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2023年6月

多くの動物は

 DNAによってエンコードされたRNAに含まれるアデノシンをイノシンに変換することによってRNAを編集する。ただこれはタンパク質領域では通常起きないと考えられていた。それに対してタコのような頭足動物では、RNA編集によってタンパク質が再コードされることが報告された[1]。研究者らは、これが起きるのは動物が温度変化に応答するためではないかという仮説を立てた。とりわけタコのような変温の海洋動物は温度変化に対して脆弱である。これまでに異なるタコ種がmRNAのイオンチャンネルを水温に応答して編集することが報告されている[2]。そこで研究者らは、捕まえたタコのRNAの配列を決定し、およそ3600のmRNAは温かい水よりも冷たい水の方が大幅に編集されていたことを見つけた。タンクの中の温度を徐々に上昇させたり、低下させたりすると数時間以内に編集の頻度も変化した。多くの編集されたRNAは、神経系で重要なタンパク質をエンコードし、その構造や活性を変化させることがわかった。例えば神経系を通してものを動かすキネシンというモータータンパク質の編集されたバージョンは、冷たい場合には、動きはゆっくりになるものの、より一定のペースでそれを実行していた。他にもCaにバインドするタンパク質もその方法が変化していた。これらのわずかな変化が数千回蓄積することによって、タコはどのように、冷たい水に慣れるのかを研究者はさらに明らかにしようとしている。

 タコも、多幸でありますように。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 12, p. 3.

DOI: 10.1016/j.cell.2023.05.004, DOI: 10.7554/eLife.05198

[2] DOI: 10.1126/science.1212795

23.6.30

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1日4億91百万杯のコーヒーが

 米国では飲まれている[1]。その中で最も人気があるのがエスプレッソだ。沸点近いお湯を、挽いたコーヒー豆の間を通す。水は溶媒としてエスプレッソの苦み香料成分を抽出する。通常、コーヒー豆がより細かく挽かれた方が香りも豊かになると考える。それは細かい方の表面積がより大きくなり、コーヒ豆にある成分を溶解し、エスプレッソが格別な風味を持つようになるためである。これに対して先導的なコーヒー科学者が「ちょっと待ってよ」と仕掛けてきた。数年前彼らは、コーヒ豆のサイズがある一定以下になるとコーヒーの風味分子の濃度が低下することを報告し[2]、今回新たな論文が公開された[3]。しっかりと詰め込まれたコーヒー豆を水はより迅速に流れ、エスプレッソの細挽きは抽出の速度を増加させる。コーヒー豆から化合物が放たれると浸透性も増加し、さらに抽出の速度は上がる。それに対して挽いた豆のサイズがばらけると、機械の小さなコーヒーホルダーのある部分が乾いたままになる。直感に反することだけど、さらに豆が小さすぎると、全体として抽出されるコーヒー成分も低下するらしい。

 ホットコーヒー、少し冷めるまで、ほっとこう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 32.

[2] DOI: 10.1016/j.matt.2019.12.019

[3] DOI: 10.1063/5.0138998

23.6.29

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拡大する化学兵器禁止機関(OPCW)のミッション

 5月12日オランダに、化学技術センター(ChemTech Centre)が開設された[1]。2021年6月から建設中のビルには化学兵器を同定し検出できる洗練された装置を設置中である。またセンターではOPCWが世界中で集めたサンプルの分析を可能にし、技術的なアドバイスや教育も実施できる体制を構築、化合物の爆発、事故、攻撃に対応する人を訓練する。近年の目まぐるしい技術革新や人工知能(AI)の発展はOPCWの業務をさらに増やす。例えばCASには毎日15,000以上の化合物が新たに登録される。AIを利用すると非常に危険な化合物を設計し生産することが簡単になる。加えて化学工業では、殺虫剤、染料、医薬品など有用だけど有毒な化合物を製造する。世界の化学工業の規模は30年でおよそ2倍になった。OPCW調査官は毎年それらが非国家主体やテロリストに渡っていないかを検証している。化学兵器の分析技術を向上させ、再出現を追跡する方法を改良するために、センターは化合物の独自の不純物の組成いわゆる化学指紋に関する研究も行う。これらの指紋は、わずかな量の化学兵器でも可能性のある起源がわかる。センターはこれらの課題に対応する世界的なハブになるだろう。

 ハブから、たくさんのハーベストを期待したい。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 14.

