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分子結び目を導く方法は

 小さな部品の自己集合に依存し、その結果高い対称性の結びができる。ただしおむすびはできない。その中今回対称性を欠いた複雑な結び目が合成された[1]。2,6-ピリジンジカルボン酸アミド(pdc)と1,10-ジフェニルフェナントロリン(dpp)を使って分子が設計された。ルテチウム(Lu)と銅を加えるかLuのみを加えることによって、靴ひもを結ぶが如く、違った結び目が導かれる。一つ目のタイプの結び目では、より糸の中でルテチウムイオンが三つのpdc部分の配位を受けて総角結びが形成される。この対称性のある結び目はこれまでにも別の方法で合成されていた。一方で二番目の結び目は、はじめに銅が二つのdppからの配位を受けてループを形成する。ついでLuを加えるとそれがpdcにバインドしてループをくぐる。さらに末端が閉環メタセシス反応で連結し結び目は金属を放出しても残ったままである。銅-dpp錯体の掌性が、遷移金属不斉触媒のようにLuが絡みの形成を方向づけている。これによって非対称な三回ひねり結びが達成されている。結び目、ルテチウムに注文してできました。

[1] Chemical & Engineering News 2020 September 7, p. 7.

DOI: 10.1038/ s41586-020-2614-0

molecular knots:分子結び目、瀬川さん(https://segawa.ims.ac.jp)のアドバイスです。

20.9.14

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