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2020年3月

SARS-CoV-2の

 診断は、米国ではRT-PCR法で行われている[1]。この検査では最初に患者さんのサンプルからRNAを単離する必要がある。ただしR N A抽出はデリケートなプロセスで、細胞やその周りの環境は酵素がいっぱいで、それが核酸を崩壊させてしまう。核酸を隠さんといけないけどそれはできない。またこの抽出のためのキットは基本的には、無菌の緩衝液、細胞を壊して開き溶解させる溶液を含み、細胞の中のDNA、タンパク質さらに別の高分子からRNAを分離することを可能にするが、製造している会社ごとに異なる。実際のサンプル取り出しは、患者さんのサンプルの細胞を溶解する溶液と混ぜて、得られた細胞の残屑を取り除き、残った溶液を緩衝液で処置して濾過してRNAを得る。オランダにあるQiagenは、RNA抽出キット製造の最も大きな企業の一つであり、多くの検査でそれが使われている。この会社は、現在の製造と配分を拡大し6月の終わりには、一ヶ月に一千万のコロナウイルスの検査が可能になると見積もっている。ただし現状では絶対数が足りない。それに対してスタンフォード大学の研究所へは、多くの製薬企業やバイオテックが別の目的で使う予定の抽出キットを寄付している。この寄付の呼びかけは、米国FDAがRT-PCR法を迅速に承認してからである。ただし3月16日サンフランシスコ・ベイエリアには屋内退避勧告が出されて、研究者らは急ぎ研究室を閉じていた。なお寄付自体は歓迎されるものの、実際に必要な数には現状、達していない。寄付する気風が米国にはある。

[1] Chemical & Engineering News 2020 March 30, p. 6.

20.3.31

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衛星からのデータは

 1月30日以降、北イタリアのグランドレベルでの二酸化窒素による大気汚染が、急激に低下していることを示していた[1]。この北イタリアでのことは、期待していたわけではなく、COVID-19の初めの例がイタリアで確認された時期と符合する。人が家を出ることが少なくなり、イタリアが3月9日にロックダウンを始めた頃から、一週間におよそ10%ずつ低下し、C&ENのプレスタイムまでに50%減少している。同様の傾向は、今年の始め頃中国でも観測された。この現象はパンデミックが起きると別の地域でもおそらく起きるはずである。NO2は燃焼の副生成物であり、自動車、発電所、工場から排出される。ガスは人の健康被害をもたらし、反応すると他の有害物質になる。パンデミックによる経済活動の停滞によって、大気環境が劇的に変化した歴史上の例がいくつかある。2008年の北京オリンピックでは、地方の排出源が禁止されて、短い期間、大気環境が改善された。またベルリンの壁が崩壊した後、東ドイツの発電所で、気体洗浄装置が装着されて、二酸化硫黄が劇的に低下したこととも似ている。汚染の抑制、ようせんかったことが、起きている。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 23, p. 11.

20.3.30

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金属が媒介する

 還元的カップリング反応によるアクチニド2-メタロビフェニレン化合物を、ロスアラモス研究所、バーモント大学さらにはミネソタツインシティ大学の合同チームが、初めて合成に成功した[1]。アクチニド、お口にあうかどうかはともかく、5f、6d軌道を有し、これがC-Cカップリンングを促しシクロブタジエン環を形成する。その環はベンゼン環とメタラシクロペンタジエン環に挟まれている。分子ヒュッケル則に従い、スペクトルや計算結果は、ウランやトリウムでは、シクロブタジエンは反芳香族で、ベンゼンは芳香族であることを示していた。なおウラン(U)の5f軌道はビフェニレンと共有結合し、Thでは、f電子がないため、そうではない。5fや6d軌道が、アクチニドに特徴的な化学を可能にし、これが遷移金属とアクチニドとの違いももたらしている。また今回の、通常ではない電子特性を有する新しいタイプの芳香族化合物は、反応性に関する新たな分野を切り拓く可能性もある。新たな特性で、何か得せいへんかなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, 17.

DOI: 10.1038/s41586-020-2004-7

20.3.29

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突然の変更で

 留学生は、来日した時には特別な検疫を受けてOKだったらとりあえず入国できるということになった。ただしその後、公共の交通機関を使わずに14日間待機できる場所に移動、ついでそこで外出せずに過ごさなくてはいけない。日本時間の28日午前0時以降に飛び立ったフライトに搭乗した場合にこれが適用される。4月入学予定の5名の留学生にどうしてもらうか、緊急の打合せ。来週以降に来日予定の学生さん:今回の入国は断念してもらって秋からのスタートを推奨する。別の学生さんたちはすでに地元を出て国際空港のある町で待機のはず。期待と不安の中で国際線のフライト時刻を待っているに違いない。ただしその便の出発時刻は、政府の指定した時刻の後だ。中部国際空港に到着して検疫がOKでも行き場がない。自家用車で迎えに行ったとしたら、迎えに行った人たちも14日間自宅で経過観察になるらしい。今ならまだ国際線のその便は飛び立っていない。メールなどでコンタクトしていただいた。地元からのフライトが遅延、来日を延期していただいた。元気で秋には来られますように。また対応していただいた方々に感謝です。

