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2020年5月

大都会の冬に特有の

 環境因子の組合せが、大気の最も小さな粒子を長い期間、長生きさせて、より大きな粒子となりスモッグを引き起こすことが報告された[1]。理論的には、発電所や自動車から排出される窒素や硫黄種は、別の分子にくっつき、分子クラスターに成長する。クラスターは近傍の分子に捕捉されてさらに大きくなり、直径数百ナノメールからさらに大きなクラスターを形成する。今回研究者らは、大都会の大気を汚染する気相の硝酸、アンモニアや別の成分の混合物が、制御された大気チャンバーの中で、様々な温度範囲でどう振る舞うか、試験を行った。その結果、様々な条件で、硝酸とアンモニアが反応し、硝酸アンモニウムを与えることがわかった。この成分は、新しく生じるクラスターに凝縮されて、これまで観測されていた速さの10から100倍の速さで成長し、別の粒子に吸収されるのを回避するのに十分な大きさまで成長する。この成長の速度は、温度に依存し、-10 °Cでは5 °Cの200倍の速度である。実際には、ラッシュアワーの交通状況、接近して建てられたビル、道路、陰によって引き起こされる大きな温度変化や空気の流れなど多くの因子が関わるが、今回の研究成果は、都会での粒子の成長を解明する手がかりである。気がかりの人も多いかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 18, p. 5.

DOI: 10.1038/ s41586-020-2270-4

20.5.31

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二級炭素が存在する中

 飽和アルキル環のヘテロ原子から二原子離れた一級炭素上のC-Hが活性化されている[1]。ここではシクロオクタン中、2-メチルフェナントロリン配位子を有するIr触媒が基質とボリル化剤であるB2pin2との反応を促進する。その結果、ボロン酸エステルがアルカンや保護していないアルコールの中の第一級C-H結合や、環状アルカンや飽和複素環の中の第二級C-H結合に収率29–85%で組み込まれた。生成物にあるC–B結合は異なる様々な官能基に変換できる。この反応で五種類の分子群から少なくとも63の化合物が合成されている。従来法で同様の選択性を獲得するためには、出発化合物を溶媒に使う必要もあった。今回の反応系では、より少ない出発化合物でも進行するため、それらは固体でもさらに複雑な化合物へも適用できる。多くの官能基が含まれていても反応には影響を受けない。なお多くの溶媒は活性なC-H結合やπ結合を有するが、ここではシクロオクタンを溶媒に使った点も鍵である。シクロオクタンが反応を見送ったんかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 18, p. 4.

DOI: 10.1126/science.aba6146

20.5.30

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2019年度の

 日本の化学メーカーの業績報告[1]。COVID-19の影響は部分的で年度の終わりだけである。その前から日本企業は、自動車の販売低下、石油化学製品の価格低迷、米国との貿易摩擦による中国の景気停滞などで、手痛い状況だった。世界的経済での景況感は、製造業部門の落ち込みの激しさを示していた。繊維メーカは販売4%利益44%の落ち込み。先の貿易摩擦や、中国と欧州での自動車需要の低下に加えて、新型コロナウイルスの影響である。日本で最も大きな化学メーカーは販売6.8%利益68.1%の落ち込みで、石油化学製品の販売価格の急激な落ち込みが響いている。そこで効率を向上させるために鹿島にあるポリプロピレンのラインを閉鎖した。リストにある他の7社も販売で0.9%から9.7%の落ち込み、利益では27.4%から73.8%の落ち込みである。その中ある企業は利益がわずかに向上していた。米国でのポリ塩化ビニルの需要、セルロース誘導体の医薬品工業への販売、半導体シリコンの需要によるものである。COVID-19の拡大は食品や医薬品市場での需要を生み出している。自宅での食事の機会、冷凍食品やインスタント麺の需要は伸びている。多くの会社はこの状況の中、明確な財政予測はしていないものの、ある企業は2020会計年度には、販売と利益がそれぞれ15%、47%の落ち込みであることを予測している。また世界の複数の国や地域の経済成長率の急激な落ち込みも予測されている。落ち込みでも、いいこと持ち込みたい。

[1] Chemical & Engineering News 2020 May 25, p. 11.

20.5.29

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Stay home政策が

 結果として、グローバルな二酸化炭素の排出量の削減をもたらした[1]。苦言を呈する人はいない。最も排出量が少なかった4月初めは17%減だった。この極端な減少、一年は継続しないものの2020年のCO2排出は少なくとも4%減になると予測されている[1]。17%減は第二次世界大戦以降最も大きな変化である。CO2排出量の観測には、交通、航空便、鉄鋼生産、電気利用や様々なデータが使われている。その中CO2排出の減少の主な要因は乗用車による移動だった。CO2排出を世界的な尺度で直接測定することは現状ではできない。そのため交通に関する情報やモバイルからのデータをベースに排出を推定し、ほとんどリアルタイムでその変化が追跡されている。それぞれの国で最も大きな減少は、およそ25%で米国ではさらに大きく4月7日から20日の間に32%減少した。これまで一体誰が「米国のCO2排出が数週間の間に全体の2/3にまで減少する」と考えていただろうか。紛れもなく前例のない減少の現象である。意見書も提出されるかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 25, p. 6.

