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アスタチン同位体のうち

 210Atは崩壊するとかなり有毒で、2006年ロシアのスパイを殺害するために使用された悪名高き210ポロニウムにポロっと変化する[1]。211Atが崩壊すると害のないビスマスあるいは、半減期が0.5秒の211Poが生じる。また211Atはα粒子を出す225アクチニウムや212鉛と比べて幾つかの利点がある。225Acでは腫瘍にそれを運ぶ分子の結合そのものが切断される。そのため225Acにはそれを保持する特別なキレート剤が必要である。それに対して211Atは、単一のα粒子だけを放出するため、それを保持する分子の開裂や患者の体の他の部位へ移動するリスクは小さい。212鉛は別の有望な候補だけど、それはα粒子だけではなくて高エネルギーのγ線も放射し、長期の使用は医療従事者に健康上のリスクをもたらす。これらのことからアスタチンは、半減期、放射、化学の点で、α粒子放出のゴルディロックスで、ゴールドの如くである。アスタチンのお話、再び明日に続く。

[1] Chemical & Engineering News 2020 August 10/17, p. 22.

ゴルディロックスは、小さな女の子の名前で、三匹の熊との童話からの比喩で、「ちょうどよい」を意味するらしい。(Wikipediaより)

20.9.7

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