化学兵器に関する記事三回シリーズ、最終回

23.6.28

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化学兵器禁止機関(OPCW)の指導のもと

 世界でも7万を超える様々な毒が破壊されている[1]。第一次世界大戦以降言われ続けた化学兵器の廃棄が完了しつつあるものの実際は課題も多い。過去の戦争で放置されたものが世界の違った場所で毎日見つかる。特にアジア、中央アメリカ、欧州、北アメリカで見つかる古い化学兵器の数は他の地域のおよそ4.3倍である。例えば1920年から1940年に中国領域で日本が捨てた化学兵器の破壊が継続中である。OPCWによれば過去26年間で98,000の武器弾薬が回収されて破壊されている。それでも数千万以上の弾薬が存在し、そのうち300,000以上が、中国の北で発掘されずにまだ存在していると考えられている。それらは硫黄マスタード、ヒ素化合物であるルイサイト、クロロアセトフェノン、ホスゲン、トリクロロアルシンなどである。1997年に条約が施行された時には、加盟国が保有する化学兵器の量の合計はジャンボジェット175機に相当する72,000トンであると言われた。それが今では、明らかになっている量としては127トンに減少し、それも米国一カ国に限定されている。

 かつては72,000トン、とんでもない量だ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 14.

化学兵器に関する記事三回シリーズ、第二回

23.6.27

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化学兵器禁止条約が

 1997年に施行された[1]。この条約は化学兵器禁止機関(OPCW)によって支持され、世界の大量破壊兵器を排除することを目指している。第一次世界大戦では、化学兵器によって130万人が被害をうけ、そのうち10万人以上が、それに晒された後しばらくして死亡した。OPCWの新たな目標は、機関に加わっている193の国や地域が備蓄するすべての兵器を破壊することである。なおこの機関に加わっていないのは、エジプト、イスラエル、北朝鮮と南スーダンの四カ国のみである。コロラド州プエブロでは米国が、硫黄マスタード(マスタードガス)が入った107 mmのモーター600から700個を破壊している。このガスはどちらの世界大戦でも使われて肌に水疱を生じさせてきた。ケンタッキーから2000 km離れた施設では、無色透明で臭いも味もない神経剤で、スプレー散布で放出され、少量で致命的になるサリンが入った155 mのロケットを破壊している。その結果米国にはわずかな化学兵器が残るだけになった。これも今後数週間で破壊される予定である。

 兵器を使っても平気から脱出を。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 14.

化学兵器に関する記事三回シリーズ、第一回

なお多くの方が指摘されているように「化学」が兵器になるわけではない。ある人が別の人にダメージを与えるために化合物を使った場合にそう呼ばれる。

23.6.26

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公認ネイルテクニシャンの訓練では

 衛生学と、爪を通した感染について力点が置かれる[1]。適切な排気が揮発性有機化合物への被曝を最小化できる。ただしゲルタイプには新たな安全性の課題がある。紫外線は肌の老化やガンとも関連しているがそれをゲルタイプでは利用する。最近のLEDランプはこれまでの蛍光紫外線ランプよりも幅の狭い波長の光を出し、固化する時間も速くて安全である。それでも紫外光は全てのゲルマニュキュアに必須である。最近の研究によれば、LED爪ドライヤーは試験管内の実験では、ネズミや人の細胞でDNA損傷を引き起こす[2]。また光沢剤に含まれるメタクリレートは肌に対して刺激性があり増感剤でもある。人は時間が経つにつれてそれに対してひどいアレルギーを示すようになる。一旦そうなった場合の影響は大きい。アクリレートは、骨のセメント、歯の詰め物、糖尿病のインスリンポンプのような医療関連品にも利用されているが、アレルギーの人はそれらの使用に耐えることができない。爪光沢剤と爪周辺の肌とのコンタクトが最小限な場合には安全であると考えてよい。それでも欧州では、HEMAやdi-HEMAトリメチルヘキシルカーボネートの使用は専門家に限定している。その中パンデミック以来、調査をして回答のあった1412のうち25%は家でゲル爪光沢剤を使っている。

 光沢剤、買うた人もたくさんいます。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 19.

[2] DOI: 10.1038/s41467-023-35876-8

HEMA: ヒドロキシエチルメタクリレート

23.6.25

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通常あるいはゲルタイプ

 どちらのマニュキュアも爪の上にポリマーコーティングをするものである[1]。それらの違いはどのタイプのポリマーであるかに由来する。通常のマニュキュアの多くはニトロセルロースであり溶媒が揮発すると固化する。ゲルマニュキュアはアクリルモノマーを含み、その重合が光によって引き起こされる。ここで光反応開始剤が紫外線を吸収しラジカルが発生し重合が始まる。よく使われる二種類の開始剤は過酸化ベンゾイルとジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである。モノマーは様々なメタクリレートの混合物である。ゲル光沢剤の主成分は、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)で、メタクリレート基を二つ有するdi-HEMAも含有する。これらがポリマー鎖の間で交差連結する。他にも複数のメタクリレートが含まれ、得られたポリマーネットワークが、剥がれに対する抵抗性や持久力を付与する。ゲルには、柔軟なポリマーネットワークになり溶媒につけると除去できるソフトゲルと、硬くて溶媒が浸透しなくて剥がす必要のあるハードゲルがある。ゲルマニュキュアの瓶には安定化剤、レオロジー調整剤、防腐剤、溶媒に染料も入っている。

 ネイル(爪)のお話で、寝入るかも。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 18.

