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2023年10月

石油・ガス産業を除いた

 米国のCO2市場のおよそ75%は、エタノール、アンモニア、水素の製造によって発生するCO2で賄われている[1]。しかし新たな義務化と税額控除によって、企業はCO2を地下に埋め込むことで経済的インセンティブを得ることができるようになってきた。この税額控除はこれまでの買い手を排除し市場が歪み、利用者や供給業者に必要な量が届くかが不安定な状況になってきた。その中9月に開催された北米CO2サミットで、圧縮ガス協会(CGA)のCEOは、一般市民や政策決定者に対してCO2の必要性や貢献度を伝えるようにと、参加者に促した。CO2は長年安価で容易に利用できて、大きな問題にもならずにビジネスとして成り立っていた。CGAは連邦議会に対して、地下への埋め込みを促すCO2の税金控除の制度の変更を働きかけている。新たなCO2源として、工場、発電所、バイオメタン設備から発生する副生成物もあるが、多くが地下に潜ることが予想される。そうならない量が工業に供給されればそれもよいものの、CO2は経済にとって重要であり、地下に閉じ込めるなんて、という分子である。

 工場への税額控除で向上は、難しいかな。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 16, p. 10.

23.10.31

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遺伝学研究は

 ガンと免疫細胞に含まれるタンパク質であるチロシンホスファターゼPTPN1とPTPN2を抑制するとガン細胞が免疫系に可視化され、免疫細胞がガンと戦うために結集できることを示していた。ただしその活性部位の極性がかなり高く、ホスファターゼを標的にできる生物学的に利用できる分子を特定することは難しかった。これまで開発されてきたホスファターゼを標的とする医薬品開発は、アロステリック部位を標的としてこの課題を回避してきた。それでもPTPN2には、適切なアロステリック部位がなく、活性部位を狙う必要があった。その中研究者らは、生物学的に利用できる低分子としてAC484を開発した[1]。ネズミによる実験では、AC484は、それ自身でも作用し、さらにPD-1抑制剤のような別の免疫療法との組合せでも良好に作用した。AC484は腫瘍に対して、アンチPD-1剤とは異なり、複数タイプの免疫細胞を活性化できることもわかった。この成果は、チロシンホスファターゼ研究のマイルストーンであるとともに、抑制の機構にも興味が持たれる。

 マイルストーンに、スマイル、参るわ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 16, p. 7.

DOI:10.1038/s41586-023-06575-7

23.10.30

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金属鉱業からの

 有害な付随物が、世界中の河道に流れ込み、およそ2千3百万人が、鉛、亜鉛、銅、ヒ素の安全ではないレベルに晒されている可能性が指摘された[1]。研究者らは、繰り返される川の汚染に関するメッセージが発信されていなかったことから、グローバルな観点から問題をモデル化することにした。採鉱廃棄物を貯蔵する鉱滓ダムが機能しなくなると汚染した水の放出が注目される。それに対して今回のモデリングは、金属が残存するチリや堆積物の広がりさらには貯蔵施設からの漏出のようなゆっくりとしたプロセスをフォーカスした。まずは現在稼働中あるいは閉鎖された世界中の鉱山や鉱滓ダムからデータを集めた。これらを、鉱山の下流にある川、人や家畜の数に関するデータと関連づけた。ついで金属が環境中をいかに移動するかの数十年分のデータを利用し、採鉱廃棄物が地球の川や土地に含まれる程度をモデル化した。その結果、冒頭に記した見積もりに至った。人々は、汚れた空気、飲料水や付随物のある土地で成長した食べ物に含まれる有害金属に晒され得る。「今回のモデルでは、より汚い小さな鉱山や、金属として水銀、カドミウム、クロムやコバルトが含まれていない」という指摘に対して研究者は、より包括的なモデルに拡大したいとしている。

 採鉱、さあ行こう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 16, p. 4.

DOI:10.1126/science.adg6704

223.10.29

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芳香環にある炭素原子を

 窒素原子に置き換えると、薬理学的なパラメーターが格段に向上する場合がある。医薬品化学者はこれを「necessary nitrogen atom」と呼ぶ。この変換反応を紙面に書くのは簡単である一方、実際に達成するためには、最初から段階を経て合成する必要がある。その中今回、芳香族アジドから始めて、エチルアミノアルコールとの光化学反応の後、N-ブロモカプロラクタムによる酸化反応を経た、芳香環の炭素原子を窒素原子に置き換える反応が開発された[1]。この反応を利用してエストロンのアザステロイド誘導体が導かれている。なおこれまでの方法でこの化合物を合成するには、手に入りにくい原料を使って、より長い段階を経る必要があった。ただし今回の系は、スケールアップ、アジドの取り扱い、官能基需要性に関して未解決な点も多く、芳香環のある炭素原子を特定し選択的に反応を進行させることも難しい。その点については研究リーダーも同意しており、これは大きなブレークスルーではあるものの、第一世代の反応で、さらにアップグレードしたいとしている。

 窒素置換の後は、ご馳っ走をいただきましょう。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 16, p. 4.