20.3.28

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ブルバレン

 (C10H10)は、奇妙な分子である。その結合は垂直に配置し潮の干満のようで、10個の炭素原子それぞれが、ずっと繋がったようである。安定な炭素-炭素結合を持たないものの安定な分子である。今回研究者らは、ブルバレン誘導体を合成する直接的な方法を開発した[1]。そこでは三つのボロネートエステルが組み込まれている。その結果、それらのホウ素置換基は、他の置換基に簡単に置き換えることができて、医薬品開発やセンシング分子としても提供しうる。ここではコバルト触媒反応で、シクロオクタテトラエン(C8H8)と、一つあるいは二つのピナコールボロネート(Bpins)を有するアルキンとを連結させて、続く紫外線照射条件での転位反応で、一あるいは二置換のブルバレンが導かれている。Bpin基を有するシクロオクタテトラエンを出発化合物に用いると、三置換ブルバレンを合成できて、Pd触媒のクロスカップリング反応でボロネートエステルは、アリール基と置き換えることもできる。さらにBpinとN-メチルイミノ二酢酸ボロネートエステル(BMIDA)という異なるホウ素置換基の組込みもお紺割れた。ブルバレン、バレンタインチョコのモチーフに。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, p. 16.

DOI: 10.1021/jacs.9b12930

20.3.27

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インフルエンザウイルスは

 世界中で年間10万人程度を死に追いやっているものの、それを治療する効果的な薬はあまりない。今回計算化学者は、最も大きな分子動力学シミュレーションを使って、ウイルス全体やその周辺を、もう出るかという状況の中、新たにモデル化した[1]。およそ1億6千万の原子を含むスパコンが使われた。そこには水分子、イオンさらにインフルエンザAH1N12009ウイルスやその外側も含まれる。その外側にあるグリコタンパク質であるノイラミニダーゼは、宿主細胞へウイルスが侵入するのを助ける。すなわちノイラミダーゼのバンディング部位が、宿主細胞糖鎖受容体に入り、それらがタンパク質の二番目の部位に移動、そこではハサミのように作用し、ウイルスを切断して新たな宿主細胞に感染するのを支援しているという以前の提案を確認することができた。さらにノイラミダーゼの可動領域も同定できた。ここでノイラミダーゼの固定している部分と可動域のどちらも医薬品設計では重要である。今回のシミュレーションを重症急性呼吸器症候群であるコロナウイルス2(SARS-CoV-2)を含む他のウイルスへも適用する計画である。ノイラミダーゼの役割、おいら見出したぜ。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, p. 16.

DOI: 10.1021/acscentsci.9b01071

20.3.26

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生体由来の

 長鎖脂肪酸を含む工業廃棄物は、ディーゼルやジェット燃料のための持続可能な化学原料として利用可能である。それらの原料は現状、石油の改質で製造されている。ただし脂肪酸から酸素を取り除き、長鎖炭化水素に変換する方法は、250 °C以上の温度と高圧の水素を必要とし、プロセスそのものが高価でエネルギーを必要とするものになる。CO2基を脂肪酸から除去して、アルカンを与える方法は、より温和な条件で進行するものの、選択性が低い。それに対して研究者らは今回、30 °C, 02 MPaの水素の存在下、紫外線照射で、Pt-TiO2が脂肪酸の脱カルボキシル化反応を選択的に触媒することを明らかにした[1]。たとえばこの方法は、純粋なステアリン酸やリノール酸を90%以上の収率で、n-ヘプタデカンに変換できる。大豆加工やパルプ工場では避けられない粗い大豆やタールオイルの脂肪酸の試験では、およそ90%程度の収率で、長鎖アルカンの混合物を与えた。長鎖アルカンは、貴重さ。

[1] Chemical & engineering News, 2020 March 2/9, p. 16.

