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ファビピラビル

 ブランド名アビガンは2014年日本で承認されて、インフルエンザや別の医薬品に応答しないウイルス株の感染の治療に使われている[1]。富士フィルムの広報担当者は、その特徴的な作用機構から新型コロナウイルスへの感染にも効果的であると述べている。それは富士フィルムの子会社である富山化学が開発し、鍵中間体であるマロン酸ジエチルは化学製造メーカーであるデンカが供給している。ただマロン酸ジエチルが過剰供給であったため2017年に新潟県のプラントが一旦閉鎖していたが、プラントを再スタートさせる予定である。設備は取り壊されておらず5月の終わりにはフル稼働したいとのことである。これでデンカから出るかと思われる。富士フィルムによれば日本でのフェーズIIIの100人程度の試験が6月には完了する見込みで、米国では50人程度のフェーズIIの試験が予定されている。これまでの人の臨床試験では悪い反応は見られていないものの、臨床前研究で胎児に対しては害がある可能性があったため妊婦さんでの試験は行われていない。レムデシビルと同様、ファビピラビルもウイルス複製に含まれるRNAポリメラーゼの選択的抑制剤であり、動物試験では、インフルエンザ、西ナイルウイルス、黄熱、手足口病や別のウイルスに対して効果的である。なお現状ではCOVID-19に対応するためのファビピラビルの大量注文は日本政府からだけである。WHOは多国籍な臨床試験を、四つの今ある医薬品で行っているが、ファビピラビルを含めていなかった。田舎での試験も、期待したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 20, p. 11.

20.4.23

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