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2023年5月

空き家の供給過剰に

 投資する企業もある[1]。2020年に始めたその企業へは、当初より5倍以上の問い合わせがある。初めは日本人、オーストラリア人やシンガポール人だったが、今では米国にいる国際的な顧客が最大である。パンデミックが、日本の郊外に住みたいという考えを加速させた。実際に日本の田舎の資産は大きく、その価値は低く見積もられている。そこには請負契約の実行可能な資産があり、このことを田舎に住みたいという人が理解し始めた。例えばあるカップルは、より自然に近い場所で住むことを考え、所有者が死亡して2年放置されていた家を1200万円で購入した。梅やキウイの木のある庭、コテージには伝統的な畳、障子、襖の扉、厚みのある木製のキャビネットに床の間がある。また以前の所有者は、個人の所有物である、富士山を描いた絵画、日本の書道の巻物、昔のテープレコーダー、凧揚げのたこ、ギター、スキーや焼き物を残したままだった。家は築50年ほどであるために改築が必要である。その経費として2万から3万ドルを見積もっている。これは都会を脱出するために十分に価値があると考えている。最終的には10万ドルほどの経費をかけて夢のマイホームにしたいとしている。

 マイホームでの食事、美味い方むや。

[1] New York Times 2023.5.14. 「Japan Has Millions of Empty Houses. Want to Buy One for $25,000?」四回シリーズ「空き家」最終回

23.5.31

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空き家問題が

 都会のマーケットに直接の影響を及ぼさないものの、それがコミュニティに被害をもたらす可能性は増している[1]。野村総研によれば、ある地方自治体は、放置された家の所有者がそれらを維持するか取り壊すかという要請を無視した時には増税することを可能にする法改正を行なったとのことである。関心の向上を示す別の動きとして、京都市では15000ある空き家の所有者に税金を課すという計画を政府が承認している。空き家は、郊外や田舎の問題に留まらず、家族の情的な面すなわち財産相続に関しても問題が生じる。空き家活用の最高責任者は、つまらない口論をする親戚に対してカウンセラーの役目を担い、資産が見込みなしになる前に行動することを促している。多くの場合、両親が家族の家についてはっきりとした意思を示さずに亡くなるか認知症になる。その結果これについて話し合うのは難しく、子供は家族の家を処分することに罪を感じて放置する傾向にある。日本の自治体には「空き家銀行」があるものの、自治体には不動産に関する経験がない。

 使われていない不動産が、ようさんある。

[1] New York Times 2023.5.14. 「Japan Has Millions of Empty Houses. Want to Buy One for $25,000?」四回シリーズ「空き家」第三回

23.5.30

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日本の人口が減少し

 空き家が増える中、都市に縛られない購買層が、地方の住居を求めるようになっている[1]。政府の統計によれば2018年国全体で850万件の空き家があり、これは国全体にある家屋のおよそ14%である。さらにその数は増えている。野村総合研究所によれば、空き家の数は11百万件にのぼり、2033年までに日本の空き家は、全ての家屋の30%を超えると予測している。日本では家屋の価値は年を経るに連れて低下する。これは第二次世界大戦以降の日本の文化であり、土地だけはその価値が維持される。所有者は年数の経った家屋を維持する利点をほとんど感じず、購入者は、お金はかかるものの、それを取り壊して新しく立て直す。地方では、空き家に住んでいたご先祖様の長い歴史があると鳥取大学の先生は指摘する。そのため家族が都会に引っ越しても、空き家を簡単には手放せない。これに対して国あるいは地方自治体のレベルで対策を講じ始めている。あまり手入れをしていない空き家は、景観を損ね、崩壊した時には近くに住む人の生活や資産に危険をもたらす。例えば山形県酒田では大雪が、放置された家屋に損害を与える。市では、近隣の人から空き家情報を得て、所有者に状況を説明して問題に気づいてもらうとともに、取り壊しを一部支援している。

 いい空き家、購入できたら、ラッキーや。

[1] New York Times 2023.5.14. 「Japan Has Millions of Empty Houses. Want to Buy One for $25,000?」四回シリーズ「空き家」第二回

23.5.29

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オーストラリアのソフトウエア開発者が

 日本で家を見つけた時、友人や家族は、それは諦めるようにと言った[1]。その家は7年前に捨てられた日本に数百万戸ある空き家の一つだった。それでも彼は躊躇しなかった。黒い屋根が滝のように軒まで降り、他の家と比べると地面からかなり離れていた。入り口は切り妻造りである。2700平方フィートの家は、農家というよりも仏教のお寺のようだった。実際に1989年にお寺建築家によって建てられた。彼と彼の日本人の奥様と二人の息子さんは2017年にロンドンから日本に来て、大きな庭のある家を買うことを夢見た。当初は空き地を手に入れて家をそこに建てるつもりだったが、日本の土地は高く、予算オーバーだった。そこで増えつつある空き家に注目した。そこは東京の都心からおよそ45分の茨城県の南だ。前の所有者が亡くなった後に見捨てられ、地方自治体が最低5百万円で販売しようとしたが買い手がつかなかった。そこで彼は建築家の友人に大きな問題がないことを確認してもらい、およそ3百万円で手に入れることができた。2019年に購入し、改修のためにその後およそ15万ドルを使っている[2]。