DOI: 10.1038/ s41558-020-0797-x

20.5.28

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SARSが流行した

 2003年、北京で一酸化窒素吸入を受けた患者さんは、そうでない患者さんよりも血液中の酸素が増えて、肺炎のサインを示す肺が、より速くきれいになったことがあった[1]。このことを受けて今回複数の機関でCOVID-19に対するNOの効果が検証されている。11の臨床試験のうち6つは多施設臨床試験を行い、そのうちの二つは高用量のNO吸入を、軽症、中等症さらに人工呼吸器を装着している重症患者で行なっている。現状では「いい感じや」とのことである。さらにガス吸入が、COVID-19に晒されている医療従事者を保護することができるかどうかも検証されている。医療従事者は働く前と後にNOを吸入する。このような予防的治療は状況を一変させることが可能である。ある病院で500以上の医療従事者が試したところウイルスに対して効果的だった。研究者の一人はこの処置が有望であることを確信し、人工呼吸器の使用を避けるためにも利用価値がある対応の一つであると述べている。研究者らはさらにウイルス感染をした細胞が、NOを発生できる分子を注入すると、より長く生きるかどうかの試験も行なっている。NOの能力でウイルスはNoにしたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 25, p. 6.

DOI: 10.1086/425357 DOI: 10.1016/j.virol.2009.09.007

20.5.27

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Living night-light

 居間にいませんと言う時でも部屋をほのかに照らす灯。通常は電気製品だけど、植物がその役を担うかもしれない。研究者らは、ひかるきのこの生合成経路をタバコに付与して暗闇で光る植物をつくった[1]。植物を光らせるために研究者らは、植物が通常、複雑なポリマーであるリグニンを構築するのに利用する有機分子であるカフェイン酸の供給を、キノコからの代謝経路に転換し、植物のゲノムに加えた。サイクルはカフェイン酸のいくつかを3-ヒドロキシヒスピジンと呼ばれる発光性前駆体に変換する。キノコが持つ酵素であるルシフェラーゼによって3-ヒドロキシヒスピジンが酸化されると、緑色発光に相当する光子を放出する。別の酵素が酸化された分子をカフェイン酸に戻し、サイクルが継続する。植物は化学薬品を加えなくても光り続ける。光はまた、植物の生物学的状態や環境応答を伝えるものである。そのことから、より安価に家庭用の光る植物の実験が可能であることを意味しているかもしれない。キノコが胞子だけではなくて光子も放出する。高尚である。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 4, p. 7.

DOI: 10.1038/s41587-020- 0500-9

20.5.26

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カメムシが

 侵入すると、カリフラワーやブロッコリーのようなアブラナ科の植物は、かなり大きな作物被害を受ける。今回の研究では、これまで知られていなかったブラシカジエン(brassicadiene)と呼ばれる化合物が、害虫を魅了することがわかった[1]。これによって農家の方は、作物被害を軽減できるかもしれない。研究者らはこれまでに、カメムシが引き寄せられる化合物が、ジテルペン炭化水素であることを明らかにしていた[2]。ただしその構造の解明には至っていなかった。そこで揮発性有機化合物を数千の苗から集めてきて、構造研究に十分な量を確保した。ついで他大学の研究者と共同で解析を行い、ブラシカジエンの鏡像異性体が生理活性を示すことを明らかにした。ブラシカジエンの構造は、複雑すぎてカメムシ退治に十分な量の化学合成を低価格で達成することは難しい。ただしこれが不足しているアブラナ科の植物では、品種改良でブラシカジエンが増えるようにできるかもしれない。ブラシカジエンでカメムシは、ぶらぶらしかしえん、ようになるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 9.

DOI: 10.1021/ acs.orglett.0c00707

[2] DOI: 10.1371/journal.pone.0209870

20.5.25

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温室効果ガスの削減を

 目指して、二酸化炭素を付加価値のある炭素数が2つ以上の化合物に変換する触媒反応の開発が継続している。通常の触媒的水素化では、CO2と水素を固体触媒上で反応させている。ただしそのプロセスは高圧と温度を必要として、生成物分布も広く、経費のかかるその後の段階が必要である。溶液層での電極と水を使った電気化学的な還元は、ほぼ常圧でCO2を変換できるが、熱触媒と同様にC1, C2やさらに炭素数の多い生成物を与える。このプロセスを改良するべく研究者らは、現在最も良い CO2の電気還元銅触媒の性能を向上させるべく、複数のハロゲンでドープした触媒を作成した[1]。そのうち二フッ化アンモニウムでつくったそれは主にエチレンとエタノールを86%の選択性80%の電気効率で与えることがわかった。これは従来の触媒よりかなりパフォーマンスが向上しておまんす。研究者らは、フッ素が水の解離を促進し水素原子が発生、これが吸着しているCOをCHO種に変換し、ついでカップリングを経てC2生成物を与えているものと考えられている。ハロゲンドープで励んで働いている。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 9.

