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2024年3月

午後3時7分

 仕事を終えるにはまだ早いし、ここでコーヒーを飲むと夜の眠りの妨げになる。健康的には早足で歩くもよし、瞑想するもよし、だけど、フェインに代わるものはないかとある研究者は考えた。そこでカフェインの一次代謝物であるパラキサンチンに注目した[1]。それはカフェインが有するN上のメチル基一つが外れて水素に置き換わった化合物である。さらにそれは、カフェインと同様の機構で中枢神経系を刺激する。ただカフェインとは異なる様式で細胞受容体にバインドしてより速く分解する。実際体内での半減期はカフェインのそれよりも短いものの、同様の作用があり、副作用も小さかった。パラキサンチンは天然では、代謝過程でしか見つからないが、合成して供給する企業があった。さらにカップ一杯分のその価格がおよそ10セントまで下がり、FDAが一般的に安全であると承認した時点で研究者は、カフェインの代わりにパラキサンチンを含むコーヒーであるRarebirdを売り出した。ある種の深みとアロマは物足りないかもしれないけれど、プレミアムな品質と中煎りデカフェのような香りと味だった。

 カフェインじゃない、フェイントです。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 56.

24.3.31

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ヘビに噛まれたときに

 処方する抗毒素は必ずしも効果的ではない。それに対してコブラ、アマガサヘビやマンバが生産する毒に対してネズミを保護できる抗体が同定された[1]。研究者らはまず、アジアやアフリカヘビで見られる、3FTx-Lとして知られている神経毒の5つの変異体にバインドできる抗体を、数十億の人工的に設計された人の抗体が含まれるライブラリーで探索した。その結果、16の抗体候補を特定し、そのうちの一つが毒に対して有効にバインドし、それを中和できることも明らかにできた。その抗体95Mat5は、毒が人の細胞に入る時の受容体と構造的特徴が類似だった。それはスポンジのように作用し、受容体から毒を離すように振る舞う。ネズミの実験では、ヘビ毒が体内に入ってから20分後に抗体を注入した場合でも、神経毒からネズミを救出できた。特に17%程度がヘビ毒で他の毒も含まれるブラックマンバ毒からも、95Mat5はネズミを保護できたことは驚きである。ただしキングコブラの毒からは、げっ歯類を守ることはできなかった。

 ヘビ毒の回避、美徳なり。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 7.

DOI: 10.1126/scitranslmed.adk1867

24.3.30

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磁極性を切り替えることができる

 金属配位錯体である単分子磁石は、小型の記憶貯蔵素子や量子コンピューターのような新たな技術を設計できる有望な候補である。それぞれの材料の結晶構造が、その特性や利用の可能性を決定づける。ただし莫大な量の非磁性金属錯体の中から単一分子磁石を特定しなければならない。その中今回、東京理科大学の研究チームは、主にイメージから金属錯体の磁気特性を予測することができる人工知能プログラムを設計した[1]。研究チームは、N2O2ドナー部位を有する有機配位子であるサレンタイプの配位子が配位した金属に関する800論文を学習のデータセットとして、錯体の結晶構造を3Dイメージに変換した。いくつかの錯体は磁性を示し、別のものはそうではなかった。これを学習させたあと、深層学習アルゴリズムが、ケンブリッジ構造データベースにある同様なサレンタイプの配位子を有する2万の金属錯体から正確に、単一分子磁石を特定することができた。

 深層学習で、安心しそう。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 6.

DOI:10.1107/S2052252524000770

24.3.29

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電子接着のいくつかの形態では

 導電性の表面が電極にくっつき、それが電源につながっており、数十年にわたって製造現場や他の場面でも利用されてきた。ただ伝統的な技術では、二つの表面の間の結合は定電流が必要である。それに対して今回報告された電気を使った系では、電流が止まっても結合は残ったままである[1]。さらに多くの場合に電流の極性を反転させると結合が開裂し接着が解消する。今回の系では理由は不明だけど、素材によって接着するかしないかが違う。例えばトマト、ガーリック、チキンはアノードに接着し、リンゴやポークはカソードを好む。さらにバナナ、玉ねぎ、ポテトはどちらにも接着し、ブルーベリー、ラズベリーやオレンジはどちらにも相性が悪い。金属はより強い粘着性電極になる以外の多くは謎のままである。それでも研究者らは、これを使って小型のロボットグリッパーをすでに制作している。このゲルのハード–ソフト電子接着は、船体やパイプラインの破損をつなぎ合わせることもできる。

 電子接着、せっかくなんでどうぞ。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 6.