DOI: 10.1126/science.adj5331

23.10.28

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富士山の頂上や山麓

 さらに雄山の山麓から集めた雲水の中に9種類のマイクロプラスチックが見つかった[1]。研究者らが見つけたその粒子の数は7から14ピースと少なかったものの、研究チームが粒子を集めるために使った装置がマイプロプラスチックを採取するためのものではなかったため、過小評価の可能性があると研究者は述べている。それでもマイクロプラスチックの環境中の分布についての知見のギャップを埋めるユニークなデータであると別の研究者は語る。実際研究者らは、雲水から集めたサンプルの化学特性を分析し、それがどのように大気に影響するかも解析している。その結果、マイクロプラスチックは多くの親水基を有し、プラスチック劣化物を形成している。水酸基やカルボキシル基は水を容易に吸収する。このことから粒子は雲の中を単に浮遊しているだけではなく、劣化物を形成し、雨の降り方や、太陽照射の地上への到達に間接的に変化させることを意味していると研究者らは考えている。ただそれに対してその効果は小さいのではないかと評している研究者もいた。ただどちらもさらに詳細な研究の必要性には同意していた。

微粒子を富士山に、封じ込めなさんな。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 9, p. 17

DOI: 10.1007/s10311-023-01626-x

23.10.27

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COVID-19の感染を

 防ぐために研究者らは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を標的にする。これは重要ではあるもののウイルスには28の別の遺伝子がある。これらの遺伝子はウイルスが広がるとともに突然変異し変異体が生まれる。その中SARS-CoV-2変異体は、ウイルスの増殖と迅速な拡大の非スパイク領域にある特定のタンパク質と関連していることが明らかにされた[1]。さらにいくつかの変異体は、別の非スパイクタンパク質を発現し、人にある免疫系を出し抜くこともわかった。例えばORF9bと呼ばれる非スパイクタンパク質は、α、β、γやδ変異体が人の免疫系を回避することを可能にする。もとのオミクロン変異体株であるBA.1はこの免疫系を抑えるのは効果的ではない一方で、BA.4、BA.5を含む亜変異体は別のタンパク質を生産することで免疫抑制の効果を発揮する。研究チームはそこで、非スパイクタンパク質の発現を抑制するあるいはこれらがバインドすることを防ぐ薬の開発を始めている。薬は、既存のCOVID-19の感染を抑制したり、防ぐことはできるものの、今後は複数のウイルスを標的にできるカクテル療法が必要である。

 カクテルが、かくまってくれてる。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 9.

DOI: 10.1016/j. cell.2023.08.026

23.10.26

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ポリエチレン製のバックなどを

 新たな材料に生まれ変えることができる反応が開発された[1]。反応ではポリマーのC–H結合がC–N結合に変換されて新しいポリマーの特性が付与されている。ポリエチレンとしては、低密度から高密度、低分子量から高分子量のものに適用できた。この反応は研究室で2014年に開発されたCu触媒によるC–H結合のC–N結合への変換反応がもとになっている。ただこれをポリエチレンに適用する場合には、配位子を再検討する必要があった。その結果、フェナントロリン配位子に長いアルキル鎖の導入がベストだった。通常はポリエチレンを溶媒に溶かして反応させるが、溶融した低密度ポリエチレンは無溶媒でも反応させることができた。研究者らは、廃プラスチックを何か付加価値の高いものに変換したかったがその際、不純物、色素、安定化剤や可塑剤があっても反応が進行するかがわからなかったが、実際には可能だった。今回の成果は、最も豊富な廃プラスチックを新たな材料のフィードストックにできる一歩である。

 廃プラを、ハイクラスに。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 9, p. 7.

DOI: 10.1126/science.adg6093

23.10.25

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マレーシアの教育省は今後

 出版社3社の学術雑誌に掲載された論文の掲載料(article-processing charges)を支払わないことをアナウンスした[1]。3社はいずれも、研究者が掲載料を支払い読者には無料であるオープンアクセスジャーナルの出版社(Frontiers Media, Hindawi, MDPI)である。マラヤ大学のこの新しい方針に関する担当者は、マレーシア教育省のこの決定に同意し、・自分達は金持ちの国ではないこと・これらの出版社が発刊する論文誌のいくつかに掲載する際には数千ドルの経費が必要であることを述べている。なお3社の学術雑誌が、ClarivateのWeb of Scienceにインデックスされている限り、研究業績の評価の際には論文として数えられるが、彼は今後これらの学術雑誌への投稿は考えないとしている。この決定に3社は満足せずコメントを寄せてはいる。ただ例えば今年Hindawiでは、論文の審査の段階に生じた問題で、数百の論文を取り下げなければならなかった上に、4つの学術雑誌の出版を停止した。出版を停止した雑誌の特集号の多くの論文が、論文代行業者によるものだった。さらにWeb of Scienceのリストから19の論文が外された。これも論文代行業者に関連している。業者はお金と引き換えに、偽の著者のリストで、基準に満たない論文を大量生産している。なお高額な掲載料が懸案事項として挙がったのはこれが最初ではない。今年の初めElsevierの編集委員会が大量に辞任したが、これは掲載料の減額を会社が認めなかった時である。

 掲載料、出版社の裁量次第です。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 23, p. 13.