DOI: 10.1038/s41929-020-0450-0

20.5.24

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遷移金属は

 魅力的な反応性を示すものの高価で毒性も示す。それに対して何年にも渡って化学者は、典型元素の反応性を検証し、遷移金属の代替物を提供しようとしてきたが、d-ブロック元素ではない元素からのカルボニル錯体の提供は達成できていなかった。これはおそらくこれらの元素がπ逆供与の軌道を有していないためである。その中今回研究者らは初めて、室温で安定なシリコンカルボニル錯体の合成を報告した[1]。それは、低原子価の典型元素錯体を安定化することが提言されているガリウムβ-ジケチミナート配位子二つでシリコンを強化することでなし得た。研究者らはCOを電子豊富なシリレンとベンゼン中60 °Cで直接反応させて、収率30%でカルボニル錯体を合成した。これまで科学者はこれらの化合物を固体アルゴンのような極低温でしか単離できていなかったが、今回の化合物は溶液中でも安定で、温和な条件下C–CやH–H結合の活性化の反応剤として使うことができる。さらにCO置換反応も進行し、そのふるまいは対応する遷移金属錯体と類似だった。古いままの知識を書き換えよう。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 9.

DOI: 10.1038/s41557-020-0456-x

20.5.23

 

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金星の大気は

 表面から100 kmほどは均一で窒素が3.5%であると1970年代後半までに、同意した見解を得ていた。それに対して2007年の惑星探査の結果は、窒素濃度は期待していたより40%以上ほど高いことを示していた[1]。金星は地球に最も近い惑星である一方、ほとんどわかっていない惑星でもある。気にせいでいい、のだったかも。その中NASAの宇宙船にあるニューロン分光計によってデータが集められた。それは惑星の表面からおよそ70 kmのところは大気成分の5%程度までが窒素だった。金星の大気モデルは、風や対流について、地球の大気のそれがもとになっている。また金星の高度は100 km程度であると考えられていたが、今回のモデルでは、窒素レベルはおよそ50 kmで急上昇していた。この金星モデルは、厚い大気と太陽に近い点で太陽系外惑星とも類似である。太陽系外惑星観測は、次世代宇宙望遠鏡に期待されるが、それでも大気の上部しか捕まえることはできず正確なモデルも必要である。ただし正確なモデルのための宇宙船の計画は今のところない。もう出るわけではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 6.

DOI: 10.1038/s41550-020-1079-2

20.5.22

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CEPIは

 ノヴァヴァックスのナノ粒子COVID-19ワクチンの製造と臨床試験に対して384百万ドルの出資を約束した[1]。ノヴァヴァックスは今年の1月COVID-19ワクチンの可能性を明らかにした最初の企業の一つである。フェーズI臨床試験が今月オーストラリアで始まる。これは臨床試験に入った最初の10のワクチンの一つであり、現在115のワクチンプログラムが走っているが、CEPIはこのうち9の財政的支援を行なっている。ノヴァヴァックスのワクチンはSARS-CoV-2の組み換え型スパイクタンパク質がもとになっている。ほとんどすべてのワクチンが、スパイクタンパク質を認識しそれが人の細胞に掛かるのを防ぐことを目指しているが、ここではナノ粒子ワクチン製造のために、スパイクタンパク質と、コレステロール、リン脂質と免疫系を活性化するのを助ける植物由来の化合物であるサポニンを混合している。先行するワクチンに対して今回のワクチンは、スパイクタンパク質を組み込んだ初めてのバージョンでありそうである。7月にはフェーズI安全試験の結果が出て、その後複数の国でフェーズIIの試験が予定されている。さらにある企業との間で契約を結び、今年中に1億回服用できる量を、2021年には10億回分を提供したいとしている。○○億回、奥が深い。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 18, p. 11.

CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations):感染症流行対策イノベーション連合)

記事では、CEPIからの出資が発表された際、ノヴァヴァックスの株が900%上昇したことも書かれている。

https://www.bloomberg.com/news/videos/2020-05-14/novavax-could-deliver-100m-covid-19-vaccine-doses-by-end-of-year-says-r-d-head-video

https://www.youtube.com/watch?v=ziIR9uUPN1Y

でもストーリーが紹介されている。

20.5.21

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ギリアド・サイエンシスは

 ロイヤリティーフリー合意にサインし、五つのジェネリック企業が、抗ウイルス薬であるレムデシビルの製造と流通を127の国で行えることを可能にした[1]。これらの国々は、低所得あるいは、ヘルケアへのアクセスが困難である。米国では4月終わりに緊急に承認されて、今年中には百万程度の処置を可能にする量を供給したいとしているが、レムデシビルの化学合成は、直線的合成で、複数の特殊な合成段階を含み、世界的な供給が限定的な新規な基質を使う必要もある。そのため合意した企業と、世界的な供給量を増やすとともに、ギリアド社は製造工程も共有する予定である。なおロイヤリティーフリーは、WHOが、COVID-19は最早世界の脅威ではなくなったことを宣言するか、別の医薬品あるいはワクチンが承認されるまで継続される。これとは別に、主に日本の企業がCOVID-19の拡大を停止させることを目的として、診断、防止、封じ込め、治療に関する特許権を行使しないことを誓った。すなわち5月13日30以上の企業が「Open COVID-19 Declaration」[2]を行った。COVID-19、ちょびっとずつ向き合う戦略が広がってきた。ビット数も拡大したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 18, p. 10.