DOI:10.1021/acscentsci.3c01593

24.3.28

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ボートや海上採掘装置の

 金属表面は、腐食抑制のための化合物でコートされている。これによって海の高い塩分濃度の環境からそれらを保護している。アゾール、アミンやフェニールのような市販の有機化合物製の抑制剤は、金属表面に頑丈なフィルムを形成するが、有毒な化合物を環境に放出し得る。それに対して今回、フジツボが有する天然の接着剤であるタンパク質が海水中で金属の腐食を防ぐことが報告された[1]。フジツボは水中の金属表面にくっつくため研究者らは、甲殻類の接着剤であるタンパク質が、頑丈な保護層を金属上で形成するかどうかを調査した。バクテリアを遺伝子的に改変し、ある種のフジツボの組み換えタンパク質を生産させた。このタンパク質は無機材料に強く接着することから他の研究者らはすでに、これを使って骨や歯科材料のための接着剤を開発していた。そこでここでは、人工的に調製した海水に金属片を浸し、先のタンパク質の異なる濃度の溶液を加えた。その結果5 mg/ML以上の濃度では、タンパク質は、スチール表面に吸着し均一な層を形成していた。スペクトル分析とコンピューターシミュレーションの結果は、タンパク質はスチールの中のフリーな鉄イオンと錯体を形成し、これが腐食から保護していた。

 フジツボのこと、実母にもお伝えを。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 6.

DOI:10.1038/s43246-024-00445-z

24.3.27

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臭化アリールと

 ボロン酸とのPd触媒存在下での反応が鈴木–宮浦カップリングである。それらの基質に加えて研究者らは、求電子的なアミンを加えて、芳香族アミンを与える三成分連結反応を成功させた[1]。いわば鈴木–宮浦反応とBuchwald–Hartwig反応を組み合わせたカップリング反応である。これまでケトンの合成方法として、カルボニル基を組み込む三成分連結反応が知られていたが、これにヒントを得て、一酸化炭素の代わりに求電子的なアミンが使われた。三成分を正しく連結させることは簡単ではなかった。鈴木反応の進行を押させるために嵩高いホスフィン配位子が使われた。カップリングパートナーとしては、幅広いハロゲン化アリールやボロン酸を利用することができ、医薬品分子の合成も可能である。さらに一酸化炭素の存在下では、四成分連結反応が進行してアミドが導かれる。研究者らは同様のアイデアで、これまで確立された反応系をベースに新たな方法の開発を継続している。

 三成分反応の有用性、賛成です。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 5.

DOI: 10.1126/science.adl5359

24.3.26

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電極と電解液の接触面での

 イオンと分子の動きが音に翻訳された[1]。電極と電解液の接触面はバッテリーでは中心的な役割を担う。この接触面での分子同士の相互作用を見ることはできない。ただもしそこから音が聞こえると、直接、迅速かつ直感的に振る舞いを知ることができる。研究者らは、音を発生する電子回路から始めた。回路の充電と放電ではコンデンサが、スピーカーを音に変える波形をつくりだす。電極と電解液の接触面は、イオンや分子の形状に依存した電気容量を有する。そこで研究者らは、回路のコンデンサを電解液にある電極に置き換えた。これによって金属と溶液の接触面で起きることによってシステムのダイナミックスが制御されるようになった。その結果、接触面、電極の材料や電解液の濃度を変えると、回路からの音が変わった。この方法は理論的には電気化学的な性能をモニターするのに利用できる。さらに研究者らは、これを教育的なアウトリーチ活動に使うことも計画している。なお回路はとても単純で、小さな半導体ひとつと、いくつかの抵抗器があれば仕上げることができる。

 音が聞こえて、おっとりしている。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 5.

DOI:10.1021/acscentsci.3c0125

24.3.25

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除菌ローション

 日焼け止め剤、ドライシャンプー、噴霧型抗真菌剤のようなパーソナルケア製品にベンゼンがわずかに含まれる場合がある。ただこれは原料の汚染物質で限定的である。それに対してニキビケア製品では、主な活性成分が、輸送の間や家でベンゼンに分解する。さらにベンゼンは時間を経て多くのボトルに拡散するために、過酸化ベンゾイルを含む製品をリコールして販売を停止するようにという請願書が提出された[1]。それに対してニキビケア製品を製造している側は、外来診療用の製品にある過酸化ベンゾイルはFDAも承認しており、ニキビケアには広く利用されていることから、安全であると主張している。また今回のベンゼンの発生を確認しているデータが、50 °Cや70 °Cでの実験であるため、消費者が扱う通常の条件ではない。例えばニキビケア製品であるクレアラシルの場合、消費者に対して室温での保存と光を避けることを伝えている。さらに処方用量の過酸化ベンゾイルの場合には、冷蔵庫での保存が必要であるとしている。なおこれは過酸化ベンゾイルの問題であり、誓願書を出した研究者らは、それがベンゼンに変換されるのを抑える方法についての特許も提出している。

 ニキビ、厳しいねえ。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 11/18, p. 4.

