sb19、Rb8Ga27Sb19が合成された。これらは高い電荷キャリア移動度を保持し、従来のものと同様な重要な半導体特性を保持していた。例えばCs8In27Sb19のパラメーターの値は、高い半導体特性を示すInSbのそれと同等だった。クラスレートは1800年代に発見されたが、今も面白くて拡大している分野である。クラスメートにもお知らせを

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.9b12351

20.2.18

| | コメント (0)

アミロイドβと

 タウタンパク質はどちらも、アルツハイマー病の悪役である。ただしこれら二つの関係は未だに曖昧だ。今回研究者らは、ノルエピネフィリンシグナルを含む受容体によって繋がっているかもしれないことを報告した[1]。α2Aアドレナリン受容体(α2AAR)は、アルツハイマー病の人の脳やそのマウスモデルでは上昇する。新しい研究では、アミロイドβオリゴマーが受容体の細胞外ループの一つのアロステリックな部位にバインドすることがわかった。アロステリック部位は、受容体の主なバインディング部位とは異なったバインディング部位で、それは受容体の配座変化を引き起こす。アミロイドβがバインドするとノルエピネフィリンシグナルの出力先を変化させて、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK3β)と呼ばれる酵素を活性化する。これがタウタンパク質の超ホスホリル化を引き起こす。タウの過剰リン酸化は、アルツハイマー病と関連するタンパク質沈着で見つかっている。ここでα2AARの主なバインディング部位にバインドできる薬を投与すると、アミロイドβの濃度は20 nMまで低下しGSK3β活性も低下していた。またマウスモデルでは、α2AARをブロックすると疾病の進行は抑えられていた。この疾病抑制、失敗しませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 9.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aay6931

20.2.17

| | コメント (0)

白髪は

 ストレスによってもたらされる。これは責任ある立場にある人に共通である。多くの頭には通常の時期よりも早い年齢で、淡いふさふさした髪が乗っている。ただし色が薄くなる生化学は、ふさふさした髪のミステリーである。これを見据えて〜る研究者らは、ストレスが引き起こすネズミの髪の毛の白髪化の生化学を調査することにした[1]。ストレスは身体全体に影響を及ぼすために、そのシステムが、ストレスと髪の毛の色と関連しているかを見つける必要があった。実験では、免疫系とストレスホルモンコルチゾールは除外された。その結果、ストレスに伴って放出されるノルエピネフィリンが鍵であることがわかった。ノルエピネフィリンは、副腎で製造されるが、ネズミの副腎が切除されても、ストレスによって白髪化が進行していた。ストレスがかかると、闘争応答を引き起こし、ノルエフェドリンが生産される交感神経系に、研究者らはたどり着いた。交感神経は、肌の中の毛包に到達する。またこれらの神経がノルエピネフィリンを放出すると、あるタイプの全ての幹細胞が誘発されて、染料を生産する細胞になり、それが幹細胞の保存部位にドロップされて、将来髪の毛の色が変化する可能性が生まれる。幹細胞、関西だけにあるわけではない。

 [1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 9.

DOI: 10.1038/s41586-020-1935-3

20.2.16

| | コメント (0)

材料科学者は

 10年以上にわたって材料の特性に関する複数のパブリックなデータベースを構築するアイデアを採用してきた。データベースがまたで〜たである。今回のソフトウエアであるプロプネットは。材料の特性間の数学的な関係をマッピングすることによって利用できるデータの提供を目的としており、これがこれまで測定されていない特性を提示できて、新しい材料開発やこれまでの材料の新たな利用方法を見つける可能性を示している[1]。例えば材料の原子の密度に関する実験的なデータを入れ込めば、プロプネットは、ユニットセルの中の原子あたりの体積を計算することができる。さらに特性同士の遠い関係も追跡できる。別の例として、半導体ウルツ鉱であるCdTeの20の特性に対する20の値を入力すると、プロプネットは41の新しい特性に対する629の値を計算していた。このプロプネットは。機械学習アルゴリズムとも組合せ可能である。さらにこのソフトウエアは、視覚的な長さと電子特性という、違った属性の性質の関係も示していた。プロプネットに関するブログ、ネットにアップされた。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 7.