[2] COVID-19 と戦う知財宣言:https://www.gckyoto.com/726628143172

20.5.20

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2020年は

 工業界にとって最悪の年かもしれない[1]。経済の回復について不確かなことも多く、企業幹部やそのパートナーである銀行は、合併や買収を保留している。2020年第一四半期、パンデミックと全面的に立ち向かう前、取引は活発で昨年の同じ時期より数も多かった。逆風の中でもM&Aは継続していたものの、ここ数週間企業は、冷気漂うが如く、ブレーキを踏んでいる。5月11日肥料メーカーのOCIは、COVID-19に関する懸念からメタノールビジネスの売却を断念する可能性に言及している。企業は当初この決断を今年行う予定だったものの、取引環境の改善を期待して2021年まで待つことにした。同様に先月、日本触媒は三洋化成との合併を遅らせた。またS Kグローバルケミカルは、ある企業のポリオレフィンビジネスの購入を完了させるのを延期した。専門家によれば90%のマーケットが中断状態でM&Aマーケットの凍結は、証券取引の状況と比較し得る。多くの企業の短期的な業績について何もわからないことから、買い手、売り手、貸し手の多くが撤退した状態である。それでも5月終わりには、いくつかの取引がそっと出てくるだろうとの予測である。マーケット、まあきっと復活します。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 18, p. 10.

20.5.19

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織り目が細かい

 シートのようなコットンや、四層になったシルク、コットンとフランネルや、コットンとシフォンのような混ぜた素材は、SARS-CoV-2の拡散を防止するためのマスクの素材として優れている。今回の研究では、これらの織物で作成したマスクが、海水のエアロゾルでサイズが10 nmから6μmまでのものを濾過することができることが示された[1]。このサイズの液滴は、大気に広がったままであることが指摘されていて、人々は顔面被覆することが推奨されている。そこで先の織物の性能が試験された。これまで実験室レベルの装置で科学的なデータを集めた例がほとんどなかったため、今回エアロゾルを織物に通す装置を組み立て、それをエアロゾルのサイズや分散が測定できる洗練された装置と合体させた。エアロゾルを15種類の織物に浸透させた結果から研究者らは、少なくとも二層織物が推奨できるものの、多層になりすぎると空気の通りをブロックしてしまうことを明らかにした。またマスクの輪郭とマスクの間のギャップがマスクの性能をかなり低下させることも指摘されている。二層織物マスク、似合いそう。

[1] Chemical & Engineering News 2020 May 11, p. 10.

DOI: 10.1021/ acsnano.0c03252

20.5.18

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レムデシビルが

 新型コロナウイルスSARS-CoV-2に対して効果を発揮する機構が、低温電子顕微鏡法(cryo-EM)で解明された[1]。レムデシビルは、ヌクレオチドアデノシンのプロドラッグとして作用するように設計されている。この薬が細胞に入り込むと、ウイルスがRNAの新しい鎖を生産するのを中断させる前に、酵素はそれをモノリン酸塩に変換する。中国の研究者らはSARS-CoV-2のRNA依存のRNAポリメラーゼを精製し、インビトロで、レムデシビルが酵素のRNA複製を抑制することを示した。インビトロで神秘的でもある。ついで研究者らは、酵素を短い長さの RNAとレムデシビルのモノリン酸塩型とを混ぜて、得られた複合体を2.5Åの解像度でCryo-EMで解析を行った。その結果イメージングは、レムデシビルがプライマーRNAにしがみつき、ポリメラーゼがテンプレートをガイドとしてその鎖を伸長させるのを阻害していることがわかった。これによってウイルスの再生産がシャットダウンする。そのショットを手にされたようである。

[1] Chemical & Engineering News 2020 May 11, p. 10.

DOI: 10.1126/science.abc1560

20.5.17

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リアルタイムで

 身体の中のpHの変化を、超音波スキャナーを使ってモニターできる新しい造影剤が報告された[1]。研究者らは、ポリ(N-ビニルピロリドン)(PVPON)とチオールで修飾したポリ(メタクリル酸)の交互の層で、シリカナノ粒子をコートした。PVPONはpHが増加すると、コーティングの密度を変化させた。さらにこの密度の違いは、超音波造影でさらに増加、使うのにえいぞうである。ついで様々なpHのバッファーが注入されたネズミの肌で、ナノ粒子の試験を行った。これらの領域の超音波イメージは、pHが低いほどよりコントラストが大きくなっていた。マイクロバブルは以前にも超音波でコントラストを向上させていたが、それらは血液に入れ込む必要があり、安定性も低かった。それに対して新しい固体ナノ粒子は、細胞組織に直接注入することができる。ガン細胞に囲まれた領域はしばしば、通常の領域よりも酸性度が向上している。そのため今回のこの成果は、ガン検出の一助になり得る。さらに研究者らは、心臓のタンパク質のような特異な細胞に応答して変化できるナノ粒子コーティングの開発を進めたいとしている。使い方にはコーチングも必要かもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 20, p. 9.

