« 2023年11月 | トップページ | 2024年1月 »

2023年12月

令和5年大晦日

 今年も終わる。今年3月31日に退職、そのあと新しい研究がスタートした。本格的に始まったのは7月1日、それまで何となくアイドリング期間。時に名古屋や東京に行く機会があった。博物館、お城、神社・仏閣を訪ねたいと思った。徳川美術館に、浅草寺、築地本願寺。お寺ではお香が鼻を通る。手を合わせる。混雑するお寺、海外観光客も多くて沿道やお寺の周辺は人でごった返していた。中には着物姿の外国人。そんな中、泉岳寺へも初めて出向いた。静かで落ち着いた空間。1701年3月14日に江戸城松の廊下にて起きたことが発端で、大願を成就した武士のお墓がここにある。300年以上経っても人は訪れる。実際に自分もその一人や。大願成就を祈念してお参りか??? それが阪神タイガース38年ぶり日本一。関係はない、多分。でもよもやと思って、今年公式戦で打席に立った選手の数を数えた。規定打席以上:6名、規定打席以下:42名だった。一人多かったか。

 2023, 兄さんの年だったか。皆様、よいお年を。

23.12.31

| | コメント (0)

オンタリオの北米先住民族では

 通常より多くの子どもたちが呼吸器系疾患に罹患していた。そこでスールックアウト地域の小さな子どもたちが住む101の世帯で、2017年から2019年にかけて、環境調査が行われた[1]。空気をモニターできる装置が、家がより密閉される冬の間5日間セットされた。換気システム、カビや埃のレベルをチェックして、子どもたちの診療記録と照合した。その結果、調査した家のおよそ27%でCO2のレベルが、カナダ保健省が推奨する1000 ppmを超える1500 ppm以上だった。12の家屋でカビによる損傷が見つかり、ハウスダストの中に内毒素と呼ばれる炎症を引き起こす汚染物質の濃度がカナダの他の地域より高かった。さらに90%以上の家で、新鮮ではないインドアの空気を除去してリサイクルする装置が設置されていなかった。これらの結果は、北米先住民族のコミュニティがハウジングや健康を改善するために、政府の支援を求めるのに使われている。

 スールックアウトの状況をスルーするのはアウトです。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 8.

DOI: 10.1371/journal.pone.0294040

23.12.30

| | コメント (0)

環状アミド

 いわゆるラクタムは、医薬品でも見られる分子モチーフである。抗生物質ペニシリンの中のβ–ラクタムや、COVID-19のアンチウイルス薬であるパクスロビッドのγ–ラクタムはその代表例である。それらを導くために今回、改変した酵素を用いる方法が開発された[1]。酵素は、ジオキサゾロンのC-H結合から水素を引き抜く。酵素としてミオグロビンを用いてこれを改変し、ジオキソランの分子内ナイトレン転位反応を完結させて、β–、γ–、δ–ラクタムに変換する。ジオキソランの置換基が、得られるラクタムの環サイズを決定し、酵素がラクタムの立体化学を決定する。これまで遷移金属触媒反応によるラクタム合成法では、異なる環サイズごとに異なる触媒を必要としたこととは対照的である。この反応を利用して単純なβ–ラクタムを合成し、そこから天然物であるホマリンや医薬品ダポキセチンが導かれた。

 新しい酵素を用いた方法でラクタム合成、楽だむ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 8.

DOI: 10.1038/s41929-023-01068-2

23.12.39

| | コメント (0)

成長ホルモン分化因子15 (GDF-15)が

 妊娠と関連する吐き気を引き起こす可能性の詳細が報告された[1]。妊娠による極端な嘔吐とGDF-15の増加の関連性はすでに考えられていたものの[2]、ホルモンは大人でも胎生組織でも発生すること、ホルモンのレベルを決めるために使われる抗体をもとにしたアッセイと遺伝的変異が干渉することから、ホルモンの役割を確定することが難しかった。そこで免疫測定法の課題を解決した後研究者らは、遺伝的変異を利用した。GDF-15の遺伝型が胎児と異なる人の血漿の質量分析によって、循環しているGDF-15のほとんどは胎児や胎盤にあることを突き止めた。さらに妊娠ではなくてもGDF-15のレベルが向上する遺伝的疾患の人が妊娠すると、それほど吐き気を感じないこともわかった。ネズミでは、低濃度のGDF-15に慢性的に曝されると、GDF-15の大量投与の効果が低下することもわかった。このことは受胎の前にGDF-15に暴露すれば、嘔吐を回避できる可能性を示唆していた。

 応答すると嘔吐する因子に迫ったでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 6.

