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2024年1月

エリザベス・ゾット

 彼女は大学院時代、メンターや大学の不当な仕打ちで、博士の学位の取得を断念した[1]。その後、ヘイスティング研究所で職を得たものの、実験助手の立場で、凡庸な研究者をサポートすることを余儀なくされていた。そんな中、同じ研究所に所属する変わり者のライジングスター、キャルヴィン・エバンズとビーカーが縁で知りあった。生命起源論に関するお互いの知見を認め合い、議論を通してソウルメイトになっていった。ボートの漕手でもあったエバンズは、半ば強引にゾットを早朝のボートの練習に誘った。失敗を重ねていくうちに、8漕艇の2番漕手も経験したゾット。シックス=サーティーと名づけられた犬が同居するようになった。そんなある日、不慮の出来事でエバンズがその家を去った。残されたゾット、子を授かっていた。同じ頃、上司の常識はずれの対応が故に、研究所を解雇されてしまった。自分の家のキッチンを研究室に改装した。もちろんきちんと。誕生した女の子マデリンをなんとか育て、訪ねてくるかつての研究所のメンバーにアドバイスをしながら細々と研究と接点を保っていた。子供が縁でテレビ局から、新たな企画「午後6時に夕食を」への出演をオファーされた。受諾したゾット、食材の中に含まれる化合物名やその作用を、化学基礎の講義も交えて話す。思慮深く育つマデリン。生活面をサポートする近所に住む主婦ハリエット・スローン。ゾットと付き合う中で重大な決断をした。2年続いた番組も「化学入門の講義を終わります」で幕を閉じた。その後の衝撃の展開。ジェットコースターが疾走するような話の展開と面白さ、535ページが一挙に通り過ぎてしまった。

 化学が好きな人、化学が嫌いな人、化学に全然興味のない人に、お薦めです。

[1] ボニー・ガルマス著、鈴木美朋訳、「化学の授業を始めます」(原題:Lessons in Chemistry)

化学についての話の一例

「結合を学べば、命の基礎そのものがわかるから・・・」

「水素結合-三つのなかで、もっとも脆く、壊れやすい結合です。わたしはこれを“ひと目惚れ”結合と読んでいます。・・・プツン。脆い繋がりはそこで切れてしまいます」

斬新です。

24.1.31

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今も農家では

 自然発酵が主である[1]。これは農家の関心不足よりも、アクセスできる情報が不足していることが大きい。ただこれまでのプロジェクトは、発酵の間に何が進行しているのかへの興味をそそり、多くの質問も投げかけられている。そこでプロジェクトチームは農家に対して、より理解しやすい報告を準備し、とりわけ温度とpHの重要性や、情報を発酵の途中でどのように活用するかについて説明することを目指している。その結果、何件かの農家は、発酵中の温度やpHを追跡し、いつ乾燥を始めるべきかを判断し始めている。トリニダードのある農家の人がつくるカカオ豆は、2015年のカカオ優秀賞で世界のトップ50の一つにランクされた。その人もプロジェクトに参加して集めたデータで、これまで7日間の発酵だったのを5日間に短縮し、過剰発酵になることを回避できている。プロジェクトの成功の鍵の一つは、チョコレートメーカーと農家の間の連携である。農家が、高品質な香りのココアの新しいマーケットを見つけることを可能にする。消費者が香りのいいチョコレートを求める先は、異なる多くのぶどうから製造されるワインのように、地域の環境によって正確に制御された発酵過程が、多様な香りをもたらすことである。かなり有望であるものの、多くの研究や働きが必要である。

 チョコレートに関する、レートはゼロの長講でした。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 18.

「チョコと化学」最終回でした。

24.1.30

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タンパク質加水分解による

 上品な風味を生み出す方法も開発されている。酵素がタンパク質を加水分解すれば、多くのアミノ酸が得られる。ただ現状ではペプチドがどのように香りに影響しているのかはほとんどわかっていない。以前公開されたデータのメタゲノム研究は、上品な風味のチョコレートの中には、より多くの多様なペプチドの存在を示していた。一般にこれらのペプチドは、バルクのココア由来のチョコレートに含まれるペプチドよりも短かった[1]。発酵の温度とペプチドの分析結果に関する以前の研究では、発酵の後、高い温度のままでしかもそれがほぼ一定の状態で豆は4日間保たれる[2]。この高温状態が、酵素加水分解と、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチドの生成の適切な条件ではないかと研究者は考えている。ただどのペプチドが香りに最も大きく影響するかは、酵素がタンパク質を処理することができるペプチド配列の数がわかっても、同定することは容易ではない。これらの配列を感覚のプロファイルにマッピングするためには将来、多くのペプチドミメティクスの研究を推進する必要がある。

 ミメティクスについて、未明にテキストで学ぶ。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 18.

