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大西洋サケの筋肉は

 哺乳類のそれと違って温度が10 °C以下になっても柔軟性が保持されている。これは筋肉収縮に含まれるタンパク質であるトロポミオシンの違いであることがわかった[1]。しかも哺乳類とサケ類ではアミノ酸一つが違うだけだった。筋肉が適切に伸縮するためにはトロポミオシンは配座柔軟性と別の筋肉タンパク質と相互作用できる能力を維持しなくてはならない。哺乳類のトロポミオシンは温度が下がると硬くなって標的にバインドすることも難しくなる。一方サケのタンパク質では、哺乳類のそれの77番目にある陽電荷を有するリシンが中性のトレオニンに置き換わっていて、これがトロポミオシン間の静電相互作用を中断させる。哺乳類の体温でこの入れ替えがあれば安定性や機能を失ってしまう。一方でサケでは、不安定化が温度低下によって引き起こされる硬直を防ぎ、サケが極寒の水の中を泳ぎ回るのを可能にしている。トロポミオシン、神妙です。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 August 24, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.biochem.0c00416

20.9.17

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