23.10.24

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分子の振動や

 結合形成、開裂を明らかにするためには超高速検出技術が必要である。研究者らは1990年代にフェムト秒(10の-15乗)技術を開発したものの、これでは電子の動きを追跡するには不十分だった。そこでアト秒(10の-18乗)技術が2000年代の初めの頃に開発された。これによって1905年にアインシュタインによって提唱された光電効果のような基本的な特性を明らかにすることもできるようになった。さらに分子中の電子の軌道の形、電気移動の過程の追跡や、この速度の光パルスによる誘電体の電気伝導率の10の18乗オーダーでの上昇も可能である。医薬品分野では、血液中のサンプルの化合物の分子指紋の記録にも使われている。今回ノーベル物理学賞を受賞した3名の研究者は賞にふさわしい方々である一方、理論的な礎を築いてきた研究者を含む、アト秒科学分野の他の人が評価されることはない。なお3名のうちL’Hullier先生は、ノーベル賞委員会が電話をした時は講義中で、3、4回試みた後に繋がった。彼女はニュースに驚き、講義を終えるのが難しかった。

 アト秒、あっと言う間だ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 9, p. 6.

23.10.23

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日本化学会(CSJ)は

 二つの欧文誌(BCSJ、ChemLett)を出版している[1]。創刊はそれぞれ1926年、1972年で、BCSJ第一巻の冒頭では池田菊苗先生のことが書かれている。先生の「我が国からの欧州の言語による科学に関する出版」への思いとそれを可能にする寄附が発刊を後押ししたらしい[2]。今ではこの二つの略語をGoogle検索するとどちらもトップに表示される。その両誌の認知度をさらに向上させることも含めた新たな戦略を展開すべく、これらの学術雑誌のOxford University Press (OUP)との出版協業が開始された。複数の出版社にインタビューし、「純粋に化学の成果を発信したい」と言う本来の使命に対する理解もあってOUPが選ばれた。OUPは学術雑誌のみならず様々な書籍を出版、最も発行部数が多いのが聖書で、アメリカ大統領の就任式でも採用されていると言う。多くの都市にブランチがあり、中国版X(旧ツイッター)による情報発信も手掛けている。

 Oxford forwards our journals.

[1] BCSJ: Bulletin of the Chemical Society of Japan:https://academic.oup.com/bcsj

ChemLett: Chemistry Letters:https://academic.oup.com/chemlett/

[2] https://www.journal.csj.jp/doi/epdf/10.1246/bcsj.1.1

付記:村井君は、両誌の広報宣伝を主な任務とする「専任編集委員」を、変人にもかかわらず、拝命した。コメントなどはmurai@chemistry.or.jpにお寄せください。

23.10.22

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原稿を書く

 これが国内出版社の月刊誌に掲載された時には原稿料をいただける。一方で公的資金を得て学生とともに年月をかけて研究を進めた成果を、学術論文として発表する場合には、こちらが掲載料を支払うことも多い。そこでまずは、掲載料のかからない学術雑誌を選ぶ。でも数週間の後、審査員の査読も経ずにEditor’s Rejectという返事をもらう。でもそのsister journalだと査読の可能性ありと言われて、そちらにシフトする。ということを何度か繰り返してやっと掲載可になった。とは言えその学術雑誌は、誰でも閲覧することができるオープンアクセス(OA)であるため、掲載料いわゆるArticle Processing Charge (APC)として、時には100万円を超える支払いが待っている。このオープンサイエンスやOAが拡がるにつれて、著者から掲載料を徴収することが大きな商売になった。新たな形としてフルオープンアクセスを標榜し、投稿のリピーターを増やすために、論文の審査をすればAPCの割引券を送るという商業雑誌も出てきた。出版社はさらに雑誌の数を増やす。中には論文の内容はともかくAPCを稼ぐための雑誌ではないかと思われるものも含まれる。ビジネスモデルとしては凄い。一方で、海外の出版社へ送金したAPC、その原資は日本の公的資金いわば税金である。