DOI: 10.1038/s41929-020-0423-3

20.3.25

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3月11日までは通常だった

 ロチェスター大学Chemistry Departmentでは、オンライン講義が行われることになった[1]。現状では大学院生は研究室に来ているものの、コロナウイルスによってもたらされるCOVID-19を避けるために研究室の閉鎖も時間の問題である。実際、時差通勤や、研究室で集めたデータの整理は在宅で、という方法も考えられている。またある大学では、先が見通せない中、テニュアトラック教員に対して、期間延長し、不安を和らげようとしている。また欧米の多くのTAや研究資金で財政的な支援を受けている学生へは、遠隔で教える、あるいは働くことで、給与を支払うことも行われている。スイス連邦工科大学、全てのビルが閉鎖。PhDコースの学生は自宅で、論文執筆、文献調査やデータ分析を行うことが求められている。これよってPhD取得への遅延は最小限に抑えられるとしているが、これもこの状況が何ヶ月にも渡って続かなければという場合の話である。他にもネットワークによるミーティングや教育が導入されて、本来は試薬購入のための経費がそれに転用されている。ボローニャでは、修了前の研究発表(defense)や卒業式が遠隔で行われた。上海有機化学研究所、1月末から研究所へは入れず、未だに戻ることができない。指導の先生は、この機会に家で奥様と過ごし、本や学術論文を読み、運動している、難しい状況の中、よりよく仕事や人生を楽しみたい(enjoy)とのこと。Enjoy、延長も視野に。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 23, p. 6.

20.3.24

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有機ベリリウム化合物では

 通常ベリリウムの酸化状態は+2価で、そのラジカルカチオンは+1価である。ベリリウムのラジカルカチオンを発生させるために研究者らは、Be(0)化合物の合成から始めた[1]。以前の電気化学的な測定ではBe(I)ラジカルカチオンの存在の可能性が示唆されていた。この前例のない化学種の発生を目指して、様々な酸化剤が試された。ただしほとんどの反応剤は、得られる化合物を分解してしまい、化合物単離には至らなかった。その中、TEMPOを使ったところ展望が広がった。地球上では気相でのみ、あるいは太陽の表面で観測されていた準安定なラジカルである、ベリリウムヒドリドを含む二つの化合物の単離に至り、構造解析も行われた。研究者らはこのラジカルカチオンを直ちに商業的応用することは視野には入れていないものの、いずれその可能性もあるかもしれない。新しい基礎化学は常に、数年先に予想もしなかった重要な何かの発見に広がり得る。May the Be be with you.

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, p. 12.

DOI: 10.1038/nchem.2542

20.3.23

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アジリジンは

 窒素を含む三員環化合物である。研究者らは以前、Rh錯体を触媒とする反応を開発していた。ただしRhの価格が2014年の1g40ドル以下だったのが400ドルになり、この高騰を侮るわけには行かなかった。そこで同じ研究者らは、コロラド州立大学のShi先生らのジオキシランを用いたオキシラン合成に触発されて、その窒素バージョンをデザインした[1]。すなわち電子不足なケトンと窒素源から調製した寿命の短い高反応性のN-Hオキサジリジン中間体が、Shi先生のジオキシランのように、窒素原子を不活性アルケンに移動させることができることを明らかにした。さらにこの新しい方法では、N-Hアジリジンの立体化学を制御することもできて、これはRh触媒系では達成できていない成果である。安価で世界のどこでも行える方法であるが、適用限界もある。すなわち立体的に嵩高いアルケンやある種のスチレン、末端アルケンには現状では適用できていない。でもこの系さらに器用になることを期待。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, p. 9.

DOI: 10.1038/ s41929-020-0430-4

20.3.22

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バブルの発生は

 抗生物質を合成するのに利用されるバイオリアクターを含む多くの工業プロセスでよく見られる現象である。ただしこのバブルが積み重なり泡になると、製造作業を遅らせ、哀れになるだけではなくて、泡が破裂してしまうと反応容器に大きなダメージを与える。そこでシリコーンをもとにしたような添加物が使われて、泡を抑制するかあるいはそれを防ぐことができる。ただし最終生成物からそれらを除去するというエキストラな工程を経なくてはならない。今回マサチューセッツ工科大学(MIT)とチューリッヒにあるスイス連邦工科大学(ETH)の研究者らは、特別に設計した生地を施した金属表面を設計した[1]。これによってバブルがトラップされて、それらが泡として集積する代わりに、拡散して消散を促すことができる。研究室の実験では、表面ではおよそ10分以内に劇的に泡が減少することが実証された。工科大学間で、こうかなあ、と議論が繰り返されて、効果が実証された。生地が高価でありませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, P. 8.

DOI: 10.1002/admi.201901599

20.3.21

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従来法では

 官能基化できなかった複素環の電子不足な部位のC-H結合が活性化された[1]。この方法は、配向させるためのテンプレート、一時的なメディエーターとアミノ酸配位子の共同作業で、収率93%以上で、キノリン、イソキノリンやフェニルプロパン酸誘導体に適用できる。官能基から遠い位置あるいは電子不足なC-H結合活性化は挑戦的な課題である。とりわけ複数のC-H結合が同様の環境にある場合、動揺してしまうかして、選択性を確保することは困難である。研究者らは以前、U-形のテンプレートを開発していたが、それでも遠い位置の類似のC-H結合には適用できなかった。そこでさらにそれらを区別する工夫が施された。Pdピリジン2,6-ジカルボキシアミドがテンプレート触媒として、複素環を期待の位置に保持させる。ついで二番目のPd錯体が、例えばイソキノリンのC5位置にバインドする。さらにノルボルネン存在下、アリールヨージドからのアリール基がその隣のC6位に挿入する。キノリン類の乗りんのいい、官能基化でした。

[1] Chemical & Engineering News 2020 March 2/9, p. 8.

