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アスタチン(At)は

 地球上で最も稀な天然元素である[1]。その名はギリシャ語の「不安定」に由来し、最も寿命の長い同位体は210Atで半減期は8時間ほどである。ある教科書によれば、どんな時も地球上には1オンス(およそ28g)しか存在しないとされている。この儚さは元素についての、融点や色を含む基本的情報も得られていないことを意味する。加えてアスタチンは簡単に分類することができない。確かに周期表ハロゲン族に位置するものの、ホウ素、ケイ素、ヒ素、テルルのメタロイド対角線にある元素である。時にハロゲンのように、時に金属のように反応する。また元素は化学的珍しさに止まってはいない。211Atは有望なガン治療可能な同位体である。そのためこの捕まえにくい元素についての詳しい情報が望まれている。アスタチンがガン治療の観点から興味を持たれるのは、それが崩壊する際に、陽子二つと中性子二つとからα粒子を放出する元素の一つであるためである。α粒子は、より大きなエネルギーを有するが別の放射に比べるとその及ぶ範囲は短くて、DNAの二重ラセンを突き通すことによってガンを撃退するが、そのダメージは、粒子の周りの数えるほどの細胞に限られる。アスタチンのお話、明日に続く。

[1] Chemical & Engineering News 2020 August 10/17, p. 22.

20.9.6

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