« NIHにある | トップページ | 微量必須元素であるセレンが »

新型コロナウイルスはなぜ

 簡単に広がるのか、最近の二つの成果はウイルスが細胞に侵入するタンパク質を特定していた[1]。それらは細胞表面受容体であるアンジオテンシン酵素(ACE2)と膜透過プロテアーゼセリン2(TMPRSS2)である。どちらの論文もこれらは鼻にあるもので、杯細胞と繊毛細胞でACE2を強く発現すること、これらは鼻上皮の最も外側に位置し容易に感染しウイルスの排出もしやすいことを示している。研究者らは現時点では、スパイクタンパク質がウイルスの表面から飛び出し、人の細胞のACE2にドッキングしてウイルスが細胞に侵入すると考えている。ついで人の細胞膜であるTMPRSS2がスパイクタンパク質を開裂してそれが活性化する。活性化されたスパイクタンパク質は膜と融合してウイルスを中に導く。さらに肺、腸、角膜にある特殊な細胞型もACE2-TMRPSS2の組み合わせを発現する。ついで免疫応答についても考察されている。鼻や肺にある細胞を含む上皮細胞では、ウイルスに対峙する防衛の前線にある1型インターフェロンの存在下ACE2の発現が上昇する。通常インターフェロン応答はウイルス制御に有効であるが、この場合にはACE2の発現を増加させていて、ウイルスに逆の効果を与えている可能性がある。なおこれらの研究はSARS-CoV-2に感染していない組織を用いた結果であり、現在は、感染がACE2やTMPRSS2さらには免疫応答遺伝子にどのように影響するかを試験する段階に入っている。免疫応答が逆効果?おっとうりしておれないかも。

[1] Chemical & Engineering News 2020 May 4, p. 4.

DOI: 10.1038/s41591-020-0868-6; DOI: 10.1016/j.cell.2020.04.035

20.5.6

|

« NIHにある | トップページ | 微量必須元素であるセレンが »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。