DOI: 10.1038/S41557-020-0424-5

20.3.20

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爆弾の起爆剤は

 安定性と自己爆発の絶妙なバランスが必須である。バランバランではいけない。今回研究者らは、完全に可逆な切り替え機構を持つ材料を開発した[1]。これはこれまで以上に爆発の開始を制御できて、より安全に使うことができる。[Fe(Htrz)3]n[ClO4]2nと呼ばれるスピンクロスオーバー錯体が合成された。それは鉄の周りに、爆発物でよく利用される窒素原子で構成される環と酸化剤のカウンターイオンであるパークロレートを含む。この錯体は、温度に応答して低スピンから高スピンまで電子状態を変化させることができる。衝撃に対する感度をテストするために、様々な温度でアンビルセル内で負荷をかけた。その結果、高スピン状態である60 °Cでは、25 °Cの低スピン状態より少ない力で爆発した。中程度の温度ではこれら二つの状態が可逆である。これはNi錯体が温度によって衝撃への感度が変化しないのとは対照的である。さらに実用的で安全な新しい材料開発が進行中である。爆弾、普段はご無用である。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 24, p. 9,

DOI: 10.1021/jacs.9b13835

20.3.19

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ヒト細胞の

 標的にバインドしているSAR-CoV-2の結晶構造が明らかにされた[1]。低温電子顕微鏡法(cryo-EM)によって捕獲された相互作用は、コロナウイルスがどのように、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を乗っ取るのかに関するいくつかの化学明らかにしている。今回の発見は、コロナウイルスが血圧を制御する酵素を使ってヒト細胞にどのように入り込むのかの理解の一助にもなる。ACE2はアンジオテンシを活性型に変換し、その結果血管が収縮する。SARS-CoV-2スパイクタンパク質[2]は、ヒト細胞に感染する際に二つのことを引き起こす。S1サブユニットの受容体にバインドするドメインにあるアミノ酸は、ペプチダーゼドメインと呼ばれるACE2のタンパク質を開裂させる部分にバインドする。またスパイクタンパク質のS2サブユニットは、ウイルスがヒト細胞と融合するのを促す。新しい構造はこれらの現象を初めて示していた。酵素の橋かけのような構造から形成される極性の相互作用を通して、ACE2はスパイクタンパク質にバインドしていることもわかった。受容体がバインドするドメインにある複数のアミノ酸は、ACE2のアミノ酸と相互作用し、これによってスパイクタンパク質とACE2のバインディングも引き起こされているようである。アンジオテンシンが暗示をかけられている。それはあかんじ。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 16, p. 6.

DOI: 10.1126/science.abb2762

[2]「村井君のブログ」2020.2.26

20.3.18

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ACSの春の学会の

 中止が発表された[1]。3月22日から26日まで、フィラデルフィアにおよそ15000人が集まる予定だった。新型コロナウイルスSARS-CoV-2の世界的な流行がCOVID-19を引き起こす。130年のACSの歴史の中で中止は初めてである。今後も注視したいが、ペンシルバニア州知事は、COVID-19の広がりに対する緊急災害宣言にサインをした。これを受けてのACSの決定である。ACSは参加登録費の全額返金を行う予定である。ただし、ホテルや旅行のキャンセル料はカバーされない。また発表者がバーチャル発表を含む別の方法で研究結果を共有する方法をまとめる予定である。同様のことはいくつかのディビジョンでも計画されている。ACSはまた、バーチャル理事会や他の方法によって、予定されている議題を話し合うことも考えている。中止あるいは延期される科学会議の数が増える中で、ACS学会もそのひとつである。また現状、多くの企業や大学が人の移動を制限している。発表をバーチャルでやっちゃるか。

[1] Chemical & Engineering News 2020 March 16, p. 4.

20.3.17

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多孔質体を使って

 分子を分離することはしばしば行われる。その中カゴ型構造を含む多孔質液体を利用すると連続フロー系での分離が可能になる。風呂桶は使わなくてもよい。ただしこれまでの多孔質液体は二酸化炭素やメタンよりも大きなゲスト分子をトラップしたことはなかった。今回配位子で囲まれた亜鉛イオンで構成されたテトラヘドロン構造の多孔質液体がつくられた[1]。それは6.2 Åの幅のキャビティをイオンの間に形成している。配位子は、長いポリエチレングルコール鎖を持ちそれが化合物を保持できる所以である。また電荷を持ったイミダゾリウム塩が末端に連結し、これによってお互いが接近するのが妨げられて、鎖がキャビティに入り込むのを防いでいる。形成されたカゴは、プロパノールやブタノールを捕捉できてしかも、直鎖よりも枝分かれ異性体の捕捉が優先される。さらにいくつかのタイプのクロロフルオロ炭素(CFCs)もトラップできる。すべてのゲスト分子は、減圧下で放出されて多孔質液体はリサイクルされる。多孔質体についてもっと知ったい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 24, p. 9.