DOI: 10.1016/j.matt.2019.11.013

20.2.15

| | コメント (0)

太陽光を吸収する

 半導体ペロブスカイトでつくられた太陽電池は近年、太陽光発電のロックスターである。ホルムアミジニウム鉛トリハライド(FAPbX3)のような金属有機ペロブスカイトは、結晶シリコンを作成するよりも安いプロセスで調製できてシリコンのそれと同様な性能を示す。ただし例えば最も高い性能を示すα-FaPbI3の安定性は低い。それらは熱や明るい太陽光にさらされると分解し構造変化し、素子の性能を失い商業化を妨げる。一方で、その格子を引っ張ったり押しつぶすことで、半導体に負荷をかけると結晶は安定化しその特性も変化する。そこで研究者らは圧力と他の複雑な物理的手段でペロブスカイトを歪ませたが、成功には至らなかった。その中研究者らは今回α-FAPBI3を、異なる格子次元をもつより安定なペロブスカイトの上で、溶液から成長させた[1]。この過程で2.4%まで圧縮された格子の結晶が得られた。別の歪んでいない結晶と比較するとその電荷キャリア移動度が向上し、室温で1年間保存しても、素子は、分解に対して素知らぬ様子だった。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 27.

DOI: 10.1038/s41586-019-1868-x

20.2.14

| | コメント (0)

ポリマー

 メカノ化学は、メカノホアと呼ばれる官能基に依存し、そこが引き伸ばしや押しつぶしに対して応答して化学的な変化が進行する。今回研究者らは、新しいメカノホアとして、2-メトキシ置換のジェミナルジクロロシクロプロパン(MeO-gDCC)を開発し、それをポリマー鎖に組み込んだ[1]。超音波でこのポリマーを強打すると、シクロプロパンの炭素–炭素結合が切断されて、塩化アリル中間体が発生、さらにpHの変化という化学信号が発せられる。ここで、MeO-gDCC からは67 プロトンが生まれる。単分子力場スペクトルは、メトキシ基の組込みがメカノ酸を、引っ張りに対してかなり繊細なものにしている。おそらくシクロプロパン環の開環の段階で遷移状態が安定化する。単分子実験は、実際の系とはかなり距離があるために、このメカノ酸をポリ(ジメチルシロキサン)とローダミンBとブレンドし、6 mmの幅のポリマーディスクがつくられた。それはプロトン化によってピンク色になる。ディスクを叩くとポリマーは酸を放出し、ディスク全体に広がり傷ができる。色の変化の広がりを測定すると、いつ衝撃があったかを、数分から30分の間で正確に類推することができた。メカノ酸の発生、今かの〜。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.9b12861

20.2.13

| | コメント (0)

光を捕捉して

 化学反応を触媒するという二つのミッションを遂行できる新しいロジウム錯体が開発された[1]。今回の触媒は太陽スペクトルの全てを利用することができる。多くの人工光合成系は、複数の分子を混合し、水の分解反応を誘導している。このプロセスの水素側は、光を吸収して励起電子が発生する。礼金は不要であるが、これらの電子が水素発生触媒に移動して、二つのプロトンが結合して水素を与える。ただし常に光吸収体から電荷移動が必要で、その段階でのエネルギーロスがある。それに対してここでは一つの分子でそれを行っているためロスが抑えられる。その触媒は二つのロジウム原子を含み、ベンゾ[c]シノリンとN,N'-ジフェニルホルムアミドがペアになった二つの配位子が、ロジウムに配位している。これによってRh–Rh結合の距離が短くなり、励起状態の寿命が長くなっている。より実用的な系にするためには、水素発生効率の向上、水の酸化触媒との共存、Rhに代わる触媒も必要。路地裏でも使えますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 5.