 税金は、日本で生きんがために使いたい。

23.10.21

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ワクチンは歴史的に

 ウイルスやバクテリアの表面にあるタンパク質やグリカンのような分子を利用している[1]。一方で研究者らはDNAやRNAを活用したかったが、mRNAを使うと免疫系がそれを検知して分解するために難しかった。その中1997年、Karikó先生とWeissman先生が出会い、RNA生化学と免疫学とを融合、合成RNAでは塩基の修飾が不足していること、 RNA塩基のウリジンをシュードウリジンに変換すると炎症反応が抑えられることを報告した[2]。さらにこの修飾によって、より安定なRNAの生産とより高いタンパク質収率を達成できることも示した[3]。この発見がCOVID-19パンデミックの時のmRNAワクチンのカギとなった。ただCOVID-19より以前は、mRNAが薬になるとは誰も信じていなかった。二人は財政的支援も得られず、論文も発表できず、誰もRNAが面白そうであると認めなかった。Karikó先生はそれでペンシルバニア大学を去ることになった。それでもドイツ企業で職を得た。彼女の立ち直る力とRNA治療学に対する献身に多くの科学者が言及していた。

 ウリジンの変換が、オリジンだった。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 9, p. 5.

[2] DOI: 10.1016/j.immuni.2005.06.008.

[3] DOI: 10.1038/mt.2008.200

23.10.20

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量子ドットは

 ナノメートルサイズの半導体結晶で、数十万のそれらがこの文章の最後のピリオドにおさまる[1]。量子効果によってこれらの粒子はサイズ由来の多くの物理特性を示す。例えばいかにこれらが光を吸収しそれらを放出するかもサイズ依存である。今年のノーベル化学賞受賞者は、このサイズ由来の特徴を活用し、虹で見られるそれぞれの色で発光する量子ドットをつくった。Ekimov先生は1980年代、様々なタイプの色のついたガラスの光学特性はガラスに埋め込まれた塩化銅に由来することを示した。数年後Brus先生は、この効果が溶液中の浮遊性の粒子でも観察できることを実証した。1990年代になってBewendi先生は、様々な結晶サイズの均一な量子ドットを合成する化学的な方法を開発した。このサイズ依存の量子ドットの特性が応用された一例が、超鮮明なテレビスクリーンである。これによって「量子ドット」という科学用語が日常の言語になった。量子ドットはさらに、太陽電池、エネルギー変換デバイス、ダイオード、レーザーを含む特殊な発光体として、バイオイメージング分野での細胞のラベル化や追跡にも活用されている。

 量子ドットについて、どっと、学ばなくっちゃ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 October 9, p. 9.

23.10.19

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ある企業が

 チェコ・プラハにある大学のためにカフェインの形をした照明設備を製造した[1]。これは「講義の間、学生が起きていますように」というアイデアに基づく。スチールのチューブで繋がった透明で艶消しのガラス球が3 mの範囲に広がる。さらに天井から薄い金属ワイヤでぶら下げられて、宇宙に浮遊しているような印象を与える。これとは対照的にマサチューセッツ・ケンブリッジ近くのケンダルスクエアには、カフェインが地面に縦向けに固定されている。このCaffeine Moleculeと名付けられた彫刻は、自転車が移動手段の一つであるこのエリアで、バイク・ラックの役目も果たしている。朝の通勤の際に分子構造に目をやる楽しみがここにあるというコメント。またこれは移動の手段として健康的でかつ持続可能である自転車を推奨することを意味するイベントであるCambridge Artsの競技の中で、この年の5つのバイク・ラックのうち第一位に輝いた作品である。

 カフェインが街に!フェイントです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2. P. 40.

23.10.18

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米国でのプラスチックリサイクルは

 10%以下である。残りのプラスチックは手に負えない混合物を含む。この処理にはエネルギー負荷のかかるプロセスが必要である。話変わって水素に対する需要は高い。ただ現状では世界の水素の95%以上が水蒸気メタン改質であり、H2, 1 kg当たり11 kgのCO2が発生する。さらにグリーン水素の発生には、白金のような高価な金属触媒を必要とする。それに対して今回、電気衝撃が廃プラスチックを水素ガスとグラフェンに変換できることが報告された[1]。研究者らは、ポリエチレンと炭素ブラックのような伝導性添加物の少量を粉砕し、それをガスが抜け出ることができる窪みのある電極を有する小さな石英チューブに乗せた。一回3秒以内の電流の衝撃をあてると、サンプルは2800 °C付近まで上昇し、ポリマーの最大93%が87%純度で水素に変換された。廃プラスチックの混合物を用いても、収率と純度は幾分低下したものの水素が発生した。残った炭素はグラフェンの小片になり塊から乱雑な堆積物になった。これは複合材料強化のための添加物として利用できる。

 電気衝撃、小劇場でもできるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2, p. 6.