 空き家、冬、春、夏でも、空き家です。

[1] New York Times 2023.5.14. 「Japan Has Millions of Empty Houses. Want to Buy One for $25,000?」四回シリーズ「空き家」第一回

[2] 改修の様子You-Tube配信中です:https://www.youtube.com/watch?v=dgw_8fTkqNk

23.5.28

 

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農地の必要とされる場所に

 肥料、除草剤、殺虫剤を散布できる装置が欲しい[1]。例えば、カメラやセンサーを搭載した回転式スプレーや街灯柱のようなデバイスである。回転式スプレーは、肥料が少なくていい場所では回転速度が速くなり、多くを必要とするところではスピードが遅くなる。またデバイスは、穀物の緑具合を測定し、グランドにあるセンサーからの土壌の湿度や温度のデータと組合せる。これによって季節の初めから大量の肥料を使う必要がなくなり、主に成長の時期に使うことを可能にする。さらにスマートスプレーと呼ばれるデバイスも開発されている。例えばトラクターの先に取り付けることができるスプレーである。搭載されたカメラが、雑草の種類を特定して情報を農夫に送る。これの利用者は年間の除草剤の使用量を88%削減することができた。人工知能、ドローン、スプレーの組合せのような革新的な技術は農業分野で有望であるものの、農家が使わなければインパクトはない。例えば1990年台に登場したGPSを使った肥料散布、米国でのその利用は28%に留まっている。新しく開発された装置が投資に見合うかが問われる。確かにセンサー付きトラクターは肥料のコストを削減したが使うのが難しかった。この一時的なイライラがあるとしても、高度な技術は肥料の削減につながると期待したい。

 スプレーが正確にプレイできますように。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 31.

23.5.27

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米国では20世紀半ばに

 合成窒素肥料が導入され、その使用は1980年代まで安定的に増加してきた。それ以来米国で生産されるとうもろこしのほとんど全てに使われている。この追加の肥料は農家の収穫を劇的に増やした一方で、過剰な分が環境に到達するとエコシステムや人の健康に被害をもたらし得る。最近の研究では、米国の560万人分の飲料水の硝酸塩のレベルが危険であると推定されている。これも肥料による汚染が原因の一つである[1]。この問題の一部は、農家が同じ量の窒素を土地全体で使うことである。ある場所は窒素過剰で、別の場所は不足を意味する。ここではどの程度の肥料を、必要とする場所に散布するかを正確に見極めることが挑戦的な課題である。そこで研究者らは航空画像を使った予測システムNinga Agを構築した。2021年に立ち上がった企業はまず農家に、アンプル量の肥料を農場に細長く撒くことを依頼した。これが最も健康な植物の参照点である。ついでNinja Agはドローンあるいは衛星、さらに手で操作できるセンサーを使って、クロロフィルを示す緑具合をベースに植物の健康度合いを測定して比較した。結果を気候、季節、穀物がどれくらい大きくて緑色かということとも組合せて、肥料を使う最も良い方法が提示される。このNinja Agは、農家が窒素をより効果的に利用することや全体の肥料の削減も可能にしている。

 肥料削減で、費用も節約、いいねえ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 30.

DOI: 10.1186/s12940-018-0442-6

23.5.26

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肥料、除草剤、殺虫剤のような

 農業関連の化学品の使いすぎは、農家の収入減になるだけではなくて、数トンレベルの温室効果ガスの排出や、水汚染の主たる要因にもなる。規制当局は、これらの使用の制限を促す一方で、2050年の世界人口が必要とする食べ物を供給するとしたら、農業生産高は2010年より少なくとも35%増である必要がある[1]。いくつかの農家はすでに、化学品が必要な時や必要な場所でのみ利用できる技術を利用して、より少ないそれらで植物を育てようとしている。センサーや航空画像を使って、穀物に必要な栄養素をマッピングし、それらをより慎重に使う。別のグループでは、雑草を特定できるカメラを搭載したスプレーを使い、標的だけに除草剤を使う。これらの技術は、肥料や殺虫剤を販売する企業へも変化を促している。いずれはソフトウエア、機械と農場の収益性を最大にする化学製品を提供することになるだろう。これは1世紀ほど継続してきた大量の化学品を販売して儲けるというモデルからの困難な歴史的転換であり、これらの新しいツールが農家をどの程度支援できるかに基づく新しいビジネスモデルである。

 農家もNoか、を見極めたい。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 29.

DOI: 10.1038/s43016-021-00322-9

23.5.25

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Stradivariが成功したのは

 彼が注意深く木材を選んだことや、共鳴する木をもたらした18世紀の気候条件と関係があるかもしれない中、木材を扱った彼の手法や仕上げが、類いまれであったと信じられている。そこで研究者らはStradsの化学的な秘密を明らかにするために様々な分析を行った。いくつかの研究は、ニスによって木材のしわが伸ばされて、これがサウンドに反映されていることを示唆していた。ただその組成が分からなかった。その中研究者らは、二つのヴァイオリンの下層をナノスケールで観察した[1]。観察は、赤外吸収スペクトルと原子間力顕微鏡を組合せた近視野光学顕微鏡法を使って行われた。どちらのヴァイオリンも、明白なタンパク質のIRシグナルを示す小さなパッチがあった。この木材の細胞の表面のIRシグナルは、コラーゲンあるいはカゼインのようであり、ある種の動物由来の糊のようだった。今後さらにStradivariのコーティングの化学組成の探究は続く。

 近視野でも、視野が狭いのは、禁止やで。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 40.