DOI: 10.1038/s41586-023-06921-9

23.12.28

| | コメント (0)

ナイロン6を

 その出発化合物であるカプロラクタムに変換できる触媒が開発された[1]。新しい触媒系は、イットリウムあるいはランタン金属にサンドイッチ配位子の組合せで、金属はポリマー鎖の間を軽く飛び跳ね、アミド結合を切断する。この反応は、空気や水の存在しない条件で、ポリマーの融点より少し高い温度で進行する。ナイロンに対して触媒だけが必要で、最も典型的な廃棄物である溶媒は不要、数時間でポリマー1 gを完全に分解できる。研究者らはまた、定期的に新しいポリマーを加える連続プロセスも行い、触媒を新たに加えることなく6回のバッチ反応で、ポリマーを完全に反応させることにも成功している。得られたカプロラクタムは新しいナイロン合成にも利用できるほど純度も高く、オリジナルなそれと区別がつかない。しかも漁網、カーペットやTシャツ、ナイロン製の医療用手袋を含む製品を刻んだものでも分解することができた。

 カプロラクタム誘導、プロは落胆させない。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 6.

DOI:10.1016/j.chempr.2023.10.022

23.12.27

| | コメント (0)

紫外線照射下で光る

 鳥類、爬虫類、両生類、魚類に関する報告は過去10年以上に渡って拡大していた。それに対して光る哺乳類については、オーストラリアの研究者らが最近報告した[1]。研究者らは、西オーストラリア博物館にある125の哺乳類からの146の標本に紫外光を照射した。飼い猫、犬、ムササビ、コウモリ、バンディクート、ウォンバット、ライオン、北極グマ、全てが、程度は異なるけど光った。これは色のついた毛皮からの光で、白色から明るい茶色、青ざめた色だった。一方で黒い色は全く蛍光発光しなかった。ただしコウモリの場合には、光ったのは毛皮ではなくて、体表にある金色の髪の毛だった。肌も光り、それらは美しかった。これらの蛍光は、動物の髪の毛、爪、外側の肌の層に無着色のケラチンがあると追跡することができる。一方で赤色発光を示す有袋類のような動物では、発光に関連すると思われるポリフィリン染料が蓄積している。ただしこれらの哺乳類がなぜ発光するかについては謎のままである。

「光る君へ」[2]は、蛍光発光する人の話か、多分違う。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 40.

DOI: 10.1098/rsos.230325

[2] 2024年、NHK大河ドラマ

23.12.26

| | コメント (0)

医薬品の不足が

 米国では2023年、最も拡大した[1]。この薬不足が、患者さんのケアにも影響を及ぼし始めている。化学療法のための薬や局所麻酔薬は不足薬の代表例である。原因の一つは価格競争だ。FDAは全てのジェネリック医薬品を同等とみなしているために、価格競争が主になり、実際に多くの企業はお互い値引きに力を注ぐ。この価格競争が二つの連鎖反応を引き起こしている。一つは、医薬品そのものではなくて、生産ラインの質の低下が過失を引き起こし出荷の遅延をもたらす。二つ目は、この激しい競争のためにこのビジネスから撤退する企業が生じて供給不足になる。価格競争に加えて、7月の起こった竜巻が、ある企業の130,000 m2の設備にダメージを与えたことによる供給体制の低下も要因の一つである。さらに米国と中国との貿易戦争、ロシアのウクライナへの侵攻のような地政学的な要因、COVID-19がもたらす混乱も継続中である。この問題を20年以上扱っている人によれば、2024年もこの不足は継続するだろうとのことである。

 医薬品、苦心している。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 29.

23.12.25

| | コメント (0)

オピオイド薬の過剰摂取で

 米国では10万人以上が亡くなっている。それに対してナロキソンは、オピオイドがバインドするのと同じ受容体にバインドし、オピオイドを追い出すことができる。ただ実際に過剰摂取で命の危険にさらされた瞬間にそれにアクセスすることが難しかった。その中研究者らは、不活性ナロキソンをつくった[1]。これは400 nmの光を照射することによってナロキソンが発生し体内で作用し得る。この分子の合成は、ドラッグデリバリーでも使われている生分解性、生体適合性を示すポリ乳酸–グリコール酸共重合体(PLGA)から始め、末端にナロキソン分子、光に敏感なリンカーを連結させた。研究者らは得られた分子をナノ粒子にして、モルヒネを投与したネズミに注射した。注射した場所に青色光を2分間照射すると、リンカーからナロキソン分子が放出されて、モルヒネの効果を逆転させた。およそ1ヶ月間モルヒネの作用を縮小させることができた。またその間およそ3回それを活性化することができた。

 既存のナロキソンを修飾している。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 7.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.3c03426

23.12.24

| | コメント (0)