DOI: 10.1002/adma.202306763

23.10.17

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8つの価電子を有する

 炭素に対して6電子でかつ安定なカルベンは、1980年代までは珍しいものであると考えられていた。ただし一旦合成されると有機金属化学や材料化学の分野で広く利用されるようになった。今回さらにこのオクテット則に従わない炭素として、カルベンが有する非結合電子対を除去した化学種が報告された[1]。研究者らは、ジカチオンの電荷を電子的に安定化できる嵩高い置換基を有するカルベンを合成した。ついでカルベンを酸化し非結合電子対のないカルベン炭素を残した。得られたジカチオンは、二つのカウンタアニオンを有する結晶で、カルベンが二電子酸化を受けた化学種だった。さらにこれは炭素中心の珍しいLewis酸で、分子からメトキシド、クロリドやシアニドのようなアニオンを引っ張ることができた。「何に役立つのか」と問われた研究者は「知らんなあ、これは基礎的な発見だ。ただ安定カルベンが最初に発見された35年前からのことを考えると、応用の動機づけになるだろう」と述べていた。

 カルベン、然るべんき反応性を示す。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2, p. 6.

DOI: 10.1038/s41586-023-06539-x

23.10.16

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木の切り株から

 成長、あるいは落ち葉から出てくるキノコは、一見自立した生物のように見えるが、実は様々な菌類の子実体である。キノコが生産する菌類は、菌糸体と呼ばれる繊維の束からなり、キノコが成長する根系として作用する。研究者らは、研究室で成長させた二つの異なる菌類の菌糸体の分泌物として液体を得た。これらから4つの新しい化合物を抽出し、分析によって、それらの組成ならびに構造を明らかにした[1]。そのうち化合物1, 3, 4は、キノコが生産するある種の菌類で、キノコの形成を誘導した。これらの化合物は別の生化学的な効果も有していた。化合物2, 4は、細胞ストレスに対する応答を制御するタンパク質を抑制し、化合物4つ全てが、腫瘍成長を促すと考えられているキナーゼの活性を抑えた。「fruiting liquid」と名づけられたこれらの化合物にはさらに多くの秘密があると研究者は考えている。例えば植物や動物のホルモンに関しては広く研究されている一方、キノコのホルモンについてはほとんど何も明らかにされていない。そこで研究者は「fruiting liquid」にホルモンが含まれているかどうかも追究したいとしている。

 キノコ、食べたのは昨日のことか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2, p. 5.

DOI:10.1021/acs.jafc.3c03633

23.10.15

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遺伝子データの

 解釈は今も挑戦的な課題である。その中GoogleチームDeep Mindは、AlphaFold2タンパク質構造予測エンジンを開発し、2023Lasker Awardを受賞した。このエンジンを使うと、タンパク質を改変させる遺伝子の変異体が有害な効果があるかどうかを予測できる[1]。AlphaMissenseと呼ばれるモデルを、AlphaFold2から得た構造予測と結合させると、タンパク質の可能性のあるアミノ酸置換による病原性の予測結果が得られた。開発チームは、人のプロテオームを分析し、71百万のアミノ酸置換のいくつかを、公開のデータベースに掲載した。害のある変異体は、構造に寄与するある領域やアミノ酸に偏在していることが予測された。ただ「今回のモデルは、タンパク質の変異が及ぼす構造、安定性、相互作用に関する予測は可能である一方で、変異の生物物理学的な特徴については何も示していない」と開発者らは強調している。それでも今回の系は、構造とタンパク質言語モデルを連結して利用できるものに仕上げたことから、ゲームチェンジャーであると評されている。

 変異体って何、って言いたい時にも使えるかな。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2, p. 5.

DOI: 10.1126/science.adg7492

23.10.14

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ナイロン布を

 もとにした新しい織物が開発された[1]。トップには伸縮できるヘビのようなパターンの伝導性金属メッキしたポリエステル織物を取り付け、これを保護用のナイロンフィルムでコートした。肌に触れるナイロン布の側には、熱を遮断するポリエステル–スパンデックスの層を取り付けた。研究者らは、この新しい繊維を手袋に入れ込んだ。さらに研究者らは、伝導性織物を通して電流を流し、それを加熱して微生物を殺すことができることを示した。電源をオンにする別の方法として、壁掛け用のパネルに携帯用のバッテリーで電源を流す。ここに手袋をしている手を置くと、電気が流れて同様に微生物を死滅させることができる。今回の繊維や手袋のような携帯用の消毒は、個人保護器具、医療応用、遠隔操作などで利用することができる。なおこれまでに開発されている同様の繊維では、消毒をするための蒸気や化学処理に対する耐久性がなく、乾式加熱による消毒を行うためには数十分から数時間を要していた。

 手袋の消毒、苦労も多い。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2, p. 4.