DOI: 10.1021/acs.anal chem.2c02965

23.5.24

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Antonio Stradivariは

 生涯(1644-1737)で、ヴァイオリン、チェロ、ビオラ、ギター、ハープを合わせて1100以上製作した。そのうちの650が今世紀になっても残っている。”Strads”は、一流の音楽家のお気に入りである。Stradivariは、工芸技術をNicola Amatiから学んだとされている。ただし二人の弦楽器工芸人を結びつける具体的な証拠は限られていて、1666に製作されたヴァイオリン一つに二人の名前が記されているだけだった。それに対して昨年、二人が同じ木からの木材を使っていることが明らかにされた[1]。イタリアの研究者らは、高解像度カメラを使って、1681年のStradivariハープの共鳴板の年輪を記録した。この年輪年代学として知られている技術は、木製の工芸品の起源を特定するのに有用であり、木材の年代やどこで成長したかに関する関連性を明らかにすることができる。ただハープの分析は、狭い形をした部分だったために厄介ではあったものの、パターンを読み込むことができた。その結果、ハープの年輪は1679年のAmatiのチェロと一致した。このことは二つの共鳴板は同じ木からの木材製であることを意味している。ただ二人が同じ供給元から同じ木材を購入した可能性もある。

 高解像度カメラ分析が、公開だぞうです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 40.

DOI:10.1016/j.dendro.2022.125960

23.5.23

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ネアンデルタール人の

 石灰化された歯垢からDNAのフラグメントが掘り出され、それらをつなぐことによって、大昔のバクテリアの遺伝子が再構築された。ついでそれをもとにパレオフランと呼ばれる化合物が合成された[1]。この成果はバクテリアが旧石器時代の口腔内をどのように進むかを示すだけではなくて、有望な天然物を数十億年の歴史の中で探索できる道を開いている。現状の天然物探索は今の時代に生きているものに限定されてきた。それに対してここでは昔に遡っている。合成した化合物であるパレオフランはAとBがあり、これらは湖や池に住む緑色硫黄バクテリアのこれまでは知られていなかったクロロビウムの代謝物である。これらは光合成バクテリアであるため光を必要とする。それがネアンデルタール人の口にあったことは驚きである。研究者らはネアンデルタールや現代人の歯石からバクテリアDNAを集めて比べた。昔のDNAのフラグメントは、遺伝子を見つけるのに十分な長さだった。ただし口の中には大量のバクテリアがいるために、そのうちクロロビウムのゲノムだけを分離しなければならなかった。そこで有機合成と遺伝子合成を使って、パレオフランを二段階で合成した。

 パレオフラン、誰をふらんとしているのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 7.

DOI: 10.1126/science.adf5300

23.5.22

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転職を希望する

 卒業生。問い合わせができる人の一人として村井君を企業のリストに出した。ほどなくその企業からメールが届いた。Webでのインタビューだとのこと。しかも英語である。こちらの英語力が原因で不合格になったら申し訳ないと想定質問と回答を準備した。当日teamsでコネクトしてしばらく待った。予定の時刻を過ぎても始まらない。数分後二人が登場した。まずは中国系の方の「少しだけ遅れてごめんなさい」から始まって、企業の事業内容の簡単な紹介。ついで卒業生の学生時代の研究に取り組む姿勢はどうだったかを聞かれる。彼のプロジェクト、日々の実験に取り組む真摯な様子を話した。類似の研究プロジェクトのメンバーとの関係は?こちらもリーダーシップと協調性高し、と伝えた。ここまでは想定質問だった。その後、卒業後どんな話を聞いてどんなアドバイスを送ったか、なんとか凌いで、次にインド系の方からの質問。実験のスキルについて再び聞かれた。また小生が担当した学生の中でのランクも聞かれた。卒業生全員がTop 1だ! 最後に企業に来て彼が高いパフォーマンスを発揮できるとしたらどのような環境が良いかとも尋ねられた。もちろんプロジェクトの中で持てる自由度である。うまく伝わったかどうかわからなかったものの、頷いておられた。最後に、その企業で働くことになったら、どんな実験をしなくてはならないかの説明をいただき、完了した。学生の就職試験の面接でも、終わった後の感触がいいのは、今後のこともあるので丁寧に対応されているだけで、残念な結果だったということは、しばしば聞く。今回はそうではありませんように。

