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SARSが流行した2006年

 患者さんからSARS-CoVウイルスに対する抗体が単離された。今年の初め中国の研究者らは、それらの一つCR3022がCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2のスパイクタンパク質にバインドすることを報告した[1]。研究者らは抗体がどの程度正確にスパイクタンパク質にバインドするかを見るためにCR3022のサンプルを注文し、受容体がバインドするSARS-CoV-2領域(RBD)のスパイクタンパク質も製造した。X線結晶解析の結果、抗体はRBDが人の受容体と相互作用する部位にはバインドせず、ウイルスが人の細胞に感染し、タンパク質の構造が変化したときにだけ、抗体はその隣の部位にひっかかることがわかった。すなわち先の抗体はSARS-CoV-2へはそれほど強くはバインドしない。この成果は、抗ウイルス薬やワクチン開発のための大きなヒントである。またCR3022が標的とする二つのコロナウイルスのドメインのメインは同様だけど、SARS-CoVのRBDはグリコシル化部位を有しSARS-CoV-2のそれは、それを持っていない。この小さな違いが抗体CR3022のバインドの強さに影響している可能性がある。研究者らはどちらのウイルスも中和できる抗体の発見を目指している中、COVID-19から回復した人たちから抗体サンプルの提供の申し出をもらっている。週末だけでも相当な数だった。今回のCoV-2だけではなく、関連するコロナウイルスから身を守ることができるワクチン開発をしたいとしている。自らを鼓舞しながらCoVに向き合っている。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 13, p. 5.

DOI: 10.1080/22221751.2020.1729069

20.4.19

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