DOI: 10.1021/acssensors.0c00245

20.5.16

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真に大きな2-Dナノ構造を

 追求する中で研究者らは、分子内および分子間自己集合を駆使して、苦心もして、ルテニウムと鉄イオンが合わさった六角形の格子を組み立てた[1]。その直径はおよそ20 nmである。これは別々の金属超分子としては、これまでに合成された中で最も大きい。格子のそれぞれの六角形は、三方向に突き出た有機リンカーが配置されて、先端の尖った分子の三つの端は全て窒素原子を含むターピリジン配位子であり、それがルテニウムイオンと錯体を形成している。この部分は全てが格子を形成するまで六角形の構成要素をつなぎ止めていた。そこに鉄イオンを加えると六角形が動き始めて連結した格子が、こうして組み上がった。鉄イオンの位置によって異性体もつくることができる。なおこの巨大分子は単に新規性があるだけではなく、鉄イオンをコバルトのような他の金属に入れ替えると、異なるスピン状態を用いた単分子情報記憶素子として利用することも期待されている。そして素子になっても、素知らぬ顔をしているかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 20, p. 9.

DOI: 10.1038/ s41557-020-0454-z

20.5.15

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Advanced Placement (AP)

 の化学の試験が5月14日開催される。この試験で好成績であれば大学に進学した際には単位として認定される。この試験は通常3時間以上であり90の多項選択解答と紙で提出する7つの長文式解答からなっていて高校で行われる。それに対して今年は、多くの学校が閉鎖中であるためオンラインで自宅で学生は受験する。試験は45分に短縮されて長文問題は2問である。試験中本やノートを見ても良いが、他の人に聞いてはいけない。試験がカバーする内容は、学校での学びの時間が少ないために、省略されたものになる。参加するすべての学生は世界標準時午後6時から同時に試験が始まる。これはアジアの学生にとっては苦難かもしれない。試験が行われて一安心の人たち、一方で課題を指摘する人たち、様々である。平等性はあるのか、テクニカルな課題、英語だけになったために、英語を母語としない生徒にとっては不利である。さらに自宅の試験室に一人であることを担保できない。不正行為が蔓延する可能性も、おまんねん、などなど。それでも試験のキャンセルはしないで欲しいという大多数の要望から、物理や生物などと同様に化学の試験も実施される。試験に挑むときは、真剣に

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 11, p. 6.

20.5.14

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アフリカミドリザルの

 細胞を使って47の医薬品候補化合物の試験が行われた[1]。その細胞は高いレベルでSARS-CoV-2を複製できること、また結果は人の細胞でも通用する。47のうち2つはウイルスのRNAをタンパク質やシグマ1、シグマ2受容体を調節する分子に翻訳することを抑制した。さらにこれら2つの化合物はウイルスとは違った様式で相互作用することもわかり、組合せ治療が効果的でもあり得る。そのうちの一つがPB28であり、これは臨床前抗精神病性の化合物で、細胞実験ではヒドロキシクロロキニンのおよそ20倍の効果を示した。ただし人での試験はこれまでに行われたことがない。抗ヒスタミン薬であるクレマスタチンも有望である。これはアレルギー疾患の薬であり、米国ではカウンターで「クレマスタチン、くれませんか」で購入できる。他には女性ホルモンであるプロゲステロンも実験では、抗ウイルス活性を示した。その濃度は、女性の方が男性より多いが、それほど多いわけではない。また抗ウイルス性のそれほどは強くはないものの、身体の中のホルモンは多重な効果を示すことから、COVID-19の場合でもそれは複雑で、感染と死者の数の男女差の違いも説明しうるかもしれない。ただしこの点、更なる研究が必要である。ミドリザルにとって、医薬品候補、よりどりみどりだったんでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 11, p. 5.

DOI: 10.1038/s41586-020-2286-9

20.5.13

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青色光を

 Pd触媒によるカルボニル化反応に照射すると、多くの種類のハロゲン化アリールやハロゲン化アルキルのカルボニル化が達成される[1]。この反応は酸塩化物、アミド、エステル、ケトンや、多くの医薬品に見られる基本骨格を導くこともできる。触媒反応の専門家は、この反応は基質適用範囲の広さからアメイジングであると述べている。イメージできますか。さらにカルボニル化反応で合成するのが難しい酸塩化物も導くことができる点、極めて魅力的である。研究者らは光レドックス触媒を使ったカルボニル化で酸塩化物合成を試みていた中で今回の系を発見した。詳細を検討すると光レドックス触媒は全く働かず、一方で青色光が、ラジカルが誘起する酸化的付加と還元的脱離の二つの段階を効率的に加速させていた。触媒反応ではこれらの段階のバランスが重要で、一方を加速しすぎると他方が抑制されてしまう。ただしここでは青色光がその両方を駆動するのを補助し、絶妙なバランスを保っていた。なおそのことを、ここでばらすことになった。ブルーライトで乾杯。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 20, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aba5901