 自分達が師弟であることを知っている企業から、今回は指定を受けました。

23.5.21

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10億ドルを超える

 欧米の投資にも関わらず、電気自動車のためのバッテリー製造に関しては現状中国が優位であり、他の国がそこに追いつくためには数十年を要する[1]。原材料から自動車製造までの中国の取組みは次のようである。中国は、バッテリー製造に不可欠な原料鉱物を安価で安定的に購入している。世界のコバルトの41%を統制しているが、その多くはコンゴ共和国由来であり、今後も続く。インドネシアへの投資は2027年までに中国をニッケルの最大統治国に押し上げるだろう。中国政府は中国企業を支援し、支援された企業は、より大きなスケールでかつ安価に鉱物の精製が可能である。中国ではバッテリーに必要なほとんどの部品が製造されている。バッテリーの陽極であるカソードについても最近安価な代替物を開発した。その結果今では、市場に出ているカソードのおよそ半分がそれに置き換わっている。さらにバッテリーや自動車のほとんどを国内で生産している。人件費は安く、より多くの機器製造業者もあって、国内製造の自動車は、北米や欧州で製造にかかる経費のおよそ半分の価格である。

 電気自動車でも元気、他では出来ん。

[1] New York Times, Morning Brief, May 17, 2023.

23.5.20

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生体適合性のある安定な分子が

 生体組織で利用するためには必要である。ただしその基質は、腫瘍の中で薬を放出する場合や、イメージングラベルを標的に連結する要請があった場合には、迅速かつ選択的に反応させたい。その中研究者らは、有機化学の基本の一つである互変異性として知られる相互変換できる異性体を使って、安定性と反応性のバランスをとることができる新しい戦略を生み出した[1]。すなわち歪みのあるアルケンとクリック環化付加できるニトリルイミンを対象に、その炭素が環の中に収まるヒドラゾニルスルトンと呼ばれる安定な互変異性体を考案した。これは適切なアルキンと出会うと開環し、クリック反応が進行する。研究者らは、スルトンの環のサイズや隣接するベンゼン環の分子の安定性やアルキンとの反応性に対する影響の詳細を明らかにした。その結果六員環のスルトンでイオウに隣接した炭素上に二つのメチル基を導入した化合物の安定性が高かった。さらにこれをタンパク質に連結させたところ、チロシンが近くにあると、反応が速く進行した。またこの反応を使って生細胞で膜タンパク質を蛍光ラベルすることもできた。

 スルトンが、何かするんと思ったのでしょうか?

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 5.

DOI: 10.1021/jacs.2c12325

23.5.19

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合成生物学の分野で

 高い反応性を示すカルベンは利用されていなかった。その中今回研究者らは、天然物でカルベン前駆体であるアザレリンを生合成できるストレプトミセスアルバス細胞を創製し、同じ細胞系でつくったスチレンと反応させた[1]。遺伝子改変したP450酵素がシクロプロパン化反応を触媒した。この成果は、合成生物システムがいつか、シクロプロピル基を有する医薬品を製造するために利用できることを示唆している。合成化学では有毒な反応剤を使い、溶媒廃棄物が生じることと比べると、生物は本来、持続可能性が高く、スケールアップも可能で、より環境調和な系として利用し得る。P450が触媒するシクロプロパン化反応は、高いジアステレオ選択性を示し、四つの可能性のあるジアステレオマーのうち一つを与える。さらにアザセリンを使いカルベンをフタランの炭素–水素結合に挿入させた。また研究者らは、C–H挿入の適用範囲の拡大とスチレン以外の基質のシクロプロパン化へも適用したいとしている。

 フタランの反応、ふたいらんか?

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 8, p. 4.

DOI: 10.1038/s41586-023-06027-2

23.5.18

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ドイツ、ノイツェレにある

 12世紀に修道士らが設立した醸造所が、粉末ビールを開発した[1]。この粉に水を加えると混合飲料になり、見かけも味もビールになった。デキストリンが豊富に含まれる麦芽に水が加えられてグラスの上には泡も生じた。醸造所では、伝統的な方法でビールを製造して脱水して粒状にした。市場の反応を見るために、最初はアルコールフリーの少量を販売し始めた。実際ドイツの伝統的なビール愛好家は、最初はこの製品に対して懐疑的であると考えられた。一方で粉末ビールは、環境やコスト面での恩恵もある。粉末ビールは、液体ビールの10%程度の重さであるため、その輸送に必要な燃料をかなり抑えることができる。そのためさらに、これまでの醸造プロセスを転換する方法を開発したいとのことである。これは原材料、エネルギーや労力などのリソースに対するコストや利用を最小化する取り組みの一環である。醸造所は現在、これに関して投資家と打合せて、次の段階に入ろうとしている。

 粉末ビールについての顛末(てんまつ)、もっと知りたいです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 1, p. 32.

23.5.17

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培養食肉会社が

 4000年前に絶滅したマンモスのミートボールを、遺伝子技術を使ってつくった[1]。ある研究者が、永久凍土層に保存されていたマンモスの筋肉タンパク質であるミオグロビンからDNAを採取し、マンモスに比較的近いアフリカ象のDNAの配列とのギャップを埋めた。ついでそのDNA配列を羊の筋芽幹細胞に入れ込み、細胞を複製してマンモスの肉を成長させた。その結果、驚くべきミートボールが仕上がり、現代の肉生産と地球の気候変動とがつながった。培養肉は、畜牛からの肉の生産と比べると、土地が不要で地球温暖化ガスであるメタンも発生しない。私たちの祖先は、マンモスから巨大なミートボールをつくりすぎてマンモスが絶滅した訳ではなくて気候変動が絶滅の原因だった。餌である植物が氷山の融解に飲み込まれてしまったためである[2]。食肉会社はマンモスミートボールを調理したものの、それがうまいかどうかは不明である。誰も食していない。その企業によれば、人はこの類のタンパク質を数千年以上口に入れていないため、現代人の免疫系がどう反応するかはわからないとのことである。

 マンモス、なんもすることがない、ではなかった。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 1, p. 32.

