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荒野に拡散する

 マイクロプラスチックの動きを追跡している研究者らは、汚染物質が川から大洋に移動するような水路に注目してきた。ただしこの経路では、マイクロプラスチックがさらに遠くの領域に広がっていることを説明することができない。例えばイエローストーン国立公園の川に見られるマイクロプラスチックは、水路では到達することが難しい。研究者らはここではタイヤやブレーキパッドの摩擦によって大気に放出されるマイクロプラスチックの大気輸送に着目した[1]。回収されたタイヤの重量減少などの情報を組み込み、微粒子に対する大気輸送モデルが構築された。その結果大気輸送は、プラスチック微粒子を人口密度の大きい場所から北極を含む遠い場所に移動させていることがわかった。これによって毎年、交通によって生じる微粒子140ktを世界の大洋に、また86.1ktを世界の氷や雪の世界に輸送している。すでに脆弱になっている雪や氷形成の場所へのマイクロプラスチックの堆積は、注視すべきである。これらの黒い物質は太陽光を吸収し熱を発し、雪や氷の融解を誘発する。なお先月、米国西部の自然保護区域から採取したサンプルのおよそ98%にマイクロプラスチック汚染物質が含まれていることも報告された[2]。マイクロに、毎度苦労しつつ、プラスに進んでいる。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 July 20, p. 8.

DOI: 10.1038/ s41467-020-17201-9

[2] DOI: 10.1126/science. aaz5819

20.7.30

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