NASAの研究所が

 開発した画像分光計が2022年、国際宇宙ステーションに配備された[1]。これによって乾燥地域から出るちり粒子を観測し、大気中のこれらが地球の気候にどのように影響するかを理解することができる。今回、中東並びに中央アジアにある石油やガス操業地、発電所、埋立地、廃水処理施設からのメタンや二酸化炭素の噴煙を対象とした。新たな分光計は、宇宙から60 m/1ピクセルの解像度で地球のイメージを捉え、宇宙ステーションが地球の軌道を周回するのに伴って毎日、南アフリカほどの大きさの領域をカバーできる。その結果、1 km以下で高濃度のメタンやCO2を含む噴煙の検出や、従来の調査では見逃されていた一時的な排出も捕まえることができる。観測が始まって1ヶ月で、これまでの排出モニタリングや報告がなされていなかった中国にある二つの石炭火力発電所からのCO2の噴煙を同定することができた。さらに複数の国にある発電所などの設備からのメタンの排出も検出していた。

 宇宙ステーション、テンションも上がる。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 4.

DOI: 10.1126/sciadv.adh2391

23.12.23

| | コメント (0)

気相で

 研究されてきたシクロ[10]カーボン(C10)およびシクロ[14]カーボンが表面合成によって導かれた[1]。C10およびC14合成のために研究者らは、全ての炭素上に塩素が導入されている塩素化ナフタレン(C10Cl8)と塩素化アントラセン(C14Cl10)から、原子間顕微鏡(AMF)のチップを使って、塩素を一つずつ取り外していった。この塩素除去が開環反応を促進し、10-あるいは14-炭素輪が得られた。これは既に合成されているC16やC18が複雑な前駆体から始まっているのとは違っていた。そのため今回の多環塩素化芳香族化合物からの合成は他の場合にも拡大し得る。AFMイメージは、C16やC18ではポリイン状で単結合と三重結合が交互だったのに対して、C10やC14は、クムレンタイプで、全ての炭素–炭素結合が連続した二重結合を形成し、またそれら全てが同じではなく、ある部分はクムレンのようでポリインのようであることを示していた。

 クムレン研究、誰かと組むれん。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 6.

DOI: 10.1038/s41586-023-06741-x

23.12.22

| | コメント (0)

ポリマーが成長する過程を

 研究するための新しい単分子顕微鏡法が開発された[1]。研究者らはまず、単分子それぞれにレーザーでは消光しない蛍光染料をつなげた。一方で異なるレーザーによるイメージングと漂白が可能である。レーザーパルスを正しく調整することによって、表面に連結したポリマー鎖にモノマーが付加する様子を一つずつ見ることができる。研究者らはこの方法を、超解像度イメージングによる融合反応法(CREATS)と名づけた。CREATSでは、数百のモノマーが付加してポリマーが成長する様子を追跡することができる。研究者らはこの方法を用いて、開環メタセシセス重合(ROMP)の反応速度論を研究した。その結果、重合の初期に表面と相互作用すると反応が減速することがわかった。二つの異なるモノマーに個別の蛍光タグをつけて共重合を追跡したところ、配列は完全にはランダムではなくて、同じモノマーが付加し繰り返しの部分も導かれることがわかった。今回はROMPのみが対象だったが、他の連鎖成長重合機構でもCREATSは利用されるべきである。

 Creative なCREATS くれ〜と言われるかも。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 5.

DOI: 10.1038/s41557-023-01363-2

23.12.21

| | コメント (0)

ドロマイト

 泥にまみれているかもしれない。山で形成される炭酸カルシウム・マグネシウム結晶で日本語では白雲石というらしい。これを大気条件下でつくろうと長年取り組まれているものの上手くは進行していなかった。このドロマイト問題を解決し得る方法が報告された[1]。ドロマイトの表面は、CaとMgが完全に交互に配列していることを研究者らは見つけた。そのためこれをイオンから作り上げることはできない。さらに研究者らのシミュレーションは、過飽和溶液に常に晒していると数百万年を経てドロマイト結晶が成長することを示唆していた。そこで研究者らは、揺らぎの条件がこの課題を解決できるのではないかと考えた。すなわちモデリングは、最大量のCaとMgよりも少ないこれらを含む不飽和液体には、ある程度ドロマイトが溶けることを示していた。その結果、表面にはMgとCaが正しい位置に配列できる。ついで表面を過飽和に晒すとイオンを付加させることができる。さらに不飽和条件というサイクルを繰り返すことによって正しい配列のイオン構造に至る。今回の結果は、成長させるのが困難な結晶の新たな成長方法に関するヒントも与えている。

 不飽和と過飽和、家宝は寝て待て。

[1] Chemical & Engineering News, 2023 December 4, p. 5.