[2] DOI: 10.1038/s41586-022-05453-y

23.5.16

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ロザリンド・フランクリンに関する

 新たな資料が、ケンブリッジのチャーチルカレッジにある保存文書の中で見つかった。それを見つけた二人の研究者が、DNAの構造に関する三つの論文が公開された日から70年を経過した4月25日にコメント記事を公開した[1]。ジェームス・ワトソンの有名な「二重らせん」というタイトルの書籍はフランクリンの死後10年を経過して発刊され、それによって彼女に手厳しい目が注がれた。この本でワトソンは、自分自身のこととフランシス・クリックを中心に物語を書いている。またフランクリンと大学院生のレイモンド・ゴズリングによって作成されたデータは盗まれて、彼女らが知らないうちに同意なしに使われたこと、フランクリンは彼女が保持するデータを理解していなかったという印象を与えた。一方で今回の発見された資料から、現実はさらに微妙な状況であったことがわかる。ユダヤ人女性としてフランクリンは偏見を受けていた。それでも彼女は37歳、卵巣ガンでこの世を去るまで、価値の高い研究を行っていた。フランクリンは、DNAの構造を把握しそこなったわけではない。彼女は同等の貢献をしてその構造を解いた。

 フランクリン女史について、フランクに書かれている。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 1, p. 6.

DOI: 10.1038/ d41586-023-01313-5

23.5.15

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何年か前かに

 名古屋駅で声をかけてくれた卒業生も含めて70名ほどが、国内は言うに及ばず海外からも集まった。久しぶりの再会に盛り上がる会場。「僕とラウンドしたこと覚えていますか。」記憶から飛んでいた。不覚だったと深く反省。そこにいる皆の名前は飛んでいないもの、卒業した後どこで働いているかの記憶は定かではない。話の始めに勤め先を伝えたところ、今は転職してという答えが返ってきた。この数年の間に退職して新たな職についている卒業生もそれなりにいた。改めて教育を受けて試験に合格して教壇に立つ、研究員として研究に携わる、卒業して以来同じ企業で研鑽を積んでそれなりの立場になる、ないまぜだった。厳選された卒業生二人の挨拶。その当時が思い出される。プロの司会者がタイムリーに会を進めて、プロのカメラマンが雑談をするグループを見つけてはカメラに切り取る。脚立の上から撮る集合写真、出来栄えはいかに。会場を移動しての二次会、人数は減って三次会も過ごし、次回も、と言葉を交わしてお別れした。

 会を企画して準備をしていただいた皆さん有難うございました。素晴らしい会でした。また参加していただいた皆さん、全員とはゆっくりとお話ができませんでした。またよろしければ気楽に連絡を下さい。内緒の話も、どないしょと思わず教えてね。

23.5.14

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空調設備やファンは現在

 世界の電気使用のおよそ10%を占める。それに対して、素材が赤外線の熱線を空間に放出する放射冷却は電気を使わない。これまでそのような素材が開発されてきたが、今回さらに簡単に製造できる快適な織物が開発された[1]。研究者らはまず150 μmの厚さの皮膚のような層を、織り合わせた綿とポリエステル繊維からつくった。ついでそれをポリ(ビニルジフルオリド)(PVDF)とTiO2、BaSO4、SiO2の微粒子の懸濁液に浸した。その液を加熱して、制御した条件で乾燥させたところ、織物には平面で厚板のような形をした孔ができた。この孔が太陽光を反射し、二酸化ケイ素の微粒子が赤外光を空間に送り出す。さらにPVDF、TiO2、BaSO4の微粒子が、光を散乱させて反射する。0.3-1 μmの幅の孔は水分子が入り込むのを防ぎ、それを蒸発させることから防水加工でかつ通気性もあるものになった。最後にBaSO4とSiO2を埋め込んだ綿–ポリエステル繊維からなる生物の表皮のような600μmの層で覆った。得られた構造は、太陽光の反射と赤外線の放出をさらに促進した。この素材製の帽子やマスクは白い綿製の帽子や白いポリプロピレンマスクよりも、頭や顔は5 °Cあるは5.4 °C冷たかった。

 新素材の真相、わかりましたか?

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 1, p. 6.