24.3.24

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ホウ素といえば

 ヒドロホウ素化を最初に学んだ。Brown先生の反応である。フィアンセからプレゼントされたホウ素に関する書籍が縁でそれに関する研究を始めたらしい。ただフィアンセがその本を選んだのは、最も安かったからというよく知られた逸話が残る。それから鈴木・宮浦クロスカップリングに広がり、今ではC–B結合がC–C結合を始めとして多くの結合形成反応の拠点である。加えて新たな含ホウ素化合物が誕生している。今回のACS Springで賞を受賞されBraunschweig先生、B–B三重結合化合物を世に送り出した[1]。さらにホウ素上には嵩高い芳香族置換基を組み込んだボリレンの合成。この分子は窒素ガスと反応し、N–N結合の切断も可能である。1995年に立ち上がった研究グループが今では、5500 m2の研究施設に、50名近くのメンバーが所属する。この分野の今後の広がりも期待させる。そのホウ素、カリフォルニア州ボロンと呼ばれる場所で、ホウ酸として採掘されている。

ホウ素についても、放送してほしい。

[1] https://www.braunschweiggroup.de

24.3.23

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空港に

 ACS Springs 2024の受付があった。事前に送ってもらっていたQRコードをかざすと名札が印刷されて、それとネックストラップを受け取った。わずかなトラップ時間を終えてタクシー乗り場。ニューオーリンズ市街までは定額36ドル、低額ではないもののメーターが示す料金を気にする必要はない。ホテルに到着した。クレジットカードを託す。じっと待っているとカードとタブレットが目の前に。チップの額のリクエストが表示されている。0%はなく、それなりの額を選ばせてもらった。ホテルのチェックイン。なんだか時間がかかる。自分の番だ。パスポートを見せて数分で完了しかけた。そこで電話番号を聞かれた。英語で伝えるのは初めてで、なんともおぼつかない。番号を思い出しながらの英訳である。多分間違っている。それでも信じるスタッフの方はOkayと言ってくれた。部屋で充電をしたい。日本と同じ形の米国のコンセントにプラグを差し込んだ。数時間経っても全く充電されていなかった。はて?スイッチがあったかなと探すもののそこにはない。部屋にたくさんあるコンセントのうち故障中のそれを選んでしまったみたいである。

 コンセント、選定せんといかんかなあ。

24.3.22

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中部国際空港早朝の便

 羽田空港で乗り換え、Houston George Buch Intercontinental Airportまで11時間55分。2018年4月以来の北米だ。この機内での時間、ゲームができるとワクワク、機内でも飽きないと思って搭乗したもののゲームは一切なかった。今どきは手持ちのモバイルがあるからなのかもしれない。ANAの雑誌である「翼の王国」も基本はweb版で冊子体はリクエストする必要がある。映画を堪能して無事空港に到着した。保安検査場、かなり時間を要するかと覚悟をしていたものの、それなりのスムーズさ、担当者のフレンドリーな応対。テキサスも進化したかと思いながらお手洗いに行った。うわ〜テキサスだ!洗面所すべてがout of order、用を足すところもすべてが使えるわけではない。早い話、そんなことは気にしない。New Orleansまでの便に搭乗。なんとGabbai先生も搭乗していた。明日会おうで、後方の座席に自分は移動した。

 後方で、CSJジャーナルの広報のことを考えていた。

24.3.21

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心臓手術から

 回復した患者さんは、電気パルスを使うペースメーカーを一時的に使い、心臓の速度とリズムを維持する場合がある。ただこのデバイスを取り除く際にリスクを伴う侵襲的手術が必要である。パルスを送る電極が一旦心臓に装着されると、この電極を動かすことなく他の臓器を標的にすることができずに、組織を損傷し得る。それに対して今回開発されたデバイスは、2μmの厚さのシリコン膜で心臓に突き刺す必要はない[1]。複数の光学ファイバーからの光を使って、組織の様々な位置を刺激することができる。また数週間後には体内に溶ける。研究チームはまずシリコン膜の表面を、フッ化水素酸や硝酸溶液でエッチングし、シリコン膜の上にナノ多孔性の層をつくった。二つの層の多孔性の違いによって、シリコン太陽電池のp-nジャンクションのような、電荷担体を分離するジャンクションが出来上がった。光が材料にあたると、光エネルギーは電気インパルスに変換され、光があたっている部分の心臓の組織が収縮した。この新たなデバイスの豚への埋め込みや、1 msの光パルスを用いた心臓の鼓動の制御も行われた。さらに臨床応用ではワイヤレスのLEDを皮下に埋め込み、シリコン膜への刺激にも使うことができる。

 シリコン膜の開発、根負けしませんように。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 4, p. 9.

