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溶液中で

 明るい蛍光発光を示す染料の多くは、固体状態では蛍光強度が減少 あるいは消光する。固体状態では、染料分子はお互い重なり合って緩和し、光子を放出しなくなる。この課題に対する解決方法は、蛍光色素分子同士を離しておくことである。染料同士のソーシャルならぬモレキュラーディスタンスを保つために嵩高い置換基が付与される。この個別の方法は、試行錯誤によるもので、嵩高さが固体状態での発光を保証するものではない。それに対してここではカチオン性蛍光染料に、嵩高い置換基を導入することなく、距離を保つ方法が考案された[1]。それは、大きな中性分子であるシアノスターとして知られている大環状化合物を用いることである。それはカチオン性染料分子に伴う小さなカウンターアニオンを取り囲み、これによって蛍光色素分子同士の距離を保つことができる。そこで染料とシアノスターを混ぜてポリマーや樹脂に入れ込んだ際も、大環状化合物が固体中での構造を決定し、染料同士をお互いに離していた。シアノスターとのコラボ、思案の末のスタートかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 August 10/17, p. 8.

DOI: 10.1016/j.chempr.2020.06.029

20.8.30

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