DOI: 10.1038/s41557-019-0397-4

20.2.12

| | コメント (0)

植物に

 寄生する回虫が生産する低分子(アスカロシド)に、植物はどのように応答するのかの研究が行われている[1]。初期の結果はascr#18と呼ばれるアスカロシドを植物が検出すると、植物の免疫応答が活性化されることを示していた。ただしascr#18分子はそこでとどまるわけではなかった。植物はペルオキソームβ酸化というプロセスを使ってascr#18を代謝していた。このプロセスは、寄生虫がアスカロシドを合成するのに使っているパスと同じである。またこのパスで植物はascr#9という別のアスカロシドをつくり、これを自分自身の根から土壌に排出していた。その土壌では、植物に入り込んでいない寄生虫がその分子を感じて、その植物は自分が寄生するものではないと判断する。これらの結果は、植物が寄生虫のシグナルを拝借あるいはハイジャクして、それを変化させ、寄生虫に立ち向かっていることを示していた。またこの寄生虫と植物のコミュニケーションは、どちらにも恩恵があって、植物へは過剰な寄生虫の寄生を防ぎ、寄生虫は、寄生されていない植物を選別することができる。パラサイトについてウエブサイトにもあるかと。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 11.

DOI: 10.1038/s41467-019-14104-2

20.2.11

| | コメント (0)

アセチレンやブタンから

 つくられる有機ミネラルは、土星の最も大きな衛星であるタイタンでは「いたん、いた」と発見できて、タイタンの景観をかたちづくる。これまでの研究結果は、アセチレンとn-ブタンとの共結晶が、タイタンには豊富で、その表面のメタンやエタンの湖から沈殿してくることが提唱されていた。今回NASAのジェット推進研究所は、そのような結晶がタイタンのような条件で形成されるかどうかを実験的に検証した[1]。すなわちタイタン表面を模倣した90 Kで、アセチレンとブタンを結合させた。ラマンスペクトルの結果は、二つの化合物が自発的に共結晶を形成し190 Kまではそのままだったことから、それらはタイタンでは安定であると結論づけた。さらに液体エタンを共結晶上に凝縮させて、タイタンの雨に耐えうるがどうかも検証された。タイタンの表面では、風や別の分子との相互作用が、共結晶の浸食、輸送や堆積に影響を及ぼし、それぞれの時のタイタンの表面の景観をかたちづくっているが、それは以前考えていた化学より多くのことが頻繁に起こっていることが類推できた。タイタンについて書いたんでした。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 11.

DOI: 10.1021/acsearthspacechem.9b00275

20.2.10

| | コメント (0)

合成ガスとは

 一酸化炭素、二酸化炭素と水素の混合物である。Syngasとも呼ばれる。このガスは石炭、天然ガスや他の資源から触媒を使って800 °C付近の温度で合成される。今回そのより環境調和な方法が開発された[1]。光を使い、銅アンテナと単一のルテニウム原子反応部位からなるナノ粒子触媒を活性化し、およそ200 °CでSyngasが合成されている。全身が驚きを隠さないこの系は、99%の選択性で50時間まで安定である。現在の工業的なSyngas合成では、C-C結合形成による炭素質の材料の成長の影響を触媒が受けるためそれほど頑丈ではない。孤立させた反応性部位を持つことで、お互いの活性部位が隣接していないことから、容易にC-C結合形成反応は進行しない。研究チームはこの技術の使用許可を研究者も共同設立者である企業に与えた。これが稼働すれば、炭素排出の削減や工業プロセスでのエネルギー使用の削減につながる可能性も高い。合成ガスが豪勢ですが、になるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 11.

DOI: 10.1038/s41560-019-0517-9

20.2.9

| | コメント (0)

レアもの糖鎖である

 D-タガトースやD-アロース、合成は苦労〜スに対して、よくある糖鎖であるグルコースからの合成が開発された[1]。糖鎖間の変換は、アルドース–ケトースのような異性化を含む。ただしその過程でエピメリ化し、単一だった炭素中心が乱れてしまう。その中今回は、青色LED、アミン、光触媒、チオールが利用されて、部位選択的なエピメリ化が63–88%で達成された。反応は、一つの反応容器で二段階である。まずはじめに光触媒によって発生したアミンラジカルが、糖鎖の、ある特定の一の水素を引き抜き、ついでシステインが新しい水素を、同じ場所に、違った立体化学で移動させる。この方法を利用すると通常の糖鎖の特定のC-H結合が切断できる。選択性が何に起因するかは完全には理解されていないが、これまでの手法では、切断したいC-H結合の近傍に保護基が必要だったけれども今回は不要である。レアもの糖鎖は入手の困難さから、その利用は避けられていたけれども、今回の成果はその状況を変化させうる確かな合成プラットフォームを提供している。ぶらっとお訪ねを

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 10.

