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重症急性呼吸器症候群

 コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の部分の構造が、低温電子顕微鏡法(cryo-EM)で明らかにされた[1]。この成果は、ウイルスに対するワクチン開発やCOVID-19の治療への大きな一歩である。これまで多くの年月を他のコロナウイルスの研究に費やしてきた研究者らは、コロナウイルスのスパイクタンパク質である糖タンパク質の形を固定するための選択的変異の使い方を熟知していた。その中新しいウイルスのゲノム配列を入手し2週間で、安定化スパイクタンパク質のサンプルを設計し、製造した。3–D構造の再構築に12日間を要したものの2月15日BioRxivに公開し、2月19日にScience誌に掲載された。この迅速さは、分子生物学とcryo-EMとの組合せのすごさを実証している。コロナウイルスはRNAウイルスで、そのグリコタンパク質が細胞表面のタンパク質にバインドすると、バイトはしないけど、人の細胞に入り込む。SARS-CoV-2は、2003年にSARSを引き起こしたウイルスよりも、人の細胞への親和性が高く、アンジオテンシン変換酵素2にバインドする。この親和性の違いが、今回のコロナウイルスが、他のウイルスより、人から人へ広がりやすい要因である。研究者らはすでにワクチンとして安定化スパイクタンパク質の試験を行なっている。また今回の結果が抗ウイルス薬開発を促進することが期待されている。ウイルスがいるっすって診断できる確かな方法も必要である。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 24, p.7.

DOI: 10.1126/science.abb2507

20.2.26

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