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低温電子顕微鏡法(Cryo-EM)によって

 RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の構造が明らかにされた[1]。RdRpはウイルスがRNAゲノムのコピーをつくる鍵となる部分である。ウイルスのスパイクタンパク質とともに、人に感染する際に含まれるRdRpや、ウイルスのタンパク質製造を助けるその主なプロテアーゼは、SARS-CoV-2に対する薬の主な標的の一つである。新型コロナウイルスのRdRpは、nsp7やnsp8として知られているいくつかの小さなタンパク質にバインドしている。別のRdRpと同様に右手の様な形をしているが、握ってみることはできない。2019年Cryo-EMによって、SARS-CoVのRdRpの構造が解析された[2]。このウイルスはCOVID-19を引き起こすウイルスと類似である。二つのポリメラーゼは、ほとんど同じアミノ酸配列を有しRNA重合を触媒する活性部位は同一である。薬剤開発でCoV-2ポリメラーゼを標的にする利点は、開発者がHIV治療のためのポリメラーゼ抑制剤の設計の経験があること、さらにポリメラーゼを妨害する方法が、過去数年間に格段に進展している点である。SARS-CoV-2 RdRpを抑制しうる医薬品の一つがレムデシビルである。これは元来エボラウイスルを標的としていた。新たに明らかになった構造から、レムデシビルのトリホスフェートがどの様に、ポリメラーゼにバインドするかがモデル化されている。さらに他のポリメラーゼを標的とする医薬品であるファビピラビル(販売名:アビガン)も同様にバインドするのではないかと研究者らは考えている。Cryo-EMが構造に食いついた。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 20, p. 4.

DOI: 10.1126/science.abb7498

[2] DOI: 10.1038/s41467-019-10280-3

20.4.22

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