20.5.12

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ゲオスミンの様な

 低分子に由来する土の快適な臭いは、そこに棲むバクテリアによって生産される。ただしなぜバクテリアは手間暇かけてそれをつくるのかがわかっていなかった。その中生物学者らは、スウェーデンの森に入り、トビムシと呼ばれる小さな無脊椎動物を発見した[1]。それらは土の中に棲んでいるが、ゲオスミンをつくる微生物の入ったワナに入っていった。研究室に戻り、トビムシのアンテナに電極を固定し、これらの電気的刺激が、臭いサンプルの存在とどの様に関係しているかが調べられた。GC分析によると、ゲオスミンや類似の土のテルペンである2-メチルイソボロネオールに関連するピークが、電気的刺激に応答していた。さらにバクテリアがゲオスミンをつくるライフサイクルを研究した結果、バクテリアが胞子をつくっている時に、ゲオスミンも多く生産されることがわかった。ゲオスミンに魅惑されたトビムシは、バクテリアを食べはするが、一方でその体に付着したり糞に混じった胞子を、たくさん拡散している。ゲオスミンの役目、お墨付きんになったでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2020 April 13, p. 9.

DOI: 10.1038/s41564-020- 0697-x

20.5.11

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世界のメタノールの

 年間生産量はおよそ1億トンで、さらにその量は急速に伸びている。ホルムアルデヒドや他の汎用化成品の前駆体として利用されるメタノールは、工業的には銅、酸化亜鉛、アルミナ(CZA)を含む触媒を使って、一酸化炭素から製造される。多くの研究は、このCZA触媒は、二酸化炭素からもメタノール製造が可能であることを示しており、これによって、大気中の温室効果ガスのレベルの制御も可能である。ただし反応機構があまり解明されていないこと、CO2をMeOHに変換する最適条件が未解明であることが、この技術の展開を限定的にしている。通常CZA触媒は加熱によってのみ活性化されるが、今回研究者らは、熱と光を組合せた活性化で、そのパフォーマンスが劇的に向上することを示した[1]。さらに改良の鍵である点を説明できる多段階反応の機構も明らかにした。触媒を加熱している間、紫外線や可視光を照射すると、銅と亜鉛が同時に励起されて、これらが相乗的に分子状水素を活性化し、反応中間体であるHCOOの変換を促進する。熱触媒と比較して、この光熱過程は、これまでの反応温度よりも50 °C低下させてもメタノールの収率を30%まで向上させている。工場でも、こう言う状態です、と示したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 6, p. 9.

DOI: 10.1038/s41467-020-15445-z

20.5.10

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化学者もコーヒーを

 好む。さらにそれを研究する。ホットコーヒーの研究は、ほっといてもかなり進んできた。近年アイスコーヒーの需要が拡大している。そこで今回研究者らは、ホットとアイスの違いを明らかにした[1]。まずは三種類のコーヒー、ライト、メディアム、深煎りコーヒーを100 °Cと室温で煎じた。どちらの温度で煎じてもカフェインの量はほぼ同じだった。一方でホットコーヒーは、測定可能な酸性度と抗酸化物のどちらも高かった。また深煎りになるにつれてそれらはより強調されていた。そこで研究者らは、ある種の抗酸化物は、高温でしか溶けずに、室温ではろ過の際に除かれるのではないかと考えた。ではどちらのコーヒーが、皆さんにとってベストなのかデータに基づいて提案された。酸性度が少し低いコーヒーを所望しているときは深煎りアイスコーヒーが、また抗酸化物の量が多いのを飲みたいときはライト、メディアム、深煎りいずれでもいいのでホットコーヒーがお勧めである。この成果はフィラデルフィアのACS学会で披露される予定だったけど、学会がキャンセルされたため、ACSオンラインプラットフォームであるSciMeetingsで公開された。高品質なコーヒー、校費では買えません、通常は。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 13, p. 8.

20.5.9

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ギリアド・サイエンシズが

 エボラ出血熱の治療薬として開発したレムデシビル。その製造の拡大を公にしている[1]。通常それは9から12ヶ月を要する。ただし1月以降化学合成の最適化で6から8ヶ月に時間短縮が行われている。その中会社は4月はじめおよそ1.5百万錠、これは10日間投与する14万ケースに対応できる量を確保したと発表、さらに10月までには50万ケース、年末には100万ケース、必要となれば来年数百万ケースの治療に必要な量を供給するために、内部施設の増強と社外パートナーシップの拡大に取り組んでいる。ただしもし薬が役に立つことがわかれば、現在進行中の治療と政府が備蓄するための世界的な需要で、この供給では追いつかないかもしれない。ギリアドは現在、数段階の合成の後半の中間体合成を外注し、最後の重要な段階を自社で行っている。この点でもキャパシティを増加させる予定である。なおギリアドの実際の製造工程はわからないけど、2017年同社が発表した論文[2]には、リン原子キラリティーを有するレムデシビル合成は、再結晶によるジアステレオマー分離を含むこと、それでも200 g以上が容易に合成できると記載されている。ギリアドは、ギリギリやどを回避すべく、邁進されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 4, p. 23.