DOI: 10.1126/science.adi3690

23.12.20

| | コメント (0)

アミド基は

 医薬品分子でもよくみられる官能基であるとともに、カルボニルファミリーでは最も反応性が低い。異なる数のアルキル基を有するアミドの合成は、基本的に最初から始める必要があった。それに対して今回、アミドにアルキル鎖を導入できる反応が開発された[1]。反応はまずアミドカルボニル基のα位のアルキル化によって側鎖を導入する。ついでカルボニル基を、配向基を有するイミドに変換する。配向基のRh金属触媒への配位によって、アルキル基はスライドしてイミド炭素とα炭素の間にスライドする。最後に加水分解によって配向基は除去されてもとのアミド基に戻る。モデル化合物では最高16炭素の挿入を達成している。さらにこの炭素鎖伸長反応を用いて、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸受容体(AMPAR)モジュレーターを含む複数の複雑な化合物の合成が達成された。このフックとスライド戦略はカルボン酸でも適用できる。

 側鎖、息災だ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 4, p. 4.

DOI:10.1126/science.adk1001

23.12.19

| | コメント (0)

海底での採掘が

 生き物にどのような影響を及ぼすのかを知るために研究者らは、64のクロカムリクラゲを、タンクの中で、採掘がもたらす泥の汚染物質に24時間入れた[1]。その結果、クラゲは極度のストレス症状を示した。クラゲは、過剰の分泌液を生産し、傷を治すことと関連した遺伝子を発現させていた。海底での採掘は、クリーンエネルギー技術に必要な鉱物を集めるために幾つかの企業が提案しているが、水中機が海底をならす、あるいは採掘船が鉱石を分離した後に残りを放出すると堆積汚染物質が生じる。この汚染物質が数キロメートルに広がり、海の生き物に被害を及ぼす。先のクラゲのストレス反応は異常であるが、水中での広がった堆積物には慣れていないためかもしれない。クラゲは状況が変化すると分泌液を出すが、これほどの強さは他には見られない。粘液の塊が堆積物をトラップし、粘り気のあるものを放り出しているのかもしれない。ただそのような粘液生産は、エネルギーを必要とするため、クラゲがそれを継続できるかどうかは不明である。

クラゲにとって採掘、退屈なものであってほしい。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 27, p. 6.

DOI:10.1038/s41467-023-43023-6

23.12.18

| | コメント (0)

6回裏

 阪神タイガースは円陣を組んだ[1]。今岡真訪打撃コーチの提案だった。5回裏まで佐々木朗希投手がタイガース打線をノーヒットに抑えていた。そこで円陣を組んで秘策を選手に伝えたのかと思いきや「これまで通り、変わったことはしなくていい」みたいな話だったらしい。今岡コーチは、このアクションで「何かを仕掛けてくるのではないか」と相手に思わせることができるかもと考えた。攻撃が始まり、フォアボールを選んだ打者、投手の暴投もあってノーヒットで3塁まで進み、タイムリーヒットで先制点を取ることができた。結果が良ければ作戦が讃えられ、失敗すれば愚策だったという評価をしてしまう中、試合の序盤か終盤か、一点を獲得するにはどうすれば、選手の力量、相手の守備、色々なことを考えて次の一手を出す。9月9日の阪神–広島戦では大竹選手にバスターヒットのサイン。このサインにコーチも選手本人も???。もう一度サインを送ってほしいという選手の仕草。「ここでバントを指示すればかなりの確率で失敗する」と考えた監督の出した一手だった。これで行ってきますとなった。

 コーチの構築した円陣で、エンジン全開。

[1] 阪神タイガースTHE MOVIE 2023 栄光のARE

23.12.17

| | コメント (0)

フラーレンは

 数十年以上に渡って化学者を魅了し続けている。このかご型分子を炭素以外の元素から導くことへ挑戦している研究グループもあるものの、これまでのところそれを安定化させるためには配位子を必要としていた。それに対して今回、溶液法で[K@Au12Sb20]5-が合成された[1]。X線結晶構造解析の結果は、分子がSbのドデカヘドラル構造とAu原子のアイコサヘドロンが連結していることを示していた。それぞれのAuがSbのペンタゴナル面の中心にあった。Au原子はかごを伸ばし、全体で32原子しかないもののC60とほぼおなじサイズになっていた。この分子は、重原子のみで構成された大きな球状のクラスターが中にあるK原子だけで保たれて、外部配位子がなくても個別に存在している。金属クラスターに関する研究に携わっている研究者の一人は、この新たな分子の溶液中での挙動の面白さと応用の可能性を指摘している。またこの研究の推進者は、合成途中で自分達を驚かせる発見にしばしば出会うこと、あたかもチョコレートの箱の中に入るが如くであると述べている。

 クラスター君、どこのクラスだ〜

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 27, p. 6.

