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男女の違い(前日の続き、ちょっと長いです)

 生物学的視点では免疫系が鍵である[1]。一般に女性は男性よりも頑丈な免疫系を持つ。免疫系の病原体への応答に含まれる多くの遺伝子はX染色体で生き続ける。大抵の場合、男性の性染色体はXYで、女性のそれはXXであるため、男性はXを一つ、女性は二つ持っていることになる。これらの遺伝子は、二つの染色体で同時に活性化し得る。そこで女性では両方の遺伝子が免疫細胞に、より多くの抗体をつくることを許容し脅威をなくすことに繋がる。加えてウイルスや菌に対する免疫応答が男女によって異なる。私たちの体が病原体に侵入された場合、リンパ球と呼ばれる二種類の白血球がそれを攻撃する。2つのリンパ球であるB細胞とT細胞の病原体認識が異なっている。T細胞はさらに二種類ありCD8+ T細胞は感染した細胞を破壊し、CD4+ T 細胞はこの攻撃を支援する。B細胞は病原体破壊を引き起こさず、標的となる病原体に対する抗体をつくり、T細胞が攻撃を開始した後に、感染した細胞を系外に除去する。

ここでT細胞については男女でそれほど差はないが、B細胞は一般的に女性の方が多い。このことは、女性の免疫系には、T細胞が標的とする侵略者の脅威を認識できる良いシステムが備わっていることを、示している。さらにCD4+ T細胞もサイトカインと呼ばれる免疫応答分子で男女に違いがある。男性は炎症を促進する種類のそれを生産し、女性は病原体を除去するそれを生産する。COVID-19の重篤な患者さんでは、免疫系が炎症のサイトカインを過剰生産してしまう場合があり、これが腫れ、苦痛、臓器損傷を引き起こす。このいわゆるサイトカインストームが一旦起きてしまい、T細胞が分子を量産し続けるように活性化されると、体はそれを制御することが出来なくなる。ただしB細胞はこの制御不可能な炎症を止めることが出来て、荒れ狂うストームから体が保護される。これがCOVID-19に罹患した女性が重篤になるのを軽減している可能性もある。サイトカイン、ないといかんですが、増えすぎると。続きは明日のブログに

[1] Chemical & Engineering News, 2020 July 27, p. 25.

20.8.14

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