DOI: 10.1016/j.foodres.2023.112555

[2] DOI: 10.1038/s41598-021-01427-8

「チョコと化学」、第5回でした。

24.1.29

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微生物や酵母を

 活用したチョコレートの香りの再現や利用はかなり困難を伴う。それに対してチューリッヒのCRCでは独特な方法を採用し、プレミアムチョコレートを生産している。伝統的な発酵における微生物ネットワークの詳細を調査することなく、堅牢なチョコレートの香りをつくろうとしている[1]。湿式培養(moist incubation)と呼ばれる製造法は、発酵前の粉砕したカカオ豆から始める。豆を酪酸とエタノールを含む懸濁液の中で72時間加熱、酸素の添加、最後に得られた豆を乾燥させることによって発酵のような処理をする。エタノールの濃度次第で、微生物はほとんど成長できず、自然の発酵よりも速くて操作しやすい。この湿式培養で生産されたチョコレートを、感覚パネリストが試験をした結果、芳香は、通常の方法で発行されたココアよりも、フルーティー、花のようで、麦芽の香りも強く、キャラメルのようであると評された。ただこの方法は特別のチョコレート製造には適しているものの、大量の熱を必要とするために、年間5百万トンのココア製造には不向きである。

 湿式培養、一式を倍利用できますように。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 17.

DOI: 10.1021/acs.jafc.1c08238

「チョコと化学」、第4回でした。

24.1.28

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チューリッヒ大学の

 食品化学の研究室では、チョコレートサンプルを蒸発させてそれらを成分分子に分離するために、二つのパスに流される[1]。パスの一つは通常の質量分析で、もう一つは人が鼻で判定できるポートである。この技術のコンビが、人が匂う香りを生み出すチョコレートの中の分子を同定することを可能にしている。チョコレートは、バニラのような分子の香りよりも、かなり複雑である。チョコレートの香り分子はココア豆の中にはない。チョコレートは、特別な環境や地域で成長した様々なカカオの木や微生物社会に由来する、異なる化合物のブーケである。そこで研究室では、ガスクロマトグラフィー臭度測定も導入し、チョコレートから揮発性有機化合物(VOCs)100以上を検出し、それらを検証した。その中のいくつかの化合物が、主なチョコレートの香りである場合でも、実際にはそれらの濃度は5 ppb以下の場合もある。それらを理解するためには入念に調べる必要があるが、人の鼻は、それらの香りを比較的簡単に識別することができる。特徴的な香りを有するVOCsとして、酸っぱい香り、フルーティーな香りは、2-メチルブタン酸エチルや3-メチルブタン酸エチルのようなエステルに起因する[1]。焙煎ココアの香りは、2-メチルブタナール、フラノンやジメチルトリスルファンに、花のような渋い香りは、ポリフェノールフラボノイドと関連する。

 鼻で分析、華々しいハナリシスです。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 15.

DOI: 10.1021/acs.jafc.2c04166

「チョコと化学」、第3回でした。

24.1.27

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ココア研究センター(CRC)では

 2021年からカカオ豆の発酵を農場で観察している。発酵や乾燥過程での、カカオの温度やpHをモニターしている。凍らせた豆のサンプルをトリニダードのCRC研究所へ送る。そこでは、どの微生物が作用すると、発酵によって、最初は香りのない豆が、フルーティー、花や木の実の香りや風味をもつ、あるいはクリーミーやスパイシーなチョコレートになるのかが研究されている。ココアリキュールの官能分析が、発酵、焙煎、すりつぶしによって得られるカカオ豆から得られるペーストの中の香りを特定する。これらの数値や官能データは、チョコレートの発酵に隠された化学の理解の一助になる。例えば分子と官能性との相関を明らかにできる。さらに発酵の際の香り成分を製造するイーストやバクテリアのネットワークを解析して模倣することも可能である。さらに研究所では、農家が微生物のライブラリーから欲しいものを選び、最も自分達に合った香りを経験することができるようにしたいと考えている。

 トリニダードに、とりに行くんだ〜ど。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 15.

「チョコと化学」、第2回でした。甘い香りがしてきましたと、指摘して欲しい。

24.1.26

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通常のココアは

 ブレンドされるのに対して、Jagassarさんは、独特の味でかつ繊細な香りのチョコレートを製造する[1]。彼はヒューストンで訓練を受けた後、2018年に故郷のトリニダードに戻った。そこで繊細な香りのチョコレートのためには、より科学的なアプローチが必要だと考え、西インド諸島大学にあるココア研究センター(CRC)にコンタクトした。彼の私有地がCRCの新たな取組みを行う農場になった。CRCの目的は、ココア豆が口当たりのいいココアに変化する仕組みを理解し、チョコレートの香りに隠された分子の探索である。市場に90%程度出回っているバルクのココア1トンあたり2,500から3,000ドルに対して、繊細な香りのチョコレートのためのココア豆は、5,500から6,800ドルである。Jagassarさんは、自分自身のココアだけを使った、いわばシングルモルトのようなチョコバー(bean-to-bar)を16.4ドルで販売することができる。さらにbean-to-barのマーケットは、今後5年間は年間7.8%の拡大が予測されている。

 高感度抜群のチョコレートとの交換です。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 15.