DOI: 10.1038/s41586-024-07016-9

24.3.20

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水素化アルミニウムリチウム(LAH)は

 強い還元剤で多くの種類の分子を合成するのに用いられる。ただLAHは水と激しく反応し発火や爆発を引き起こし得る。化学者は様々な論文でこの重大な事故の報告を知ることはできる一方で、LAHを取り扱うベストな方法を詳しく記載されたものはなかった。その中今回、大学などの研究室での取扱いについて確かな方法がまとめられた[1]。この情報をもとに、標準的な操作方法を仕上げてほしいと著者は述べている。またこれはこれまで散らばっていた情報をひとまとめにしたものである。記事は、LAHとの反応を行うのに最適なガラス器具の準備から始まり、LAHの測り方、反応容器に加える手順、反応後に残った過剰のLAHを安全に処分する方法が含まれる。さらにLAHを用いる反応を行う前の緊急チェックリストも備えられている。最も伝えたいことは、適切なリスクアセスメントをしっかりと確認することである。

LAH、あら〜と見ていると暴走するかもね。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 4, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.chas.3c00102

24.3.19

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構造色は

 鳥の羽根、昆虫の殻や植物に見られ、より鮮やかな着色で、染料をベースにした色よりも基本的には環境にやさしい。実験室レベルでも構造色を出すいくつかの方法がある。その中今回、3D-プリントできるブロック共重合体で、光を曲げることができるフォトニックナノ構造に自己組織化できるものが使われた[1]。これによってプリントする段階で、光を使って交差連結を制御することができる。研究を担当していた学生さんは、交差連結したフォトニック共重合体が、光を制御する反応によって三次元構造を形成することを観察していた。さらに最終的に仕上がった材料の色が、交差連結の際の光の強度に依存していることを発見し、その謎を解き明かすことにした。その結果、交差連結反応と鎖の自己組織化がほぼ同じ速度で進行することがわかり、ポリマー鎖の間の交差連結の量を変化させると、ナノスケールのレベルで、いかに配列するかも変化することがわかった。より強い光に晒すと、より高い密度の交差連結になり、より小さなナノスケール層と、より青みがかった色を与えた。これらの知見から、材料が硬化するに従ってその色を制御できるようにもなった。

 フォトニックナノ構造、ほんとにホットなのだ。

[1] Chemical & Engineering News 2024 March 4, p. 7.

DOI:10.1073/pnas.2313617121

24.3.18

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クレソマイシンが

 バクテリアのリボソームにしっかりとバインドできる新たな抗生物質の候補として設計された[1]。クレソマイシンは、多剤耐性菌株を含むグラム陽性菌、グラム陰性菌を撃退することができる。研究者らは以前、医薬品であるシリンダマイシンにヒントを得た抗生剤であるイボキサマイシンを報告した。その際、シリンダマイシンの半分の構造をそのままにして、残りの半分を、バクテリアのリボソームにより強くバインドできるように構造を変更した。これらの抗生物質は、リボソームの活性部位にバインドし、リボソームがタンパク質を製造するのを抑制していた。イボキサマイシンがどのようにリボソームにバインドするのか、また配座の変化をコンピューターによって検証し、シリンダマイシンで構造をそのままにしていた部分を修飾した場合に、何が起きるかを研究者らは、確認することにした。シリンダマイシンのその部分を環構造にしたものの第一世代のそれは、活性の向上を見ることもなくアイデアは一旦保留された。今回学生の一人が課題とデータを再検証し、環構造のサイズを別のサイズに置き換えることを提案、10員環を組込んだクレソマイシンが合成された。この化合物は多剤耐性のリボソームが持つメチル基を押しのけて活性を低下させていることもわかった。

 クレソマイシン、くれそ〜にないし?

[1] Chemical & Engineering News, March 4, p. 6.

DOI: 10.1126/science.adk8013

24.3.17

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液滴の流体力学が

 専門の研究者は、アメンボが自宅近くの池に大量に生息していることに気づいた。そこで豪雨の時にアメンボはどうやって生き延びるのかに興味を持ち、嵐に耐えるアメンボを調べるために研究チームは、虫を入れた水を満たした水槽の1メートル以上上から、幅4ミリの水滴を放ち、その様子を高速度カメラで追った。そのスナップショットには、大きな水滴と水面の間に挟まれたアメンボの姿が写っていた。水しぶき、クレーター、噴流の連続的な空中攻撃はアメンボを水槽のあちらこちらに放り投げていた。水滴で水没するアメンボもいれば、崩れ落ちるクレーターの中心から噴出するジェットに乗り飛び降りるアメンボもいた。この好奇心が駆動した実験は、新しい二つの進展をもたらした。ひとつは、水滴が水面に衝突した後に起こる物理現象、より大きな初期衝突空洞が崩壊した後に形成される第二のクレーターの成長と収縮を数学的に記述することができたこと。もう一つは、アメンボをマイクロプラスチックに置き換えて実証できた点である。

アメンボにとっては、めんど〜な研究だったかな。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 40.

