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賦形剤は

 医薬品の治療成分ではない添加剤であり錠剤のかなりの部分を占めている。これらは一般に不活性であるとされてきたが今回その生理活性を検証するために系統的な研究が行われた[1]。コンピューターモデリングと酵素アッセイ、生体外試験によって、600以上ある賦形剤成分のどれが重要な生物学的経路と相互作用するかが絞り込まれた。そのうち2つが動物試験で生理活性の可能性が示された。塩化1-セチルピリジニウムは、防腐剤や界面活性剤として多くの薬で使われている。チメロサールはある種のワクチンの防腐剤である。これらはネズミの血中に達して生物学的標的と十分相互作用できる。ただしこのことはこれらの賦形剤が有毒であるということではないものの、不活性でもない。例えば多くの薬を服用している高齢者はこれらの成分を多く取り込み、代謝しきれない可能性がある。今回の研究では賦形剤の70%は不活性であるために、問題を引き起こす可能性のある賦形剤の置き換えも可能である。特に一生のうちに長い間服用する糖尿病や避妊薬のような薬では重要である。それでも薬成分の置き換えには2年ほどを要し、25万ドル程度の経費も必要になる。賦形剤で不経済になりませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 August 3, p. 4.

DOI: 10.1126/science. aaz9906

20.8.16

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