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シクロヘキサン環の

 それぞれの炭素にフッ素原子が全てシスの位置で組み込まれた六フッ化ベンゼンが2015年に合成された。高い極性のフッ素原子と極性のほとんどない水素原子の特徴から、二つの顔を持つローマの神のようで’Janus face’分子になった。同じ研究グループが今回フッ素原子に代えてトリフルオロメチル基を組み込んだ[1]。ヘキサトリフルオロメチルベンゼンの水素化によって全てがシスの1,2,3,4,5,6-ヘキサキス(トリフルオロメチル)シクロヘキサンが合成された。この反応は高温・高圧でも14日間を要したが、それでも期待の生成物は収率13%だった。化合物の結晶構造は、シクロヘキサンの伝統的なイス形配座が三つのアキシャルCF3基によって幾分平面であることを示していた。これまで合成されたすべてがシス置換のシクロヘキサン誘導体の中で今回の化合物は、CF3基がぶつかるために環反転の障壁が最も大きかった。極性はフッ素置換のそれと比較するとそれほど大きくはなかったが、CF3基は、塩化物イオンを引きつけるそれなりの親和性を有していた。オールシス置換、山紫水明なるか。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 July 27, p. 11.

DOI: 10.1002/anie.202008662

20.8.11

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