DOI: 10.1073/pnas.2315667121

24.3.16

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高品質のニンジンを

 スーツケースに入れて下さい」と農家の方にお願いした大学院生が研究を始めた[1]。ニンジンは基本的に円筒形で、芯と外側の層がつながっている。これを上から下にスライスすると、芯と外側の組織が晒される。大学院生はカメラをセットし、スライスしたニンジンを固定するとそれがどのように変形するのかを数日間、撮影した。ニンジンは、ストレスを最小限に抑えるために巻き上がるらしい。大学院生は、数キロのニンジンをスープ、ケーキや別の料理で消費したため、少々疲れてしまい、これらをルームメートともシェアした。ただ今回の観察の結果から、ニンジンを貯蔵する際に注意すべきことを多く学ぶことができた。そのままか、あるいは切って保存するか。実際には、湿気のある環境で冷やして、理想的には空気を通さない容器で保存するのがよい。そうでない場合には、冷蔵庫の対流で、ニンジンのかなりの部分が巻き上がってしまう。今回見出した概念は、料理にとどまらず、強誘電体セラミックスの複雑な構造へも適用できる。

 ニンジン研究、努力がにじんできます。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 40.

DOI: 10.1098/rsos.230420

24.3.15

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時を経た色のお話

 1700年代後半、緑色の織物や壁紙を製造するために亜ヒ酸銅であるシェーレ緑が使われていた[1]。湿気のあるところの壁紙では、カビが亜ヒ酸銅を代謝し、有毒なヒ素のガスが放出された。歴史家はシェーレ緑を含む壁紙とナポレオンの死を関連づけているが、決定的な証拠はない。1800年代後半、インディアン黄色は、水とマンゴの葉っぱしか食べない牛の濃縮した尿からつくられているとされていた。2018年牛のおしっこの代謝物の一つである馬尿酸を科学者は同定したことから、尿由来であることが確かめられた。古代紫は、複数の巻貝から抽出されていた。1オンスの染料のためには25000の巻貝を必要としていたためかなり高価だった。この染料の製造は1400年代に廃れ、2000年代初期に染料をつくる方法が発見された[2]。コウイカやイカのような頭足動物は、ユーメラニンをベースにセピア色をつくる。モノクロ写真で銀を硫化銀に変換すると暖かな色合いになる。1700年代の初期、プルシアンブルーが発見された。これを使って光感光性の紙ができてブループリントになった。プルシアンブルーは、放射性タリウムやセシウム被毒を処置することもできる。ローマ帝国の頃から四酸化鉛である鉛丹が写本を飾っていた。後に錆止めのための下塗りにも使われたが、今では鉛の毒性のためにその使用は限定的である。

 色について披露しました。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 23.

[2] C&E Newsには、2000年代初期と記載されているが、実際には1900年代初期だと思います。

24.3.14

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アルゼンチンの

 ネウケン州で研究チームは、赤い黄色みがかった小枝、玉縁や数千の工芸品を掘り出した[1]。これらは完新世半ばの時代に捨て去られたことを示していた。最も古い工芸品は、今からおよそ11000年前、最も新しいものが過去2000年の頃であることがわかった。研究者は、4つの黒い櫛形が主題のサンプルを収集した。ラマンスペクトルと走査電子顕微鏡測定の結果は、絵が通常の無機の黒い染料ではなくて植物ベースであることがわかり、これで炭素による年代の推定が可能だった。キャンプファイヤーの煙からの、より年代の近い炭素の層は昔の岩絵に施されているが、光学顕微鏡観察では、今回のサンプルでは観測されなかった。集めたサンプルは加速質量分析を使った炭素の年代特定に十分な炭素を含んでいた。測定の結果、くし形のモチーフは、8200年前頃から3000年をかけてペイントされていた。いくつかの絵には千年の時代の違いも見られたことから、遺跡は人類にとって特に困難な時期であった完新世の中期まで使用されていたことを示していた。

 完新世、感心したかな。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 9.