「チョコと化学」、第1回でした。6回シリーズです。

24.1.25

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2-ホスフィノホスフィニン配位子を

 博士課程の学生時代に合成した研究者は、その配位子のニックネームとして2Phos2Furiousを提案した[1]。これは邦題「ワイルド・スピード」という映画のタイトルのフランス語版にちなんでいた。配位子が有する二つの供与性リン原子の特徴を反映し、研究者がホスフィニンを取り扱った時のフラストレーションと困難さを反映していた。合成は困難で不安定な分子だった。博士課程の最初の2年間、その一連の化合物を用いて様々な有機金属反応を行なったが、その間は波乱に満ちていた。このことをXに投稿したところ、500以上の「いいね!」を獲得している一方でCASからは何も連絡がない。そこで編集者がCASにニックネームが掲載されるのはどのような場合かを問い合わせたところ、科学文献で発表されている、特許取得あるいは商業的に利用されている場合であるとのことだった。なおその配位子の研究は今も継続中である。

 その邦題、いいほうだい。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 48.

24.1.24

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植物由来の食肉の

 原料として、さまざまな植物のタンパク質が使われるが、大豆とえんどう豆が最も一般的である[1]。植物タンパク質から、食肉のような構造をつくるために、水蒸気押し出しを利用する。これによって植物タンパク質が、開いて凝縮、交差連結して、実際の食肉のような層状の繊維構造が形成される。ビートや紫人参からの植物抽出物を添加して、植物由来の食肉の色が改良される。場合によっては遺伝子改変したイーストからのヘムを加え、実際の食肉にある血の雰囲気が醸し出される。食肉ではメイラード反応によって鍵となる香り化合物が生まれる。それに対してイースト抽出物や加水分解した植物タンパク質からのアミノ酸や糖分を加えて、実際の食肉の香りを引き出す。実際の食肉が持つ動物の脂肪酸の口当たりを再現するために、液体植物オイルとトロピカルフルーツからの固体の脂肪酸をブレンドしたものが使われる。植物からの糖鎖ポリマーは、製品の厚さと均一性を改善する。最後にスパイスやハーブで、植物タンパク質の独特な匂いをマスクし、ミネラルやビタミンを加えて実際の食肉と比べて不足している成分を補う。

 食肉の試食に、師匠と一緒に行く。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 25.

24.1.23

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Coscientistと名づけられた

 システムはChatGPTを利用する[1]。「多くの鈴木反応を実施しなさい」という指示(prompt)をすれば、人工知能はインターネットを閲覧して反応を学習、さらに関連する論文や資料を徹底的に調査する。数分後、それらの反応を行うために必要な手順を説明する。加えてロボットが実験を行うために使用するコードも作成。このシステムでは、ビット(2進数での単位)を元素に変換し、自然言語とビットで実際の化学反応を表現している。例えば、Pd触媒の鈴木反応を収率50%で迅速に完了させた。しかもアスピリンやイブプロフェンのような通常の医薬品を導く手順を正確に計画することもできた。開発した研究者はこのシステムが不法に利用される可能性も鑑みて、他の研究者らや政策立案者とも共同で、悪用を防ぐことも行っている。Coscientistや他の研究者らが開発したChemCrowのような人工知能化学者は、設計と試行実験のサイクルを全自動化できるため、研究者らは他の業務に時間を割くことができるようになることが期待されている。

 Cosicentistを、こさえた人と、交際の縁できるかなあ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 January 8, p. 7.

DOI: 10.1038/s41586-023-06792-0

24.1.22

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トリピーッリャ

 現在のウクライナ、モルジブと呼ばれている地域に7000年ほど前にあった町である。ここには15,000人以上が住んでいた。その農業技術は以前考えられていたよりも洗練されていたことが今回報告された[1]。その地域からたくさんの動物の骨、穀物や少量のエンドウ豆の種が見つかった。このことは食事には多くの食肉が含まれていたことを示唆している。ただし、動物の骨、人の骨、炭化した穀物やエンドウ豆に含まれる炭素や窒素同位体の分析は違った食事であることを示していた。研究者らは、タンパク質や必須アミノ酸を多く含む、エンドウ豆や他の豆類さらには穀物を集中的に栽培していたと結論づけた。さらに畜牛、羊やヤギを、フェンスのある牧場の中で育てている。食事では、わずかに食肉が提供されていた。なお畜牛は、エンドウ豆のための肥料をもたらすという点でも重要だった。これは肥料を積極的に利用した歴史的に最も早い例である。またコンピューターモデリングは、トリピーッリャの食事の10%程度が食肉、残りはエンドウ豆と穀物がおよそ50:50であることを示していた。

 トリピーッリャにもトリピー[2]はいたのかなあ。

[1] Chemical & Engineering News 2023 January 8, p. 7.

DOI: 10.1073/pnas.2312962120

[2] https://www.yumeminatotower.gr.jp/shop-restaurant/toripi/

24.1.21

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マイナンバーカードの

 電子証明書の更新の時期だという通知が来た。5年毎である。これまでその証明書を使ったことがないけど、更新はこうしんといかんという場を体験するのもいいかと、8時半頃に近くの市役所の出先機関に出向いた。昨年、同じ場所に昼頃に訪ねた時の思い出、待ち時間40分ほど、手続き5分ほどだったことを思い出す。今回はさすがにすぐに対応してもらった。必要書類を出す。画面で四桁の暗証番号を入れる。次に英数で作成した暗証番号、もう一度四桁の暗証番号を入力。やることはこれで終わった。しばし待ってお呼びを受けて、手続きは終わりましたと伝えられた。そこで電子証明書の写しを受け取ったものの、何も変わっていない。そこには実感がない。5年後の更新の際には、新しい写真が必要だとのこと。え?と思ったもののお聞きはしなかった。免許証の更新のように写真はその場で作成されるのか、事前に撮影して持参なのかは。5年の間に何かがまた変わるような予感がした。