DOI: 10.1021/ acsphotonics.3c00241

23.5.13

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ごちゃ混ぜになった

 プラスチックをリサイクルすることは、かなり厄介である。これらの分離に労力が必要で、リサイクルされた混合プラスチックは、弱くてしばしば再利用にはそぐわない。そこで研究者らはリサイクルするプロセスで、架橋剤分子を入れ込んだ[1]。その結果、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを含む通常のポリマーから、より強いリサイクルポリマーを導くことができた。違ったタイプのポリマーをリサイクルする際には、均一に混ざるよりもむしろ、塊になることが多い。そこにビス(ジアジリン)を基本とする架橋剤を5%加えると塊ができない。この架橋剤が文字どおり、死んだポリマー鎖を活況にし、お互いが連結し、マルチブロックコポリマーが導かれた。リンカー分子の端が、ポリマー鎖を繋ぎ止め、その間に真ん中では、チオエステル、ジスルフィド、あるいは酸無水物を使った、可逆反応が進行し、ポリマー鎖がバインドする。この戦略は、ジップトップ式のプラスチックバッグや色のついたカップを含む複数の種類のプラスチックに有効である。

 架橋剤のお話が、佳境である。かっきょういいです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 1, p. 5.

DOI: 10.1038/s41586-023-05858-3

23.5.12

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キュバン

 立方体の分子である。サイズがベンゼンと類似なので、それに置き換えた医薬品開発も行われている。ただしキュバンが持つ8つの炭素のうち1,2-さらには1,3-二置換誘導体を導く方法がほとんどないため、それらが医薬品化学で探求される機会もなかった。それに対して研究者らは今回、1,3-二置換キュバンを合成するために、光が誘起する反応を用いて、シクロブタジエンを導き、これとキノンを反応させてキュバンを発生させた[1]。また1,2-二置換キュバンは市販品として入手できる1,4-二置換キュバンからの異なる反応系を採用している。どちらの経路も、これまでの方法よりも迅速で、1,2-や1,3-二置換キュバンをそれぞれ、全収率21%、35%で与えている。さらに銅触媒を用いた、キュバンが有するエステル基を、含窒素複素環、アルキル、アリール、トリフルオロメチル基を含む別の置換基に置き換える反応も開発された。これらの反応を使って、二種類の医薬品分子のキュバン類縁体を合成した。一つは、嚢胞性線維症治療薬として知られているルマカフトールのキュバン類縁体で、代謝安定性と溶解度が向上していた。このことは体内での医薬品吸収も改善されることが期待される。

 キュバンが、吸盤のごとく、病巣にくっつくのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 1, p. 5.

DOI: 10.1038/ s41586-023-06021-8

23.5.11

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模造毛皮

 サテン、レースや他の豪華な繊維の複雑なパッチワークで作られた流行の衣服を着た二人のモデルが、暗くなったステージに登壇した[1]。その衣服はほとんど白色だったもののそれは最初だけだった。しばらくして紫外光が中央ステージに降りてきた。光のバーは、それぞれのモデルの頭からつま先までをスキャンしているように見えた。その間、光が触れたところの繊維は明るい白色から明るく柔らかい色彩のスペクトルに変化した。ちなみにこの色が変化する織物はデザイナー森永邦彦氏の得意とするものであり、単色の衣服が、カメラからの光を反射すると、色鮮やかなパターンになることで特徴づけられるブランドである。ただ今回のコレクションでは、フォトクロミック技術を採用して、作品の中に入れ込む繊維の種類や色を拡大させている。このカメレオン技術を支える機構の詳細を理解することは難しく、魔法とも言える森永氏の独創的手法が新たなミステリーになった。

 まさに化学反応そのものがビジネスになっているこのミステリー、いずれヒストリーになるでしょう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 40.

2023年2月のパリ・コレクションで披露されたこの技術You-Tubeでも配信されている。

https://www.youtube.com/watch?v=ncQoP22fLqA

23.5.10

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ほとんど裸のスーパーモデルが

 舞台に登場した。2022年9月のパリファッションウイークでのことだ[1]。ついで黒装束のアシスタントが彼女に白い液体を吹きつけ始めた。スプレーに含まれる材料は素肌にとどまり固化した数分後、彼女は艶のある白い織物の衣服を羽織っているようになった。このスプーレ式ドレスは、スペインのファッションデザイナーの発案によるものであるらしい。Chemist Tailor(化学仕立屋)というニックネームを持つ彼は、2003年Fabricanという会社を設立した。そこでは、独自配合した合成繊維と天然繊維を混ぜたものからスタートした。この混合物は、スプレー缶から直接肌に堆積させることができる。繊維が表面にスプレーされるとそれらはお互いに交差連結して即席で不織布に変化するらしい。このSpray-on-fabric(スプレー織物)は、ファッション工業の持続可能性への関心とも連動している。材料は洗濯再利用ができて、衣服として使えなくなったら再びスプレーできる状態にもできる。将来このSpray-on-fabricは、室内装飾やオーダーメードの個人用防護具としても応用される可能性もある。

 仕立屋さんにしたってや、が家でもできるかも。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 40.

https://www.fabricanltd.com あるいは https://www.youtube.com/watch?v=tvF28W5ND6Y&t=53s 
に動画あり。

