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フェリンガ研究室で

 これまで合成されてきた分子モーターは紫外光あるいは青色光で駆動していた。それに対して今回の分子モーターは、共有結合で連結したアンテナが近赤外光からエネルギーを吸収して回転する[1]。この光はより安全であるばかりではなくて、より深い細胞組織に浸透することができる。新しい分子モーターは近赤外光の二光子によってアンテナが励起されると回転する。その励起からの共鳴エネルギー移動が二重結合の異性化を促し、さらに分子が回転する。このシステムを可能にするためには、モーターとアンテナのエネルギーレベルがお互いに合っていることやこれらの部位に連結しているリンカーが分子の動きと干渉しないことを確かめなくてはいけない。なおここでの近赤外光による二光子励起を利用するというアイデアはエレガントで、さらにより速いエネルギー移動ができるアンテナが開発されることも期待されている。フェリンガ先生自身は、この分子モーターを、ガン細胞を破壊するための小さなドリルである幹細胞の特性に影響し得る表面のパーツとして使いたいと述べている。分子モーター、しもた〜、先をこされたかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 November 9, p. 8.

DOI: 10.1126/sciadv.abb6165

20.11.23

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