DOI: 10.1021/acsami.3c09063

23.10.13

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ResearchGateは

 2008に設立された非営利団体で、数百万人のユーザーのほとんどがアカデミアで、論文を共有する[1]。ただし論文のいくつかは共有することが制限されている査読付きジャーナルに出版されている。2017年ElsevierとACSはこのResearchGateに対して著作権侵害であるという訴訟をドイツで起こし、その後米国でも起こした。2021年両社の要請に応じてResearchGateはおよそ20万の論文の掲載削除を通知したものの、この通知は立証できないとされた。それに対して2023年9月15日、著者の学術論文がACSあるいはElsevierに掲載可となった時には「copyright-complaint way」としてResearchGateのプラットフォームでも共有できる取り決めにより、訴訟が解決された。新しいシステムでは、著者が論文をアップロードした際には、著作権関連の情報をResearchGateが自動的にチェックできて、共有できるかどうかが判定される。なおそのための経費負担を著者が負うことはない。

 ResearchGateの芸当、かたちが変わるかな。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 25/October 2, p. 3.

23.10.12

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伝導性固体に

 電流を流すと、電子がお互いに衝突して抵抗が生じる[1]。一方で超伝導材料は、臨界点(Tc)以下に冷やすと抵抗はゼロになる。ある種の超伝導体では、電子対が一緒に流れるために抵抗に打ち勝つ。1911年H. K. Onnesは、水銀を液体ヘリウムで冷却することによって超伝導を発見した(Tc = -269.2 °C)。別の化学者は数年後、鉛のような金属で超伝導を発見した。1986年J. G. BednorzとK. A. Müllerは酸化銅で超伝導を発見、C. W. Chuがこの酸化銅を修飾し液体窒素温度での超伝導を達成した。1993年に開発されたHgBaCaCuOは-140 °Cで超伝導を示す。応用例の一つが磁気共鳴映像法(MRI)である。病院で利用されているMRIは超伝導性を示すNb–Tiワイヤを利用、液体ヘリウムがワイヤを超伝導温度まで冷やす。有機化合物を分析する核磁気共鳴装置も同様である。日本の超伝導磁気浮遊鉄道は、電車にNb–Tiマグネットを搭載し、列車の下にある金属コイルに電流を発生させることによって電車を前進させる。粒子加速器にある超伝導Ni–TiあるいはNi-Sn磁石は、粒子を誘導し加速するために必要な磁場や電場を発生させる。

 超伝導、なかなかでんどう、から進展している。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 18, p. 29.

23.10.11

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インド、ボーパール

 1984年12月2日夜、Union Carbide Indiaの工場の貯蔵タンクから殺虫剤製造の中間体であるメチルイソシアナート(MeC=N=O)(MIC)がおよそ40トン漏れ出した[1]。有害化合物が街まで浮遊し、数十万人の人がそれに晒され、その直後少なくとも3800人が死亡した。C&E Newsはこのことを12月10号で伝えた。ただし死者の数はおよそ2000人と報じた。当時C&E Newsはインドに特派員がいなかったため、New York Timesなどの記事をもとにし、MICの詳細を記載した。MICを吸い込むと、重篤な気管支けいれんやぜんそく性呼吸音を引き起こす。さらにC&E Newsの編集委員長の「自己の原因はともかく、今回の大惨事はボーパールやUnion Carbideの問題に留まらず、化学薬品の取扱いに関する課題になるだろう」というコメントを記載した。実際に数年後化学工場での化学薬品の製造、取扱い、輸送に関するスタンダードとしてレスポンシブルケアが設けられた。一方、大惨事の後犠牲者らは、47億ドルを超える賠償をUnion Carbideに要求しUnion Carbideは1989年に支払った。一時CarbideはDuPontやDowのライバルだったが、財政や評判の悪化から衰退し、2001年にDowが買い入れた。

 ボーパールでも、僕がんぱ〜る

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 18, p. 27.

23.10.10

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フルオロポリマーは

 炭素からなる主骨格にフッ素原子が直接連結している。数千の種類のフルオロポリマーが欧州でも利用されている。それらは低摩擦コーティング、ガスケット、高温や大抵の薬品に対して耐久性のあるパイプを含む。2023年世界のフルオロポリマー生産は389,000トン、およそ79億ドル、さらにその市場は拡大し、2026年には478,000トンでおよそ97億ドルになると予測されている。それに対して欧州委員会は、PFASは、永続的に残存すること、毒性を有する可能性、人や生き物に蓄積することを理由に全面的に禁止することを提案した。それに対して工業界は、禁止に対する科学的な知見がないと主張している。また代替物がないことから大きな負の影響が懸念される。界面活性剤のような幾つかのPFASはガンを引き起こし得ること、内分泌腺を破壊し、生殖や胎児発達に影響し得ることを科学者は述べる一方で、フルオロポリマーは水にも溶解せず、体内に吸収される可能性や毒性もなく、人や環境に対するリスクは実証されていない。PFASを含む界面活性剤がフルオロポリマー製造の助けになっているため、これを変更することは新たな挑戦的な課題になる。また今後の議論を経て認められると2026年から全面禁止となる。

 禁止、できんし になるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 18, p. 15.

