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有機ベリリウム化合物では

 通常ベリリウムの酸化状態は+2価で、そのラジカルカチオンは+1価である。ベリリウムのラジカルカチオンを発生させるために研究者らは、Be(0)化合物の合成から始めた[1]。以前の電気化学的な測定ではBe(I)ラジカルカチオンの存在の可能性が示唆されていた。この前例のない化学種の発生を目指して、様々な酸化剤が試された。ただしほとんどの反応剤は、得られる化合物を分解してしまい、化合物単離には至らなかった。その中、TEMPOを使ったところ展望が広がった。地球上では気相でのみ、あるいは太陽の表面で観測されていた準安定なラジカルである、ベリリウムヒドリドを含む二つの化合物の単離に至り、構造解析も行われた。研究者らはこのラジカルカチオンを直ちに商業的応用することは視野には入れていないものの、いずれその可能性もあるかもしれない。新しい基礎化学は常に、数年先に予想もしなかった重要な何かの発見に広がり得る。May the Be be with you.

[1] Chemical & Engineering News, 2020 March 2/9, p. 12.

DOI: 10.1038/nchem.2542

20.3.23

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