23.6.24

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2年間の準備を経て

 2年半海で、さらにサンプル分析を6年間行った後に、太平洋のサンゴ礁での微生物の生涯に関する多くの論文が公開された[1]。集められた分子データは、大平洋でのサンゴ微生物叢の多様性のスナップショットを示し、これら大洋のコロニーの中の多様性が過小評価されていることを示唆している。2016年から2018年調査船は、パナマから、ポートランド、オレゴン、ニュージーランドからフィリピンを航行した。 この間100名を超える科学者がサンプルを集めるだけではなくて、陸地でそれらの遺伝配列を決定し、その遺伝的な多様性も示した。その結果は、場所や環境さらにサンゴの種類に関する情報に従って分類された28億7千万の遺伝子配列を含んでいた。これを受けて、島に関する研究と環境観測のセンターの人は「これらの異なるサンゴ礁のエコシステムを理解するプロジェクトは、人新世のなかで、それらがエコシステムの中で危機に瀕していることとも関連して重要である」と述べている。

 サンゴの英単語はcoralである。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 5.

https://www.nature.com/collections/tara-pacific

23.6.23

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薬剤師が

 ワクチンのどの小瓶が暖かくなってその後改めて冷やされたのかを判定することは難しい。それに対して今回、緑色あるいは赤色から無色に変化する不可逆なラベルが開発された[1]。このラベルを、極低温で保存しなければならない、例えばCOVID-19ためのメッセンジャーRNAワクチン、薬、臓器に適用すれば、品質低下が始まる温度になったかどうかを判定できる。研究者らは、材料が自分自身で壊れる液体微結晶アレイをつくり色の変化を発現させた。ラベルには、コロイドの光子材料の層があり、それは染料分子ではなくて、ある特定の波長の光を反射することによって生じる色相、いわゆる構造色を生み出している。これが解けると結晶が壊れて色も消えて不可逆であることから、温度上昇が検知できる。同様の温度検知は他にも知られているものの、それらはエレクトロニクスに依存しており、精度の課題に加えて0 °C以下では使えない。

 温度検知、見当違いになりませんように。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 5.

DOI: 10.1021/acsnano.3c00467

23.6.22

 

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f-ブロック元素錯体の

 三次元(3D)構造予測ができるソフトウエアがなかった。F-ブロック元素は、d-ブロック元素と比べると配位子と高配位錯体を形成し得るのも一因である。その中このギャップを埋めるために研究者らはArchitectorと名付けたソフトウエアを開発した[1]。ここに金属と配位子を与えると構造を予測するためにまず、金属の対称性、配位子のタイプやバインディグできる部位のような特徴を考慮して、金属中心に配位子が配位した時に形成される異なる配向を緻密に描き出す。ついでそれらの中から、期待の錯体の化学的に妥当な配座を提案する。多くの可能性のある配座を研究者に示すことによってソフトは、これらの錯体が結晶状態や、溶液や気相中のような動的環境でどのように存在するかに関する情報を与えてくれる。これを用いて、ケンブリッジ構造データベース(CSD)にある6154の錯体の3D構造を予測させた。それらの錯体には、4配位から11配位のものが含まれ、f-ブロック化合物の1645あった。ソフトが生成した3D構造の99.1%がX線構造解析の結果とマッチしていた。このソフトウエアは例えば、元素周期表の半分以上が含まれる核廃棄物から、f-ブロック元素を選択的に分離できる方法の予測にも利用できる。

 核廃棄、コークハイとは違う。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 5, p. 4.

DOI: 10.1038/s41467-023-38169-2

23.6.21

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科学者はすでに

 チャットGPTや類似の人工知能を、研究論文、総説や助成金の申請書の作成に利用している[1]。ただしこれらが、どの程度科学出版物に対して影響するのかについては知られていない。これはスペルチェック機能を拡大させ、人々の生活をより良くするだけなのか、あるいは大量の誤った情報によって科学出版を破壊してしまうことになるのかという疑問を持った研究者らは、この技術の学術的論文に対するインパクトを探索した。そのために科学者によって書かれた総説とチャットGPTによって書かれた総説を比較した。その結果、人が起草したテキストには20の特徴が見られた。それらは、より複雑なアイデア、様々な句読法、より長いパラグラフ、より曖昧なフレーズ、but, however, althoughのような単語を含んでいた。研究者らはこれらのデータで機械学習パッケージを訓練させ、人か機械かを区別できるようにし、99%以上の精度で成功した。さらに個別の分野の研究のツールも簡単に開発できると言う。Cellular Molecular Bioengineeringの編集委員長は「AIが生成したテキストを自分の作品として通そうとすることは、誇張されていると思う。またAIモデルが改良されると、検出ツールが追いつくかも疑問である」とコメントしている。

 チャットGPT、ちゃんと使いましょう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 June 12, p. 4.

