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ひずみのある

 環状化合物は好奇心をそそられる化合物であるが、そのエネルギーを有効利用した例は多くはない。例えば環状アレンを用いた立体選択性制御が行われているが、これは大量のキラル化合物を用いた場合に限られていた。それに対して今回触媒的プロセスが報告された[1]。研究者らは、鉄シクロペンタジエニルキラル配位子を持つニッケル触媒存在下、ベンジルトリアジノンと環状アレン前駆体を反応させて二つの中間体を得た。すなわちひずみのかかった環状アレンとNi触媒を含む有機金属中間体である。これらの化学種はただちに反応し、オレフィン挿入を経てキラル付加体を収率85%、94%eeで与えた。構造解析が示した生成物の立体化学は、研究者らが予測していたそれとは逆だった。計算化学によって、遷移状態では溶媒の関与によって、一方がわずかに安定化を受けていることがわかった。この研究は高い鏡像体過剰率で化合物を合成する際にひずみのある中間体が利用可能であることを示している。ひずみ、いつ見ても魅力的です。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 September 7, p. 9.

DOI: 10.1038/s41586-020-2701-2

20.9.28

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