[2] DOI: 10.1021/acs.jmedchem.6b01594

20.5.8

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微量必須元素であるセレンが

 多くの動物や人のウイルス疾患の重症度に影響することが知られている[1]。例えば、HIVの場合セレンはAIDsの進行やそれがもたらす死と関連する重要な因子である。中国は世界の中でセレンの摂取が最も多い地域と最も少ない地域がある国である。そこで研究者らは中国のCOVID-19とセレン欠乏との関係を調査した。省や地方自治体からの200を超えるデータ、さらに市からの40を超えるデータの解析が行われた。その結果、セレン摂取量の高い湖北省の恩施(エンシー)という町では、COVID-19からの治癒率[2]が他の湖北省の地域よりも3倍程度高かった。一方、世界で最もセレン摂取の少ない黒竜江省では、COVID-19による死亡率が湖北省を除く他の地域よりも5枚程度高かった。また湖北省以外の17の都市で、髪の毛の中のセレンの量とCOVID-19からの治癒率がかなり相関していることもわかった。ただし今回は患者さんの糖尿病、呼吸器疾患、高血圧などの交絡因子を考慮できていないことも含めて、この相関を過大評価することは課題で、さらに詳細な調査も必要である。

[1] ScienceDaily

https://www.sciencedaily.com/releases/2020/04/200429105907.htm

[2]治癒率:COVID-19患者のうち「治療が完了」と宣言された人の割合

なおこの記事の情報を送っていただいた方のコメント:北イタリア、イングランドはセレン摂取がギリギリの地域。ドイツも摂取量は低いけどセレンサプリメント消費がかなり多い。なおドイツで主に供給されるセレンは、セレノメチオニンではなくて亜セレン酸である。

ちなみに日本では通常の食事でセレンの摂取は賄われています。サプリメントの飲み過ぎは却って危険です。

20.5.7

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新型コロナウイルスはなぜ

 簡単に広がるのか、最近の二つの成果はウイルスが細胞に侵入するタンパク質を特定していた[1]。それらは細胞表面受容体であるアンジオテンシン酵素(ACE2)と膜透過プロテアーゼセリン2(TMPRSS2)である。どちらの論文もこれらは鼻にあるもので、杯細胞と繊毛細胞でACE2を強く発現すること、これらは鼻上皮の最も外側に位置し容易に感染しウイルスの排出もしやすいことを示している。研究者らは現時点では、スパイクタンパク質がウイルスの表面から飛び出し、人の細胞のACE2にドッキングしてウイルスが細胞に侵入すると考えている。ついで人の細胞膜であるTMPRSS2がスパイクタンパク質を開裂してそれが活性化する。活性化されたスパイクタンパク質は膜と融合してウイルスを中に導く。さらに肺、腸、角膜にある特殊な細胞型もACE2-TMRPSS2の組み合わせを発現する。ついで免疫応答についても考察されている。鼻や肺にある細胞を含む上皮細胞では、ウイルスに対峙する防衛の前線にある1型インターフェロンの存在下ACE2の発現が上昇する。通常インターフェロン応答はウイルス制御に有効であるが、この場合にはACE2の発現を増加させていて、ウイルスに逆の効果を与えている可能性がある。なおこれらの研究はSARS-CoV-2に感染していない組織を用いた結果であり、現在は、感染がACE2やTMPRSS2さらには免疫応答遺伝子にどのように影響するかを試験する段階に入っている。免疫応答が逆効果?おっとうりしておれないかも。

[1] Chemical & Engineering News 2020 May 4, p. 4.

DOI: 10.1038/s41591-020-0868-6; DOI: 10.1016/j.cell.2020.04.035

20.5.6

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NIHにある

 NIAIDは、数えきれないほどのフェーズIII試験の中でCOVID-19に対するレムデシビルの効果は最も大きいと考えることができることを発表した[1]。他の試験と異なりこの場合にはプラシーボ群も含まれている。試験には1063人の人が登録し、そのうち20%の人がレムデシビルではない、別の標準的な治療を受けた。主要エンドポイントは、回復までに要する時間である。これはインフルエンザ治療の研究で効果を正確に測るために利用される方法である。先週公表された結果は、レムデシビルはCOVID=19からの回復を15日から11日に短縮できること、プラシーボ群では11.6%の人が亡くなった一方でレムデシビルを投与された人の死亡率は8.0%だったことから、患者さんの生存率も伸びていることを示していた。レムデシビルについての臨床前試験の結果もRNAポリメラーゼ抑制剤としてコロナウイルスの複製を阻止していることを示している。そのためRNAポリメラーゼを標的にすることが有用でありCOVID-19に対する試験で、プラシーボ群の代わりにレムデシビルを比較対象にすることもできる。なおレムデシビルは静脈薬であるため、入院を余儀なくされた患者への使用に限られる。またレムデシビルが感染拡大を抑えることはなく、この状況を克服するためには、社会的な取り組みを継続しなくてはならないだろう。ところでデシベルは音の強さを表す単位です。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 May 4, p. 3.