DOI: 10.1016/j.xcrp.2023.101426

23.6.20

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果物や野菜の中の

 酵素は、生還元を引き起こしキラル化合物を導くことができるものの、その反応は1–2週間を要する、変換率が低い、エナンチオ選択性が低いという制限があった。その中研究者らは複素環を含む化合物の反応に着目した[1]。医薬品の少なくとも50%は、少なくとも一つ複素環が含まれているためである。実際に研究者らは、にんじんを切って、水、エタノールを少しとヘテロ芳香環ケトンをフラスコに入れた。2日後研究者らはキラルアルコールを得た。反応条件を最適化したところ、99%eeのエナンチオ選択性でキラルアルコールを得ることに成功した。ただ酵素は基質特異的であるため、置換基により違いが如実であると懸念されたが、実際にはケトン10種類のうち7つで反応はスムーズに進行した。オレンジにんじんと比べると紫にんじんの方がより高い全体収率だった。これは紫にんじんの方がより多くのケトン還元剤を含んでいるためであると思われる。この反応では、有毒な還元剤も使わず、溶媒は水とわずかな量のエタノールである。またセットアップも簡単で、触媒も安価である。オレンジ、白、紫にんじんの三色詰め合わせは、Trader Joeでは2.49ドルだった。

 にんじんを、日本人も触媒に使いましょう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 25.

DOI: 10.1021/acsmedchemlett.3c00114

23.6.19

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化粧品の成分は

 様々な役割を担う[1]。染料や色素:カラー化粧品、柔軟化粧水:肌の保湿、乳化剤:成分分離の防止、香料:製品の香り向上、pH安定剤:製品の酸性度の調整、防腐剤:微生物の成長の防止、溶媒:成分の溶解、増粘剤:製品の粘土向上などである。そのうち防腐剤としては、ホルムアルデヒド放出剤が使われる。放出量は少ないものの感度の高い人ではアレルギー応答する。パラベンは最も効果的な防腐剤である一方で、ホルモンであるエストロゲンに似た振る舞いをする。EUでは一部のパラベンについて、データ不足のため使用が禁止されている。それでもメチルパラベンは化粧品に入っているレベルでは安全であると考えられている。フタル酸エステルは、溶媒や香料を長持ちさせるために添加されている。ただし中には、ホルモンと干渉し、生殖に対する毒性を示すものもある。乳化剤や増粘剤としては、シリコーンが利用されている。欧州では、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)を含む環状のシリコーンの使用が、環境への蓄積のために、制限されている。

 化粧品についての、高尚なお話でした。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 25.

23.6.18

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米国化学会(ACS)は初めて

 会員の人口統計を明らかにした報告書を公開した[1]。これらのデータを確認することは「化学における容認と多様性」に関する戦略的プランのゴールに向かう一助になる。さらにデータはACSの会員に対するサービスやプログラムをよりよく立案する助けにもなる。報告書は2022年のデータに基づき、ジェンダー、人種、民族や年齢を含む様々な観点から検証している。さらに特定の化学分野ごとの会員の学位や仕事に関する割合についても探索している。2022年ACSの会員数は161,103人であるが全ての会員についての統計的なデータを利用できたわけではない。使えるデータに基づくと男性67.4%、女性32.4%、0.2%はノンバイナリーか自称の性別である。米国では科学、技術、工学、数学のいわゆるSTEM分野の男性の比率は65%でありACSの方が少し高い一方で、女性のSTEM分野の比率35%である。ACSメンバーのうち70.3%が白人で、アジアや太平洋諸島の人たちの割合は19.0%ついでヒスパニック4.5%で、黒人やアフリカ系アメリカ人は2.9%だった。年齢構成を見ると平均年齢は51歳で、会員の63.2%が博士の学位かそれに相当するものを取得し、会員のおよそ半分は学界で働いている。

 人口統計で、荒唐無稽も回避できるよ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 16.

https://www.acs.org/content/dam/acsorg/membership/acs-membership-demographics.pdf

23.6.17

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五種類のクロロフルオロカーボン(CFCs)の

 大気中の濃度が2010年以降増加し続けている[1]。それらの使用や生産が禁止されているにもかかわらずである。研究者らは、これらはオゾンに優しい冷却剤であるヒドロフルオロカーボン(HFCs)のような他の化合物の製造段階で放出されている可能性を考えている。モントリオール議定書は、CFCsを化学原料として使用することは禁止していない。CFCsに加えてブロモホルムのような他の化合物もオゾンの喪失の一因である。ただしこの化合物はモントリオール議定書では規制されていない。それは主に天然資源からであると考えられているためである。ただ以前考えられていたよりも、人の活動はブロモホルム排出の要因である可能性がある[2]。発電や脱塩のような人為的な活動は、成層圏に入り込むブロモホルムの量を一挙に押し上げてその後オゾンと反応する。CFCsの影響と比べてブロモホルムのオゾン層への影響は小さいかもしれないものの、CFCsの濃度が減少するにつれてより大きくなるだろう。それでも増え続けるCFCsの排出の原因を理解することも重要である。

 オゾン層について、ご存じですか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 16.