DOI: 10.1038/s41557-020-0419-2

20.3.16

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面性キラリティーを持つ分子は

 天然物では、比較的良く知られている。抑止する人はいないけど、面白い形状でもあまり注目されてこなかった。それらは医薬品や農薬としても有用であるものの合成が難しい。その中ここでは、酵素が触媒する反応で、入手容易な原料から面性キラルな化合物を高い鏡像体過剰率で与えることが報告された[1]。研究者らは標的化合物を99%以上の収率66-99%eeで得ている。通常の伝統的な金属触媒、これらは有毒な廃棄物になり得るが、に対して、生物的な起源が探索された。その結果セリンの加水分解酵素であるCandida antarcticaリパーゼBに至った。それは高温でも安定で水中よりも有機溶媒中の方が活性が高かった。天然の酵素ポケットがアルコールを収容しており、それで、研究者らの大きな分子がフィットしていた。ただしさらに大きな大環状な面性キラル分子の合成に展開することはできていない。それでも得られた分子はハロゲンを含み、それを軸とした変換も可能である。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 24, p. 9.

DOI: 10.1126/science. aaz7381

20.3.15

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Grignard反応は

 炭素と結合したハロゲン化マグネシウムが、カルボニル基に付加してアルコールを与える。教科書の説明は、求核付加反応とラジカル機構の可能性を言及している。今回さらにその詳細を明らかにするために、コンピューターシミュレーションが使われた[1]。これまでの系とは異なり、分子動力学を用いて溶媒のより正確なモデル化が行われた。その結果、CH3MgClとアセトアルデヒドあるいはフルオレノンとのTHF中の反応は、求核反応とラジカル反応が競争的で、そのエネルギー差は1 kcalしかなくて、これらをシミュレーションで区別することはできないことがわかった。ただし今回は、より正確に溶媒をシミュレートできることから、THFの重要な役割が明らかにされた。マグネシウムは通常四配位であるが、そこに五番目の配位子としてTHFが登板して、金属の電子対称性を変化させて、結合切断と形成を支援している。いずれの経路を通るにしても、単に基質と反応剤との課題ではなくて、溶媒分子の数や動きが反応機構で鍵となる役を担っている。マグネシウムは溶媒で、いい塩梅になるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 24, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.9b11829

20.3.14

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わずかに冷え込みを

 感じる校舎の外、すでに受験生が待機している。建物西側の通路、下水道などの工事で通行禁止が続いていた。しばらく前は、道にひとつひとつレンガを並べて整備が行われていた。なかなか手の込んだ作業である。そのため「レンガで、はいれんがな」だったのがこの日の朝は、受験生が通行できるようになっていた。後期日程試験、受験生と試験監督の方にはマスク着用を依頼。本人確認のための写真票との照合でも先生方にはご苦労をかけてしまう。試験室の換気について。前日の教室点検では扉が固定できない部屋があることも判明。普通換気とロスナイ換気でロス無き対応をお願い。受験生への口頭説明。換気扇やエアコンの音がする中、マスク越しの説明は聞き取りにくし。マイクを使うとうまくいくとお伝え。通常よりも試験開始までの準備に時間を要するかもしれず、遅れた場合には慌てず1分ごとに開始をずらしてそこから試験時間を確保する。夕方、三科目の試験が終了した。担当された先生方、事務方のお陰で大怪我はなかった。マスクも着用されて、まっすぐに終えることもできた。

20.3.13

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ベンゼンの

 無機化合物類縁体で、限りなくベンゼンに近い化合物の合成例はなかった。最初のバージョンは、一世紀ほど前にすでに合成されたボラジン(B3N3H6)であるが、緩やかな芳香属性を示すに止まっていた。その後いくつかの無機ベンゼンが合成されたものの、ベンゼンの性質をむき出しにした誘導体はなかった。それに対して今回研究者らがつくった1,4,2,3,5,6-ジアザテトラボリニン誘導体は、従来のものよりもかなりベンゼンに類似である[1]。ボラジンは、ホウ素原子と窒素原子とが交互で三つずつである一方で、ボリニンは四つのホウ素原子が二つずつ連結し、それらを二つの窒素原子が橋渡しをして六員環を形成しているベンゼンの原子価異性体で青色の固体である。ホウ素上は塩素またはトリメチルホスフィンが結合している。X線構造解析の結果は、分子は平面で完璧なヘキサゴナル中心環であることを示していた。理論計算の結果も、分子の6π電子は、かなり非局在化していること、その芳香属性はベンゼンとボラジンの中間であることを示していた。ボリニンで、人参の色も出せるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 17, p. 11.