NIAID: National Institute of Allergy and Infectious Diseases(米国の国立アレルギー感染病研究所)

20.5.5

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Ungrading III

 ある先生のお話。2年生向けの有機化学の講義を担当。多くの学生が受講、中には化学の専攻ではない学生もいる。ここで有機化学を教えることは、多くの化学反応のリストを知ることが目的ではなくて、有機化学は、学生が「抽象的思考」を行う初めてのケースの一つである。ある反応を学び、それを新な状況でどのように適用するかを学ぶことが目的である。理論は存在する。だけどそれをどう活用するかは本人次第である。その先生の講義では、学生が教科書を見ずに問題を解き、その後自分で採点して、修正したバージョンを提出する。中間試験のそれぞれの問題には絵文字を選ぶことで、自分自身の答えの自信の程度を示すことになっている。後の採点で、答えのはずれに加えて、自分の自信の程度のズレやその結果を次に活かすことができる。ただしこの方式は小さなクラスでは有効であるが100名を超える学生のクラスでは採用していない。そこでは中間試験の後、小さなグループに別れて、評価の解説を作成する。その解説(rubric)を作成する議論や、解説の妥当性を集約させるプロセスが評価対象になる。なおungradingアプローチは、COVID-19パンデミックの中で、早急に導入できるものでもない。学生にとって今重要なのは、有機化学の習得状況を自己評価するよりも、生き延びることにエネルギーを注ぐことである。「ungrading」別のアングルからも考えてみたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 20.

「絵文字」英語「emoji」になっていた。絵文字を門人にも教えてほしい。

20.5.4

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Ungrading II

 このアプローチのゴールは成績を完全に排除することではない。ungradingでは、学生自身が自分の成績を把握し自分自身を評価することである。講師はそれぞれの学生と話をして、学生の自己評価と講師の評価とのズレを話し合う。学生は成績の評点を恐れていて、講師はその恐れを取り払わなくてはならない。悪い成績や不合格になってしまうと、学生自身が自分自身を正直に評価することをためらうようになる。Ungradingは過激であるかもしれないが、letter gradesは、1900年代の初期に導入された概念である。2018年にungradingを導入した先生の話では、従来の成績はモノログであり、学生と話しても、成績が主で建設的なフィードバックができていなかった。一方で成績をつけずにフィードバックした際には、学生は能力を向上させるためのアドバイスを、よりスムーズに吸収するように思われた。中間試験やクイズは単に学生を評価するものではなくて、学生の学びのプロセスになり得ることがわかった。先生はプロセスを導くプロです。続きはまた明日。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 20.

20.5.3

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Ungrading I

 COVID-19の脅威が明らかになった3月始め、米国の大学は急ぎ緊急時対応策を実行した、これによって学生やスタッフを保護し学習の継続を確かなものにした。春休みを延長し講義のコースはオンラインだけにした大学もあった。また主たるコースをA,B,Cで学業成績を評価する方式(letter grades)から合否判定に変更するオプションを学生に、一定時期、提示した大学もある。これによってこの辛い時期に、学生、教授どちらも重圧をいくらか軽減することができる。学生にとって真に必要なものは何か、これをいかにして学生が理解できるようにするか、また本質的に必要不可欠な点にどのように焦点をあてるかについて考える時であり、複数の大学で、成績評価は二の次になった。成績をつけることは確かに、ある程度優先順位は高いものの、パンデミックの間にそれは本当に必要か、むしろ学生が必要な題材を学ぶことを保証することが必要ではないか。そこでこの成績付けをしないアプローチ(ungrading approach)を推奨している講師の方がいる。ブローチをされているかは知らないが、続きは明日。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 20.

20.5.2

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ACTIVの目的は

 企業と連邦政府との従来からある壁を取り払って、安全で効果的な治療とワクチンをできる限り早く公共に提供することである[1]。NIHは4月3日四つの領域、すなわち臨床前医薬品、既存医薬品応用、臨床試験収容能力とワクチン開発を焦点とした。ACTIVは形式張らない連合で、今も新しい企業の参画を歓迎している。また最も重要な役割の一つは、有望な医薬品候補や治療を検証する際の科学的な基準をセットし、それにかなったものを、臨床前さらには臨床試験に素早く送ることである。現在100以上の候補があるために、それらの多くを検証することが十分にはできていない。COVID-19に関して他のいくつかの連合も設立されているが、NIHはそれらも支援し努力が重複してしまうことがないようにもしたいとしている。加えて英国や欧州さらにはWHOが主導するマルチサイトな取り組みも始まっている。なおNIHはACTIVでの経費については明確に述べてはいない。どのようなトライアルを行うか、また企業や連邦政府が経費のどの程度をカバーするかに依存している。ACTIV がactiveになりますように

[1] Chemical & Engineering News, 2020 April 27, p. 17.

ACTIV: Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines

20.5.1

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