DOI: 10.1038/s41561-023-01147-w

[2] DOI: 10.1029/2023GL102894

23.6.16

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電極を製造するために

 乾燥した電極材料粉末の混合物を金属ホイルにスプレーする方法が開発された[1]。スプレーの先の電場は、電荷を粉に伝えて金属基質上で均一なコーティングが達成される。研究者らはついで、圧力ローラーを使って材料を圧縮し、高密度な電極を実現した。これまですでにラミネートされたフィルムに電極材料を押し出す乾式コーティングプロセスは開発されていたが、今回のこの方法は、スケールアップをすることが簡単で、現在利用されている湿式懸濁液法に近い。さらに正極としてはリチウム金属酸化物、負極としてグラファイトという市販の材料を用いた。これを今回の方法で利用すると、より分厚い電極をつくることができる。その結果、電気自動車のバッテリーに、より多くのエネルギーを詰め込むことができて走行距離も伸長される。従来の静電気スプレー法は遅くて高速バッテリー製造には適さなかったが、今回の溶媒を使わない電極は、エネルギーや環境保全いずれの点でも優れており、さらに探索する価値がある。

 乾式法に、関心が寄せられて常識になるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 7.

DOI: 10.1016/j. joule.2023.04.006

23.6.15

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4000年以上前に

 アルゼンチンに落下した一連の隕石であるカンポ・デル・シェロ隕石を、研究者は購入した[1]。その成分としてFe92%、Ni7%、Co0.5%とわずかなIrが記載されていた。隕石は大気中を突進した結果、外側にはナノ粒子が形成されたこと、さらにこのナノ粒子の反応性は高く、完璧なFisher-Tropsch触媒であると考えられた。そこで隕石と火山灰と鉱物からナノ粒子をつくり、大昔の温度や気候条件をシミュレートしたチャンバーに入れた。その結果、隕石と火山灰の中の鉄と他の金属は、前生物学的な分子の合成を触媒した。得られた酸素化された化合物の組成は、さらなる化学を推進できる適切な構成要素になっていた。反応速度を含む研究結果は、数千万あるいは数億年前には1年ごとに600,000トンの分子が生産されていたことが類推できた。これまで研究者らは無機の火山成分や隕石粒子がCO2と如何に反応するかをみてきた。一方今回、初期の地球では水素が製造され、水素化触媒が空から降ってきていたことを示唆していた。実際かなり昔の生命体は、水素化によって代謝を行なっていたことと関連がある可能性もある。

 隕石と触媒は姻戚関係があるのでしょうか、新世紀にも引き継がれるでしょう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 7.

DOI: 10.1038/s41598-023-33741-8

23.6.14

 

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キナーゼ酵素を抑制する

 低分子を開発することによって科学者はガンと戦ってきた。この酵素はリン酸化や細胞死シグナル伝達で重要な役割を担い、それを弱めるとガン細胞の有害な成長に反撃できる。それに対して今回、キナーゼ酵素であるPI3Kαを活性化することによって有用な効果を引き出せることが報告された[1]。UCL-TRO-1938として知られる活性化化合物は、損傷した神経を再生し、心臓組織を損傷から保護した。これを発表した研究者は、PI3Kαを活性化できる低分子を局所的あるいは短時間投入することができれば、ガン細胞を刺激することなく、キナーゼのシグナル伝達特性を有効利用することができると述べている。この考えに基づき製薬企業とともに化合物ライブラリーを検索し、UCL-TRO-1938に至った。げっ歯類の研究ではこの分子は、けがの後の神経成長を刺激し、心臓麻痺をシミュレートした状態の後心臓細胞を保護していた。これまでほとんど注目されていなかったキナーゼの活性化というような奇抜なアイデアをもっと積極的に取り入れるべきである。

 キナーゼ酵素、気になる〜ぜ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 5.

DOI: 10.1038/ s41586-023-05972-2

23.6.13

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4人のボランティアに

 それぞれの人の匂いを吸収できる織物製のスリーブを着けてもらった[1]。研究者らはそのスリーブを使い、匂いがどれほどメスのネッタイシマカに魅力的なのかを検証した。次にボランティアは4種類の石鹸で洗い、石鹸を使った後の匂いのどれが蚊に魅力的なのかも検証した。その結果、Dial, Dove, Simple Truth石鹸は蚊に、より魅力的になっていた。一方でNativeのココナッツの匂いのする石鹸を使った後は、蚊はそれを避けていた。これらから、蚊にとって魅力的あるいは蚊を遠ざける石鹸の中の有望な成分を同定し、そのブレンドを調製して蚊でテストを行った。その結果、安息香酸ベンジル、ベンズアルデヒドとγ–ノナラクトンの混合物に蚊は鼻を動かした。2020年米国環境保護局は、グレープフルーツの皮に含まれる化合物であるノートカトンを殺虫剤や防虫剤として承認した。これはダニや蚊から人を保護する。さらに蚊の匂いの好みのデータベースを構築できれば、蚊よけ香水やよい香りのする昆虫トラップ剤の開発も可能である。

 蚊にとって、ノートカトンは、No〜かとん。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 5.