 予感はしたものの、羊羹は買わずにおいた。

24.1.20

 

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ホッキョクグマは

 底冷えする北極でも、毛皮にある体毛によって暖かく過ごしている。この体毛は、厚い殻で囲まれたかなり多孔性の中心部によって特徴づけられる。そこで研究者らはエアロゾルを核として伸縮性のポリマーコーティングを使って、このクマの体毛の構造を再現した[1]。得られた繊維で編んだセーターは、5倍ほどの厚さのダウンジャケットと同じ程度の暖かさを保持することができた。研究者らはすでに体毛の構造をヒントにして、熱をトラップできるステルス繊維をつくり、これを身につけている人を熱感知カメラから隠すことに成功していた。今回伸縮する熱可塑性ポリウレタンの層にあるキトサンエアロゲル繊維をカプセル化した。この手順は単純であるものの、カプセル化が繊維の性能をかなり向上させている。通常の繊維は2%の歪みにしか耐えることができない一方で今回の繊維は1000%の歪みでも伸縮する。洗うことや染めることもできて、複数回の伸縮の後も断熱性は保持されていた。

 体毛で大望を果たすことができたのかな。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 6.

DOI: 10.1126/science.adm8388

24.1.19

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大気中のCO2

 の排出の要因の一つが、腐るか燃やされてしまう樹木である。それに対して研究者らは、塹壕を掘って、そこに樹木の丸太を埋め込む方法を提案した[1]。保管林にある木から作成した未使用の丸太を地下数メートルのところに埋める。ついでそこに粘土を被せて、酸素が不足する環境にすると木の崩壊が停止、あるいは低減されて、結果としてCO2放出を減らすことができる。この方法で丸太は数千年さらにもっと長く貯蔵できると研究者は述べている。2007年に始めたパイロット研究では、テーダマツを切った100本を異なる深さに埋めた。その結果、木の表面が崩壊するまで数年かかった。さらに2013年からモントリオールで実施したプロジェクトでは、4 mの深さの塹壕に31.8トンの不要な丸太を埋めた。およそ9年後1.5 mより深いところにある木はほとんど腐っていなかった。外挿した結果は、97%の木が100年以上崩壊せずに保持されることを示していた。加えて2022年始めた炭素ロックダウンでは、南メリーランドにあるポトマック川近くの地域の森から伐採した、4536 トンのCO2に相当する木を埋めている。

 丸太、埋まるんだ。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 6.

24.1.18

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WOCJC-12

 今回はTokyo Tech(日本)が担当の、KAIST(韓国)、NHTU(台湾)の有機化学関連の先生と学生とのワークショップ。全ての発表の座長を学生さんが担当し、質問が許されているのは学生さんだけだった。どの口頭発表、ポスター発表も洗練されている。それでも順位をつけなくてはいけない。ほとんど差がない。多くの先生が審査をした結果、三日目の懇親会の場で表彰式が開催された。今回BCSJ賞が口頭発表の中の最高の賞だった。受賞された学生さんの感激の表情やそのしぐさに会場が大いに盛り上がった。指導する先生も大いに喜んでおられた。その後ビンゴゲーム、元素記号が市販のシートに並んでいる[1]。前日の夜、学生さんは秋葉原を満喫した。先生らは懇親会、月亭とのこと、早くつきていとバスで移動。昼間の休憩時間、研究費のことが話題になった。政府が主導する研究費の採択率、韓国でも10-20%とのこと。企業との共同研究経費、その使い方は研究者の裁量次第。自分のサラリーにもできると、さらりと言われた。

WOCJC-12には、本当にお世話になりました。ワークショップに、そっぷりと浸かってしまいました。

[1] エレメントビンゴ、2011.12.30「村井君のブログ」。手づくりのカードでやってみませんか。

24.1.17

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畜産業によって

 生産される年間およそ1億4千万トンの肥料から出る過剰の栄養素が、地下水に残存し水性生物に害を及ぼしている。そこで研究者らは、肥料から価値のある栄養素を集める方法を開発していた。ただ従来法は熱あるいは大量の水や化学物質を必要としていた。それに対して今回、電池電極として有望な多孔性プリシアンブルー結晶構造を有するヘキサシアン化鉄カリウムニッケル(KNiHCF)が、アンモニウムイオン並びにカリウムイオンを選択的に吸収できることが報告された[1]。研究者らが、肥料を多く含んだ廃水にKNiHCFを入れたところ、この電極が有機物質を酸化し、得られた正電荷がアンモニウムイオンやカリウムイオンを電極に移動させた。ついでイオンを得たKHiHCFを電気化学電池のアノードとして使ったところ、それぞれのイオンが硫酸カリウム電解液溶液に放出された。カソードが白金か炭素かにに依存して、レドックス反応が水素や過酸化水素を導いた。農家の人は、廃水を流す前に過酸化水素を使って、廃水を消毒することができる。また電解液溶液を濃縮すると、硫酸アンモニウムと硫酸カリウムが得られるため、これらから肥料を作ることもできる。

肥料も必要だけど、大量が課題です。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 8, p. 5.

