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トロポロンは

 七員環の芳香族化合物で天然にも存在し特異な電子特性を有する。真菌類のα-ケトグルタレート依存酵素であるTropCはトロポロン合成を触媒するがその機構解明が長い間試みられてきた。今回実験とコンピューターの組み合わせで、酵素はラジカル環拡大を促進していることが明らかにされた[1]。研究者らはTropCを結晶化するとともに、三つの可能性のある経路の考えられる中間体の活性部位が計算された。ついで研究者らは様々なアミノ酸残基を活性部位に組込んだ12の酵素変異体を合成し反応に用いた。その結果一電子ラジカル化学を引き起こすことができる変異体のみがトロポロンスチピタアルデヒドを与え、他の変異体は、六員環化合物であるトリヒドロキシベンズアルデヒドを与えた。多くのトロポロンは生理活性を示すこと、トロポロン骨格を含む数百の天然物が知られていることから、合成の標的ではあるものの10-20段階を経る経路も珍しくはない。そのため今回の成果は、新しい生体触媒の創製やその挙動の理解への道筋にもなり得る。トロポロン、コロコロンと合成できる日が来ますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 August 31, p. 9.

DOI: 10.26434/chemrxiv.12780044:審査前

20.9.23

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