DOI: 10.1016/j.isci.2023.106667

23.6.12

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金属触媒を

 異なる材料の上に置くと触媒の性能が向上する。この現象は、強い金属・担体相互作用(SMSI)と呼ばれている。今回この現象がリアルタイムで観測され、いかにして最適なパフォーマンスが発揮されるかが明らかにされた[1]。研究者らは、ニッケルナノ粒子を酸化チタンの上にセットし、電子顕微鏡法と振動分光法を用いて、このペアが加熱されてCO2やH2に晒された時に、それぞれの元素がどのように振る舞うのかを検証した。触媒を400 °Cに加熱すると、酸化チタンはナノ粒子をコートする薄いオーバーレイヤーを形成した。ついでガスを注入すると、オーバーレイヤーはニッケルの上を移動し、ニッケルは完全に晒されることになった。ただしこれを600 °Cで処理をすると、チタンはナノ粒子のある特定の面だけから離れて、ニッケルは部分的に晒されることになった。これによって炭素の反応が進行するチタンとニッケルの間により多くの接触面が形成され、触媒をより活性で選択的かつ高反応性にし、欲しくない副生成物の生成も抑制されることがわかった。

 オーバーレイヤー、綺麗や〜

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 29, p. 4.

DOI:10.1126/science.adf6984

23.6.11

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小学校学年同窓会

 100人を超える同窓生が集った。卒業時のクラスごとに席に座る。当時の記憶が蘇る。飲み物をとりに行くときに声をかけられた。とは言え思い出せない。1,2年生の時、同じクラスだったことがわかるも、どんなことをして遊んだか出てこない。村井君の家に遊びに来たこともあると言う。今はメガネ屋さんとのことで、最新のAIが組み込まれた補聴器の話なんかも聞かせてもらった。それでも当時のことは出てこない。程なく別れたところで、女性を紹介してもらった。たちまち蘇ってきた。家にも遊びに行かせてもらって、お母様やお祖母様ともお話をしたり、お菓子をいただいたり次々に浮かんできた。この人もそうだと声をかけさせてもらった人、杖をついて移動する男子も同じクラスだったと。なぜか男子の記憶が脱落している。それから数日経って、はっと気がついた、今はメガネ屋さんの彼、駅近くの家で2階に骨董品が飾ってあったはずだ。杖を持つ彼、グループサウンズに詳しく「ケメコの歌」バージョンが2つあることなどを当時話していたと思う。改めてお会いしたいとラインを交換、QRコードを読み取ったものの、追加を押し忘れて交換できていなかった。好感度抜群だったのに、ライン、もう嫌いん。いや自分のどじやで。

23.6.10

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エダアシクラゲの

 ニューロンで、GLWamideと呼ばれるペプチドが見つかった。研究者らは、クラゲがエサを食べた後に発現した遺伝子を比較することによって、満腹感を示す信号を発するそのタンパク質を同定した[1]。とりわけこのペプチドは、動物の触手を動かす筋肉をリラックスさせ、クラゲは、エビのようなエサを口に運ぼうとしなくなる。研究者らはついで、GLWamideをショウジョウバエに、またそのハエの同様な満腹をもたらすペプチドをクラゲに入れ込んだ。その結果、どちらもエサを食べる振る舞いが抑制された。ペプチドの構造的な類似性は、クラゲの先祖が左右対称の動物の先祖から分化する前、数億年以上動物たちを結びつけている。この昔のつながりは最高の発見である。これらの海に浮かんでいる動物は、それ自身およそ95%が水であるが、それでも睡眠、擬態、求愛の行為を含む様々な振る舞いを示す。研究者らはこの発見を通して驚いたことは、クラゲはどの程度食べたかを正確に制御している点である。常に食べ続ける機械のようではない。

 クラゲは、海で暮らすげ〜。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 48.

DOI: 10.1073/pnas.2221493120

23.6.9

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重曹を摂取すると

 激しい運動をしている間に筋肉で上昇した酸性度を緩和することができる。スーパーマケットで販売されているものでも、8分以内の運動や他のスポーツでもパフォーマンスが向上する[1]。消化器官に重曹が入るとCO2が発生し、それはどこかに移動しなければならない。多くの人の場合、ゲップやムカつきを引き起こしパフォーマンスは向上しない。それに対してスウェーデンの会社が今年の初めに公開したBicarb Systemは、ゲップのような症状を引き起こさず、重曹の恩恵を受けることができる。およそ16ドルのその商品は、重曹でできたマイクロピルをヒドロゲルスープで包んでいる。この二つの成分が、重炭酸塩のお腹での移動を促し、腸まで到達することを助けて副作用を抑制する。これは数時間の自転車競争でも有効である。製品の臨床試験の結果は今年の夏に公開される予定であるが、すでにトップアスリートによって使われている。今年のツールドフランスでは多くのサイクリストがこの混合飲料を消費することが期待されている。

 サイクリスト、細工のリクエストもあるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 7.