DOI:10.1126/science.adj6491

23.12.16

| | コメント (0)

火星に実験機器を

 送るのは高価であるため、人が探索するために必要な酸素を火星にある物質から生産できれば経済的である。火星には氷水があることが最近明らかになっているために、太陽エネルギーを用いた水の分解で酸素を発生できる可能性がある。そこでこの反応のための触媒を開発するために研究らは、レーザー分光学を使うロボットアームを持つ機械をつくり、5つの隕石のサンプルの分析を行った[1]。その機械が持つAI脳は、理論的なシミュレーションによって、370万以上の有望な触媒を提案した。ついで機械学習によって水の分解に適した243の触媒が予測された。ロボットはこれらの候補を合成しさらに試験をして、最適触媒を考案した。この結果を得るのに6週間を要したが、人が行なっていると2千年以上を必要としたかもしれない。隕石を処理するために必要な酸とアルカリ成分は火星の塩水を利用し得る。火星にある物質1 m2当たり平均で60 g/1 hの酸素をロボットは生産できる。人は一日850 gの酸素を必要とするが、AI化学者は太陽光発電15時間でその量の酸素を供給できる。

 今日急でも、供給。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 27, p. 5.

DOI: 10.1038/s44160-023-00424-1

23.12.15

| | コメント (0)

視覚情報と音声情報が

 ずれていると一般的に人は混乱するため、これらを同期させて認識している。ただこの同期は、一瞬の判断と緊張を強いられるプロサッカー選手のゴールキーパーの場合はどうかが研究された[1]。研究者らは、被験者にビープ音の回数と閃光の回数を尋ねることにした。一般人は、ビープ音が2回で閃光が1回の場合でも、ビープ音が速い速度で連続して鳴ると閃光も2回であると錯覚する。それに対してゴールキーパーの場合には、錯覚する頻度が少ないことがわかった。ちなみにゴールキーパーと一般人との別の違いは「地面に体を投げ出して、シューズやボールの前に顔を出したくなる」性格である。多くの一般人は飛び込もうとうはしない。ゴールキーパーにはまた、素早い情報処理とピッチ全体を見渡す対極的な視野が求められる。このスキルはビジネスの上でもチームを率いるのに役立つ。なお研究者らは、このような感覚統合の違いが、他のスポーツも含めて、生まれつきであるのかあるいは後天的に身についていくのかも明らかにしたいとしている。

 サッカー選手と錯覚に関するお話でした。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 40.

DOI: 10.1016/j.cub.2023.08.050

23.12.14

| | コメント (0)

カフェインの

 刺激効果は眠りにつくのを妨げる。抗うつ作用を示すアルコールは落ち着いて眠ることを邪魔する。それぞれに関する詳細な研究はあったが、その組合せについての研究例はなかった。かつてウオールストリートで働いていたある臨床心理学分野のPhD候補者は、このコンビがそこでは人気があることに気がつき調査を始めた[1]。トレーダー(投機家)17人に、アルコールとカフェインの摂取と睡眠の詳細について6週間分を報告してもらうようにお願いをした。その結果、同じ日にどちらも飲んだ場合の方が、より良い眠りだった。当初は二つの負の効果が合わさった結果になるのではないかと予想していたこととは逆だった。むしろそれぞれが有する効果を緩和している結果だった。それに対して調査を行なっているPhD候補者は、これは魔法の組合せではなくて、カフェインが短期間の警告を発し、それがより良い睡眠であると誤解させている可能性を考えた。また長期的にはこの感覚によって人は正気を失い、睡眠に対して有害な因子になり得るとも述べていた。なお認識と現実とのずれ、これは投機家が日々扱っている課題である。

 カフェインが、フェイントか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 40.

DOI: 10.1371/journal.pone.0291675

23.12.13

| | コメント (0)

人が書いたテキストか

 AIが生成したテキストかを区別するために、機械学習アルゴリズムが使われ、20の文章が分析された[1]。それらは句読点や化学の専門用語も含まれる。新しい検出器は、ACSが発刊するジャーナル10種類に記載された序と、ACSの論文のタイトルやアブストラクトをもとにChatGTPが作成した序を使って訓練された。研究者らによれば、序の部分が最もAIテキスト生成で書かれる部分であるため、それがフォーカスされた。さらにこのツールを開発したのは、研究者らはどの程度、AIが執筆したものを自分自身のものであるというふりをするかを理解するためであるとも述べている。これまでのツールの精度が10–56%だったのに対して、今回開発した化学に特定した検出ツールの精度は98–100%だった。さらに今回の検出器は、訓練中には含まれていなかった、化学ジャーナルにあるAIが生成した序を92-98%の確率で見分けることもできた。

 AIがテキストをテストしました。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 15.