10.1126/sciadv.adk4415

24.3.13

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スイスのマーケットにある

 151のポリ塩化ビニル(PVC)床材を分析したところ、それらの16%に既に使われていない化合物が、ある一定のレベルで含まれていることがわかった[1]。とりわけかつてはPVCを安定化させるために添加されていた鉛と、可塑剤であるビス(2-エチルヘキシル)フタレート(DEHP)を含む製品に対して専門家は警鐘を鳴らす。DEHPは、子宮内膜症、ガンや2型糖尿病を含む多くの健康被害と関連する化合物であるオルトフタレートである。ただこれらの化合物は故意に入れられた訳ではなさそうである。その量がかなり少なくてPVCに対しては有用ではない。例えば通常のPVCでは5–60%の可塑剤を含むが、この場合には数から10%程度である。当初この研究は、スイスにおけるリサイクルを促すことを目的としてスタートした。取り壊された建物からの床材や他の材料の埋め立てを回避するためには、時代に合わない化合物を除去しなければならない。クリーンであることをスクリーニングで確かめる必要があり、再資源業者には、X線蛍光分析が使えると研究者は伝えている。

フタレートについて、誰〜と話そうか。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 9.

DOI:10.1021/acs.est.3c04851

24.3.12

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酸化鉄鉱石から

 鉄を抽出する最初の段階は、粉砕した鉱石やコークスの混合物を溶鉱炉で1200 °Cまでの温度で炙り出す。溶鉱炉を加熱するために石炭を燃やすことや鉱石から酸素を取り出す反応はどちらも二酸化炭素を排出する。それに対して今回、再生可能な電気を用いる精製した海水を塩の資源とする方法が開発された[1]。このプロセスの副生成物である水酸化ナトリウムや塩化ナトリウムも売り物になる。研究者らは、塩素アルカリ工業で採用されている容易に利用できる電極材料と膜とを使ってルービックキューブサイズの反応容器を製作した。酸化鉄粉末をカソードに加え、塩化ナトリウム水溶液をアノードに加えた。電極に電圧をかけると塩化ナトリウムがアノードで酸化され、塩素ガスが発生する。ナトリウムイオンが、膜を通過してカソードに到達し、そこで酸化鉄と反応し、水酸化ナトリウムと高純度な金属イオンが発生する。鉄はナトリウムフィルムとして、銅製のコレクターに集められる。

 どうせなら、銅製です。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 7.

DOI: 10.1016/j.joule.2024.01.001

24.3.11

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プルトニウム-カルベンが

 初めて報告された[1]。これはPu–C二重結合の実験的な最初の例であるとともに、三つの新しい錯体がプルトニウムの結合様式や反応性について、他のf-ブロック元素との比較を可能にしている。理論予測は、アクチノイドは、左から右にいくにつれて、よりイオン性が向上することを示していたが、実際にこれを見ることはできていなかった。その中、カルベンと金属原子との間の結合は高い共有結合性を有することから、これをもとに元素の結合がどの程度共有結合的であるのかを見積もることができる。放射能を有するプルトニウムを用いた合成は、ロスアラモスの特別な施設で、少量の材料を使って、注意深く計画を立てた上で行う必要があった。結晶学と分光学を使って研究者らは、構造を確かめ、結合の長さや反応性を、ウランやネプツニウムさらに、同様の原子半径や電子構造を有するランタニド錯体とも比べた。その結果、プルトニウムのアルキルデンあるいはNHCカルベン配位子への結合は、予測していたよりもさらに共有結合的だった。

 プルトニウムで、ブルッとしましたか。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.3c12719

24.3.10

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アンモニアを分解して

 水素を発生させる従来の方法は、酸化アルミニウム上のニッケルを触媒として用い、850 °C以上で熱分解する。代わりの方法としては、高価な貴金属触媒を用いる電気化学、光化学を含む。それに対して今回、レーザーパルスによって、短時間だけど強い熱をアンモニア水溶液内に入れ込む方法が開発された[1]。レーザーは1秒間に10パルス放出し、それぞれのパルスは10ナノ秒継続、標的の温度を数千度に上げることができて、分子をプラズマバブルに変換する。このプラズマは、H•、HO•、H2N•を含むラジカルの集まりで、水素、窒素や他のガスと反応する。バブルはすぐに冷えて崩壊し、新たな生成物を与える。それらは反応容器の中のアルゴンの流れで捉えられて、希酸とアルカリ溶液を通り、アンモニアや酸化窒素が除去される。より高いエネルギーのパルスのレーザーを使えば、水素の収率が向上する。ただし水素を燃焼させて得られるエネルギーは、レーザーを使うのに必要とするエネルギーの半分でしかなく、この方法は実用的ではないと指摘する方もおられた。