DOI: 10.1038/s41893-023-01252-z

24.1.16

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2024注目すべきは?

 に対して6名のエキスパートが、化学研究に関するそれを予測している[1]。バインディング親和性を予測するための構造を基にしたドラッグデザイン技術、C-H活性化や新規な変換反応を予測できる量子力学モデリング、ビッグデータを駆使した分析によるプロテオミクスやメタボロミクス、それを加速できる機械学習、人工知能が当たり前になることが期待されていることに加えて、3名が地球環境や廃棄物に関する点を指摘する。人為的気候変動の修復を促進する新たなプロセスを推進することが不可欠であり、そのために、今も多くは試行錯誤である触媒開発を迅速に推進できる人工知能と研究室の自動化、化石燃料を使わないエネルギー工業の発展が記されている。加えてプラスチック廃棄物をフィードストックとして実際に利用できる持続可能なサーキュラーポリマーエコノミー、大量の廃ポリエチレン、ポリプロピレンを効率的に利用できるようにすることがその最終ゴールである。

 出来過ぎのエキスパートがスパッと語っていた。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 34.

24.1.15

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お雑煮で

 直径5 cmほどの丸餅を使う。インスタント白味噌雑煮である。沸騰させたお湯にお餅を入れて茹でた。ほぼ柔らかくなった頃、お雑煮のもとの粉の入ったお椀に茹でた餅を入れて、そこにお湯を注いだ。ここで混ぜればと思っていたものの、お餅に具や粉がくっついて味に濃淡が出てしまった。う〜残念。袋に書かれた手順では、まずは雑煮のもとだけを入れたお椀にお湯を注いでよくかき混ぜるとある。順番が違っていた。二度目の挑戦。順番通りで成功した。でもお餅が柔らかくなるのに少々時間がかかる。そこで電子レンジを使うことにした。袋入りのお餅の袋を少し開けて電子レンジ(500 W)でおよそ1分間加熱。お餅がほぼ全て融けた感じで、とろとろになりすぎている。次こそはと20秒、すでにかなり柔らかい。そこでお餅を袋から出して、ラップの上に置いた。まずは8秒ほど加熱。すでに柔らかい部分がある。これを裏返してさらに10秒弱。程よい柔らかさとラップにへばりつく部分もなかった。

 お餅で、面白い経験ができた。それでもお餅についての知恵、お持ちでしたらご教示を

24.1.14

 

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明日、明後日は

 共通テストであるというニュース。昨年までの数十年間を思い出した。様々な立場で携わってきた。一年で最も気を使う業務だ。前日の概ね午前中、専門業者の方に部屋の掃除を担当してもらい、午後は事務方が、それぞれの部屋の表示、机に受験番号の貼り付け。ガタが来ている机や椅子の安定感を確保するための作業。一通り終わって、教員による確認。換気扇の音。これあかん気がすると言っても間に合わない。どこかの電源を落とせばいいのではないかなど、その場しのぎを考えた。年末年始には試験監督の先生への説明会。さらに説明する人への説明はまだ暑さが残る頃にあったとのこと。加えて問題作成。全国の大学に極秘に依頼が来る。ただ大学教員の定員削減がどこでも進み、担当できる人がタイトになってきた。昨年度まで、自分の大学でもお願いするのに苦労していた。今年度、他大学の先生からも相談があった。ともかく今日と明日2日間、平常でありますように。

 今年のテストのテイストは?などと昨年までは思いもしなかった。

24.1.13

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魅力的な化学の発見2023 II

 4n+2π電子系が2つの場合、二重芳香族系である[1]。それに対して研究者らは、走査型プローブ顕微鏡のチップを用いて、シクロ[16]炭素として知られる二重反芳香族分子である16炭素環を組み立てた。この化合物の不安定性は、別の風変わりな分子を導くきっかけになる。

 NASAのInsight着陸船が記録した地震に関するデータを分析して、火星の核が再検証された[2]。火星の内部を動く横波の研究から二つのグループは、火星の液体鉄の核の大きさが以前考えられていたよりも30%小さく、これまで観測されていなかった溶融したシリケートで厚さ150 kmの層によって核が囲まれていると結論づけた。

 金原子12個とアンチモン原子20がカリウムイオンを取り囲んでいる金属原子フラーレンが構築された[3]。原子の数は32と真ん中に1つだけどサイズはC60とほぼ同じである。

 レオナルド・ダ・ビンチ作のモナリザと最後の晩餐の下塗りの分析の結果、Pb5(CO3)3O(OH)2が見つかった[4]。この化合物はおそらく、油と酸化鉛との反応の副生成物である。ただこの反応が、塗りに厚みとなめらかさを付与している。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 31.