DOI: 10.1186/s12970-021-00469-7

23.6.8

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炭素を捕捉して

 埋め込むことは、工場から排出されるCO2をトラップして、地下にそれらを堆積させることである[1]。2050年までには実質ゼロ排出という目標を受けたバイデン政権のCO2捕捉と堆積に関する税制優遇措置もあって企業は、地質学的に適切な場所でその技術を展開しようとしている。それに対してルイジアナ、モールパ湖周辺のコミュニティはAir Products社が湖で行うプロジェクトに対して抵抗している。そこでリポーターが、モールパ湖周辺での炭素捕捉と埋め込みに関する住民の不安と企業の反応について紹介している[2]。住民の関心事の一つはCO2の漏れと爆発である。実際に過去にはCO2パイプラインの爆発が報告されている。もう一つは岩塩ドームの崩壊によって地盤が陥没する可能性である。こちらも過去に事例がある。さらに漁場としての湖へも影響する。一方で州政府は、工場誘致を許可し住民の中にはそこで働き収入を得ている人もいる。その中、州政府の下院委員会ではこれらに関する予算についても議論が行われている。

 州政府の予算案、上手に修正できますように。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 7.

[2] Podcast: The battle for Lake Maurepas,  https://cen.acs.org/environment/greenhouse-gases/Podcast-Lake-Maurepaus-battleground-climate-change-mitigation/101/web/2023/05

23.6.7

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毎年莫大な量の

 フッ素化ポリマーが製造されている。それが持つ強い炭素–フッ素結合のために、ポリマーは有用であると同時に残留性も高く、蓄積するPFASの一因でもある。2011年研究者らはAl錯体の研究の際に、芳香族配位子に19Fを組み込んでNMRを使ってモニターしていた[1]。その中フッ素原子が炭素からアルミニウムに移動していることを観測した。そこでPTFE[2]を標的として、Al錯体と同様の典型元素錯体を探索し、フッ素原子をPTFEから脱離させることを目的とした。その結果、弱く結合した二つのマグネシウム中心を有する化合物が、μmサイズのPTFEの粒子と室温で反応し、Mg-F錯体を与えることがわかった。これは二つのMg原子の間にフッ素原子二つが入り四員環を形成している。さらに得られたMg-F化合物から、有用なフッ素化化合物を導くこともできた。ただし今回の系では、PTFEの表面でのみ反応し結晶領域では反応は進行しない。またMg化合物の数トンレベルの調製も難しい。それでも今回の成果は、環境問題を解決するために、有機金属化学や配位化学が利用し得ることを示唆している。

 環境中のフッ素を一掃できる屈強な系ができますように。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.3c02526

[2] PTFE:ポリテトラフルオロエチレン

23.6.6

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多くの植物は

 独特の香りを持つゲラニオールを、プラスチドと呼ばれる膜に結合したオルガネラの中で合成する。それに対して2015年研究者らは、バラが利用している経路では、プラスチドには存在しなくて、細胞内液や細胞質ゾルにある酵素が必要であることを見つけた。この酵素は、ゲラニルホスファターゼ(GPP)と呼ばれる分子を脱リン酸化する。そこでGPPも細胞質ゾルで合成されるか、あるいはプラスチドからもたらされるのかを検証するために研究者らは、同位体ラベルした前駆体分子を良い香りのバラに注入した[1]。その結果、プラスチドで生産されるゲラニオールは全くラベル化されていなかったことから、GPPは細胞質ゲル由来であることを示唆していた。次に研究者らは、細胞質ゲルにあってGPPを含むテルペ前駆体を生産できるタンパク質をエンコードする遺伝子のバラのゲノムを探索した。ついでこれらの酵素をバクテリアでつくり、その活性を試験した。さらに植物でそれをブロックあるいは過剰発現させたところ、細胞質ゾルの中の酵素がGPPやその類縁体を生産していることがわかった。研究者らはさらにゲラニオールに至る最後のプロセスも明らかにしようとしている。

 ゲラニオール、庭にお〜る。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 6.

