« ひずみのある | トップページ | ヒドロゲルを持つ除草剤の »

ノビチョクは

 ソビエトが独自に開発し、2018年ロシアの元スパイが英国で、そのうちの一つで毒殺されたことが報じられた化合物である[1]。ノビチョクは有機リン化合物で、体内の酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを抑える。この酵素は神経伝達物質であるアセチルコリンを分解し続けるが、もし酵素の働きが停止すると神経伝達物質の濃度が上昇する。これによって筋肉の共同的な動きが妨げられて呼吸困難や心臓の機能低下に至る。この機構はサリンと同様である[2]。もしノビチョク剤に毒された場合でも、ppbレベルの濃度であれば安定同位体比の検証などによる検出は極めて困難である。一方で不純物や副生成物の検出、毒された人が代謝によって排出したものを調査することは化合物がどのように製造されたかを決定する一助になる。専門家によれば、この生物医学的な試験は確立された確かな試験であるとのことである。

そんな中、8月末プーチン大統領に批判的なロシアの政治家が病にかかりドイツで治療を受けていたが、ドイツ政府は彼がノビチョクによって毒されていることをアナウンスしている。ノビチョクに関する事実解明、延びちょるかなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 September 14, p. 5.

DOI: 10.1007/s11419-017-0376-7

20.9.29

|

« ひずみのある | トップページ | ヒドロゲルを持つ除草剤の »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。