DOI: 10.1002/anie.201915790

20.3.12

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樺の木から

 飛び出す菌は、通常は多くの分子の混合物であるパイナップルの甘い匂いがする単一の分子を生産する[1]。この新しい分子の匂いは、実際にパイナップルにある数百の化合物を複製できる。研究者らは、食べることができる樺の木の多孔菌が放った揮発性成分である(5E/E, 7E,9)-デカトリエン-2-オンを発見した。分子の5Z立体異性体は、5E異性体よりも低濃度で感知できるが、5E異性体の方が豊富に存在する。さらに5E異性体は、菌のポリケチド合成がうまく行かない場合に、ケチがついて、発生する代謝物のようであることもわかった。商業的な目的として菌の培地から単一の芳香化合物を生成することができると、パイナップルからの多くの芳香成分を抽出して精製するよりも、また正しい混合物を合成するよりも、工程が単純になる可能性が高い。研究者らは、天然化粧品の、香料として、分子を利用することを見据えている。香り成分で、パイナップルが一杯なっている、って感じるかも

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 17, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.jafc.9b06105

20.3.11

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CDCの検査キットは

 一般的な逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)と呼ばれる遺伝子配列を検出する方法に基づいている[1]。サンプル中のRNAを検出するために、それに対応するDNA鎖が最初につくられて、ついでそのDNAを増幅する。もしコロナウイルスRNAのような標的の核酸がサンプル中にあれば、増幅した核酸は、隠されんように、蛍光発光する。研究者らによれば、試薬が上手く働かかなかった以前のものでは、人に感染する全てのRNA、そこには米国の人には固有の弱毒性の株も含まれるが、それらを検出するように設計されていた。これらの検キットは案内役として働き、コロナウイルスが存在することを示唆するが、それがSARS-CoV-2であるかそうではないかをさらに決定する必要がある。また検査薬がどこで間違いを犯すかは反応条件にもよるため明らかではない。陰性制御の実験で問題があった可能性もある。改良版の検査キットには二つの別のセットも含まれ、一つはSARS-CoV-2に特異的で、患者さんが新型コロナウイルスに感染しているかどうかを決定するのに使われる。「検査に真剣さ」、それでも難しい.

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, p. 6.

20.3.10

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軟体動物の殻を

 覆う強い天然材料である真珠層、一体どんな構造かはともかく、そこからインスピレーションを受けて研究者らは、木くずから頑丈な材料をつくった[1]。真珠層の特筆すべき強さと硬さは、炭酸カルシウムとタンパク質のノリでできたレンガのような積層によるものである。そこで研究者らは、おがくずのような木くずを、板のような木製コンポジットよりもかなり強い構造材料に変換してその構造を真似るべく、木くずと炭酸カルシウムの混合物をすりつぶし得られた粉に水を加えた。それを加熱させて炭酸カルシウムの結晶が木の繊維の周りに成長し、天然の真珠層にあるミネラル様にした。ついでそれを型に入れて冷やしてミネラルと木の構造材料との平行な層を作成した。ついで材料を凍結乾燥し氷を除去し、堆積物の周りでメチルメタクリレートを重合しバインドさせて防水加工した。この木製の真珠層は、銅合金とほぼ同様のタフさで、天然の真珠層にも匹敵すると同時に、それよりも軽かった。それの薄いボードに二人の人が立つこともできる。防水加工しているために、台所、お風呂場、アウトドアでも利用可能である。木製のそれ、もっとくだせい、になりますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 17, p. 10.

DOI: 10.1021/acsnano.9b08647

20.3.9

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大野神戸ICで

 東海環状自動車道に入る。昨年12月14日に大垣西ICまでが開通したこの道。お好みになりそう。この日ほとんど車の通行がなかった。速度制限を超えてしまいそうである。時に対向二車線。それでも養老JCTに寄ろうとするのも便利だ。雨が降る中、そのまま名神高速道路から京滋バイパスを通って宇治東で降りた。黄檗山萬福寺にて母の永代供養を執り行った。1661年中国の僧、隠元禅師によって開創された禅宗のお寺である。インゲン豆は禅師が持ち込んだ豆とされる。威厳があるかもしれない。毎月8日は、ほていまつりが開催されて、お本堂などが賑わっているはずだけど、中止行事になっていた。総門から訪問すると巨大な三門が迎えてくれる。天王殿から大雄宝殿へと繋がる。寺務所で手続きを済ませてお堂に案内される。独特のお経を拝聴しながらの焼香、その後納骨も執り行った。20年以上前に身罷った父もここにいる。仏事が完了した後、普茶料理をいただく。むっちゃ工夫されていた。