23.5.9

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炭酸水とコーラの化学

 1767年英国の科学者J. Priestleyは、発酵中のビールの大樽の上にある水が、シュ〜シュ〜と音を立てて泡立つことに気がついた[1]。1772年彼は、粉にしたチョークに硫酸を滴らせると二酸化炭素が発生し、それを水に吹き込んで炭酸化する方法を報告した。1783年ドイツ人でスイスの科学者J. Schweppeは、圧力をかけた状態で二酸化炭素を水に溶かすことによって水を炭酸化するGenevaシステムを開発した。炭酸水素ナトリウムを加えると炭酸水の酸性が緩和される。これにソーダという名前が付けられた。現在では高圧の二酸化炭素ガスを水に注入して炭酸水が製造されている。二酸化炭素は高圧の方が低圧よりも水に溶解しやすい。話変わって1886年コカコーラがコカの葉とコーラの実の抽出物からつくられた。コカの葉の抽出物は、少量のコカインを含むエクゴニンアルカロイドを含んでいる。1929年以降コカコーラは、コカインを含まないコカの葉の抽出物を使っている。セブンアップのもとの名前はBio-Label Lithiated Lemon-Lime Sodaで1929年に設立された。1948年まではその飲料にクエン酸リチウムが含まれていた。この化合物は、うつや双極性障害の治療に使われるがセブンアップは、これを二日酔いの薬として宣伝していた。

コカについて公開されている。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 27.

23.5.8

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拒食症は

 体重増加に対する激しい恐怖や過度な食事制限で引き起こされる摂食障害で、重篤で時には致死的な状況である。薬を使わない治療方法はあるものの医薬品はなかった。その中研究者らは、Bobcat339と呼ばれる低分子が、ネズミの活動性拒食症が発症するのを抑制するのに効果的であることを報告した[1]。Bobcat339は、TET3と呼ばれるタンパク質を分解する。TET3は、動的DNA脱メチル化機構で脱メチル化酵素として作用するタンパク質で、これがAgPrニューロンを制御する。ここでこのニューロンの活性化はネズミが食べることを促す。すなわちTET3を減少させると、このニューロンが活性になり、それに触発されたネズミは食事を摂るようになる。またこのTET3–AgRP経路は、人にも存在することが予測されている。研究者らは当初Bobcat339を糖尿病治療のために研究を行なっていた。TET3の発現は、糖尿病の人の肝臓で増加するため、他のTETタンパク質に対して活性だったBobcat339を投与した。が予想に反してネズミは多く食べるようになった。さらに研究を行なったところAgPrに対するTET3の機能を認識し、Bobcat339の拒食症に対する効果を検証した。

 ネズミに投与されたBobcat、ネコじゃなくても、ねんごろに。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 9.

DOI: 10.1073/pnas.2300015120

23.5.7

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KEK同位体分離システム(KISS)

 を使って、原子が持つ92個のプロトンと中性子149個を持った、ウランの新しい同位体がつくられた[1]。これは周期表を超えて、異なる核を探索する研究の一環である。とりわけ研究者らは、N=152殻ギャップとして知られている中性子が豊富なアクチノイド同位体について明らかにすることを目的としていた。中性子を152個有する核は、核安定性が向上する特別な構造を形成することが予測されている。研究チームは、ウラン238核のビームを標的である白金198に向けて発射した。これが標的と発射体の間でプロトンと中性子が双方向に流れる多核子移行反応を引き起こし、新しい同位体が導かれた。研究者らは、その正確な質量を、元素が発生する装置に取り付けた特殊な飛行時間測定式質量分光器によって決定することができた。それがウラン241である。他のウランの同位体と同様に、ウラン241も放射能を有し、時間が経つと崩壊する。ただしウラン241は、研究者らがその特性を明らかにするために必要な時間は確保されていた。なお多核子移行反応と時間飛行測定式質量分光器の組合せは、核構造やN = 152、さらにはそれを超えたものの安定性を探索する新たな方法である。

 同位体の研究も大切だと言う、同意を得たいです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 8.

DOI: 10.1103/PhysRevLett.130.132502

KEKは、高エネルギー加速器研究機構のこと

23.5.6

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およそ3500年前

 チベット高原に住む人たちは、持ち運びできる食べ物の供給を確保し、地域の寒さや乾燥した環境に適応するために酪農牧畜を始めたことが、昔のタンパク質のサンプルからわかった[1]。考古学者の初期の研究によれば、霜に耐えうる大麦を育てることが、高原を永続的に維持するための鍵であると提唱されていた。ただしこの研究は、より高度の低い高原の、農耕に適した特定の場所に関する内容である。それに対して地球で最も荒れ果てた場所である海抜3700 mの地に人はどのように適応していったのかを明らかにする中で研究者らは、チベットや中国の西青海省から掘り起こした40人の人に残った歯石を集めた。石灰化されたマトリックス(歯石)の中には、食べ物タンパク質などが蓄積され、それは昔の食物に関する情報を含んでいた。そこで放射性炭素年代測定法や質量分析によるタンパク質配列分析によってサンプルを分析した。その結果、羊、ヤギ、おそらく畜牛あるいはヤク由来の乳製品が、チベット高原に永続的に居住していた田園詩人を養っていたと結論づけられた。さらに乳製品の一つが6, 7歳の子供からも同定されたことから、それは幅広い階層や年代に供給されていたことが類推されている。

 歯石を集めても、叱責されないよ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 8.