DOI:10.1016/j.xcrp.2023.101672

23.12.12

| | コメント (0)

米国FDAは

 アップル–シナモンピューレに含まれるppmレベルの鉛について調査中である[1]。FDAは消費者に対して、急性鉛中毒の症状の子供の健康被害に関する7つの報告を受け取った後、三種類のブランド名で販売されていたリコールされた商品を食べないように警告した。鉛汚染の原因を特定するFDAの調査は継続中で、他の製品でも同様に病気と関連するかも調査中だ。三つのブランドのうち一つは、シナモン原料の鉛レベルが上昇していたため、自社ブランドのアップルソースポーチを回収した。もしシナモンが原因であるとすれば他の製品にも拡大する可能性がある。このシーズン、シナモン入りのパンプキン香辛料がグロッサリーストアの棚に陳列されている。香辛料の中の鉛含有量の上限に関する法律がない中、2016年ニューヨークでは、州で販売されている香辛料の鉛上限を1 ppmとした。それ以来、1 ppm以上の鉛を含むシナモンを1ダース以上回収している。アメリカ疾病管理予防センターは、鉛には安全なレベルはなく、重金属は特に子供や発達中の脳に有害であると指摘している。

 シナモン入りの品物が対象か。諮問しなくては。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 14.

23.12.11

| | コメント (0)

どんな時に人は

 飢えや満腹感を感じるのか[1]。ホルモンであるグレリンは主に胃から放出されるがこれによって飢えを感じる。お腹が鳴るのは、移動するモーター錯体(MMC)によって引き起こされるが、MMCはホルモンであるモチリンが始動させる電気的な活動のパターンであり、それは非消化性物質をお腹から一掃して小腸へ運ぶ収縮活動に繋がる。食べ物の香りは、延髄の唾液センターにシグナルを送り、さらに神経伝達物質が唾液腺を刺激して唾液が発生する。応力あるいは化学的な消化が食べ物を分解する。消化系の複数の場所で酵素が生産され、これが異なる種類の生体分子を砕く。胃の中の塩酸は食べ物を壊しバクテリアを殺す。食べると、脂肪細胞はホルモンであるレプチンの放出を促し、これが満腹感をもたらす。たくさん食べると疲れを感じる。これは血糖値に対する糖質の効果である。炭水化物を消化すると血糖値は上昇し、体はそれを調整するためにインスリンを放出する。インスリンは血糖値を下げるとともに、疲労感をもたらす。

 消化について、紹介しました。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 23

23.12.10

| | コメント (0)

レイボックホール

 冷房はこの時期オフ(多分)。大宮にあるこの会場で第50回有機典型元素化学討論会が開催された。200名余りの参加者、そのうち学生さんが120名弱。昨年に引き続きこのムードが帰ってきた。こんな化学やってみたいという研究者個人の発想がベースになった研究展開。一般講演でも話し終えた後には拍手。質疑応答の後降壇する時にも拍手。この習慣が始まった頃は最後だけだったのが、度手を叩くようになっていた。機械学習をベースにした物性の予測と実験結果の検証。面白い構造、物性の新しい分子。この討論会ならではの分子設計。この日の講演が終了した頃、ある先生に声をかけられた。「先生の好きな分子、今日の日付、サイン」をお願いしますとのこと。う〜と考えて、chirality transferとその化合物を描かせていただいた。懇親会会場はさいたま新都心にあるホテル。しんとしんといかんわけではない。賑わう会場。地元のお酒。堪能してしまった。翌日全ての講演が終了、優秀学生講演と優秀ポスター発表の表彰式。賞を授からなかった学生さん、僅差である。第51回の討論会は京都開催で、再会。埼玉大学のスタッフの皆様、学生さん、大変お世話になりました。

 大宮、飲み屋でもお世話になった。

23.12.9

| | コメント (0)

ヴェニスの大学の研究者である

 R. C. Pullar氏の場合、ET Nanoに、自分自身の分野とは全く縁がないマイクロプラスチックに関する論文が彼の名前で掲載されていた[1]。しかもそれは他の人の執筆した著作権を有する論文からの盗用である。これは明らかに科学的な詐欺である。彼は彼自身の名前が不当に使われていたことよりも、その論文は誰も見ることはないだろうけれども、科学出版の基本原則に完全に反していることに怒りを感じている。そこでET Nanoのいくつかの論文をチェックした。実際に著者が書いた論文は、著者名がフルネームである一方で、フェイクや盗用によってできた論文の著者は、ファーストおよびミドルネームがイニシャルだけである。また偽り論文の著者は欧米の国由来の傾向があり、その論文には大抵2論文以上の引用がET Nanoの論文である。Pullar氏は、 ET Nanoに掲載された論文が、別のジャーナルからのコピーの場合には、もとの出版社とコンタクトして、著作権侵害であることを伝える計画である。出版社には、Elsevier, Wiley-BlackwellやInstitute of Physicsも含まれる。「Elsevierは著作権を侵害されていることを気にしているかもしれない」と彼は述べている。

 ET Nanoの主導者、名乗りでませんか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 21.