20.3.8

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直鎖アルキルベンゼン

 が末端アルケンのヒドロアリール化反応で高選択的に合成できる系が報告された[1]。Ni(COD)2を触媒に、嵩高いN-複素環カルベンが配位子として用いられている。直鎖アルキルベンゼンは、洗剤や洗浄剤に使われているが、これらはフリーデル・クラフト反応を経たアシル化と還元で製造されている。それに対してここでは一段階、85-96%収率、直鎖と枝分かれ生成物の比はおよそ50:1で生成物を得ている。さらにNi(COD)2の触媒回転数は同様の反応のそれの10倍以上である。一般にこのタイプの反応では、内部と末端アルケンの異性化もあるけんで、直鎖生成物を選択的に得ることは困難である。ここではその課題解決を積極的に行ったわけではないが、類似のX-H結合のアルケンへの付加の反応として一般化できる。反応はアルキルニッケルアリール中間体を経て進行し、予想していなかった触媒配位子の間の水素移動を含み、最後に還元的脱離が進行する。さらに大抵のN-複素環カルベンが活性に影響せず、配位子の間の非共有結合性引力相互作用が反応性に関わっている。触媒活性が十分に高ければ、工業的レベルへのスケールアップも容易である。用意周到に、しゅ〜っとやって見たい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 17, p. 8.

DOI:10.1038/s41557-019-0409-4

20.3.7

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コロナウイルスの脅威が

 今春開催予定の集会を延期や中止に追い込んでいる[1]。ニューオリンズで3月24日から27日まで開催予定のWorld Petrochemical Conferenceの中止もその一つである。これを主催するIHSは、旅行制限を設ける企業の数が増加していること、参加者の健康チェックの必要性も鑑みて決定した。また3月16日から18日まで開催予定だったCPI Japan (国際医薬品開発展、東京ビッグサイト)は延期された。Webサイトでも確認できる。昨年の催しには550が出展しおよそ20000人が参加した。その83%はアジアからの人だった。この時期の展示への旅行の困難さが延期の理由の一つである。米国物理学会は3月2日から開催予定だったミーティングを3月1日に中止すると発表した。開催の前日のことである。開催予定の現場だったデンバーのホテルの予約のキャンセルについては複雑である。キャンセル料徴収のキャンセルのお願いも記載されている。なお参加登録費は全額返還される予定だ。一方で3月22日から開催予定の米国化学会年会は現時点では開催の準備が進行中。フィラデルフィア開催、皆出るかどうか健康次第である。

[1] https://cen.acs.org/business/Coronavirus-cancels-chemical-events/98/web/2020/03

3月3日時点の状況である。

C&E Newsは1月半ば頃から、そこに掲載されているコロナウイルスに関する記事を、フリーでweb閲覧できるように提供している。

https://cen.acs.org/sections/Tracking-the-novel-coronavirus.html?utm_source=Newsletter&utm_medium=Newsletter&utm_campaign=CEN

20.3.6

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中止や自粛が

 相次いで公表されました。たとえば長良川国際会議場で開催される予定だった学位記授与式は中止されて、本学の講堂で縮小して行われることになりました。例年行われる交響楽団による演奏、コーラス部も参加した愛唱歌「希望の春」の合唱は中止です。もしその雰囲気を感じたいときには、You Tubeにアップされている昨年度の授与式をご覧下さい。マイスタージンガー交響曲も鑑賞できます。なお学部や研究科の代表の方への学位記の授与、賞を受賞された方への授与(重要です)は予定通りです。学部レベルの授与は対応が異なります。工学部は今のところ例年通り、AGPを修了された学生、博士の学位を取得された学生、研究科長賞・学部長賞を受賞された学生へは、授与式を行う予定です。会場に集まる人数を勘案し、ご家族の方の参加はご遠慮願うかもしれません。また授与の際の読み上げ内容も縮小の予定です。とりわけ学部長、研究科長からの祝辞は、身近ではありますが、短めになります。

