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1910年頃に

 描かれたムンクの「叫び」かつて活気ある黄色だった部分が、灰色がかった白に変化し剥がれ始めていて、美術品保存修復技術者の叫びを呼び起こそうとしている。この変化は、湿気が絵の中の塩素化合物と組み合さりズレが生じ、またカドミウムイエローの中の硫化カドミウムがCdSO4に酸化されて剥がれ始めているためであると報告された[1]。研究者らは様々なスペクトル法を用いて、非侵襲的な方法で、絵から小さなサンプルを取り出し分析を行った。絵の崩壊は、絵の具とそれを塗る方法、環境、保存状態などに依存している。叫びの場合2004年に盗まれて2006年に戻ってきた。おそらくこの2年の間の環境が悪く崩壊を加速している可能性がある。ノルウェーのオスロにあるムンク美術館は2006年以降、暗闇で絵を保存している。今回の研究成果は、CdS絵の具の崩壊の機構に関する貴重な情報をもたらしているとともに、これらの名作を将来に伝えるためにはどのように保存すればよいかを考えるヒントも示している。「叫び」で酒びたりにはなりませんように。

[1] Chemical & Engineering News 2020 May 18, p. 7.

DOI: 10.1126/sciadv.aay3514

20.6.3

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