 パルスが頑張るす。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.3c13459

24.3.9

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水に不溶な有機化合物を

 懸濁液に混ぜると反応が促進される場合がある。これは水中ではなくてむしろ水上での反応で、有機化合物と水との界面で反応が起こる。疎水性の化合物がお互いに近づくことや、水と化合物との間の水素結合が反応を促進することによる。この概念が光化学反応に適用された[1]。水は光化学の理想的な溶媒であり、無溶媒よりも光を透過する。設計した反応は基質すべてが芳香環を含み、それらが錯体を形成するとπ電子による相互作用が生じる。紫外光が照射されるとその電子が分子の間を移動し脱離基が離れていく。水と基質との水素結合は、この電子移動を促進し、ラジカルが発生、それが連結して生成物が導かれる。この方法では、C–C、C-N、C–O結合を含む基質同士の間で、様々な結合が形成される。さらにこの反応をフロー化学に適用した。水滴をポンプで押しながら、ニートの基質を、光源の周りのらせん状のチューブを通す。これによって、殺虫剤や除草剤も含む化合物群を、数時間をかけて数グラム合成できる。この光反応、Irのような光触媒は不要である。

 不溶が不要じゃなかった、左様です。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 26, p. 5.

DOI:10.1126/science.adl3092

24.3.8

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スコットランドのチーズ・メーカー

 ハイランド・ファイン・チーズ社は、自社製造のチーズであるMingerは、世界で最も強い匂いがすると主張している[1]。それは僅かな硫黄臭にキャベツの腐ったような匂いである。Mingerという俗語は「醜悪な」を意味する。それを冷蔵庫に貯蔵してしばらくすると、不快な臭いが家中に漂う。一方でその香りはマイルドだ。かなり熟したカマンベールのようで、Mingerを、熱いサワー種で膨らませたトーストにのせてバターをつけて食べるとやめられないらしい。このチーズはほとんど偶然に仕上がった。担当者が、いくつかのブルーチーズに余計な青カビがあったのでこれを抑えるために塩水で洗った。それをホイルで包んで6週間後、チーズの皮がオレンジ色に変化していた。塩で洗ったことによりpHがおよそ5.4に変化し、ブレビバクテリウム属の微生物の成長を促した。このバクテリアは、人の体臭源でもあり、体の暖かい汗ばんだ箇所、たとえば脇の下、足、股のあたりに暮らしている。臭いを定量的に判断するシステムはないが、取材した人はサンプルのリクエストはしないことにした。

 Mingerこの辺では、見んが〜。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 12/19, p. 40.

24.3.7

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特別な香りのチーズを

 つくることは生化学的に複雑である。研究者らは、1年間にわたり、英国チェダー地方で生まれた固くて黄色いチーズの味に影響する因子を調査した[1]。研究者らはまず、チェダーチーズの木の実の香りとクリーミーな香りの中心であるサーモフィルス菌とある種の乳酸連鎖球菌を見つけた。さらに乳酸連鎖球菌微生物は、サーモフィルス菌微生物が提供する窒素に依存して生きていることもわかった。ついで乳酸連鎖球菌はジアセチルやアセトインのような四炭素化合物の形成を抑制することがわかった。それらの化合物が少量であればバターのような風味になり、濃度が高くなると異臭を放つチーズになる。今回の研究は、チーズ製造業者が混ぜるある種の微生物の比に依存して香りのメニューを選ぶことができる段階に近づいたことを意味している。12世紀に初めてチェダーチーズを製造した業者は、バクテリアが豊富な洞窟にチーズを置き、それとなく微生物の混合を選んでいたようであると述べていた。

 チェーダーチーズをつくった人の知恵だ〜

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 12/19, p. 40.

24.3.6

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通常の太陽光電池(PV)は

 150-200 μmの厚さの壊れやすいシリコンウエハーを含む。最高のシリコン電池は27%以上のエネルギー効率で光を電気に変換できる。曲げることができる太陽電池は、より薄いシリコンウエハーでつくるが効率が低くなる。それに対して企業の合同研究チームは、274.4 cm2の電池をつくった[1]。これは一般的な市販のサイズで、シリコンウエハーのサイズは57–125μmである。それぞれのセルは、薄さベースで新記録の変換効率を達成している。57μmの電池でも26.06%の光エネルギーを電気に変換できる。さらにこの電池は、これまでのシリコン電池の中で最も高い発電と重さの比である。通常の安定性の試験もクリアし、およそ20年の寿命はあると研究者らは類推している。開発の鍵は電荷キャリアーを効率よく分離することである。研究者らは、表面安定化処理層を使い、電子とホールがエネルギーを運ぶ前に結合することを回避している。加えて化学蒸着によって、表面安定化処理層の組成を徐々に調整し、層のパフォーマンスを改良している。

 薄さに挑戦する厚みのある研究でした。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 12/19, p. 10