怪しい論文誌、最終回

23.12.8

| | コメント (0)

ET Nanoのwebサイトによれば

 論文誌の編集委員長Y. Al-Douri氏の所属は、トルコの研究所だったが、科学者たちが彼にコンタクトしようとした頃、アラブ首長国連邦の大学に変更になっていた。以下ET Nanoに関するいくつかの事例である。・フランスの国立研究所のP. Ruterana氏は、ET Nanoの編集顧問委員会に不当に名前が掲載され、P. Ruterana氏の名前を記載した、まちまちのトピックの論文も公開されていたが、Al-Douri氏に連絡したところ、委員会から名前が消されて論文も取り下げられた。Ruterana氏は10年以上前Al-Douri氏が大学に訪れて5分程度話をしたことを思い出していた。・ニュージーランドの研究者P. Schwerdtfeger氏の場合、彼が著者の論文はソフトウエアが作成したもののようだった。センテンスや図を注意深く見ると、それは論文としては大きな間違いであることがわかる。そこでAl-Douri氏にコンタクトして論文から名前を外すように依頼したところ、実際に名前は消されたものの、おそらくニュージーランドをベースにした架空の人物の名前で論文が再び掲載されていた。ET Nanoのプロモーションのために編集者は、偽りの名前を加えている可能性がある。「様々な国の著者があれば、より正統な論文誌であるように見える。ただ中には実際の論文も掲載されているために、単に休業するということにはならないだろう」とSchwerdtfeger氏は述べている。

Al-Douri氏に、道理を。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 21.

怪しい論文誌、第二回

23.12.7

| | コメント (0)

地球科学者Fischer氏は

 論文審査の後、編集者から審査結果と他の査読者の報告も受け取った[1]。その報告の中には引用すべき論文の長いリストが含まれていた。しかもそのほとんどがET Nanoに掲載の論文だった。ET Nanoのwebサイトによれば、この論文はアラブ科学技術財団が発刊する論文誌である。ただ彼はこの論文誌の名前を聞いたことがなかったため「それは不当な引用によって評判を上げようとする怪しい論文誌(predatory journal)ではないか」と考えた。調べてみると世界中の著名な研究者の論文もあったが、いくつかの研究者らの所属が違っていた。所属が正しい場合でもその研究者の分野と全く異なる分野の研究論文だった。 ET Nanoでは、怪しい論文誌に典型的な不正なやり方と、広く認められている論文誌でも起こり得る微妙な不正行為がないまぜになっていた。Fischer氏がコンタクトした多くの研究者は、それは自分の書いた論文ではないこと、ET Nanoは聞いたことがないと回答した。そのうちET Nanoとコンタクトした研究者の論文は、正式な論文掲載取り下げの文言もなく消えていた。出版倫理委員会(COPE)は「一旦掲載された論文を取り下げた場合には、取り下げたことを記すと同時にその理由も述べ、論文そのものはオンライン上に残しておくことを」指針としている。

 ETはエチル基ではない、おそらく。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 20.

怪しい論文誌、第一回

23.12.6

| | コメント (0)

海底火山であるフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイが

 2022年1月に噴火し、灰とガスが上空56 kmまで到達した。さらにこれまでには観測されたことがない量の水が成層圏に届いた。この噴火の数日後、予想以上に多くの量の硫酸塩エアロゾルも観測されたことを研究者らは報告した[1]。これは主に、高いレベルの水の蒸気が火山が放出する二酸化硫黄の硫酸塩エアロゾルへの変換を促進したためである。別の研究では、2022年南半球の水蒸気のレベルが高いままで、そのまま南極まで移動していることもわかった[2]。さらに南中緯度でのオゾンや塩化水素の前例のない減少、熱帯地方での一酸化塩化や硝酸の増加も報告された。コンピューターシミュレーションの結果は、水蒸気や二酸化硫黄が入り込むと、成層圏での組成が変化することを示していた。研究者らは、成層圏での高い水蒸気レベルは数年間継続し、南極でのオゾン層の減少も増幅されることを予測している。ただ保護オゾン層の減少は一時的であると考えられるが、引き続き監視しておく必要がある。

 ここでの監視、肝腎で感心です。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 7.