23.10.9

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庭で見かける

 カタツムリが分泌する粘液についての詳細が報告された[1]。それらのうち足から放出される接着粘液はカタツムリが表面に留まることを助ける。同様に足から放出される潤滑性粘液は表面を滑る一助になる。カタツムリの背中から出される粘液は侵略者に対する防御である。これら三つの粘液の分析では、これまで知られていなかった18種類を含む71種類のタンパク質を検出した。それぞれの粘液のうち40–50%は細胞外基質タンパク質であり、異なる11種類のコラーゲンを含む。三つの粘液の主な違いは、カルシウム濃度だ。接着粘液はCaで満たされる一方、潤滑性粘液ではCaとCaを捕まえるタンパク質の割合が最も低かった。Caの放出によってスライドし滑りやすくなること考えられる。なおカタツムリの粘液はすでにスキンケア製品に利用されているものの、今回の研究以前ではその成分が正確には把握できておらず、何が肌の再発生に貢献しているのかも曖昧だった。また研究者らはこの粘液研究を他の種へも拡大したいとしている。

 粘液研究、現役の研究者が、粘り強く取り組む。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 18, p. 7.

DOI: 10.1038/s41467-023-41094-z

23.10.8

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京都駅から

 奈良線で黄檗へ。席の隣と前に外国人旅行者が座った。カメムシが飛んできて、目の前の女性の近くに止まった。女性は背中をそっと撫でた。しばらくして難なく飛んでいった。とんでもないことは起きなかった。潰してはいけないと伝えると、臭い匂いがすることをご存知だった。これは虫の防衛システムであるとも。日本語では「カメムシ、背中の形は亀の背中に似ている。虫はinsectを意味する」に感心された。奈良観光へ行くという。東大寺、唐招提寺、春日大社、何が違うのか、なけなしのボキャブラリーで説明する。奈良の慣わしの説明もできず。菩薩、観音、あかんのう、これらに対応する英語を知らない。それでも話の内容は伝わったようで「ツアーガイドをしないか」と誘われた。「高いですよ」「では昼ごはんでいかが」列車は、踏切の非常停止ボタンが押されたために点検中で停止中。このこともお話しした。単線であるので、駅ですれ違うことができるように調整しているはずであるとも。しばらくして黄檗に到着して、お別れした。

 奈良線、螺旋状ではないのでご安心を。

23.10.7

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界面重合と分子層成長法の

 組合せで新しい材料がつくられた[1]。研究者らはこれを、ナノポーラス炭素ドープ金属酸化物ナノフィルムと呼んでいる。合成では、液体エチレングリコールを気体状四塩化チタンに晒し、それらを連結させて、数分で、薄い金属酸化物層を導いた。ついでこれを加熱し、ある程度炭素を除去してフィルムに孔をつくった。除去された炭素の量が、薄膜の穴のサイズに相当する。薄膜はまた、有機溶媒や140 °Cまでの温度に耐え、長寿命である。ついで大きなあるいは小さな孔を有する薄膜を使って、農業薬品であるボスカリド[2]を触媒と出発物質から分離した。この膜を形成する新しい方法は、応力に対して堅牢で熱的に安定な材料の、これまでは困難だった厳しい条件での合成を、高いエネルギー効率で可能にする。また今回の薄膜は、スケールアップも必要であるものの、従来の分子量200から1000の化合物の分離方法であるエネルギー負荷の大きな蒸留や結晶化に置き換わる可能性もある。

 ボスカリド、ボスに借りるど。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 18, p. 5.

DOI:10.1126/science.adh2404

[2] ボスカリド: 2-クロロ-N-(4'-クロロビフェニル-2-イル)ニコチンアミド、酸アミド系殺菌剤

23.10.6

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科学用語を持たない

 言語はウェールズ語だけではない[1]。手話は、気候や生物多様性に関連する多くの表現を持たない。その中、王立協会とスコットランドのSensory Centreとのジョイントプロジェクトでは、環境に関連する通常の用語に対する400の手話用語をつくった。それらは英国の手話(BSL)に加えられる。これらの用語のうちカーボンフットプリントは左手でCを形づくり右手の指を左から動かす。これで炭素が環境中に放出されるのを表現している。温室効果ガスを表現するために、両手で円を描くように回して気体を表現。左手は水平に、右手の人差し指を下に動かしさらに左手に向かって押し上げることによって、地球の表面での太陽の反射を示す。さらに概念化された言葉に対する手話を避けることはできない。例えば再野生化(rewilding)のような用語である。また次の手話用語としは、エネルギー、持続可能性、人に対する環境の影響に関連する言葉も対象になるだろう。

 シュアな手話用語に挑戦、素晴らしい。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 11, p. 56.