DOI: 10.1038/s41586-020-1937-1

20.2.8

| | コメント (0)

周期表のシンデレラ

 としてビスマスを考えてみよう。それは有毒な兄弟(鉛、スズ、アンチモン、テルル、ポロニウム)に囲まれているため、多くの場合反応剤として利用することが見逃されてきた。ただしビスマスやその化合物は医薬品にも使われるほどに安全である。その中今回、ビスマス化合物がレドックス錯体として誕生し、遷移金属触媒サイクルを模倣することが報告された[1]。すなわちBi(II)とBI(IV)を介してアリールボロン酸やエステルをフッ素化できるビスマス触媒が提供されている。研究者らはこの系を遷移金属触媒の代替として利用するよりもむしろ、ビスマスに関する概念を実証したかったとしている。また他の研究者は、この成果は、ビスマス化学ひいては典型元素化学での画期的な成果であると述べている。ただし現状では激しい酸化剤を使う必要があるが、これは重い原子ではよくあることであり、むしろ驚くべき反応性の兆候は、重い典型元素の配位やレドックスを探求するための議論を引き起こす機会でもある。ビスマスこれで済ますわけにはいかない。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 10.

DOI: 10.1126/science. aaz2258

20.2.7

| | コメント (0)

二酸化炭素の捕捉に

 アミンが利用されてカルバメートを与える。クラスメートにも伝えたい。さらにその分解で高純度なCO2が得られるが高温を必要とする。一方でアミンから放出されたCO2は、地下からの油抽出に利用できるが、得られた油を燃やすことから炭素排出が増大してしまう。その中研究者らは、ジエチレントリアミン(DETA)と呼ばれるポリアミンをCO2と反応させて、モノカルバメートあるいはジカルバメートをつくった[1]。それは金属塩化物への配位子として作用し、一連の金属錯体を与えることができる。これらの錯体の多くは、お互いに可逆で、配位子交換もできる。ただしいくつかの錯体の溶解度が低くて、固体の沈殿が生じるが、それは単一の金属を含むことから、金属分離に利用できる。この原理を実証するために、水中の塩化ランタン、塩化ニッケルの混合物にDETAを加えて、CO2が吹き込まれた。これによって配位子交換が進行しLa2(CO)3が生成し単離することができた。この方法を使って研究者らは、風力タービンに利用されている希土類マグネットのための金属を精製している。マグネット金属、ネットでも見れるかなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 9.

DOI: 10.1038/s41557-019-0388-5

20.2.6

| | コメント (0)

中性子の検出は

 3He, 10B, 6Liを含む小さな核種の中性子吸収特性に依存している。これらの核種は隠すことはなく、中性子を吸収すると、高エネルギーの電荷を有する粒子が発生し、結果として検出シグナルが放出される。ただし3Heは珍しく、10BF3は有毒であるなど課題があった。それに対して、熱中性子を直接捕捉できる半導体は、改良型の検出器を提供できる。そのタイプの検出器としては、シリコンセンサーが使われていたが検出効率が低かった。その中今回、6Liが95%のセレノリン酸化合物であるInP2Se6を合成する方法が開発された[1]。すなわちLi-In化合物、P2Se5と原子状のセレンを反応させると、バルクのサンプルが出来上がり、化学水蒸気輸送によって、大きな2次元単結晶クリスタルが試作品として仕上がった。中性子を放出するプルトニウム源を含む初期の試験では、検出器は、高感度でかつナノ秒で、低濃度の熱中性子に応答していた。これをベースに、壁くらいのものから携帯できる様々なサイズの検出器が提供されることが期待されている。熱中性子に、熱中、誠心誠意。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 8.

DOI: 10.1038/s41586-019-1886-8

20.2.5

 

 

| | コメント (0)

三種類のe-シガレットが

 検証された[1]。バージニアタバコ香ジュールe-シガレット、タンクスタイルのe-シガレットおよびマルボロレッドシガレットである。それぞれのシガレットの煙を八匹の麻酔をした動物に5分かけて、しれっと吹きかけた。コントロール実験として空気を吹きかけたグループもある。その後、超音波法を使って、ネズミの動脈流の拡張(FMD)、血管の変化が測定された。その結果、三種類のシガレットでFMDについては同様の障害を引き起こしていた。FMDの機能障害は必ずしも循環器疾患を引き起こすことはないが、それは疾病の予兆を示すのに使われる。FMDが劣ると、脳卒中や動脈硬化のような疾病のリスクが上がる。今回の結果は、動物でもおそらく人でも、通常のシガレットでもe-シガレットでも、血管に対する影響の違いはわからないということを示している。また血清中のニコチンのレベルは、ジュールe-シガレットは、通常のタバコの5倍で、タンクスタイルのそれの8倍だった。ニコチンレベルにカチンときたでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 7.