DOI: 10.1038/s41586-023-06566-8, 23.11.12 村井君のブログ

[2] DOI: 10.1038/s41586-023-06586-4 and DOI: 10.1038/s41586-023-06601-8, 23.11.14 村井君のブログ

[3] DOI: 10.1126/science.adj6491, 23.12.16 村井君のブログ

[4] DOI: 10.1021/jacs.3c07000, 23.11.03 村井君のブログ

24.1.12

 

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魅力的な化学の発見2023 I

 タコはシャツを着ていない。それでも冷たい場所でも生きるため、何か仕掛けがあるに違いない。そこで研究者らは、捕獲したタコの神経系のRNAの配列を決定し、温度制御条件での研究を行ない、その一端を発見した[1]。すなわちこの頭足動物は、温度変化に応じてメッセンジャーRNAを編集し、急ぎタンパク質の配列を書き換える。この修飾によって重要な神経系タンパク質の機能を変化させ、頭が凍ることから自らを守っている。

 シロタマゴテングダケ、英語名death cap mushroom。このキノコには治療不可能な肝臓や腎族の損傷を引き起こす毒であるα–アマニチンが含まれる。実際中国では、2010年から2020年788名の人がこれで命を落とした。治療法もほとんどなかった。そこで研究者らはこの謎に挑戦し、STT3Bと呼ばれるタンパク質がα–アマニチンの毒性には必要であること、さらに3000以上の化合物から、心臓や肝臓の機能を決定する染料であるインドシアニングリーンが、STT3Bのバインドを防ぐことができることを発見した[2]。特定した化合物はα–アマニチン中毒になったネズミが生き延びる一助になった。

 α–アマニチンの実験、真似しんでください。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 30.

DOI: 10.1016/j. cell.2023.05.004, 23.6.30 村井君のブログ

[2] DOI: 10.1038/s41467-023-37714-3, 23.6.1 村井君のブログ

24.1.11

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特筆すべき数字2023, III

 241:新たに発見されたウラン同位体の質量数あるいは、プロトンと中性子の和[1]。ウラン238のビームを白金198に向かって発射すると、多核子移行反応が進行し、プロトン92個と中性子149個を含む同位体が得られた。予測された半減期42分は、研究者らがその化学及び物理特性を検証するために十分な時間である。

 ~5 nm:電流を流すことができる分子ワイヤの長さ[2]。電流を流すことができる長い分子は、より小さく、より速く、よりパワフルな電子デバイスを導くことができる。ただ1-2 nm以上の分子は電気絶縁体になりやすい。今回の記録的な分子であるオリゴエメラルジンでは、縁に沿ってのみ電気が流れる。

 212, 47, and 25:これらはそれぞれ、SARS-CoV-2の主なプロテアーゼを標的とする複数の有望な抗ウイルス薬を同定するオープンソース科学プロジェクトに参加する科学者、組織、国の数[3]。COVIDムーンショットコンソーシアムによって同定された有望な薬の一つは前臨床開発の段階である。コンソーシアムのゴールは、安全かつ世界中からアクセスできてお手頃な価格の、COVID-19に対する抗ウイルス薬の開発である。

 コンソーシアムでも、奔走している。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 28.

DOI: 10.1103/PhysRevLett.130.132502, 23.5.6 村井君のブログ

[2] DOI: 10.1021/jacs.2c12059, 23.3.20 村井君のブログ

[3] DOI: 10.1126/science.abo7201

24.1.10

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特筆すべき数字2023, II

 10億年足らず:宇宙が炭素ダストを形成し始めたビックバンから経過した年[1]。ギャラクシーの構成要素である宇宙のちり微粒子の研究が行われている。これは、ギャラクシーがどのように形成されて、宇宙がいかに発生したかの理解を助ける。James Webb 宇宙望遠鏡によって観測された結果は、炭素質のちりや炭素がもとになった物質が、これまで考えられていたよりも簡単にかつ頻繁に形成していることを示していた。

200-1000 g/mol:多孔質無機膜が分離できる化合物の分子量の幅[2]。界面重合と分子層成長法によってつくられた穴のある無機フィルムは、化学工業で使われている蒸留や別のエネルギー負荷がかかる分離方法を置き換えるために、使うことができる。脱塩のために使われる高分子膜とは異なり、無機フィルムは、有機溶媒や140 °Cまでの厳しい温度に耐えることができる。ガス状の四塩化チタンと液体のエチレングリコールが反応し、炭素をドープした金属酸化物ナノフィルムを与える。その後加熱によって、フィルムからある程度炭素が除去されて、微細な孔が生じる。

 ギャラクシーの中で、楽し〜ていますか。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 27.

DOI: 10.1038/s41586-023-06413-w

[2] DOI: 10.1126/science.adh2404, 23.10.6 村井君のブログ

24.1.9

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特筆すべき数字 2023, I

 7億メガバイト:Human BioMolecular Atlas Programが、ドナー200から得た1900ほどのデータセットで出版したデータの数[1]。コンソーシアムは、単細胞分析技術を使って、肝臓や他の臓器にある健康な人の細胞の性質を理解しようとしている。同様なビッグデータ研究のコンソーシアムは、脳、ガン細胞や胚にある分子をカタログ化している。

 12:三環性の環境調和な爆薬に含まれる窒素原子の数[2]。DTAT-Kと呼ばれるこの化合物は、爆薬として通常使われるアジド鉛の爆轟特性とほぼ同様の特性を示す。ただし鉛化合物と違って、DTAT-Kは、軍事教練場を汚染し得る重金属を含まず、取り扱いも安全である。

 12 °C:肌のような構造をもつ通気性材料で、周囲の温度から冷やす温度。熱を持ち運ぶ赤外線を表面で反射して冷却できる材料は、オフィスでの空調機の使用を低減させるために使用量が増加している。この概念を適用して研究者らは、織り合わせた綿とポリエステルの繊維をもとに、多孔質で重構造の材料をつくり、それをポリビニル(フルオリド)、二酸化チタン、硫酸バリウム、二酸化ケイ素の微粒子で処理した。成分と材料の構造が共同で太陽光を散乱あるいは反射し、冷却を可能にしている。

 数字で、意味も通じる。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 26.

