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炭素源として

 石油に替えてバイオマス由来の脂肪酸を利用することも可能であるが、カルボキシル基の遠隔位の炭素の官能基化は困難だった。それに対して今回、「キラル洞窟」を有するIr触媒が設計された[1]。この触媒は脂肪酸を固定しカルボキシル基から三炭素離れた位置の炭素のボリル化を達成できる。実際触媒は多くのタイプの脂肪酸に適用され、30種類の化合物が良好な収率かつ鏡像体過剰率90%以上で合成されている。計算化学によれば、触媒が集合して酵素の活性部位の様なポケットを形成し、これが多点非共有結合性相互作用で化合物をバインドできる。その相互作用にはモノホスファイト配位子と尿素–ピリジン受容体配位子との間のπ-π相互作用、ピリジンのIr中心への配位や基質と尿素配位子との間の水素結合も含まれる。この個別の部品をつなぎ合わせる様なモジュール方式と柔軟性が触媒の反応性拡大に寄与している可能性がある。脂肪族二級、三級アミドやエステルから一連のボリル化化合物が導かれている。それらは、神経伝達物質であるGABAを含む薬理学的に重要な化合物に変換しうる。遠隔位の制御、かっこいいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 August 24, p. 8.

DOI: 10.1126/science.abc8320

20.8.28

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