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ローマ帝政時代

 貝紫色(Tyrian purple)は金よりも高価だった。珍しい王家の染料は、ある種の巻貝から苦労して抽出されていた。ただし軟体動物10000ほどから1 g程度の染料しか得られない。貝紫色の主な化学成分は6,6’-ジブロモインジゴで、これは臭素や臭化水素酸を必要とするために工業的スケールで合成することはできず、また臭素の選択的導入も課題だった。その中研究者らは生化学的な手法で、大腸菌を上手くおだてて6,6’-ジブロモインジゴを生産することに成功した[1]。ハロゲナーゼを含む三つの酵素を操作しバクテリアに注入した。これらの酵素は、トリプトファンを酸素、臭化ナトリウム、補酵素を使って三段階で6,6’-ジブロモインジゴに変換した。紫色を生産する大腸菌を遠心分離器で圧縮して得られたペレットで、ウールなどの織物に特徴的な色相を付与できた。異なるハロゲナーゼ酵素を同様に使うと、異なる色を呈する5,5’-ジブロモや6,6’-ジクロロインジゴも導くことができ、これらも染料として利用できる。インジゴは染料、いいちこは焼酎、ではミジンコは?

[1] Chemical & Engineering News, 2020 November 9, p. 11.

DOI: 10.1038/s41589-020-00684-4

20.11.28

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