DOI: 10.1038/s41586-023-05769-3

[2] DOI: 10.1021/acscentsci.3c00219, 23.4.7 村井君のブログ

[3] DOI: 10.1021/acsphotonics.3c00241, 23.5.13 村井君のブログ

24.1.8

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Molecules of the year 2023, II

 分子モーターを駆動させるためには通常、化学燃料や光が使われる。それに対して電気によって駆動する分子モーターが開発された[1]。この新しい分子モーターは、二つのシクロビス(パラクアット-p-フェニレン)環からなり、酸化反応や還元反応を誘導する振動電圧に応答して、ループ状に回る。分子の中のイソプロピルフェニレン基と2,6-ジメチルピリジニウム基が環の回転する向きを規定している。分子モーターは4段階サイクルで、最初のステップは、環とトラックの一部が還元される。環は時計回りに移動して、ラジカル対の相互作用でトラックにバインドする。さらに酸化還元を経て、環は一周する。動力源として電気を使うことによって、別の技術に分子モーターを組み込むことが容易になり得る。

フェンスがつながっているようにインターロックしている共有結合性有機構造体(COF)が、カテナンを用いて組み立てられた。COFsにあるそれぞれのサブユニットは、Cu(I)の周りの前駆体を縮合することでつくられ、三つの環のポリヘドロンのネットワークをつくる。Cuイオンをテンプレートから除去するとポリヘドロンは離れることなく動き、得られた材料は柔らかくて柔軟になる。COFsは、ろ過膜やソフトロボティクスに利用できる。

 COFsで幸福です。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 25.

DOI: 10.1038/s41586-022-04910-y, 23.2.4 村井君のブログ

[2] DOI:10.1038/s44160-022-00224-z, 23.2.13 村井君のブログ

24.1.7

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Molecules of the year 2023, I

 C&E Newsが選んだ昨年誕生の素晴らしい(coolest)分子[1]。

通常は+2価の酸化状態であるベリリウムが+1価でBe-Be単結合を形成している化合物[2]。二つのBeにはCp環が配位している。

オクテット則を満たさないカルベンジカチオン[3]。炭素上の価電子は4である。嵩高い置換基を炭素上に組み込み、カルベンを酸化して、オキシドアニオンを取り去って非結合電子を持たないカルベン炭素が誕生した。

キラリティーと言えばまず炭素について学ぶ。ただ他の原子もキラル中心になり得る。その中、三つの置換基と結合し、正電荷を有する酸素がキラル中心であるオキソニウムイオンが合成された[4]。研究者らは酸素に縮環したトリアリール環系を結合させることによって、酸素の孤立電子対を固定している。

新しいタイプの特大のサンドイッチ錯体[5]。18のメタロセンユニットを繋げて輪にしてナノメートルサイズの環が構築された。その名はシクロセン。苦労せんことはなかった。金属としてSr, Sm, Euを用い、嵩高いトリイソプロピルシリル基を導入したシクロオクタテトラセンの間にこれらの金属を挟んだ。錯体を積み重ねると、嵩高い置換基がメタロセンを曲げ、環が仕上がった。

 Coolestのリストでした。

[1] Chemical & Engineering News 2023 December 18, p. 24.

[2] DOI: 10.1126/science.adh4419, 23.7.8 村井君のブログ

[3] DOI: 10.1038/s41586-023-06539-x, 23.10.16 村井君のブログ

[4] DOI: 10.1038/s41586-023-05719-z, 23.4.5 村井君のブログ

[5] DOI:10.1038/s41586-023-06192-4, 23.8.23 村井君のブログ

24.1.6

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三屋清左衛門残日録

 藤沢周平原作、北大路欣也主演のドラマを2022年末に見た。これがトリガーになってKindle版を購入して昨年のお正月、読了してしまった。ここから藤沢周平さんの世界に入り込む。今のところ41がKindleに収まっている。藤沢さんの時代小説は、実在の人物である明智光秀、松平定信、上杉鷹山や、俳諧の師である小林一茶が登場する小説も多い一方で、海坂藩という名の、東北の雄藩を設定して、そこで起こる主にお家騒動に関わる出来事が軸となる物語などさまざまである。牢獄の医者いわゆる獄医が主人公の小説、極意をきわめられている。江戸の頃の庶民の生活、商人や町人、慎ましやかに暮らす庶民の様子も活写されている。貧しくても生きたい、生きなくてはという雰囲気、幕府の隠密にお家の大事を掴まれては藩の存続は危うい。それでも派閥争いが続く藩。青江又八郎は人を切って脱藩、江戸で用心棒として暮らす。そこから見た赤穂事件、藩が差し向ける女刺客「佐知」。街道での鬼気迫る対決、がこれが運命の出会いだった。おすすめのシリーズです[1]。