DOI:10.1038/s41586-023-06948-y

24.3.5

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確定申告

 ボイコットしようかと思っていた頃、内田樹先生の「「政治家たちがどれほど倫理的に劣化しても、わしらはお天道様に顔向けできないようなことはせんのよ」という庶民の意地がたいせつだと僕は思います」を含めた思慮深いXへの投稿に感化されて、例年よりも早く書類をまとめ始めた。昨年3月に退職した後は非常勤になり、委託された業務もスタートしているので昨年までとは違う。数年前e-Taxは便利ですという呼びかけで、マイナンバーカードのカードリーダーを購入した。いざやってみようと思ったら、パソコン、ブラウザの種類やバージョンに色々な制限があって断念した。それ以降web上で作成して最後に印刷してそれを郵送している。支払いもとの住所や名前、〇〇〇〇法人って名前が長いところが多かったけど、なんとか打ち込んでクリアした。念のため、詳しい方に提出する少し前のバージョンを確認していただいた。必要経費を示す書類も揃えた。封筒に入れることができたので、それほど大した量ではないかもしれない。2月末にお送りできた。

 確定申告、かくれていて申告しない人、深刻です。

24.3.4

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吉川カントリークラブ

 よかったわ〜とか言いながら、無料サービスのアイスクリームを味わう。同窓会いつにしましょうか。まずは先生のご都合を聞かなくてはと、そこからお電話した。先生は27年前に退官されるまで23年間研究室をマネージされた。そこからおよそ140名が巣立ち、その過半数はすでに定年を過ぎていた。3月2日として、かつてスタッフだった先生や、本当は同窓会するミッションを委ねられた卒業生にもこちらで世話すること伝えて、昨年10月末頃コンタクトを始めた。ほぼ同時並行で場所を探してもらって、天王殿に決定。メール配信が不調に終わった人には往復はがきで連絡して、参加予定者が少し増えた。会の進行、写真係もお願いして当日を迎えた。11時30分受付開始としていたものの11時頃にはすでに数名が、30分頃には出席を予定している64名の7割ほどの方がすでに来られていた。久しく会っていない人同士なので、積もる話だらけて賑わっている。12時開始、先生のご挨拶に始まり3時間弱、皆さん、楽しんでいただけたでしょうか。

 同窓会開催、どうしょうかいなあ で止まらず、前に進めることができた。

24.3.3

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工業化以前である

 1850–1900年の頃の地球の気温上昇は、およそ1.2 °Cだったと考えられている。それに対して研究者らは、硬骨海綿綱を分析して、人為的な地球温暖化は1860年代にはすでに始まっていたと結論づけ、それ以降1.7 °Cの気温上昇であると類推している[1]。木の年輪同様、ろ過接触の硬骨海綿綱の炭酸カルシウム骨格は、長年にわたる環境状況を示すことができる。質量分析装置を使って研究者らは、スキューバダイバーがプエルトルコの海岸で集めた硬骨海綿綱のサンプルを分析した。ウラン崩壊系列を利用して、それがトリウムにどの程度崩壊しているかを測定し、それぞれのサンプルの年代を決定した。サンプルは最大で300年だった。次にサンプルを硝酸に溶かして、ストロンチウムとカルシウムの比を分析した。これが大洋の温度を反映し、先の温度を推定した。研究者らはさらに、同様の分析をメキシコ湾やブラジルの海外へも展開したいとしている。

観測エリアがプエルトルコからさらに、増えとること いいことです。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 12/19, p. 9.

DOI: 10.1038/s41558-023-01919-7

24.3.2

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ピリジン環の

 C=N結合を抜き取り、ベンゼン環を挿入し置換ベンゼンを構築する方法が開発された[1]。この反応のきっかけは、ピリジン環のメタ位への官能基導入が、脱芳香族化、環化付加、C–H結合の官能基化と続く再芳香族化によって達成した研究者らの以前の成果である [2]。この反応で発生する安定なオキサジノピリジン中間体がDiels-Alder反応に関与できるジエンを含んでいた。そこで活性なアルキンをオキサジノピリジン中間体に加えることによって、アルキン由来の元素を挿入するとともに、もとのピリジン環の窒素と炭素原子を、新しい二つの官能基化された炭素に置き換えることができる。これらの骨格編集とも呼ぶことができる反応は、医薬品候補化合物の容易な修飾や、薬理学的な特性を比べるために関連する化合物を導くことも可能にする。この医薬品関連での応用に加えて、材料分野でも共役系化合物のπシステムのチューニングにも活用できる。

 骨格編集、広角にすると変でしゅう。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 12/19, p. 8.

DOI: 10.1038/s41557-023-01428-2

[2] DOI: 10.1126/science.ade6029

24.3.1

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