DOI: 10.1126/sciadv.adf0345

23.5.5

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地中海のミノルカ島の埋葬洞窟で

 発見された3000年前のもつれた髪の毛には、精神活性の植物の化学残留物が複数含まれることが報告された[1]。これは欧州での精神活性基質を使った最も古い直接の証拠である。この洞窟は紀元前およそ1450年から800年頃埋葬に使われ、葬儀品が1995年に発見された。そこでは数名の故人の髪の毛を、角や木でできた小さなチューブに保存する儀式が行われたことがわかった。研究者らは液体クロマトグラフィーと質量分析を用いて、発見したチューブの中の髪の毛を分析した。その結果、アルカロイドであるアトロピン、スコポラミン、エフェドリンを検出した。これらの精神活性基質はミノルカ島で成長していた複数の植物に含まれている。髪の毛の中のスコポラミンとアトロピンの比から、精神錯乱や幽体離脱の経験を引き起こす植物であるヨウシュチョウセンアサガオを消費していたことを推論している。また髪の毛の長さから、これらの薬は死の少なくとも1年前に消費されたことが考えられる。

 ミノルカ島からのサンプルで、研究が実るかのう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 8.

DOI:10.1038/s41598-023-31064-2

23.5.4

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ポリヒドロキシアルカン酸エステル(PHAs)は

 生分解性である。その脆くて熱的な安定性の低さのために、生分解性ではない通常利用されているポリオレフィンほどはすぐれてはいない。その中二つの研究グループが独立して、PHAsのモノマーの構造をメチル基で修飾することによって、ポリオレフィンに匹敵する特性を付与することに成功した[1]。その結果得られたPHAsは、プラスチックバッグ、ボトル、ストローなどに利用できて、使用後それらは生分解可能で、出発のモノマーにリサイクルすることもできる。PHAsは、カルボニル基の隣接する炭素上の水素を含むシス脱離によって分解する。そこでその水素をメチル基で置き換えて、その反応を抑制している。一方の研究グループは、β-プロピオラクトンにメチル基を三つ組み込んだモノマーを利用した[2]。別のグループは、β-プロピオラクトンに二つのメチル基を異なる炭素に組み込んだモノマーを利用し、PHAsのジアステレオマー混合物を得、それがもっとも良い特性を示す可塑性のあるポリマーになっている[3]。このPHAsは、香料や香水、医薬品中間体にもなるチグリン酸に分解できる。さらにチグリン酸から2-ブテンも導かれ、そこから原料のβ-ラクトンを導くことができる。

 β-ラクトンと苦闘して得た成果でしょうか。キョトンとしている。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 17/24, p. 7.

[2] DOI: 10.1126/science.adg4520

[3] DOI: 10.1038/s41557-023-01187-0

23.5.3

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薬草の

 品質の制御や成分の標準化も課題である。これがTCMの信頼性に対する脅威になる。さらにTCMの生理活性物質はしばしば絶滅寸前の植物や低木由来である。そこで研究者らは、それらをバクテリアや酵母を使って製造することを試みている。薬草の遺伝子を非天然のホストに埋め込むとバイオリアクターのスケールでの製造が可能であると期待されている。これによって植物が扱いにくいという課題も解決できる。植物が量産する分子は、ワインの質がワイン園由来であるように、地域の土壌に依存する。世界の温度上昇に伴い、TCMの質の制御も将来、恐ろしいことになるだろう。そこで研究者らは急ぎ、TCM薬草の起源、地理学、生育条件による化合物の概略を描いている。それは、薬草の中の活性成分が時間とともにどのように変化するのか、それらを温室栽培する場合の方法を示ししてくれることになる。これらの緊急の努力がなければ、数千年に渡って蓄積されてきた薬草に関する莫大な知識は、気候変動のさらにもう一つの犠牲者になり得る。そのため緊急のアクションは、現代人ではなくて将来の世代に向けてである。

 薬草、独創的でした。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 10, p. 17.

中国の植物薬、四回シリーズの最終回でした。

23.5.2

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伝統的な中国の薬(TCM)には

 10を超える植物成分が含まれ、それらは数千の代謝物に変化する[1]。薬草TCMの医療面での秘密を明らかにしようとしている研究者らは、植物や代謝物を、現代科学を用いて、体の中の生物学的な効果と関連づけようとしている。例えば、細胞にTCMハーブを与え、RNAの配列決定を使って、細胞の遺伝子発現を分析し、生物学的な経路のどれが増大しどれが下方制御されるのかを検証している。薬草TCMの構造式の複雑さが、複雑な疾病の治療に有効であるかもしれない。TCMは通常ゆっくりと効果を発揮し、持続性があるために、心疾患のような疾病に対する慢性使用や予防的使用に適している。一方で西洋ではしばしば、急性の疾病に対する特効薬の発見に注力される。この違いはそれらが相補的であることを示している。あるグループは、ガンのような厄介な疾病に対して植物的アプローチを研究している。1800年前のTCM処方箋から得て調合した薬草は、臨床前さらに初期の臨床研究で、化学療法のための薬の効果を増大させ、副作用を抑制することができる。さらにTCM由来の経口投与薬は、肝臓に関連するガンのフェーズ2の試験で、別の抗ガン剤の補助剤として試験が行われている。

 植物薬について、通訳みたいなことしました。

[1] Chemical & Engineering News 2023 April 10, p. 17.

中国の植物薬、四回シリーズの第三回でした。

23.5.1

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