DOI: 10.1073/pnas.2221440120

23.6.5

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遺跡の発掘作業で

 骨を同定することは、海岸で小さな貝殻を分類するようなものである。破片は小さく、すり減ったり損傷を受けていたりで、動物のものかを目で判断することが難しい。古生物学者は通常タンパク質分析を用いるが、そのためにはミリグラム程度の骨をたくさん除去する必要がある。それに対して1 mgの骨でより良いデータを得ることができる方法が開発された[1]。これまでの方法(ZooMS9)では、5–100 mgのサンプルのMALDI-TOF 質量分析が行われていた。この方法をさらに有用にするために、フィルター付きの96マイクロプレートに骨の粉末を保存し、ハイスループット分析を行った。さらにより多くの高品質なコラーゲンを抽出し、ペプチドをMALDI-FTICRで分析を行った。この方法をフランスのコースにあるネアンデルタール人の屠殺地区から得た12万年前の骨の破片に適用した。その結果140の破片を同定した。それらは、シカ、オーロックスと呼ばれる絶滅した畜牛、サイやビーバーだった。今回の1 mg分析は、より小さな哺乳類や鳥に関する新たな情報を得ることも可能にする。

 遺跡の発掘作業の後は、一席設けるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 6.

DOI: 10.1021/acs.analchem.2c03301

23.6.4

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Food Mahjong Clubでの

 麻雀トーナメント[1]。広東バージョンである。これは初心者にとって最も簡単で14枚の牌で手が完成する。それとは対照的に台湾バージョンは16枚の牌で手を完成させるが点数計算も複雑である。主催者は数字や語彙を示した中国語を翻訳したカードを提供している。例えば手持ちに一対の牌があった時に3枚目をゲットするためのポンや、残り一枚で手が完成する時の、ウノと同様の聴牌(てんぱい)などである。動画によるゲームの説明:麻雀はタイル(牌)を使ったゲームでおよそ150前の中国が起源。プレーヤー4人、136枚のタイル、サイコロ。基本的な組合せは、同じタイルが3枚、連続した数字3枚、これらを4種類と1対のタイルで上り手。ゲームはまず、タイルを裏向けにしてシャッフルする。次にタイルを4つの均等な壁にしてそれぞれを2段にする。サイコロを振ってディーラー(親)が誰かを決める。それぞれのプレーヤーは13枚、ディーラーは14枚を手元に置く。ディーラーが1枚捨てることによってゲーム開始。プレーヤーはタイルを1つ取って1つ捨てる。手が完成したら”Sik wu!”と言う。

 麻雀を楽しむのも、まあええじゃん。

[1] 23.5.19 New York Times, “Fierce Competition and Lychee Martinis at an Underground Mahjong Club”

Food Mahjong Clubで検索すると色々出てきます。

なお発案者は、1993年の「ジョイ・ラック・クラブ」という映画に触発されたとのことである。

23.6.3

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キメラ抗原受容体(CAR)T細胞治療は

 ガンに対する有望な免疫療法である。ここではガンと関連する抗原を探索するT細胞の能力を強化させることによって人の免疫系が活気づけられる。ただしCAR-T細胞を遺伝子操作するのは困難であり、通常は抗体一つだけを認識できるようにカスタマイズされている。それに対して今回さまざまな腫瘍抗原との間の万能なアダプターとして作用できる抗体を入れ込むことによってCAR-T細胞の多様性を拡げる方法が報告された[1]。研究者らは、修飾したO6メチルグアニンDNAメチル転移酵素であるSNAPtagラベルを有する受容体でCAR-T細胞を遺伝子操作した。SNAPtagは、ベンジルグアニン基と共有結合できる。そこでベンジルグアニンを、さまざまな抗体に連結させると、単一のCAR-T細胞が複数の腫瘍標的を認識できるようになった。その結果、ネズミでは腫瘍が小さくなり、生存期間が長くなった。ここではSNAPtagとベンジルグアニンの間の共有結合が、受容体抗体治療の鍵であり、この修飾は始まったばかりである。

 SNAPtagで腫瘍をたぐり寄せるのでしょうか。スナップショットも見たいです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 5.

DOI: 10.1038/s41467-023-37863-5

23.6.2

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シロタマゴテングダケは

 α-アマニチンと呼ばれる毒を有している。これは治療不可能な損傷を腎臓や肝臓に与える。この種のキノコによる中毒は米国ではほとんどない一方で、中国では2010年から2020年の間に788名がこれによって死亡している。そこで研究者らは、α–アマニチンがどのようにして細胞を殺すのかを理解し、できれば解毒剤を発見したいと研究を行っていた[1]。ゲノム全般でのCRISPRスクリーニングを用いた結果、STT3Bというタンパク質が、α–アマニチンの毒であることがわかった。ついでコンピューター上で、米国のFDAが承認している3000以上の化合物ライブラリーをスクリーニングした。分子ドックキングシミュレーションでは、心臓や肝臓の機能を決定するのに使われているインドシアニングリーンがSTT3Bのバインディングポケットに入り込むことができることを見つけた。それは細胞や肝臓のオルガネラに毒が入るのを妨げ、毒が入ったネズミに4時間以内に与えると、中毒になるのが回避されていた。これを人に適用できるかはさらに研究が必要だけども、成功すれば、キノコ毒に苦しむ人の命を救う画期的な処置になり得る。

 キノコ毒、まさに気の毒である。

[1] Chemical & Engineering News 2023 May 15/22, p. 5.

DOI: 10.1038/s41467-023-37714-3

23.6.1

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