20.3.5

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大気汚染で 

 微粒子にさらされて毎年3から4.3百万人の方が亡くなっている。その汚染の中の煙霧が、どのように発生するのか、まだよくわかっていなかった。中国では、排出規制による大気の質向上が成功しているものの、ひどい煙霧や中程度の煙霧の日があり、これが健康被害をもたらしている。煙霧の前駆体の一つは、石炭火力から排出されるSO2で、これが大気中で反応し煙霧の主成分である硫酸塩になる。ただしその量は50 ppbから数ppbまで減少しているにも関わらず、今も煙霧は起きている。それらを全部無くしたい。そこで研究が続けられた結果、黒色炭素に行き着いた[1]。この黒いチャコールのような粒子は、SO2ほどは中国では減少していない。そこで実験室で、北京の温度と湿度雨を再現したシミュレーションが行われた結果、二酸化窒素やアンモニア存在下、黒色炭素が、SO2のレベルが低くても、硫酸塩形成を触媒していることがわかった。まずNO2が黒色炭素の表面で反応し、亜硫酸(HONO)が生じる。アンモニアがその表面での相互作用を安定化し、HONOがSO2の硫酸塩への変換を可能にする。このタイプの反応は世界中で起きているはずだけど、中国ではアンモニアと黒色炭素の量が比較的高い。すなわちアンモニアは肥料から蒸発し、黒色炭素は、家庭で使う石炭あるいはまきから供給されて、捲き上げられるためである。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 17, p. 7.

DOI: 10.1073/pnas.1919343117

20.3.4

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植物を

 化成品の原料として利用することができれば、CO2削減の一助になる。そのために生物精製所では、植物からできるだけ多くの価値のあるものを絞り出す必要がある。とは言えリグニンのような植物物質は特に扱いにくく有用な分子に変換することは難しい。今回集積化した方法で、リグニンを分解し、カバノキの78%をフェノール、プロピレンやエタノールに変換できることが報告された[1]。現状では抽出されるリグニンのほとんどは燃やされて電気発生に利用されている。それに対してここではまず、ルテニウム触媒存在下200–250 °Cで木片、メタノールと高圧水素とで、三種類の生成物に変換されている。すなわち最初はエタノールに変換できる糖鎖パルプを得たの〜るである。ついでリグニンオリゴマーで、これは印刷用のインクであるp-ノニルフェノールの代替として利用できる。三番目は、2-メトキシ-4-プロピルフェノールや2,6-ジメトキシ-4-プロピルフェノールのようなリグニンアルキルフェノールモノマーである。これらのモノマーから、ニッケル触媒存在下、250–300 °Cでメトキシ基が脱離しプロピルやエチルフェノールが導かれ、それらはフェノール、プロピレンなどに変換される。同時に発生するメタンは熱源として使われる。なおこの系全体として、フェノール合成では従来法の半分のCO2の排出、プロピレン製造では1/3のCO2排出であると評価されている。フェノール製造の詳細が、ここふぇ、の〜ることになりました。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 17, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aau1567

20.3.3.

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糖尿病の人は

 グルコースやインスリンのレベルを注意深くコントロールしなければならない。それを支援する理想的なデバイスは、患者さんは意識せずに、グルコースを検出し、インスリンを管理できるものである。今回グルコース応答インスリンパッチが開発された[1]。高等な技術である。25セントサイズのパッチは、インスリンを含むポリマー極微針でできている。針はグルコースとバインドできるフェニルボロン酸を含むポリマー混合物からなる。酸がグルコースにバインドすると、ポリマーには陰電荷が生じて、それが増大するに連れて、インスリンとポリマーの間の静電相互作用が小さくなり、インスリンが放出される。ポリマーマトリックスの組成の比が、極微針から放出されるインスリンの速度を調整できる。パッチは、糖尿病の25 kgの豚のグルコースレベルを、通常の餌を与えながら20時間以上正常の範囲に保持していた。パッチはまた、サイズや組成の比を変えることで個々人用にアレンジすることもできる。極微針、ハクビシンでも使えるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 10, p. 9.

DOI: 10.1038/s41551-019-0508-y

20.3.2

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蒸留や蒸発(いわゆるエバポ)は

 世界のエネルギー需要の15%を占めている。そのため多孔質膜を利用するような別の効果的な分離方法が期待されているものの、その膜は水の直径が2.6 Å、水素のそれが2.9 Å を区別しなければならない。ナトリウムアルミノシリケート(NaA)と呼ばれるゼオライトが工業的にエタノールから水を除去するために使われているものの、高温・高圧では別の分子も入り込んでしまう。その中今回、高品質なNaA膜が開発された[1]。これで幕引きではないけど、およそ400 nmの孔の30 cmの長さのセラミックストローを、50-200 nmの幅のNaAの種結晶でコートしたものをつくった。これに熱を急激に与えるとナノ結晶がセラミック担体と結合して孔がゼオライトで満たされた。この膜の浸透性は低いものの、水のそれはガスのそれの数百から数千倍になっていた。研究者らによれば、これは結晶の中のナトリウムイオンが、ナノチャンネルを部分的にブロックし、孔の効果的な大きさを小さくしている一方で、ナトリウムイオンは、水のような極性分子を引き寄せているとのことである。実際CO2とH2からメタノールと水を与える反応で、平衡を生成系に片寄らせることもできて、メタノールの収率が向上した。この系は膜として成長させた多孔質結晶が化学分離にかなり有望であることを示している。多孔質結晶、皇室の方々に披露される日もあるかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 10, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aaz6053

20.3.1

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