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カナタキサプロペランは

 抗がん剤であるタキソールに類似の骨格を持つが、今回初めてその合成が達成された[1]。その化合物はある種のイチイの低木から得られるがごく微量で、いちいち採取することも難しく、生物化学的な特性の解明もできていない。化合物は24炭素しか持たないものの、その構造のかなりな複雑さから合成も困難である。それはタキソールのコア骨格を有するとともに、化合物を橋かけする三つの炭素–炭素結合を含む。これによって全体の合成戦略もかなり異なる。また化合物には三つの環が一つの炭素–炭素結合を共有するプロペラ構造を含み、連続する12の立体中心、五つの四級炭素も存在する。鍵となる戦略はアルケン–アレーンのオルソ光環化反応で、シクロブタン環と四級炭素中心を繋げる段階である。この反応が成功したことから数グラムスケールで中間体の合成が可能になった。その後は、ラクトールの開環だったが、これを成功させるために一年を要した。最終的に市販の化合物から269段階を経て全体収率0.5%で合成に成功した。カナタキサプロペラン合成、遥か彼方から来た感じです。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 10, p. 7.

DOI: 10.1126/science.aay9173

20.2.28

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