23.10.5

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カーディフ大学

 140年の歴史の中で、O. Beynon氏は、ウェールズ語で化学の博士論文を書いた最初である[1]。ケルト人独特の言語は、Beynon氏の母語でありウェールズの最初の言語である。それは、アイルランドやスコットランドのゲール語さらにフランス北西部で話されているブルトン語とも関係がある。彼にとってウェールズ語で書くことは自然だった。論文のタイトルは「無機多孔質材料の合成と安定性に関する計算機による研究」である。ウェールズ語のアルファベットは28文字あるが、多くの科学用語が欠落していた。そこでウェールズの専門用語学者と相談し、ギャップを埋めるために新しい語句を考え出した。それらは密度汎関数理論や一般化勾配近似に相当する語句も含まれる。博士論文発表会もウェールズ語で行われた。審査官はUniversity College London(UCL)とImperial College Londonに所属する触媒の専門家でウェールズ語を話す先生だった。発表は成功裡に終わり、現在Beynon氏はUCLの博士研究員である。

 ウェールズ語も、very wellズ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 11, p. 56.

23.10.4

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液体アミン吸着剤で

 CO2をトラップし放出できる電気化学プロセスが設計された[1]。この方法は同じ重さのCO2を集める通常の方法よりも使用するエネルギーは小さい。この新しいデバイスは、常温で稼働し、CO2放出のためにアミンを加熱するために使われる反応器よりも、小さくて安い。研究者らは以前、キノンをもとにした電気化学デバイスをつくり、アルカリ溶液のpHを調節していた。それに対してここでは、電気化学CO2捕捉と放出に、すでに使用されているアミン吸着剤を組合わせる。電気化学セルは亜鉛アノードと、カリウム、炭素、鉄、窒素からなるプルシアンホワイトカソードとエトキシエチルアミンを含む電解液で構成されている。電池をチャージするとカリウムイオンが電解液に出てきて、これが大気中のCO2を電池内に引き寄せ、そこでアミンと反応しカルバミン酸を与える。亜鉛カチオンは放電の際に電解液に入り、逆反応によってカルバミン酸からCO2が放出される。

 カルバミン酸形成、頑張るみん。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 11, p. 9.

DOI: 10.1021/acscentsci.3c00692

23.10.3

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電気ウナギに

 触発されて研究者らは、小さな液滴バッテリーを開発した[1]。これはいつか、動物の体内にある微小なデバイスに電力を供給するかも知れない。デバイスは、それぞれ異なる濃度の一連の液滴導電性ヒドロゲルからなり、イオンの動きによって電流が発生する。液滴は脂質二重層で分離され、必要な時以外イオンは流れない。これを4 °Cに冷やすと、脂質層が壊れ、イオンは濃度が高い側から低い側に流れる。そのためバッテリーの半分は、正に帯電したイオンのみで、他の半分は負に帯電したイオンのみである。これの初期のバージョンは電気ウナギの細胞構造を模倣し2017年に組み立てられた。これを研究者らはさらに10万分の1のサイズに小型化するとともに電力密度を700倍にした。デバイスは50ナノリットルの液滴が使われ、一回の放電は30分程度である。これは体外のマウスの脳の組織のニューラルネット活動を調節するには十分である。さらに体内で、細胞刺激による成長促進や創傷治癒への応用がゴールの一つである。

 ウナギ、渚にはいない、多分。

[1] Chemical & Engineering News 2023 September 11, p. 7.

DOI: 10.1038/s41586-023-06295-y

23.10.2

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北新地にある居酒屋

 に向かった。JR大阪駅、御堂筋口から出ようとして自動改札口へ。ICカードしか使えませんという案内。ICカードも愛用しているもののこの日は紙の切符。ちょっと遠回りして出た。南へ歩けばいいだろうと雑踏の中信号を渡る。はて?建物で行き止まり。やむなく地下に入った。がここで方角を見失う。モバイルを使えばいいけど電気エネルギーを使わずに目的地に辿り着きたい。JR北新地駅への矢印を頼りに移動した。「北の新地はおもいでばかり」[1]などと歌っている場合ではなかった。曲がった瞬間複数の道があって迷子になりそうだ。30年以上も前の記憶ではこれほどのお店はなかったはず。北新地に来たしんと思ったら駅の改札口、地上に出る階段はどこだ。ようやく地上に出た。たくさんのビル、たくさんの飲食店、再び困った。住所の中の番地を頼りに、時に番地表示のあるお店があって、とりあえず区画を特定できた。途中多くの人がモバイルを見ながら、時にこっちか?と相談しながら目的地を探しておられた。

 御堂筋口からの移動の手口でした。

[1] 都はるみ「大阪しぐれ」

23.10.1

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