DOI: 10.18001/TRS.6.1.4

20.2.4

| | コメント (0)

大気汚染に

 晒されることと早死の間に関連があることは、疫学者の間では知られている。気楽な話ではない。2015年には、およそ世界中で4,200,000人が大気汚染によって死亡したという報告もあった。今回中国から幅広い研究の成果が公開されて、汚染に晒されることが、ある特殊なあるいは急性の健康問題のリスクを増加させることが示された[1]。ここでは、中国の、微粒子物質あるいはPM2.5を対象として、それらの2014年から2017年までの日々の濃度と、心臓血管障害で入院する人との関係が調査された。その結果、国全体の平均でPM2.5は10 μg/m3ずつ増加していた。一方で心臓マヒ、脳卒中、心臓への血流障害を含む心臓血管疾病も0.26%の割合で増加していた。もう一つの研究では、2000年から2015年までの3540人の脳卒中による入院患者が対象になり、PM2.5が10μg/m3増加するごとに、脳卒中のリスクは、13%ずつ増加することを明らかにしていた。ただし今現在は、新型肺炎が最大時で、何も言えん状況です。

[1] Chemical & Engineering News 2020 January 13, p. 9.

DOI: 10.1136/bmj.l6572

DOI: 10.1136/bmj.l6720

20.2.3

| | コメント (0)

Wittig反応は

 リンイリドを利用して、アルデヒドやケントからアルケンを導く反応で、工業的にも重要である。ただしイリドを発生するには、ブチルリチウムの様な危険あるいは有毒な反応剤が入りど、である。また多段階の溶媒を使った生成段階も含まれる。それに対して今回、より環境調和型のWittig反応が、再利用可能なPd触媒を使って開発された[1]。研究者らは、多くのタイプの触媒を合成し、その適用性を調査した。最も効果的な触媒は、Pdアルミナ触媒がもとになったもので、選択性が失われるまでに9回触媒が回転した。一酸化炭素と水のみが廃棄物である。この反応は脂肪族アルデヒドから、あるいは脂肪族と芳香族アルデヒドからアルケンを合成する場合に、威力を発揮する。今回の化学の魅力的な点は、系の単純さである。また長年知られている反応が組み合わさっている。すなわちタンデムアルドール反応であり、アルデヒドとアルコールが繋がり、ついで脱カルボニル化でCOが放出される。研究者らは、これによって炭素–炭素結合を構築している。Pdアルミナ、ルミナリエと関係はない、おそらく。

[1] Chemical & Engineering News 2020 January 13, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.9b12354

20.2.2

| | コメント (0)

水素ガスは

 スチールを脆くしてしまう。推測ではなくて、実際これが時には装置を壊し、水素の工業的な利用を制限している。研究者らは、この崩壊は、水素がスチール内部の微細構造にある欠陥と相互作用するためではないかと考えていたが、これを実証することが難しく、この課題解決も困難だった。その中今回、シドニー大学と北京科学技術大学の研究者らは、重水素ガス雰囲気下、ニオブ炭素スチールを加熱した[1]。ここでは重水素は、通常の水素よりもゆっくりとスチールの中に拡散する。ついでサンプルと極低温に維持して原子の位置を固定し、原子プローブ断層法によって、サンプルの3-D結晶構造を明らかにした。その結果、水素原子(この場合は重水素であるが)は、転位や粒界のような、欠陥にたまり、沈殿物とそれをとりまくスチールマトリックスの間の接合部分で特にトラップされる可能性が明らかにされた。スチールがトラップすること、数値化もされ〜るのでしょうか。ミスチルさんにも聞いてみましょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2020 January 13, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aaz0122

20.2.1

| | コメント (0)

« 2020年1月 | トップページ | 2020年3月 »