 用心棒にも、人望が集まる。

[1] 藤沢周平著「用心棒日月抄」から始まる四冊。

24.1.5

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日本航空516便

 1月2日午後5時47分羽田空港に着陸[1]。その後炎上して最後の人が航空機から避難したのが午後6時5分。この間、滑走路を2/3マイル滑走して飛行機は停止。避難用スライドも展開された。今回の避難の成功には複数の要因がある。

・就航して2年のエアバスA350-900の構造:機体は最も高いレベルの防火能を示すアルミニウムに匹敵する耐火性複合材料製だった。非常口と非常用スライドが片側4カ所で、機体の両側からの避難が可能で、今回はそのうち安全であると考えられた3つが利用された。エンジン周りの防火壁、燃料タンクの中の窒素ポンプは直ちに火災が起きることを防ぎ、座席や床の耐火性素材は燃え上がる炎を寄せ付けず、避難を加勢してくれた。また通路の両側を照らす床照明もあった。

・十分に訓練された12名の乗組員、12000時間のフライト経験のパイロット

・乗客:泣いたり叫んだりした人もいたものの多くは冷静で、指示があるまで座席で待機していた。また手荷物を取るために立ち止まったり、出口でスピードを落としたりはしなかった。

なお通常の避難では、避難スライドが風で揺れてその中乗客が滑るために、人同士が降りた時にぶつかったりして多くの人が怪我をするが、今回怪我をされた方は15名で、重傷の方が見えなかったのも異例だった。

[1] 2024.1.3 New York Times 「As Flames Surged, Order Prevailed Inside a Japan Airlines Jet」

24.1.4

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羽田空港で

 日本航空516便と海上保安庁の航空機が衝突してどちらも炎上。その中、516便に登場していた全ての乗客367名と乗組員12名は安全に避難することができた。ある大学の専門家は今回の避難は奇跡的であると述べている[1]。乗客は、飛行機の前方にある2つの出口と後方にある1つの出口から避難した。ただ後方は尾翼が上がっていたため、微力でも、登りになっていた。ただその方向を客室乗務員は光で合図していた。新しい航空機の安全試験では、全ての乗客が90秒で避難できることを示さなくてはならない。1970代、1980代、避難訓練は主に乗組員にフォーカスされていたが、1990年、2000年代になって、乗客に対して緊急時にどのように反応するかを伝えることに力点が置かれている。乗客が煙を見た時、手荷物を置いて速く逃げるように仕向ける必要がある。航空の専門家は、日本航空は安全面のリーダーとして知られているとBBCに述べていた。

 一方、海上保安庁の航空機の乗組員5名が命を落とされた。ご冥福をお祈りします。

[1] 2024.1.2 New York Times「A ‘Miracle’: Plane Erupts in Flames Landing in Tokyo, but All Aboard Survive」

24.1.3

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地震が発生して

 24時間が経過した。その後も揺れる能登地方。避難されている方、建物の下敷きになっている方。冷え込む中、停電の地域、市は壊滅状態であるという市長のコメント。こんな時こそ自衛隊に躍動して欲しいと願うも、ニュースでその活動に触れることも難しい。原子力規制委員会の発表では、どこかの原子力発電所で本来の電源が動かなくなって予備電源が稼働しているとのことだけど、政府の発表は「今のところ異常なし」この大地震のニュースは海外でも伝えられた。それを受けて「Earthquake in Japan」という件名のメールをカリフォルニアからいただいた。「石川地域での地震のニュースを耳にして心が痛みます。この大災害からの復帰がスムーズであることをお祈りします。あなた自身や近くの方々が元気であることをお祈りします」という内容だった。心配りへの感謝、もらった勇気。震源地に近い方々にメールを出さなくてはと実感した。(遅いよ)

 メールが見えること、お祈りしています。

24.1.2

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2024年初詣

 大阪天満宮に詣でた。大阪メトロの最寄り駅近くの商店街、かなり多くの人がゆっくりと前に進んでいた。人の流れを整理する担当の方々。「迂回路の方が短時間でお参りできますよ」の声を信じてそちらに向かった。それでも人、人、人で牛歩の如く進む時間帯、止まって待つ時間帯、前進できる時間帯を経験して、本殿前に到着。本殿には、高所から人の流れを見て進む方向をお願いする担当者がいた。本殿前に張ってある網に向かってお賽銭を投げた。網に当たって下に落ちたのを見て、今年のお願いをした。お祈りが終わって左へ進んだ。おみくじに木札を手に入れて鳥居を出た。いつもの4倍ほどの時間をかけた初詣だった。で、このことをワードで打っている時、なんだか部屋が揺れた感じがした。蛍光灯が円を描くように揺れ、それにぶら下がる紐も大きく回っていた。地震だ!震源地は石川県能登地方とあるも、地震情報を示す地図は、本州だけでなく九州でも揺れを感じる震度であることを示していた。

 辰が闊達に動く年になる予兆でしょうか?地震の被害、最小限であることをお祈りします。

24.1.1

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