DOI:10.1073/pnas.2219547120

[2] DOI:10.1073/pnas.2301994120

23.12.5

| | コメント (0)

アレを

 使うという[1]。大坂城を取り囲んだ30万の徳川軍、方や豊臣方10万。徳川方の連勝なるものの、真田丸の前で多くの犠牲者も出た。ここで大坂城北側に配備したアレ、ここでは目指す先ではなくて戦闘兵器である大筒だった。「脅しのために置いたのではないか」と聞く秀忠。秀頼に嫁いだ娘の千姫のことが頭によぎっていたはずである。対する家康「身内を守るために戦を長引かせはいけない。犠牲者を抑えるためにアレを使う」と言う。えっ?この理屈、原子爆弾を投下した米国が後に、人を説得させるために用いたのと同じはないかと思った。実際に砲弾が大坂城に向けて発射された。「卑劣な」と言う豊臣方の幹部、でも動揺が走る。「女たちを天守閣に逃せ」と秀頼が命ずる。逃げる女性たちの上に崩れた屋根が落ちてきた。アレが発揮する威力を感じた秀忠「やめてくだされ、これは戦ではない」と父に迫る。対する家康「戦は最も愚かで醜い人の所業」と呟いた。現実の世界に引き戻されて、ロシア–ウクライナ、イスラエル–ハマスのことがよぎった。

 江戸の初期にもアレ。あれへんと思っていた。

[1]「どうする家康、第46回」

23.12.4

| | コメント (0)

アレが

 流行語大賞に選ばれた。ただこの言葉が阪神タイガースの今年のチームスローガンだったのを知ったのは夏を過ぎた頃だった。アレ(ARE)???最初は「We are••••」みたいに思っていた。そこで球団のWebサイトを見た。Aim! Respect! Empower! だ。「Respect、敬意」に衝撃を受けた。戦う集団であるチーム、それを後押しするスローガンが多い中、違った。「フロント、監督、園芸を始めとする裏方さん、選手、戦う相手選手、球場、野球道具・・・」に敬意を表すること、生きていく上での基本である。一方「アレ」は「優勝」と言う言葉を緩和するためだったとも言われる。期限はリーグ優勝まで。日本一を目指す言葉は「アレのアレ」になった。ここ数週間様々なイベントが続くタイガースナイン。来年のスローガンも話題になった。「初めて佐藤、凄いと思ったわ」と監督がコメントした佐藤選手考案の「アレンパ」、英語表記のA R Empower(アレンパ)(わー)とも符合していた。

 スローガン、老眼でも読めた。

23.12.3

| | コメント (0)

師走でおわす

 し忘れたことをする月、と毎年言っている。で今年は、何をし忘れたかを思い出すことを忘れていた。昨年の今頃はある書籍のリニューアル版をまとめていた。含Se、Te化合物の合成方法、過去15年ほどの論文を集める。そこから一般的合成法と具体例を引き出す。書籍は、具体例では収率と重さの記載を求めていた。とはいえ収率だけの記載の文献、テーブルと具体例で異なる収率。誰か助けてくれ〜、SOSと思いながらもやり終えて今年の2月、編集者に送った。完成度にお褒めの言葉をもらって解放されたと思っていたら、リーグ優勝が決まった9月の半ば頃、たくさんの質問が届いた。実験手順に具体的な精製方法も加えて欲しいなどなど。でも改めて文献を見ても記載がないものの多かった。完成させることができずにひと月ほど経過した頃、reminderが届いた。このreminderにまいるんだ〜と思いつつ、別のお仕事では自分がreminderを出す側になっている。ようやくお返ししたらさらに質問が届いたが、かなり数は少なくなっていた。それから1ヶ月ほどしてゲラ刷が届いた。すべての参考文献の著者名が原著論文と同じであることも確かめて欲しい。当然対応すべきこととは言え、これをし忘れていたことを思い出した。

 やり終えて「師走、幸せです」になりますように。

23.12.2

| | コメント (0)

フルオロアルキル基は

 医薬品分子の安定性や振る舞いに対して大きな恩恵をもたらす。そこで科学者はトリフルオル酢酸やその類縁体をフルオロアルキル基の導入源にしたいと研究を行っていたが、酸の高い酸化電位がそれを難しくしていた。その中今回、カルボン酸に配位し、内圏プロセスで密かに一電子を取り出す鉄光触媒を使った反応が開発された[1]。この過程で酸は二酸化炭素を失い、フルオロラジカルが形成し、電子豊富なアルケンに付加する。最後にチオール共触媒が水素を供給し、生成物を与えるとともに鉄触媒が再酸化される。反応は温和な条件で進行し、アルケン上の官能基は反応条件の影響を受けないため、その後の修飾にも利用できる。そのためこの方法は医薬品や天然物の様な複雑な分子への適用できる。ちなみに多くのフルオロアルキルカルボン酸は市販で入手可能であり、地球に豊富にある鉄を触媒に用いている点も、反応の汎用性を高めている。

 内圏プロセスがあるけんで、アルケンに付加だ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 November 20, p. 7.

DOI: 10.1038/s41557-023-01365-0

23.12.1

| | コメント (0)

« 2023年11月 | トップページ | 2024年1月 »